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「How I'd Spend $100K」は、その名のとおり、もし10万ドルで時計コレクションを作るならをテーマにHODINKEEメンバーが妄想コレクションを考える企画です。
サラは数週間前に10万ドルで想像上の時計コレクションを組み立てた(記事「まずはパテックを買う。それからロレックスを。でも、バニーのために少しお金を残しておこう」参照)。そして今、私はこの架空の金額を受け取った。さてなんの時計にしようか。
まず最初に私が取った行動。明らかに史上最高の時計であるロレックス Ref.6062 ムーンフェイズをこの予算で私が購入できるかどうか、最近のオークション結果を検索してみた。しかし、10万ドルではこの時計を手に入れるにはまだ不十分であることに気づき、コレクションをどのように構築していくかを真剣に考え始めたのだった。
サラが執筆した10万ドルの使い方のときと同様に、価格は概算で、四捨五入され、非課税とした。つまり、私が地元のロレックス正規取扱店に歩いていって小売価格でデイトナ(またはそれに近い何か)のために1万5000ドル(日本での小売価格は税込175万7800円)をポンと置いて出てくるとは仮定しなかった。空想の世界であってもそこは空想的ではないからだ。
私は自分のコレクションを作りながら、社内の専門アドバイザーでヴィンテージオタクのリッチ・フォードンに意見とアドバイスを求めた。リッチと私は共にシカゴ出身で、Hodinkeeで働く前からヴィンテージのモバードとシカゴ・ホワイトソックスが好きだったという共通の話題で意気投合した。コレクションを作るのにアドバイザーが必要なら、私の好みを知っている人、そして正直なところ、それを共有している人であるべきだと考えたのだ。
オーケー、では何に使うか見ていこうではないか。
チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト “ネイビーブルー”
アメリカ中西部で体験してきた実用性から、私は日常使いの時計から始めるつもりだ(今回の記事の設定では、私は何も時計を持っていないことを想定して行った。G−SHOCKだってない設定だ)。しかし、せっかく苦労して稼いだお金を10万ドル分も時計に使うのだから、まずは毎日身につけたいものから始めたい。そこで、チューダーのブラックベイ フィフティ-エイト “ネイビーブルー”に注目した。今持っているのはブラックベイ フィフティ-エイト(ブラック)だが、ブルーの方が好きなので、ゼロからのスタートということもあり、こちらを選択したのだ。もちろん、ブレスレットで。費用:4000ドル(税込 46万4200円) / 残金:9万6000ドル
カルティエ タンク アシンメトリック イエローゴールド CPCP
リッチに私のコレクションについてアドバイスを求めたとき、彼は「素敵なドレスウォッチに1万5000ドルから2万5000ドルを費やすべきだ」と言った。リッチは私のドレスウォッチへの愛情を過小評価していたのか、あるいは私が専門家であるアドバイザーに耳を傾けるひとりなのか。結局、私はカルティエ タンク アシメトリックのイエローゴールドモデル、特にカルティエが1996年にCPCPコレクションの一部として製作した300本限定モデルに大幅に予算を費やすことにしたのだ。
カルティエ クラッシュや私自身のタンクには申し訳ないが(詳細は「カルティエのサントス-デュモンからタンクへ買い換えた理由」へ)、アシンメトリックは今までで一番好きなドレスウォッチだ。もし私が10万ドルを時計に費やせるのなら、少なくともお気に入りのドレスウォッチをコレクションに加えたいと思ったのだ。
そして、リッチには知られていないかもしれないが、実はこの私、週に4〜5日はドレスウォッチを身につけているのだ。ドレスウォッチはスウェットパンツによく似合うと思っている。だから、ブラックベイ フィフティ-エイトを普段使い用として持っているかもしれないが、アシメトリックも同じくらい愛用するだろうと思う。
イエローゴールドの時間表示のみのカルティエに使うには高すぎる金額かもしれないが、私はこの時計が大好きだ。この歪な形、ギヨシェ文字盤、他の時計に似ていないという事実が好きなのだ。費用: 4万ドル / 残金: 5万6000ドル
ロレックス デイトジャスト 6305(スティール製)
