trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

WATCH OF THE WEEK レストラン経営者のサイモン・キム氏のロレックス デイトジャスト Ref. 116233

ミシュラン星を獲得したニューヨーク初の韓国ステーキハウス・コート(Cote)のオーナーは、JLCとAPを所有しているが、いつもロレックスに戻ってくるそうだ。

Watch of the Weekでは、HODINKEEのスタッフや友人を招き、好きな時計とその理由について説明してもらう。今週のコラムニストは、レストラン経営者のサイモン・キムさんです。

ADVERTISEMENT

私は13歳のときに韓国からアメリカに来ましたが、英語はひと言もわかりませんでした。16歳のとき、母がトライベッカにレストランを開き、私はバスボーイになりました。子供の頃は、スウォッチを好んで身につけていました。ですが、私が初めて本物の時計を手にしたのは、高校卒業時に父が贈ってくれたオメガのシーマスターでした。

 私の父は今でもそうですが、時計好きです。私が子供の頃、父は金無垢のロレックスを身につけていました。祖父から受け継いだもので、とても豪華でしたよ。祖父の腕から飛び出しすような感じで、ロレックスは私の憧れのブランドになりました。

 ラスベガスの大学でホスピタリティを学んだあと、ニューヨークに戻り、ジャン・ジョルジュやトーマス・ケラーなど、世界の名だたるシェフのもとで働きました。2013年には、高級イタリアンレストラン「Piora」をオープンしました。2年めにしてミシュランの星を獲得したときは、夢のようでしたね。しかし、私はずっと韓国料理店を開きたいと思っていたのです。2017年、ついに実現。このレストラン「Cote」は、私という人間を真に表していました。私は韓国出身ですが、間違いなくアメリカ人です。

 Coteでは、アメリカのステーキハウスの偉大な伝統に韓国のバーベキューを融合させました。そして、マイアミに2号店をオープンすることに。パンデミックの最中にこのようなことをするのはとてもリスクがありました。元々のCoteが崩壊の危機に瀕していたのに、新しい店をオープンするのですから。

 私には、パンデミックを理由に契約を撤回する選択肢もありましたが、これは法律用語でいう不可抗力条項です。しかし私は、スペイン風邪ののちに「狂乱の20年代」があったように、皆がワクチンを接種し始めるとレストランへの需要が高まると信じていました。投資家の皆さんもそれを信じて、マイアミ進出を進めました。

 怖い思いもしましたが、私には有能なチームがあり、一時帰宅させて閉鎖するのではなく、彼らの尊厳ある生活を継続させる必要があると考えました。望みはシンプル。それは、できるだけ多くの従業員を満額の給与で雇い続けること。

 ニューヨークの店舗はデリバリーに軸足を移し、ゴールドベリーと提携しました。屋外での食事が許可されたときには、窓の板を外し、その素材を使ってテーブルを作りました。おかげで経営は安定し、マネージャーとシェフの全員をフルタイムで雇い続けることができました。そして今年の2月にマイアミ店をオープンしたとき、これ以上の成功を夢見たことはありませんでした。

 私の父はとてもストイックな人で、あまり褒めてくれません。でも、今回は「おめでとう」と言って、記念にオーデマ ピゲのロイヤル オークオフショア クロノグラフという時計をくれました。素晴らしく、驚くべき時計ですよ。私は、ジャガー・ルクルトのマスター・ウルトラスリム・デイトという素晴らしい時計も持っています。とても魅力的な時計たちです。でも、私はいつもロレックスに戻ってくるんです。

ADVERTISEMENT

 私がレストランビジネスで成長し、野心的な人間としてキャリアアップしようとしていた頃、より高価な時計は、よりよい時計を意味するように思えました。時計はステータスの象徴であり、富の象徴であると考えていました。しかし、38歳になり、2人の子供を持つようになってからは、その考え方が変わりました。時計は、自分自身を表すものであるべきだと思います。スーツが男を着飾るべきではないように、時計も男を飾るべきではないのです。私にとって最も特別な時計は、私という人間を最もよく表している時計。私の場合、それはロレックスのデイトジャストなのです。

 韓国の結婚式では、贈り物として時計を交換することが伝統的に行われています。私たち夫婦が交換したのは、エレガントで優美な印象を与えるデイトジャストでした。このモデルが欲しかったのは、白い文字盤にシンプルなインデックスが付いていて、白いシャツによく合うと思ったから。レストランでは、白いシャツを着ることが重要です。プロとしての自覚と清潔感、そしてお客さまをお迎えするために日々準備をしていることを示すためです。シェフも白いシャツを着ています。

 とはいえ、トイレが壊れたら、真っ先に降りて直さなければならないのも私です。ですから、繊細な時計は私には向いていません。

 私の時計は時間厳守の象徴でもあります。レストランを経営するには皆の力が必要です。広告チーム、マーケティング、プロダクション、パブリシストなどが必要なのです。非常に多くの可動部分があり、それらを正確に調整し、協力しあわなければなりません。時間に敬意を払わなければ、それらのパーツがすべて揃うことはないのです。

 今日の私の夢は、ロレックスと同じものを表現する料理のブランドを作ることです。私にとってロレックスは、メルセデスに似ています。ハイエンドであることは言うまでもありませんが、人の努力によってできるものでもあります。達成可能な目標です。そして、私が最も重要だと考えているのは、最高の品質です。Coteに来た人には、家賃1ヵ月分のお金をディナーに使わなければならないのかなどと思わずに来て欲しい。でも、それを払ってでも来たい人にはもちろんご対応できます。私のセラーには1万ドルのワインもあるのですから。

 ロレックスは、ある意味ではそういうものだと思います。大きなことをしたければ、大きなことをすればいい。でも、超機能的で、超耐久性があって、素晴らしくよくできた時計が欲しければ、ロレックスにはもちろんそれもある。

 デイトジャストは、私が人生で最も大きなビジネス上の決断をするときに一緒にいてくれました。笑われるかもしれませんが、もし私が現役の兵士だったとしたら、デイトジャストを初めて手首にはめたことは、鎧兜を身につけることに似ています。ジュビリーブレスレットが手首に巻きついたときの感覚は、今でも鮮明に覚えています。私はその瞬間に力を得て、外に出て競争する準備ができたのです。

Cote社の経営者であるサイモン・キム氏は、Instagram @simonkimnycでフォローを。

All photos, Tiffany Wade.