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もしあなたが2022年の消費者であるなら、何らかのブランド商品を所有している可能性があります。たぶん、あなたは定期購読に無料でついてきたニューヨーカーのトートバッグを持っていて、ちょっとした食料品を買いに行くときに何げなく買い物袋として使っているかもしれませんが、ブランドの選択というのは実際は完全に意図的なもので、あなたは自分をインテリとして見られることを切望しているのです。あるいはステートファーム保険(編注:アメリカ最大手の保険相互会社)のマグカップでコーヒーを飲んでいるかもしれません。なぜそれがキッチンキャビネットにあるのかわかりませんが、とにかく毎朝それを口にしているのです。またeBayでパテック フィリップのベースボールキャップを何時間もかけて探したり、ロレックスのマルチツールナイフのためにアラートを設定したことがあるかもしれません。
私たちは販促グッズの時代に生きています。この時代から逃れることはできません。巨大コングロマリットから小さな独立系ブランドまで、誰もがこのゲームに参加しています。そして、消費者もその輪に加わりたいと考えています。かつては単におまけとして配られていたものが、あるブランドの代名詞であるライフスタイルの延長として有料で提供されるようになり、社会的な通貨になったのです。
時計の世界で、以前は一般的に“スワッグ(swag;飾り、戦利品)”と呼ばれていたものが、今ではマーチャンダイズ(商品)という包括的な用語で呼ばれています。オンラインオークションに参加すると、使い古されたロレックスのヴィンテージキャップを数百ドルで落札することは、コレクターにとって今や当たり前のことになっているのです。そしてオーデマ ピゲのゴルフクラブを数万ドルで落札することも。
Redditにあるr/rolexのサブスレッドに最近アクセスしたところ、この区分が明確になりました。下の写真の“Show Me Your Swag !”という投稿には、“私はスワッグをすべてオンラインで夢中になっているやつに売ったよ、簡単に儲かった”というものから、“香水は試したことがある? どんな感じなのか知りたくて。ネットだと感覚的な説明はわかりにくいから”など、99のコメントが寄せられています。かなりおもしろい読み物になりました。
私ほど時計グッズの世界に精通した人はいないでしょう。時計に関連するもの、そうでないもの、ヴィンテージ、新品を問わず、それなりの数のグッズを所有していることを告白できてうれしく思います。そこで今回は、インターネットで販売されているもののなかから、最もクールなもの、最も奇妙なもの、そして最も馬鹿げたものを探すことにしました(公開時点では、それがどうなったかはわかりませんが)。
まずはロレックス。一流の時計専門家であり、オンライン オークションプラットフォーム、Loupe Thisの共同創設者であるエリック・クー(Eric Ku)氏は、私にこう教えてくれました。「ロレックスやパテックのようなブランドは、60年代からこれをやっていて、販売店がお金を払って自分の裁量で配る品物のカタログを持っているんです」。 近年、ロレックスはキー チェーン、ダウンベスト、ブランドロゴ入りのミラーを製造しています。
マーチャンダイジングの王者であるロレックスの製品をひとつだけ選ぶのは難しいので、4つ選んでみました。70年代のヴィンテージの“パーペチュアル ユアーズ”の香水瓶セットで、下の写真のものは2019年にクリスティーズで1万2000ドル(約164万円)で落札されたものです。ロレックスはちょうど1年前に新しいバージョンの香水を出しました。男性用と女性用がひとつずつありますが、これらは以前、Redditの友人が問い合わせていたものだと思います。そして2015年に発売されたシュタイフのテディベアと、ブランドがスポンサーを務めるハイクラスなスポーツ観戦に便利な、かなり凝った見た目の双眼鏡もあります。そして、個人的に気に入っているのが70年代のイタリアの大理石製灰皿。現在、ニューヨークのトッド・スナイダーの店舗で入手可能です(提供:ニューヨークの時計ディーラーAlan Bedwell, @foundwell)。
次はパテック フィリップで、ゴールデン・エリプスの形をした18金のライターです。これは無料で配布されたものではないので、不正行為かもしれませんが、これは私のリストであり、ルールは私が決めるのです。喫煙がまだクールだった70年代に発売されたこのライターは、時計にまつわる究極のラグジュアリーアクセサリーです。ライターはさまざまな質感の仕上げがあり、エナメル製のものもありました。
パテックは毎年VIP顧客にリモージュ磁器の皿を配ることでも知られています。あるコレクターが出品時にフルセットを実現させたというフォーラムの投稿を偶然見かけました。この人のエナメル絵皿のフルセットには賞賛の声ばかりで、エンゲージメントが比較的高かったようです。コレクター心をくすぐる事例でしょう。
