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クルマと時計の結びつきは、七面鳥とサンクスギビング、あるいはジンとトニックの関係に似ている。クルマ好きなら、自動車をテーマにした時計のつけこなしに挑戦したくなるだろう。個人的には自動車にインスパイアされたデザインのよさは控えめなディテールにこそ宿ると考えている。
クルマ愛好家の時計愛は、コンピューター時代よりもはるか前にクロノグラフやストップウォッチがレース計測に使われていた事実に(意図的に)駆り立てられている。精密に調整された機械式ムーブメントには、ヴィンテージポルシェの後部に搭載されたレース仕様のメッツガー水平6気筒エンジンと同じく、卓越したエンジニアリングの魅力が詰まっているのだ。またふさわしい時計は夢をかき立てる魔法のような効果を持つ。それは戦闘機のパイロット志望者であろうと、NASCARのドライバーを夢見る者であろうと、ダイバーを目指す者であろうと変わらない。しかし情熱には度を超す危険もつきものだ。フェラーリのロゴが入った真っ赤なウィンドブレーカーを着て、それにマッチした跳ね馬のキャップをかぶり、トヨタのタコマに乗り込むカーマニアの空回りに陥るのも簡単なことである。
クリスチャン・ベール(Christian Bale)氏が所有する2003年製の防弾仕様車に非の打ちどころはない(これは事実で、車種はトヨタのタコマだ)。しかし仮想のレース燃料を感じさせる、さりげないアクセントやほのかなニュアンスに情熱を注いでみてはいかがだろうか? クラシックレース愛好家の心をくすぐるレトロな逸品から、F1ファンのための最先端テクノロジーまで、現在入手可能な時計の厳選コレクションをご紹介しよう。クルマと時計はしばしば強い結びつきを持ち、まさにその結びつきが魅力を生むのだ。
IWC パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41 “MERCEDES-AMG PETRONAS FORMULA ONE™ TEAM
このモデルに関連するIWC パイロット・ウォッチ・クロノグラフは、数年前にコンパクトな41mmサイズで登場した。シャフハウゼンのブランドはより控えめな印象を与えるモデルを追加し、ラインナップを拡充。これはF1チームのAMG ペトロナスとの提携を記念するモデルである。チームを象徴するレーザーのように鮮やかなペトロナスグリーンを取り入れたクロノグラフはこれが初めてではないが、Ref.IW3883006はそのカラーを上質かつ控えめに取り入れている。その長い名称とは裏腹に、モノクロームの視認性におけるお手本となるようなダークトーンの機能美を備えたクロノグラフであり、驚くほど軽量なセラタニウムケースにブラックラバーストラップを組み合わせている。
セラミック製ベゼルと光沢のあるブラックダイヤル、黒く仕上げられたニッケル製のインデックスと針が、綿密に計算されたコントラストを生み出している。大きな数字やマーカーには鮮明な白のスーパールミノバが施され、夜間の優れた視認性を提供するとともに、ペトロナスグリーンのアクセントが上質な雰囲気を演出している。この色はチャプターリングの分目盛り、スモールセコンドのポインター、そして3時位置の特徴的なデイデイト表示にも使用されている。IWCによる自社製Cal.69385は、スモーク調のサファイアケースバック越しに242個の部品を見ることができ、標準的なIWCの縦配置インダイヤルを駆動させる。ケースの厚さは14.7mmだ。この控えめながら魅力的なクロノグラフは、IWCのEasX-CHANGEクイックリリースシステムに対応した柔らかなブラックラバーストラップ付きで、価格は212万3000円(税込)で提供されている。
詳しくはIWC公式サイトへ。
ローラン・フェリエ グランドスポーツ トゥールビヨン パシュート
GPHGを受賞したグランドスポーツは、44mmのケースが放つ堂々たる存在感を持ちながらも、グレード5チタン製のケースが柔らかい印象を与える。要所には精巧なサテンが施され、広いポリッシュ仕上げの面取りが輝きを添えている。このデザインにはパテック フィリップで37年間活躍したローラン・フェリエ(Laurent Ferrier)氏の経験が色濃く反映されており、彼がニュルブルクリンクやル・マンでのレーサーとしてのキャリアを並行して過ごしていた時代を物語っている。GPHG受賞作である最大サイズのグランドスポーツには、チタン製スリーブに包まれた際立つ特徴がふたつある。まずは詩的なインスピレーションを与えるサーモンピンクのダイヤル、そして流線型のケースデザインが、レーシングカーの影響を感じさせる。
