Introducing パルミジャーニ・フルリエ　トリック ヘリテージ

パルミジャーニ・フルリエの創設者であり、数々の希少な時計の修復を手掛けてきたことで知られるミシェル・パルミジャーニが、2020年に70歳の誕生日を迎えた。パテック フィリップ・ミュージアムに並ぶ時計やブレゲのシンパティッククロックの修復など、時計史に残る彼の偉業を称え、世界限定70本のトリック ヘリテージが製造された。

　このトリックは、ミシェル氏が初めて設計した腕時計であり、2017年に復活し再設計された特徴的なケース形状を採用している。黄金比によって求めれたケースの形は、曲線美のケースサイドと角度のついたラグが独創的。デザイン的な優美さと共に、ラグ形状は着けやすさにも寄与しており、42.8mm径とドレスウォッチにしては大きめなサイズでありながら、抜群の腕なじみの良さを実現している。

　ケース素材にはポリッシュ仕上げが施されたステンレススティールを採用。二重にゴドロン装飾が配されたベゼルには、職人の手作業で彫られたローレット加工がケースを湾曲させ、時計をより薄く見せることに寄与している。
　内部には、COSC認定を取得した薄型の自社製キャリバーPF441を搭載。このムーブメントは、もちろんパルミジャーニ・フルリエのグループ会社である5つの専門企業のうち、エルウィン（ネジ製造）、アトカルパ（ヒゲゼンマイ、脱進調速機製造）、ヴォーシュ・マニュファクチュール・フルリエ（ムーブメント設計、組み立て）らによるもの（他には、ケースを製造するレ アルティザン ボワティエ、文字盤を手掛けるカドランス・エ・アビヤージュながある）。
　本機は、70本限定で204万円（税抜）で提供される。

　ミシェル・パルミジャーニ氏が長いキャリアを捧げる、時計の修復師という存在になじみが薄い方のために少し補足をすると、時計とは作るよりも直すほうが難しいとされている。その理由は、いくつかあるが、他の時計師が設計したものを正しく動作させるために適切な処置を行う難易度の高さと、何か問題があって動作をやめた時計を再び動かし長い期間動作させる行為が修復にあたるためだ。調整には優れた感覚が必要になるし、破損したパーツは自ら製作することになる場合も多い。

　ミシェル氏が時計師・修復師としてのキャリアをスタートさせた初期のころは、ちょうどスイス時計界をクォーツショックが襲った時期と重なる。機械式時計が絶滅の危機に瀕する最中においても、彼はこの文化の存続と魅力を確信し、希少な時計を後世に残す修復師の道を選んだのだ。

　話をトリック ヘリテージに戻すと、僕個人としてはこの時計がSSケースで登場したことに驚きを隠せない。なぜならパルミジャーニの時計は、特にドレスウォッチにおいてゴールドケースであることがほとんどであり、こうした限定モデルであればなおさらだ。

　一方で、他の高級時計メゾンを見渡すと、パテック フィリップにしろA.ランゲ＆ゾーネにしろ、自社にとって希少な時計にこそSSを用いる傾向がある。本機がその流れに沿ったものだとすれば、パルミジャーニ・フルリエもそうしたメゾン化を目指しているのかもしれないし、この限定トリックも将来に渡って高い価値をもつかもしれない。スイス時計の高級化が著しい昨今、本物の品質を宿しながらも手の届く希少な時計の登場という、数少ない機会を目の当たりにしているのだ。

ブランド： パルミジャーニ・フルリエ（Parmigiani Fleurier）
モデル名： トリック ヘリテージ
型番：PFC909-0000300-HA3282 

直径： 42.8mm
厚さ： 10mm
ケース素材：SS
文字盤色： ブルー（バーリーコーンギヨシェ）
インデックス： アラビア数字
夜光： あり
防水性能： 30m
ストラップ/ブレスレット：エルメス社製アビスブルーカラーのアリゲーターストラップ、フォールディングバックル付き

キャリバー： PF441
機構： 時、分、秒、日付
直径： 25.6mm
厚さ： 3.7mm
パワーリザーブ： 55時間
巻き上げ方式： 自動巻き
振動数： 4Hz（2万8800振動/時）
石数： 29
クロノメーター認定： あり
追加情報：22Kゴールドのローター

価格： 204万円（税抜）
発売時期： すぐに
限定：世界限定70本

詳細は、パルミジャーニ・フルリエ公式サイトへ。