trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Historical Perspectives 世界でわずか3本しか確認されていない、伝説の“アルビノデイトナ”に迫る

今日、我々の編集長は世界で最も希少で、最も価値のあるロレックス デイトナのひとつ(ベストワンでない)との出合いについて話してくれた。“アルビノデイトナ”と呼ばれるこの時計は、エリック・クラプトン所有のデイトナが2008年のオークションに出品され、50万5000ドルもの高価格で落札されたことで有名になったモデルだ。

※本稿は2013年7月に執筆された本国版の翻訳です。 掲載されている相場も執筆当時のものです。

ヴィンテージロレックスのコレクションはおもしろい。毎日、さまざまな時計が新しく発見されるため、その時計がどれほど希少で価値のあるものなのかはわからない。今日、我々の編集長は世界で最も希少で、最も価値のあるロレックス デイトナのひとつ(ベストワンでない)との出合いについて話してくれた。“アルビノデイトナ”と呼ばれるこの時計は、エリック・クラプトン所有のデイトナが2008年のオークションに出品され、50万5000ドルもの高価格で落札されたことで有名になったモデルだ。今回紹介する例は、市場に出たばかりで見た目ほど希少さが感じられないかもしれないが、まぎれもなく歴史に刻まれるタイムピースである。この驚くべきアルビノデイトナの全貌をご覧いただきたい。

 私がウェブサイトで時計についての記事を書き始めたころ(2008年5月)、ある記録的な落札額をマークした時計がオークションに出品された。それは偶然にも、エリック・クラプトン(Eric Clapton)が所有していたものだった。当時の私はそれについてあまり詳しく調べていなかったが(というのも私は、“XR”などという無意味な列見出しを持つスプレッドシートをチェックする、本業が忙しかったのだ)、出品された時計がとても特別なものであることはわかっていた。そこで、以前にちょっと書いてみたのだ(“ちょっと”は本当に“ちょっと”だ)。このアルビノデイトナ Ref.6263の話だ。アルビノという名は、6263という紛れもない“デイトナ”のリファレンスでありながら、プレデイトナ 6238に似たシルバートーンの単色ダイヤルを備えていたことから、そう呼ばれるようになったのである。当時このようなデイトナは、この1本しか確認されていなかった。なおこのモデルはサザビーズ・ニューヨークで、50万5000ドル(日本円で約5040万円)で落札されている。

エリック・クラプトンが所有していたアルビノデイトナ

 同じ時計が5年前のクリスティーズオークションにて10分の1の価格で出品されていた。しかしクラプトンのアルビノデイトナ出品をきっかけに、アンティコルムによる“ロレックス・レボリューション”は大成功を収める。この直後に、多くの人がご存じであろう、“メガ・ヴィンテージ・ロレックス”時代の幕開けとなったのだ。当時のロレックス高額落札ランキングにおいて2番目という高さを記録(それ以来、多くの時計がそれをも上回る落札額をたたき出している)し、さらにクラプトンが所有していたという事実が、このアルビノをより魅力的なものにしたのである。また、どこかに2本目のアルビノの記録が残っているようだが、詳細は不明だ。今日まで我々は、ほかのアルビノデイトナを1本も見たことがない。

 2カ月ほど前、我々の友人であるエリック・クー(Eric Ku)氏から電話があった。何かとてつもない大きな仕事が動いていると言っていたが、それが実現するかどうかわかるまで詳細は話したくないと言っていた。それから約1カ月後、エリック氏から、例のあの特別なものを持ってニューヨークに行くよと連絡が入った。コーヒーを飲みながら彼がバッグを開けて、この時計が出てきたときは正直信じられなかった。

 エリック氏が持っていたのはまさにアルビノデイトナだったのだ! クラプトンの時計ではなかったが。だが私にとってはそのほうがよかった。なぜこんなことを言うかというと、クラプトンの時計は有名だからだ。我々のようなヴィンテージコレクターの夢は、まだ誰も知らないような、1度も市場に出ていない“新しい”時計を見つけることだからだ。そして間違いなくこの時計も、そのひとつだった。

 エリック氏から詳細を聞くと、この時計の元のオーナーが誰かはわからなかったが、中東から来たもので、かつ市場に出たばかりであることはわかっているという。またこの時計のシリアルナンバーを見ると、予想どおりクラプトンのものと非常に近い個体であった。さらに彼は、サインも(文字盤の)足もない、本に載っていたプロトタイプの文字盤ではないとも言い切った。これはきちんとした製品版のために生産された文字盤であり、この状態の個体はありえないほど希少なものだったのだ。

 エリック氏に、ロレックスのヴィンテージスポーツウォッチのなかで、このアルビノはどれくらいの希少価値があるかと尋ねると、80万ドル(日本円で約7980万円)以上で落札されたゴールドのオイスター ポール・ニューマンや、ホワイトダイヤルのエクスプローラー(ちなみにこれは、彼がクライアントのために購入したもの)、そしてよく言われるが見かけることのないホワイトダイヤルのGMTマスターなどと並んで、間違いなくトップクラスだと彼は答えた。それほどまでにこの時計はレアで、本当に貴重なものなのだ。

 この約1カ月前にニューヨークでエリック氏に会い、この写真を撮ってから、彼はこの市場に出たばかりのフレッシュなアルビノ 6263を有力なコレクターに売却した。価格について聞いてみたが、これまでに販売したSS製のデイトナのなかで最も高価なものだったと思うと語った。これを読んでいるあなたがエリック氏をよく知っているのであれば、彼が過去に販売した時計のなかで、間違いなくいちばん高価なものだったとわかるだろう。エリックは“これこそが聖杯だ”というような大げさなことは言わないため、このアルビノデイトナがいかに重要なものであるかがわかる。現在、アルビノデイトナは地球上で3本しか確認されておらず、そのうちの1本を見れたのは大変すばらしく貴重な体験であった。もちろん、リストショットも撮らせてもらった。

 アルビノデイトナのような時計を見ると、ヴィンテージロレックスのコレクションがいかにおもしろくて難しく、そして気の遠くなるようなものであるかを思い知らされる。そしてなぜこんなにも愛しているのかも。この時計は、3万5000ドル(日本円で約350万円)で入手できる、ミントコンディションのロレックス 6263と内外装は一緒で、SSケースにバルジューベースのムーブメントを搭載している。それを踏まえて、同じムーブメントに似たようなケースを備えたホイヤーなどの他社製品が3000ドル(日本円で約30万円)前後で購入できることを考慮すると、ベーシックな6263の価格は、それらと比べておよそ10倍もの価格になる。さらに6263のポール・ニューマンのバリエーションにもなると、ねじ込み式のポール・ニューマンと60、70年代のほかのSS製バルジュークロノグラフとの差は12万ドルにもおよぶ。そしてこのアルビノとほかのSS製バルジューをベースにした時計を比較するとどうなるだろう? まあ、その差は半端じゃないということだ。ヴィンテージロレックスマニアでない限り、このような市場に出たばかりの時計に支払うことはないだろう。

 この時計を手に入れたとき、我々のことを考え連絡をくれたエリック・クー氏に感謝する。彼のサイトには垂涎もののすばらしいヴィンテージロレックスが紹介されており、そのほとんどがこのアルビノデイトナよりもずっと親しみやすいため、ぜひアクセスしてみて欲しい。10PastTen.com