ブランドの歴史をご存じの方なら、ローラン・フェリエと彼のパートナーであるフランソワ・セルヴァン(Francois Sérvanin、現在はビジネスパートナー)氏が、1979年のル・マン24時間レースで伝説的なポール・ニューマンに次いで3位に入賞したことを知っているだろう。文字盤の穏やかな色合いは、24時間レースの最終日の朝に昇る太陽を象徴している。これはおそらくミュルサンヌ・ストレートの上空に見えたものだろう。シケインが追加される以前、このストレートではクルマが時速200マイル(約320km)を超える速度で疾走していた。
グランドスポーツ トゥールビヨン パシュートは、細部への執念とも言えるこだわりが込められた1本であり、その特徴は文字盤デザインにもさりげなく表現されている。よく目を凝らすと、6時位置のスモールセコンドの上に“TOURBILLON”の文字が同系色で控えめに刻まれている。これこそトゥールビヨン パシュートがほかと一線を画す理由のふたつ目であり、それを可能にしているのがローラン・フェリエの控えめで洗練されたムーブメントデザインなのだ。柔らかな曲線を描くグランドスポーツを裏返すと、モダンなトゥールビヨンムーブメントのなかでも最も優れたデザインのひとつ、LF619.01が姿を現す。詮索好きな視線から隠された内部には、ダブルヘアスプリングを備えたトゥールビヨンが収められている。6時位置には手作業で面取りされたブリッジが設置され、アンスラサイト仕上げが施されたハンドメイドの自社製ムーブメントが輝きを放つ。3179万円(税込)を支払えばこの時計を手にし、レースの観戦に連れて行くことも可能だろう。
詳しくはローラン・フェリエ公式サイトへ。
ポルシェ・デザイン クロノグラフ 1 ユーティリティ
自分のポルシェに詳しい方なら、このポルシェデザインのツールウォッチが持つファミリーの結びつきとその美学を理解できるだろう。本記事に登場する多くの時計と同様、無駄を削ぎ落とした美しさと機能性からは、4輪車の粋を控えめに、そして個人的な視点で解釈したデザインが感じられる。時計を通じてコミュニティの楽しさを味わいたいなら、このモデルやほとんどのドイツ製腕時計は熟考された選択肢となるだろう。飛行機で隣の席の人がつけている時計について話しかけた際のいぶかしげで時に怯えるような視線に代わり、この時計なら初対面の人との会話が弾む可能性も高い。クロノグラフ 1 ユーティリティは42.7mmのドイツ製エンジニアリングが結晶化した1本であり、技術者の精神を体現している。
すべてのポルシェデザインの時計には、機能性を重視した楽しげな雰囲気があり、ドイツバウハウスの様式美を想起させるデザインが特徴だ。それぞれのディテールには形式美ともいえる純粋さが宿り、無駄な装飾を一切排除している。その結果クロノグラフ1 ユーティリティは手首を飾るアクセサリーではなく、実用的な計器としての存在感を際立たせる、万人に愛される1本となっている。ブランドとして初めてチタンカーバイドを採用したモデルであり、ケースの軽量化と強度の向上を実現している。この限定版にはスレートグレーのレザーBUNDストラップ、白の“アイスレース”バッジがついたファブリックストラップ、サンドベージュのNATOストラップの3種類が付属し、専用のクイックリリースシステムで素早く交換が可能だ。価格は253万円(税込)。
WERK 01.240ムーブメントを搭載。 (同ムーブメントは)フライバッククロノグラフ機能、COSC認定の2万8800振動/時、約48時間のパワーリザーブを備えている。文字盤には実績のあるバルジューの構成を感じ取ることができるだろう。これはスイス・ラ・ショー=ド=フォンを拠点とする専門メーカー、コンセプト社との共同開発による改良型である。
詳しくはポルシェ・デザイン公式サイトへ。
ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク・アメリカン 1921
