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Entry Level グランドセイコーのエントリーモデルはクォーツだがそれだけに愛着がわく

シンプルなSBGXシリーズなら、50年間「セットして終わり」だ。

このEntry Levelでは、高級時計メーカーが製造しているなかで最も安価な腕時計を紹介。とはいえ決して安くはないのだが、どんなブランドにもスタート地点があるというものだ。

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完璧な時計は存在しないが、もし、プラトニックな理想の時計があるとすれば、それは時計らしさを最も純粋に表現した時計、グランドセイコーSBGX261SBGX263のようなものだろうと私は思う。この時計たちをSBGXシリーズと名づけよう。グランドセイコーの時計のなかで、もっとも安価なモデルであり、エントリーレベルの特集にふさわしいモデルだ。

 SBGXは、直径37mmのブラック(SBGX261)またはシルバー(SBGX263)の文字盤に、年差±10秒の精度を持つクォーツムーブメントを備え、シンプルなポリッシュマーカーとシャープなドーフィン針が特徴の日付表示つき3針ウォッチだ。一見すると、25万円くらいのシンプルな時計なのだが、よく見ると、グランドセイコーは、個別の要素のひとつひとつを正確に実行していることがわかる。

Grand seiko sbgx263

 グランドセイコーの表現として、そして正直なところ、私にとっても、時計の醍醐味が凝縮された一本である。

 私は控えめなタイプなので、SBGXシリーズの雰囲気にはすぐに引かれた。シンプルでありながら、飽きのこないクラシックな時計。ステンレススティールのケースは、グランドセイコーに期待されるようなポリッシュ仕上げで(つまり、ピカピカ)、いくつかのファセットが、十分に光をキャッチし興味深い雰囲気に仕立てている。もちろん、夜光塗料は配されないが、磨き上げられた針とインデックス(針の面取り!)を見れば、それが必要ないことはおわかりになるだろう。また、このモデルは真のスポーツウォッチではないかもしれないが、ケースには私が好きなスポーティなディテールが施されている。そう、貫通(ドリル)ラグだ。SBGXシリーズは100m防水であるため、NATOに装着して水中に潜り、水中バスケットだって平気でできるのだ。

Grand Seiko SBGX261

SBGX261のケースサイド、貫通ラグが見える。

 さて、肝心のクォーツについてだ。SBGXシリーズは、グランドセイコーの9Fクォーツムーブメント(正確には9F62)を採用している。9F62については、何年か前に古いSBGX061をレビューしたときに、かなり詳細にまとめたのだが、結論はこうだ。これはただのクォーツムーブメントではない。1日に540回、温度を測定し、その情報をもとに水晶の振動数を調整して補正するのだ(温度は、水晶の振動数に影響を与える最大の変数のひとつ)。そのほかにも、瞬間日送りカレンダー、レギュレーター、ムーブメントのストライプ装飾や石(9個)など、さまざまなディテールが施されている。

Grand Seiko 9F Quartz Caliber 9F62

グランドセイコー Cal.9F62

 平均的で安価なクォーツムーブメントは、1ヵ月に10~15秒程度の誤差での精度であるため、9Fが年差でこれだけの精度を実現したことは、まさにステップアップであり、正当に評価されるべきだ。このムーブメントを「ただのクォーツ」と言うのは、トム・ブレイディを「ただのクォーターバック」と言うようなもので、インディアナポリスで育った私も、いずれペイトン・マニングがトミーの番号を手に入れると信じていたので、この発言は馬鹿げていると思うのだが、いかがだろう? 本機はリーグで最もハンサムなクォーツ時計であるだけでなく、超高精度であり、それを証明するタイトルも持っている(先週の日曜日の不調はともかく、その前の日曜日もそうだった)。

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 クォーツムーブメントは機械式ムーブメントと同じように分類することができるが、グランドセイコーの9Fはそのなかでも特に優れている。そして、このムーブメントは完全に「自社製」であることも重要なポイントだ。セイコーは自社で原料の水晶を栽培し、最高のものをグランドセイコーのキャリバー用に保存しているのだ。また、半導体施設も自社で保有している。

Grand Seiko SBGX265

 確かに、秒針にスイープ運針のような滑らかさはないが、この時計ではまた別の形の満足が得られる。秒針が1秒ごとにきっかり進み、マーカーに毎秒正確に到達するのを見られるのだ。あの滑らかなスイープ運針のような癒しがないことは認めるが、この時計の運針も、我々が時々口にするほど悪いものではない。

 ところで、SBGXシリーズに欠点がないわけではない。ブレスレットは今ひとつの感がある。だが、グランドセイコーの時計を十分に扱ってきた人であれば、おそらくそれを既に想定していた可能性はあるだろう。それでも、穴付きのラグであることは注目だ。ラグ穴を使ってブレスレットを簡単に外し、好みのストラップを取り付けることができるのだ。
 前述した通り、これは完全無欠の腕時計ではない。私は単に、この時計が、最も純粋な腕時計の表現のひとつであると言いたいのだ。ほかの何かになろうと目指しているわけではなく、ただ時刻を正確に教えてくれる時計なのである。すべての機械式時計は、扱いが難しい面があるが、グランドセイコーは以前、9Fは50年間、潤滑油の交換が不要(数年に一度の電池交換だけが必要)だと述べていた。

 SBGXは25万3000円(税込)と、グランドセイコーの入門モデルとして申し分のない価格設定となっている。グランドセイコーの「高級化」が盛んに言われるなか、このシリーズの時計は、そうした企業戦略や業界の動向、さらには昨今のインフレにも左右されることがない。そのことに大いに感謝することにしよう。私は、この価格帯で良質な機械式時計の競合製品が存在することは否定しない。その多くは、グランドセイコーの弟分の時計である(ここではヴィンテージ品の価値については触れないでおく)。しかし事実上、購入、設定してから50年間はメンテナンス等について忘れられるような時計が欲しいという方には、うってつけのひと品である。

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Hodinkee Shopは、グランドセイコー腕時計の正規販売店です。また、中古のグランドセイコーウォッチも取り扱っております。
グランドセイコーの詳細については、公式サイトへ。