このレベルになると、多くのコレクションにロレックスの枠が設けられるが、私はどうやってその枠を埋めようかと悩んだ。サラが言ったように「自分の手首につけたロレックスのデイデイトを見下ろすことほど、満足のいく体験はないかもしれない」
でも、私はサラ・ミラーの推しの"トゥッティ・フルッティ"よりも "シンプル"派なのかもしれない。というのも、私にとって34mmや36mmのスティール製オイスターケースのシンプルな喜びは、デイデイトのそれよりもずっと永続的なものなのだ。だから、初期のデイトジャストにお金を使うことにしたのである。もちろん、もっとお金をかけて1016を買おうとも思った。リッチは「すばらしい1016を手にするべきだ」と彼のギルトダイヤルの1016(美しいと認めざるを得ない)で時間を確認しながら私に言ったため、私は塩漬けにすることにした。
冒頭で6062の話をしたが、50年代のロレックスが一番好きなので、ロレックスがスポーツとエレガンスの完璧なバランスを見出したこの時代のものが欲しかったのである。現代ロレックスの原点である初期のデイトジャストはいかがだろうか? 私はスティール製のものが欲しいのだけど、このタイプの資金では、ブレスレット、完璧なパティーナ、オリジナルのルーレットデイトホイール、そしてハニカムダイヤルや赤い「Datejust」の文字など、ちょっとした追加ソースを持つものを探し回るつもりだ。そして運が良ければ箱と書類も。
そう、こんな感じの個体だ。
費用: 1万4000ドル 残金: 4万2000ドル
オーデマ ピゲ 超薄型パーペチュアルカレンダー(イエローゴールド)
時代錯誤的で使い勝手の悪い永久カレンダーは、絶対に必要だと私は思う。それに特に超薄型永久カレンダーのような複雑な時計に関しては、ネオヴィンテージに価値があると今でも思っている。1978年、オーデマ ピゲが超薄型パーペチュアルカレンダーのトレンドを生み出した(3940ファンの皆さん、コメント欄でお話しましょう)。
リッチはこの時代のブレゲのパーペチュアルカレンダーを私に提案したが、個人的にはオーデマ ピゲのデザインの方がより好みだった。ジャクリーヌ・ディミエ氏がデザインしたケース、ステップベゼル、短くカーブしたラグは完璧だ。ジェンタはいいから、ディミエのデザインを毎日見せて欲しいものだ。費用:1万7000ドル、残金:2万5000ドル
ホイヤー カレラ 2447N
私は、「あぁ、スピードマスターがないと本当の時計コレクターじゃない」とか、そういう決まり文句が大嫌いだ。でも、クロノグラフのないコレクション、特に私の場合は手巻きのヴィンテージクロノグラフがないと、なんだか物足りない気がしてしまう。私はクロノグラフを巻くのが好きだ。身につけるのも好きだし、ランダムに時間を計るのが好きなのだ。
私にとって、ホイヤーのカレラ 2447Nは常にミッドセンチュリーのクロノグラフを最も純粋に表現したモデルだ。クリーンな文字盤、ベゼルなし、シャープなケース、そしてジャック・ホイヤーが手掛けたデザイン、これだけでいいのだ。
リッチは「この時代の最高のクロノグラフだ」と言い、「私がここに割り当てた1万5000ドルあれば、オリジナルの夜光がそのまま残っている、特にシャープな、あるいは磨かれていない個体を所有することができる」とも付け加えた。目の肥えたコレクターとして、これは重要なことだ。また、彼は私のコレクションにまだブラックダイヤルがないと言っていたので、2447Nは私が気づかなかったもうひとつのギャップを埋めてくれるものとなるだろう。 費用:1万5000ドル、残金:1万ドル
カルティエ サントス キャレ Ref. 2960
ここまできて、ブレスレットが一体化した現代的な時計を持っていないことに気づき、これは必要だと思った。カルティエ サントスだ。シャープなラインとスクエアフォルムのオリジナルサントス ref.2960は私のお気に入りだが、せっかくなのでルビーレッド文字盤の希少なモデルを奮発することにした。
このモデルは、深紅のラッカー文字盤とルビー色のカボションが特徴で、1979年のサントス誕生75周年を記念して製造されたと考えられている。そして、このサントスは私にとって2本目のカルティエであり、もはやカルティエコレクターと名乗ってもいいのではないだろうか? 費用:8000ドル、残金:2000ドル
Apple Watch Series 2