前世紀にダッシュボードクロックが普及したことで、“ドライバーズウォッチ”というジャンルはメーカーのカタログから姿を消して久しい。しかし、19世紀初頭のクラシックカーをペブルビーチ・コンクールの手入れの行き届いた芝生に停めるなら、ヒストリーク・アメリカン 1921が完璧な選択肢となる。鋭角に仕上げられたホワイトゴールドのクッションケースを持つ40mm×40mmのRef.82035/000G-B735は、人間工学に基づいたステルスウェルス(控えめな贅沢)のきわみである。これはドライバーがハンドルを10時と2時の位置で握ったとき、文字盤を自然な角度で視認できるよう考慮したもので、車内での視認性が非常に高い。
少し虚栄心が顔を出したのなら、この時計のコニャックレザー製ストラップのしなやかな風格に合わせ、柔らかなドライビングシューズを選びたくなるだろう。それもまた至極当然のことだ。アラビア数字の華やかなフォントは、ブレゲスタイルのスリムな針と見事に調和している。本作は自動車の黄金時代を思い起こさせるだけでなく、小ぶりながらも存在感のある一風変わったクールなドレスウォッチでもある。美しく仕上げられた手巻きの自社製Cal.4400によって、厚さはわずか8.06mmに抑えられている。このムーブメントは2万8800振動/時という現代的なスペックを誇り、フルで巻き上げた状態だと約65時間のパワーリザーブを提供する。WG製ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク・アメリカン 1921の価格は602万8000円(税込)だ。
詳しくはヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ。
ショパール ミッレ ミリア GTS オートマティック
イタリア語は詩的な響きを持つ言語だ。ミッレ ミリアとは1000マイルを意味し、1957年に中止された過酷な公道耐久レースを思い起こさせる。このレースは1977年以降、歴史的なラリーとして復活し、100万ドル級のオークションスターたちがイタリアの断崖絶壁からわずか数インチの距離をドリフト走行する光景が見られる。ショパールは35年間にわたり公式タイムキーパーを務めており、CEOのカール-フリードリッヒ・ショイフレ(Karl Friedrich Scheufele)氏も、愛車のガルウィング メルセデスを駆って積極的に参加している。GTS オートマティックには確かにイタリア公道の精神が息づいているが、その表現は控えめだ。この時計は時計ビギナーにとっては43mmの無骨なスポーツウォッチとして映るかもしれない。ただその赤いアクセントが感覚に訴えかけ、快適なソフトラバーストラップが装着感を高めている。
43mmというサイズ感は、現代では大きめに感じるかもしれない。しかしMMクロノグラフを所有する私として、人間工学に基づいたラグの優美なカーブは間違いなく快適であると保証できる。またダンロップタイヤのトレッドパターンを模したストラップは、時代を超えたデザインとして存在感を保ち続けている。ショパールのCal.01.01Cは自動巻きムーブメントで約60時間のパワーリザーブを誇り、COSC認定クロノメーター仕様となっている。サファイアクリスタルの下には力強いインデックスと、縦に並んだ特徴的なアラビア数字の6と12が配された楽しい雰囲気の文字盤が広がる。個人的に特に気に入っているのは、日付を囲む漫画風の道路標識デザインだ。ミッレ ミリア GTS オートマティックは95万1500円(税込)という価格で、格調を増すショパールのコレクションにおいて手に取りやすいエントリーモデルとして魅力的である。
詳しくはショパール公式サイトへ。
セイコー プロスペックス スピードタイマー SBEC023
セイコーのスピードタイマーは、レースの歴史を持つわけでもなく、また映画スターの手首を飾ったり宇宙飛行士のあいだで評判を得たというわけではない。しかしこの時計には独自の魅力がある。この時計はセイコーの希少な機械式クロノグラフCal.8R48を搭載。“働き者”という言葉が特に好きなわけではないが、このモデルに関しては確かな賛辞として使えるだろう。スピードタイマー SBEC023は約45時間のパワーリザーブを備え、日差+25~-15秒という控えめな精度仕様を持つ。レトロな雰囲気と精巧な文字盤が特徴で、42mmというサイズはセイコーのクロノグラフとして最小ではないものの、人間工学に基づく設計はこのブランドの得意分野だ。このスピードタイマーは60年代風の程よいおしゃれ感を醸し出し、独自の個性とユニークな大型リンクのブレスレットを備えている。
