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本稿は2014年3月に執筆された本国版の翻訳です。
ヴィンテージオメガは、高価なヴィンテージロレックスの世界に代わる素晴らしい選択肢として長らく評価されている。先週金曜日に公開されたエリック(・ウィンド)氏によるWhat's Selling Where(どこで何が売られているか)のまとめ記事では3本の素晴らしいヴィンテージオメガを紹介してくれたが、この時計を見つけた瞬間、金曜日まで待つことができないと思った。それがこのオメガ スピードマスター Ref.2998-1であり、これだけでも十分に素晴らしい1本である。2998-1は正式にブラックベゼルを採用した最初のスピードマスターである(それ以前はこのようにスティールベゼルであり、まれに後期の2915-3でブラックベゼルを見つけることもある)。2998-1は、のちの2998-xモデルに比べてきわめて高いプレミアムがついている。というのもこれが初めてのものであり、そのあとに続くすべての手巻きスピードマスターの基準を打ち立てたからだ。
この個体がとても優れている理由はいくつかある。まず2998-1自体が希少で、オリジナルの状態で見つけることは至難の業だ。ひと言で“見つける”といっても、ただ見つけるのと、しっかりとしたコンディションの個体を見つけるのではまったく異なる。というのも、2998の多くは年月を経るなかで、オリジナルのプッシャーや針、ダイヤル、ベゼルを失ってしまっていることがよくあるからだ。さらにオリジナルの書類が付属しているものは非常にまれで、ほとんど存在しないと言ってよい。この個体はそれらすべてを備えており、さらにはそれ以上の価値を持っている。まさにヴィンテージウォッチに求めるすべてを兼ね備えた逸品だ。
同個体はすべてオリジナルの針が揃っているほか、オリジナルのベース1000のベゼルも付いている(ちなみに私が所有している2998-1にはこのベゼルがなく、少しあとのベース500のベゼルが付いている。それがオリジナルでないことは承知しているが、長いあいだその時計に付けられてきたことは明らかで、見た目もよいためあえて気にしないことにしている)。さらにオリジナルのダイヤル、プッシャー、リューズも揃っている。
しかしこれで終わりではない! そう、この時計にはさらに1960と刻印が入ったオリジナルのオメガブレスレットが付属しているのだ。さらにオリジナルのボックス、保証書、ブックレットも揃っている。このオメガに付属する書類の量は、正直なところ、近年目にしたどの初期スピードマスターよりも群を抜いて特別だ。
この完全オリジナルの2998-1にフルパッケージという全体的な状態も非常に素晴らしい。このリファレンスの希少性を考えると、ましてや“フルスペック”と言えるほどに付属品が揃った時計は、なおさら貴重だ。そしてこの時計が現在イタリアにあることを踏まえると、これは決して手ごろな価格の買い物ではないことは確かだ。だが本当に驚くべきオメガのパッケージを探している真剣なコレクターにとって、これ以上のものはなかなか見つからないだろう。
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