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我々が知っていること
2023年、バルチックは1000ドル以下で手に入る最高の時計のひとつとして、エルメティック ツアラーという新しいデザインを発表した。これは37mmケースの“GADA(Go Anywhere, Do Anything、どこへでも行けて、何にでも使える)”ウォッチであり、ヴィンテージのボーゲルスタイルを思わせるケースに美しいダイヤルを備え、非常にコストパフォーマンスに優れた価格設定がなされている。時計を愛する旅の第1歩として、ヴィンテージの雰囲気を持つ個性的なモデルを求める友人に、最も気軽にすすめられる1本だ。ブランドは昨年末に第2のエルメティック ツアラーとして、4種類のブロンズケース仕様を投入したが、本日新たに進化を遂げたエルメティック デュアルタイム エンデュロパールエディションが登場した。
そう、このモデルはエンデュロパール(Enduropale)とのコラボレーションによる限定モデルである。エンデュロパール、正式名称“エンデュロパール・デュ・トゥケ=パ・ド・カレー(Enduropale du Touquet Pas-de-Calais)”を知らない人のために説明すると、これはフランスのビーチで開催される、まさにクレイジーな耐久バイクレースであり、現在はレッドブルがスポンサーを務めている。今年で50周年を迎えるこのレースは、バルチックとの特別なコラボレーションを実現する絶好の機会となった。
オリジナルのエルメティック ツアラーはシンプルなフィールドウォッチとして設計されていたが、新作のデュアルタイムにはひと味違った要素が加えられている。それがインナー回転ベゼルだ。ツアラーの魅力を形成していた要素の多くはデュアルタイムにも受け継がれた。37mm径のケース、150mの防水性能、ダブルドームのサファイアクリスタル、ミヨタ製Cal.9039、スーパールミノバが施された立体的なソリッドインデックス...これらはすべて健在だ。しかしインナー回転ベゼルの追加により、まったく新しい時計のような印象を受ける。当然ながらこの機能の追加にはもうひとつのリューズが必要となるが、バルチックはここで左右対称のデザインを選択し、ベゼル操作用のリューズを9時位置に配置した。エルメティックシリーズのケースはもともとリューズが埋め込まれた設計のため、違和感なくなじんでいる。ただし、手の大きな人にとっては操作がしにくい可能性がある点は気になるところだ。また驚くべきことに、ケースの厚みは変更されておらず、10.8mm(クリスタルを除けば8.3mm)に抑えられている。
注文時にビーズ・オブ・ライスブレスレットが選択可能。そのデザインは信じられないほどに素晴らしい。
エルメティック デュアルタイムは、時刻表示のみの従来モデルと比べるとはるかにコンテンポラリーなルックスに仕上がっている。そのカラーリングは実際のレースを再現したものではなく、90年代のモトクロスバイクへのオマージュだ。またバルチックがこうした配色を採用するのは今回が初めてではない。数年前に登場したブランド5周年記念のアクアスカーフ デュアルクラウンにも、これと非常に似たカラーリングが施されていた。おそらく、当時の配色が人気を博したために今回の限定モデルとして再び採用する絶好の機会となったのだろう。デザイン面においてはマットグレーのダイヤルをベースに、目を引くターコイズグリーン(この表現は矛盾しているかも?)が主役となっている。この色は分針、エンデュロパールロゴ、インナー回転ベゼルの一部、そしてストラップに取り入れられるなど全体の印象を引き締める。
ベゼルは、エンデュロパールのレース時間である3時間に合わせてマーキングされている。最後の1時間はパープルのアクセントで強調され、徐々にチェッカーパターンへとフェードアウトするデザインで、これはエンデュロパールロゴへのオマージュだ。ベゼルの残りの部分はブラックであり、1時間ごとにプリントされたマーカーがあしらわれている。時計を裏返してソリッドケースバックを見るとレーザー刻印が施されており、1975年から2025年までの50年間にわたるレースの歴史を称えるアートワークが描かれている。さらに限定モデルのシリアルナンバーも刻印されており、これも特別感を高めるディテールだ。
バルチック エルメティック デュアルタイムは限定200本のシリアルナンバー入りモデル。価格はラバーストラップ仕様で600ユーロ(日本円で約9万5000円)だ。またスティールブレスレットのオプションも用意されている。
我々の考え
このエンデュロパールエディションは、オリジナルのエルメティック ツアラーから大きく踏み出した初の本格的なバリエーションであり、今後のエルメティックシリーズの展開に期待が高まる。特に限定モデルではなく通常ラインナップとして展開される可能性に興味をそそられる。この限定モデルが示したのは、エルメティックのケースデザインが持つ汎用性の高さだ。ヴィンテージスタイルの要素を持ちながらも、今回のようなよりモダンなルックスにも適応できることを証明したのだ。またバルチックのコレクションとしては、決して新しいカラースキームではないものの、やはりこの配色は魅力的であり再び採用されたのも納得できる。
個人的には、耐久バイクレースの限定モデルを購入することはないだろう。たとえばチューダーのレッドブル アリンギ・ペラゴスやIWCのペトロナスエディションのようなコラボレーションモデルにもあまり共感を覚えない。だがこれはあくまで自分の考えであり、エンデュロパールのファンや競技者にとっては間違いなく魅力的なモデルになる。この価格設定はコラボレーションモデルとして非常に優れたバランスを持っており、200本という限定数からすぐに完売する可能性が高いだろう。
このケースデザインが将来的にGMT機能を搭載する可能性があるというアイデアには、非常に興味をそそられる。もし以前、“エルメティックにインナー回転ベゼルが追加される”と言われていたら、正直、信じなかっただろう。おそらくダイヤルのバランスが崩れるとか、ケースが分厚くなりすぎると考えていたはずだ。しかしそのどちらの予想も間違っていた。より高価格帯のブランドでさえ実現が難しいなかで、このプロポーションを維持できたのは見事というほかない。仮にGMTバージョンのエルメティックが登場し、ケースが数ミリ厚くなったとしても、それでも十分な魅力を持つ時計になると思う。その一方で、今回のエンデュロパール エディションは、バルチックが今後どのようにエルメティックの可能性を広げていくのかを想像するきっかけとなる1本といえる。これからの展開がますます楽しみだ。
基本情報
ブランド: バルチック(Baltic)
モデル名: エルメティック デュアルタイム エンデュロパールエディション(Hermétique Dual Time Enduropale Edition)
直径: 37mm
厚さ: 10.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: マットグレー
インデックス: アプライド
夜光: あり、レイズドスーパールミノバBGW9
防水性能: 150m
ストラップ/ブレスレット: トロピカルラバーストラップまたはスティール製ブレスレットオプション
ムーブメント情報
キャリバー: ミヨタ9039
機能: 時・分表示、センターセコンド(ストップセコンド機能)
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
価格 & 発売時期
価格: 税別600ユーロ(日本円で約9万5000円)、ラバーストラップエディション
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定200本(シリアルナンバー入り)
詳しくはこちらをご覧ください。
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