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Historical Perspectives オメガ スピードマスターの歴史とそれを身に着けた宇宙飛行士たちの再訪

今回我々は、宇宙飛行士のジム・ラヴェル氏(ジェミニ7号、12号。アポロ8号、13号)とトム・スタッフォード氏(ジェミニ6-A号、9-A号。アポロ10号。アポロ・ソユーズテスト計画)に会った。ラヴェル氏の英雄的行動や、アポロ13号が地球に帰還した際に果たしたスピードマスターの重要な役割について直接、話を聞くことができた。

※本記事は2015年5月に執筆された本国版の翻訳です。

 オメガのスピードマスター プロフェッショナルが“ムーンウォッチ”として公に認められていることは愛好家の間で広く知られており、オメガ自身も認めている。数多ある他の腕時計ブランドのパートナーシップとは異なり、オメガとNASAの関係は、実際に目に見える形で利益をもたらしてきた。スピードマスターが、月への各有人宇宙飛行ミッションに使用され、20世紀最大の人類の夢の実現にも貢献した。また、アポロ13号が飛行ミッションの2日目に酸素タンクの爆発事故を起こした後、宇宙飛行士が無事、地球に帰還した際にも、スピードマスターは役に立った。こうした関係性にもっと個人的な視点を加えるべく、オメガは、アメリカ・ヒューストンにあるNASAの本部にまで我々を送り出してくれた。そこで我々は、宇宙飛行士のジム・ラヴェル氏(ジェミニ7号、12号。アポロ8号、13号)とトム・スタッフォード氏(ジェミニ6-A号、9-A号。アポロ10号。アポロ・ソユーズテスト計画)に会った。ラヴェル氏の英雄的行動や、アポロ13号が地球に帰還した際に果たしたスピードマスターの重要な役割について直接、話を聞くことができた。

 「ヒューストン、問題が発生している」。我々は皆、この言葉に聞き覚えがある。少なくとも、映画『アポロ13号』における主演トム・ハンクスの台詞として、よく知られている。この有名なひと言は、実際にはジム・ラヴェル氏が、1970年4月14日に発したものだ。それは、月に向かう宇宙船が、4分の3以上の行程を飛行し終えていた時のことだった。ラヴェル氏と仲間の乗組員であるジャック・スワイガート、フレッド・ヘイズの両氏は、月面のフラ・マウロ高原を探索する予定だった。ここで興味深い事実がある。ジム・ラヴェル氏は、ここで実は「ヒューストン、問題が発生した」と述べていた。件の酸素タンクの爆発は、月への着陸を見送ることを意味していた。その代わりに彼らは、傷ついた宇宙船を省電力モードに切り替えて慎重に地球に帰還すべく、月を周回した。彼らはこの月着陸船の生命維持装置と通信システムを大気圏再突入まで稼働させ続けるため、その出力を可能な限り最低のレベルにまで落とした。これにより、彼らの帰還を助け得るあらゆる機械装置が重要視された。その機械装置には、スピードマスターも含まれていた。

 1965年3月の時点で、オメガ スピードマスターは“全ての有人宇宙飛行計画で使用可能とするNASAの飛行認定”を受けていた。この腕時計は、月への全6回の有人飛行ミッションで使用された。アポロ11号のミッションでは、その1部としての月面着陸の際、月面で初めて使用されることになった。スワイガート氏が着用したロレックスのGMTマスターについての憶測はまだ残されているが、アポロ13号のミッションで重要な役割を果たしたのがスピードマスターであるということは、ほぼ疑う余地がなさそうだ。NASAが、クロノグラフを必要とすることを明言したという事実はさておき、我々は今、ジム・ラヴェル氏から次のようなことを耳にしている。つまり、地球への帰還時の重要な飛行操縦の時間計測において、オメガが1つの役割を果たしたということだ。

 生命維持装置と通信システムを保つ際、月着陸船の出力はほぼ完全に落ちてしまう。しかしながら、地球への帰還時には、適切な軌道を確保するために、2回の中間軌道修正が必要だった。最後の制御燃焼時、乗組員は、14秒間の持続燃焼を通して、カプセルの軌道を手動で観測する必要があった。ラヴェル氏は“照準器”を使用し、照準線を昼夜の影、つまり地球の明暗境界線に合わせて調整した。

「そうだな、あれが最後の燃焼だったんだが....。我々がすべきことは、着陸船を適切な位置に戻し、帰還時に安全に着陸することだった。まだ軌道から少し外れていたからね。着陸船の指令室はもちろん、完全に壊れていた。着陸船を救命ボートとして使用しながら、着陸用エンジンを使って軌道修正を行ったんだ。だから我々はオメガの腕時計を使用してエンジンの14秒間の燃焼を計測しなければならなかった。着陸船を正しい位置に戻し、正確に着陸するためにね」

– – Jim Lovell– – ジム・ラヴェル

 この最後の制御燃焼がなければ、月着陸船は地球の大気圏外に飛び出し、乗組員と共に宇宙を漂い続けていたかもしれなかった。飛行士たちが帰還する際に果たした役割が評価され、スピードマスターはシルバー スヌーピー アワードを受賞した。この賞は、有人飛行の安全やミッションの成功に関して優れた功績を上げたNASAの職員や契約業者に対して与えられるものである。オメガはこの賞を記念し、特別版の腕時計を2回だけ製作した。2番めのモデルは2015年初頭、バーゼルで初めて公開された。

 ヒューストンを訪れている間、我々はNASAの施設も見学させてもらった。その中には、フライトディレクターのジーン・クランツ氏とそのサポートクルーがアポロ13号のミッションの最中、“自宅”と称したミッション管制室も含まれている。我々は、新しい月面探査車、訓練中の宇宙飛行士、そして初めて人類を火星へといざなう宇宙船、オリオンも見た。ミッション管制塔の底部にはスピードマスターを収めるケースが置かれており、それぞれの時計は、22回のミッションの異なるミッションパッチを伴っている。1997年、スピードマスターの誕生50周年を記念して、22本(と1957年の類似の製品)の全てが入ったケースが発売された。残念ながら、50ケースしか作られなかった。一般市場には滅多に出回らないが、市場に出たにときは、6ケタ(10万ドル以上)もの値を付けている。

 我々のNASA訪問の締めくくりは、ジーン・サーナン氏(ジェミニ9-A号。アポロ10号、17号)を含めた宇宙飛行士たち、そして居合わせた時間は短かったがジョージ・クルーニー氏とのディナーだった。さて、この記事の結論は? スピードマスターはアメリカの宇宙計画の歴史上、正当な地位を得ているということだ。最新のスピードマスターの詳細な情報についてはオメガの公式サイトをご覧いただきたい。