私の秘密をここで打ち明けよう。実は私はジムに行く日は毎日Apple Watchをつけている(いや、毎日ではないか)。2016年にSeries 2を手に入れたのだが、今でも僕にとってちょうどいい働きをしてくれている。値段はeBayで50ドルほどで手に入るようなので、ひとつだけ手に入れることにした。費用:50ドル、残金:1950ドル
コレクションの結論
残り2,000ドルは、ストラップを買ったり、サラとキノ(Keno、日本の宝くじやLOTOによく似たゲーム)で遊んだりするのにちょうどいい金額だと思う。前にも言ったが、僕にとって6本は(機械式)腕時計の完璧な数であり、それ以上は「収集」というより「買いだめ」のような気がする。まぁ確かに、その境界は僕が選んだオーデマ ピゲのパーペチュアルカレンダーのケースより細い線が引かれているくらいの薄さなのだが。
このコレクションは完成には程遠く、現実には私は神経質で、この記事に最終ピリオドを打った途端に嗜好が変わってしまうだろうことを理解している。
結局、チューダー、ロレックス、カルティエ2本、ホイヤー、そしてオーデマ ピゲを手に入れることとなった(パテックはまだ3970を考え中だ)。もし必要ならサラを訪ねて彼女のエリプスを借りることもできると思う。でも今日まで、私は個人的にここで選んだものと同じようなロレックス、チューダー、カルティエの時計をいくつか所有してきたので、結局これは理にかなっているのだと思うのである。
今回のコレクションに加えた唯一の制限は、ひとつのブランドにつき10年に1本の時計を選ぶこと。50年代のロレックス、60年代のホイヤー、70年代のオーデマ ピゲ、80年代と90年代のカルティエ(おっと)、そしてモダンなチューダーといった形だ。
ではここで、エキスパートアドバイザーのリチャード・フォードンよりひとこと
最初に10万ドルでコレクションを構築する方法についてリッチに相談したあと、私の最終的な妄想コレクションについて彼の考えを聞いてみた。以下は、彼の言葉である。
時計の好みが似ていることもあり、毎日つけられるものから始めて、それを見極めた上で違うものを求めるという、私と同じような答え方をしているように思ったよ。
私の最初の全体的な批判は、君が選んだ日常使いの時計、ブラックベイ フィフティ-エイトだ。常に自分のデイリーウォッチのための値のピックをしたいとは限らない。もう少し普段使いの時計にお金をかけて、ロレックスを買えばよかったかもしれないね。
また、カルティエにどれだけお金をかけているかは流用するが、少なくともアシンメトリックは「専門家の視点」から見ても素晴らしい時計だと思う。
ヴィンテージのデイトジャストについては、少し好みを知っていた僕でも意外な選択に感じた。34mmで1016とかを期待していたかもしれないため、これは本当に興味深かった。デイトジャストは、特にスティール製だと、50年代と同じように90年代のものに見えてしまう。そのため、なかなか目立ちにくいんのだ。オリジナルのルーレットホイールや文字盤のバリエーションなど、ディテールにこだわると、僕のようなヴィンテージオタクにはたまらないものだ。
私もいずれはパーペチュアルカレンダーを持ちたいと考えているのだけど、このネオヴィンテージのAP QPはどんどん出てきている。特にレクタンギュラーケースのものは、20世紀初頭のAPのデザインを踏襲しているため、興味があるんだ。
ブラックダイヤルの時計は私にとって最も魅力的で、2447N以外では持っていないわけだから、これは素晴らしい選択だと思う。おそらく、カレラ60周年で年間を通してこれらを話題にする人が増えると思うが、ともかく、この金額でこの時計は素晴らしい。デイトナはこの時代の最高のスポーツクロノグラフで、これこそ最高のピュアクロノグラフだけど、腕にはめるとスポーツウォッチとして身につけることができない。
最後に、サントスは興味深い選択だ。この時代のカルティエはまだ価値があるため、よく調べることがある。個人的には、タンク アシンメトリックは私のお気に入りだが、それはすべて個人の好みの問題であり、カルティエのデザインについての素晴らしいところは、皆のために何かしらがあることだろう。
リッチの指摘を受けて、ブラックベイ フィフティ-エイトの代わりにアクアノート5066のようなものを普段使いにしようと思ったが、同じような価格なら、アシメトリックの方が気に入っている。カルティエにお金をかけすぎたというのが、彼のもうひとつの大きな批判だとしたら、それはもう私が日々生きている現実だからしょうがないのだ。
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