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Introducing ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイスに心開くひととき

ときにはボンネットを開けて、その心臓部をそのままにしておきたい時計がある。


我々が知るべきこと

 ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・コンプリートカレンダーコレクションは、この高級時計メーカーが製造する数少ない複雑機構のひとつであり、今日の同社を代表する複雑機構となっている。コンプリートカレンダーとは、曜日、月、日付(通常はポインター)に加え、ムーンフェイズを表示する機構を指す;これに似た複雑機構のトリプルカレンダーは、ムーンフェイズを省いた機構に定義される。トリプルカレンダーは、ヴァシュロンのヒストリークコレクションのステンレススティール製手巻きモデル(ヒストリーク・トリプルカレンダー 1942)が入手可能であり、コンプリートカレンダーは現在、トラディショナル・コンプリートカレンダーフィフティーシックス・コンプリートカレンダーなどの自動巻き機構のみ入手可能だ。トラディショナル・コンプリートカレンダーの最新モデルは、数日前に発表されたオープンダイヤルで、ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイスと名付けられている。

Vacheron Constantin Traditionnelle Complete Calendar Open Face dial side

 コンプリートカレンダー・オープンフェイスは、その名が示すとおり、トラディショナル・コンプリートカレンダーのオープンダイヤル仕様で、ムーンフェイズ、曜日、月の表示ディスク全体を眺めることができ、ジャンパースプリング(次の曜日、日付、月に瞬間送りする様々なディスクを固定するための、ポリッシュ仕上げのスティール製直線状バネ)も見ることができる。

vacheron caliber 2460 QCL

トラディショナル・コンプリートカレンダーに搭載されているCal.2460 QCL。

 このムーブメントは、ヴァシュロンの自動巻きCal.2460 QCL/2で、標準的なトラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイスに搭載されているムーブメントとは、若干仕様が異なる。Cal.2460 QCLと2460 QCL/2の主な違いは、後者が地板とブリッジにアンスラサイト加工を施している点だ。その他の点ではふたつのムーブメントは基本的に同じだが、2460 QCLは中央ブリッジがロジウムメッキされ、ジュネーブストライプで仕上げられているのに対し、2460 QCL/2では柾目(まさめ)模様のアンスラサイトグレーのメッキが施されるなど、小さな違いがある。技術的な詳細に興味のある方は、2460 QCLのダイヤル下の画像をご覧いただきたい。各表示を調整するためのプッシャーがムーブメントの外周を超えて伸びている(このモデルは年次カレンダーや永久カレンダーではなくコンプリートカレンダーなので、31日未満の月の終わりに日付と月を調整する必要がある;つまり年に5回カレンダー調整が必要だ)。

Vacheron Constantin Traditionnelle Complete Calendar Open Face movement through caseback

 この時計は、2022年1月中にヴァシュロンのブティックに入荷する予定で、オープンダイヤルモデルには若干のプレミアムが追加される。標準モデルのトラディショナル・コンプリートカレンダーは488万4000円、新しいトラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイスは、ピンクゴールド/ホワイトゴールド製で、いずれも563万2000円(税込)となっている。このモデルは限定モデルではなく、通常コレクションの一部である。

我々が思うこと

 私が最近ヴァシュロンのなかで最も気に入っているのが、コンプリートカレンダー複雑機構だ。これはオート・オルロジュリー(高級時計)のなかでも他メーカーではお目にかからないものであるし、永久カレンダーよりもはるかに手頃な価格で、興味深い外観と調整プッシャーを操作する楽しみを提供してくれるからである。パテックのRef.5327Jは1060万4000円、ヴァシュロンの永久カレンダーのひとつであるパトリモニー・パーペチュアル・カレンダー・ウルトラシンは994万4000円と、それほど安くはないが、少なくとも私にとっては、ヴァシュロンのCal.1120QPの方が興味深いムーブメントだと思わせてくれる。Cal.1120ベースのムーブメントは、オーデマ ピゲが採用しているCal.2120をヴァシュロンが改良したムーブメントで、現在でも世界で最も薄いフルローターの自動巻きムーブメントの称号を保っているのは、1967年に設計されたキャリバーとしては驚くべきことである。

Vacheron Constantin Traditionnelle Complete Calendar Open Face dial side
caliber 2460 QCL/2 assembly
caliber 2460 QCL/2 assembly

 とはいえ、高級時計のコンプリートカレンダーは他メーカーでは手に入らないので、この比較はやや無意味だ。唯一指摘できるのは、当たり前のことではあるがそれでも指摘する価値があるだろう‐かつての永久カレンダーの価格帯に設定されている点だ。まあ、高級時計の永久カレンダー市場全体の価格が上昇していることや、現時点ではコンプリートカレンダーがほぼヴァシュロンの独壇場であることを考えると、トラディショナル・コンプリートカレンダーの通常モデルとオープンフェイスモデルの価格は、適正価格の範囲内であると言える。

caliber 2460 QCL/2 movement side
caliber 2460 QCL/2 dial side

 この時計の欠点は、次の2点だけだ。時計愛好家歴が長い人にとっては、価格の割に高いと感じるかもしれない‐これが今の世の中だ。ふたつめは、ムーブメントがケースのスペースを持て余してる点だ。このムーブメントは11 3/4リーニュ(直径約26.5cm)で、腕時計のムーブメントとしては標準的なローエンドで12リーニュ前後、ハイエンドで13リーニュ以上とされている。41mmケースの中では若干遊びがありすぎることになる。歴史的には少しも問題とならなかったことであるが(ヴィンテージのカルティエを例にとると、EWC社<European Watch&Clock Co Inc>製ムーブメントが数多く使われているが、それらはケースとはまったく不釣り合いながら、問題なく動作し、仕上げも美しい)。

 身近だった20年前とは異なり、手の届かない存在となって久しい他の愛すべき時計たちと同様にではあるものの、私からすると素晴らしい時計である。あとは読者の判断にお任せしたい。

ヴァシュロン・コンスタンタン コンプリートカレンダー・オープンフェイス:ホワイトゴールドまたはピンクゴールド製ケース41mm x 10.7mm、サファイア製風防と裏蓋、3気圧/30m防水。ムーブメント:ヴァシュロン Cal.2460 QL/2 自動巻きコンプリートカレンダー、ジュネーブシール、29mm x 5.45mm、パワーリザーブ40時間、37石、2万8800振動/時、時、分、秒、曜日、月、日付、ムーンフェイズは122年に1日の誤差。価格:563万2000円(税込)。