Introducing パテック フィリップ　Ref. 5370P-011 スプリット秒針クロノグラフ

　覚えていないかもしれないが、2015年のバーゼルワールドで発表された「5370P」は、ブラックエナメル文字盤と、信じられないほど技術的に美しく仕上げられたムーブメントを搭載している（真面目な話が続くので、ぜひ読み続けて！）。オリジナルモデルと同様に、この新しいブルーの5370Pは、厚さ13.56mm、3気圧防水の41mmプラチナケースを採用。サファイアディスプレイのケースバックと、交換可能なソリッドケースバックの両方が付属している。オリジナルモデルの全容を知りたい方は、2015年のベンによるハンズ・オン記事を必ずチェックして欲しい。ネタバレ注意：彼はオリジナルバージョンを愛し、要約すると次のように書いている。
「5370Pは、絶対にパテック フィリップがここ数年でリリースした最高の時計の一つだ。それは、ヴィンテージ・パテック愛好家である私たちが待ち望んでいた時計であり、現代のパテックコレクターの間で新たな活力を鼓舞するために大きな役割を果たしてくれた。これは古典的なものとして受け継がれていくだろう」

　シースルーバックを選ぶと（当然だが）、パテックの自社製Cal.CHR 29-525 PSを眺めることができる。スモールセコンドと瞬時運針式 30 分計を備えた、手動きのCHR 29-525 PSは、65時間のパワーリザーブ、4Hzの振動数、コラムホイールと水平クラッチを備えたスプリットセコンドクロノグラフを備えており、総パーツ数は312個である。前述の記事でベンが指摘したように、CHR 29-525 PSには、スプリットセコンド計測を停止させる際の摩擦から、スプリットセコンドホイールを分離するシステムや、スプリット針の位置を確実に合わせるためのフラットなハートカムショルダーの間にある石など、ラトラパンテに特化した革新的な機能も搭載されている。

　文字盤（ブルーまたはブラック）と同様に美しく仕上げられたこのムーブメントは、かなり特別な感じがするのだと思う（パテック フィリップのスプリットセコンドクロノグラフを操作したことはまだないが）。機能面では、上のプッシャーでクロノグラフのスタートとストップ、下のプッシャーでスプリットセコンド機能のスタートとストップ、そしてタービンスタイルのリューズにセットされたプッシャーでクロノグラフをリセットできる。

　カボションキャップが付くうえ、水平のサテン仕上げがサイドの凹みに施されたラグをもつなど、5370Pには複雑な仕上げが施されており、パテック フィリップの時計製造の卓越した技術をコレクター・フレンドリーかつ、クラシックな雰囲気で表現されている。人気の高いノーチラスのような時計こそがパテック フィリップであると認識している人は確かに存在するが、5370Pは別レベルの希少性を有している。去る2015年、我々は、米国市場における初年度に3本以上この時計が入荷する見込みは薄いと報告した。新しい文字盤モデルは、確かにその数字にプラスされて製造されるだろうが、僕たちが話題にしている時計は本当に希少であり雲上の品質をもつクリエイションなのだ。

　ブルー文字盤に話を戻すと、パテック フィリップがグラン・フーエナメル（フランス語でエナメルを意味する、文字盤上の "EMAIL "の由来）に手作業でレンダリングした、美しくリッチな光沢のあるブルーであると気づく。ブレゲ数字と針は全てホワイトゴールド製で、ブルーとブラック5370Pのどちらのバージョンがより美しいかは一概には言えないが、このブルーは確かに本機の伝統的なスタイリングにむしろよく似合う、全く異なる存在感を発しているといっても過言ではない。

　5370P-011には、文字盤にマッチしたブリリアント・ナイトブルーアリゲーターストラップ（プラチナの折り畳み式クラスプ付き）が付き、 2866万円（税抜）だ。その価格は2633万円の2015年価格と緩く比較することができる。これらは非常に稀なことだ。このような時計には、作り手側が望む価格を付けることができるほどに技術の粋が詰め込まれた作品だが、本機を求めているような人からもこのような価格はあまり好感をもたれないと思っていい。

　パテック フィリップが2020年にリリースする3つの新たなコンプリケーションの1つとして、新しいブルーの5370Pは、絶対的に素晴らしい。この時計（たち）は、ブランドの現代的なマニュファクチュールとしての力強さと、彼らの1940年代クロノグラフの魅力を表現するのにふさわしい姉妹モデルなのだと思う。

ブランド： パテック フィリップ（Patek Philippe）  
モデル名： スプリット秒針クロノグラフ
型番： Ref. 5370P-011

直径： 41mm  
厚さ： 13.56mm  
ケース素材： プラチナ950
文字盤色： 18KWGのブルーエナメル文字盤
インデックス： 18KWGの植字ブレゲ数字
夜光： あり（針）
防水性能： 3気圧  
ストラップ/ブレスレット： ハンドステッチ付き・アリゲーターストラップ

キャリバー： Cal. CHR 29-535 PS
機能： 時、分、スモールセコンド、スプリットセコンド、30分積算計
直径： 29.6mm
厚さ： 7.1mm  
パワーリザーブ： 最小65時間（クロノグラフ非作動時）
巻き上げ方式： 手巻き  
振動数： 4Hz（2万8800振動/時）  
石数： 34
クロノメーター認定： パテック フィリップ・シール
その他詳細：総パーツ数312、2個のコラムホイール・水平クラッチ採用、30分計は瞬時運針式、ジャイロマックステンプ

価格： 2866万円（税抜）
販売時期： 販売中
限定：限定ではないが、非常に少ない生産数

詳細は、パテック フィリップ公式サイトへ。