さて、みんな大好き偏愛ブランド、リシャール・ミルです。「RMはルールを破るブランドです」とクー氏は言います。「ヴィンテージではない最もクールで充実したギフトは、リシャール・ミルのリモワのウォッチボックスだと思います」。これはラグジュアリーとラグジュアリーを重ねたもので、ふたつの強豪が合体したものです。リシャール・ミルの刻印が入ったリモワの黒いアルミニウム製ボックスで、3つの小さなクッションのそれぞれにリモワのロゴがレーザーで描かれています。現在、eBayで数個が販売されており、ある希望価格は8500ドルに設定されています。
そして、リシャール・ミルのポラロイドカメラです。同じくこちらもブラックでサイン入り。クー氏は続けて、2019年のボンボンコレクション発売時に配られた、キャンディー入りの豪華なギフトボックスのことを教えてくれました。箱のなかには、小さなキャンディグミドロップがペイントされた小さなデジタルカメラも入っていました。「クールなギフトをたくさん配ったんです。必ずしも高価なものだけでなく、クールなものをね」
オーデマ ピゲはスワッグの分野でも重鎮的存在です。タペストリーの質感を持つペンはコレクターのあいだで根強い人気がありますし、ブランドのAirPodsやゴールドのXoopar Bluetooth Mini Speakerも人気です。またVIPへのプレゼントとして贈られたロイヤル オークの掛け時計も忘れてはなりません。ただし、これらは自社製ムーブメントを搭載していないことは定価(約5000ドル)を見れば一目瞭然なので、注意してください。もし、本当にAPのグッズが欲しいのであれば、オーデマ ピゲの正規品やアクセサリーを販売するオンラインプラットフォーム、TimeTraders.comにアクセスすることをおすすめします。
ヴィンテージTシャツマニアとしては、80年代と90年代のスウォッチのグラフィックTシャツを入れざるを得ませんでした。GrailedやEtsyでかなりリーズナブルな価格で見つけることができます。最近購入したのは、1997年のSwatch Artist Special GR135 ROBOBOYのためにスティーブ・グアルナッチャ(Steve Guarnaccia)よって作られたものです。ヴィンテージTシャツの基準からするとお買い得です。そして特筆すべきは、大きなスウォッチウォールクロックです。無料のものではありませんが、かなりクレイジーな感じのするオブジェです。下は、2018年に333個限定で作られたダミアン・ハースト(Damien Hirst)とコラボしたミッキーマウスの大きなクロックで、この時計はもともと小売で500ドルで販売されていましたが、私はeBayで2万4999ドルで取引されているのを見つけました。
そして、かつて機能的な製品であった奇妙な記念品で、現在も販売されているアイテムをご紹介します。タグ・ホイヤーの携帯電話、メリディストです。タグ・ホイヤーがなぜ高級携帯電話のコレクションを作ったのか、私には理解できませんが、このリストには奇妙な製品が含まれていることを警告しておきました。販売当時(2008年)、この携帯電話は5000ドルで販売され、タッチスクリーン、スピーカー、Bluetooth、MP3プレーヤーなどの機能を備え、おそらくSoulja BoyやFlo Ridaなどの曲が繰り返し流れていたのでしょう。まさに2008年ですね。
このリストは、腕、手、足が操作できる時計スタンド、MB&Fのロボトイズとロボドッグを抜きにしては語れません。このおもちゃはM.A.Dギャラリーのショップで販売されており、購入すると付いてくるかもしれません。私は残念ながら、まだレガシーマシンを購入したことがないのでわかりませんが。
時計ブランドとしておもちゃに参入しているのは、MB&Fだけではありません。私の同僚であるトニー・トレイナ(Tony Traina)が最近、Just Because記事でF.P. Journeの玩具と、それが時計界全般にとって何を意味するのかを深く掘り下げています(私はゲスト出演しており、まさにクロスオーバーエピソードです)。
ニューヨークの高級時計とジュエリーのブティック、Material Goodのヨニ・ベン-イェフダ(Yoni Ben-Yehuda)氏と最近話したとき、彼はスワッグの黄金時代が70年代と80年代に起こったと確信していました。「大きなコングロマリットは、グッズのための最も多くのリソースを持っていますが、あまり興味はありません。時計が人気であればあるほど、グッズは盛り上がらないのです」
私は、時計ブランドにはそれぞれグッズの黄金期があったという考えを持っています。70年代のパテックやロレックス、90年代のスウォッチ、そして2010年代のオーデマ ピゲなどです。しかし、ベン-イェフダ氏が多くの小売店の姿勢についてコメントしたことは、確かに間違ってはいないと思います。そして多くの販売店の態度について、彼は次のようにコメントしています。「今、時計はギフトとして提供されています。私たちはお金を出して買っているのにね」
このことは私の次の質問につながっています。今後、どのようなグッズを見てみたいですか? 個人的には、ベースボールキャップなどのウェアラブルなアイテムが最も効果的だと思います。ただ、ウェアラブルなアイテムは、その時々のトレンドに左右されやすいというのも事実です。そこでウォッチコミュニティの皆さんに質問です。コメント欄で、あなたが欲しいものを提案してください。
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