個人的にはこの時計が持つミッドセンチュリーの雰囲気と、しっかりした装着感が大好きだ。特に大型でマット仕上げのプッシュボタンが気に入っている。このプッシュボタンがデニムシャツの袖からさりげなく顔をのぞかせたらとても粋だろう。がっしりとしたインデックスや“逆パンダ”仕様の凹み型レジスターを備え、ユニバーサル・ジュネーブのニーナ・リントやタグ・ホイヤー カレラといった象徴的なモデルをほうふつとさせる。とはいえスピードタイマーには独自の個性も光る。4時半位置にさりげなく配置された日付表示は見事で、強力なルミブライトの夜光機能、そしてカボチャに似たカラーのクロノグラフ秒針と30分針がその個性をさらに引き立てる。セイコー プロスペックス スピードタイマー SBEC023は限定版であり、38万5000 円(税込)で販売されている。
詳しくはセイコー公式サイトへ。
タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ
モナコはサントス ドゥ カルティエと並ぶ、最も目立つ角形時計のひとつであり、ヴィンテージのモーターレースファンやスティーブ・マックイーン(Steve McQueen)ファンにはよく知られた存在だ。しかしZ世代にとっては、小石のように滑らかなスマートウォッチが主流のなかで異彩を放つクールなスクエアクロノグラフに映るだろう。実際につけてみるとスクエアウォッチは大きく見えるのは確かだが、この39mmのクロノグラフはデザインバランスが見事だ。そのバランスを支えているのは、特徴的な角度のついたサファイアクリスタル、丸みを帯びたケースサイド、そして力強いヘアライン仕上げと短いラグに施されたポリッシュ仕上げの絶妙な組み合わせである。シルバーのインダイヤルが埋め込まれたオパラインブルーダイヤルのオリジナルバージョンは鮮やかなリップスティックレッドのラッカーディテールと、水平型のバトンインデックスを備えており、60年代後半のレースシーンを象徴する1本と言える。その存在感はパドックを出る前から表彰台に立つことを約束されている。
2024年現在、タグ・ホイヤーのモナコは、超現代的なスケルトン仕様のチタンモデルであれ、控えめなブルーモデルであれ、スクエアウォッチのなかで圧倒的な存在感を放ち続けている。もし映画の歴史を物語る逸品に投資したいと思うなら、サザビーズで開催される究極のセレクションをチェックしてみて欲しい。12月6日に開催されるオークションには、1969年公開の映画『栄光のル・マン(原題:Le Mans)』でスティーブ・マックイーンが着用していたことで知られる、ブルー文字盤のホイヤーモナコ Ref.1133Bが出品されるのだ。このモデルの推定価格は50万〜100万ドル(日本円で約7570万~1億5130万円)である。一方で、時代にふさわしいスタイルを備えたRef.CAW211P.FC6356、タグ・ホイヤー モナコは112万7500円(税込)で購入可能だ。同モデルは自動巻きCal.11を搭載し、約40時間のパワーリザーブを誇る。
詳しくはタグ・ホイヤー公式サイトへ。
オメガ スピードマスター レーシング
オメガ スピードマスターは、あらゆる時計のなかでも最も豊かな歴史を持つ時計であり、その圧倒的な存在感はほかを凌駕している。時間の正確さによってアポロ13号の大気圏再突入を救ったエピソードは有名だが、そもそもこの時計はモーターレース用として誕生した。そのルーツは名前にしっかり刻まれている。この背景を考えると、私はより力強い印象の44.25mmサイズのスピードマスター レーシングに特別な愛着を感じる。“レーシング”の名がそのインスピレーションを見事に物語っている。このスピードマスターのサブレンジに属する最新モデルは長年の進化を経て、現在ではMETAS認定のコーアクシャル マスター クロノメーターCal.9900を搭載し、ポリッシュ仕上げされたセラミック製タキメーターベゼルを備えている。
サイズの大きさを感じさせない人間工学的なデザインで、月旅行を成し遂げた“ムーンウォッチ”の兄弟モデル同様の竪琴ラグを備えている。特にRef.329.33.44.51.01.001のケースには、洗練されたモノクロームの雰囲気が漂う。素人目にはムーンウォッチと似ているように見えるかもしれないが、このツインレジスター仕様の文字盤のほうがバランスが取れていると感じる。ダイヤルには特徴的な城壁状の分・秒目盛り、中央の時・分針・クロノグラフ秒針、スモールセコンド、12時間積算計、60分積算計が配置されている。オメガのチェッカーフラッグを思わせる交互デザインの分目盛りを理解できる人は少ないかもしれないが、それを見たときにはレーシンググローブを身に着けたくなるはずだ。この時計の希望小売価格は143万円(税込)である。
詳しくはオメガ公式サイトへ。
ランドローバー×バンフォード LR002
ジョージ・バンフォード(George Bamford)氏はこれまで数々の魅力的なコラボレーションを手がけてきた。そのなかにはジラール・ペルゴの“キャスケット”の復活を促した功績も含まれる。このキャスケットはドライバー向けに設計された傾斜ディスプレイを備える、理想的なドライバーズウォッチとなった。ただし本記事では取り上げていない。理由は路上での安全性を考慮したためである。LEDディスプレイを操作する際に、ハンドルから手を離す必要があるからだ。横方向のデジタルデザインはひとまず置くとして、バンフォード・ロンドンは最近、独特なLRシリーズの第2弾を発表した。このモデルはチューダー FXDに似た固定ラグデザインを採用している。このLRシリーズはランドローバーと共同でデザインされ、ブランドの現代的なラインナップの丸みを帯びた形状にインスパイアされつつ、軍用フィールドウォッチの雰囲気を取り入れている。
横幅が40mmながらラグ幅は18mmと細い。直線的なラグデザインのためかさばって見えるかもしれないが、個性は際立っている。ブラックバイオレザー製NATOストラップを備え、ミニマルな文字盤はモノクロームの堅牢性を体現。ランドローバーの最新モデルと同様、この時計はトラックが走るような轍の道でも違和感なくなじんでくれる。DLCコーティングが施されたチタン仕上げは手首に装着すると驚くほど軽く感じられる。バンフォード LR002に搭載されたセリタSW200ムーブメントはブルースクリューを使用した最上級グレードであり、グリュシデュール(ニヴァロックス社製の合金素材の商標名)や衝撃保護を備え、標準モデルよりも正確な調整機能を持つ。ランドローバー×バンフォード LR002の価格は1125ポンド(日本円で約21万5000円)と手ごろである。
詳しくはバンフォード・ロンドン公式サイトへ。
リシャール・ミル RM UP-01 フェラーリ
最後を飾るのは、文字どおり“ワイルドカード”とも言えるRM UP-01である。フェラーリとのコラボレーションによって生まれたこの超薄型時計は、厚さわずか1.75mmという驚異的な薄さを実現している。果たしてこれは時計と言えるのだろうか? このしなやかな作品に目を奪われたなら、標準的なクレジットカードの厚さが0.76mm(もしくは約0.03インチ)であることを思い出して欲しい。リシャール・ミルは2023年に、当然のごとく世界最薄時計のタイトルを獲得し、その技術的卓越性を強く印象付けた。とはいえ、その栄誉は現在少なくとも概念的なレベルではコンスタンチン・チャイキンに引き継がれている。RM UP-01は使いやすさ、手に入れやすさ、視認性といった観点で賞を取ることはないだろう。ただその代わりに、この時計はマイクロエンジニアリングの極致を体現している。
リシャール・ミルは常に賛否が分かれるブランドである。個人的にこのフェラーリとのコラボレーションは、既成概念を超えようとするブランドの終わりなき挑戦を象徴しており、F1エンジニアの思考に触れる一端を垣間見せていると思う。この時計は一見すると感情が欠けているように見えるかもしれないが、素材の最適化に対する徹底した取り組みや、過去を振り返らないという揺るぎない姿勢が明確に表れている。時間を読むという行為自体は重要視されていないが、もしどうしても必要なら12時位置にある極薄で小さな文字盤から確認ができる。このクレジットカードのような薄さを持つ機械式の“魔法”の価格は、前回確認した時点で2億4750万円(税込)だった。
詳しくはリシャール・ミル公式サイトへ。
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