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再登場から2年。新しいデザインのサントス ドゥ カルティエはHODINKEEオフィスでもみんなのお気に入りの一本である。理由は単純だ。サントスは、最高峰の一流メーカーの時代を超えたデザインを持つ時計であり、充実した付属品と共にパッケージングされているからだ。フレッシュで、スタイリッシュでありながら、何世代にも渡って受け継がれているコレクションのデザイン的特徴もしっかり押さえている。
2018年をサントス ドゥ カルティエ コレクションが刷新された年だとすれば、2019年はサントスの新しいラインであるクォーツ製サントス‐デュモンと機械式サントス クロノグラフが追加された年である。今回はその内の後者、サントス クロノグラフをハンズオンで取り上げてみたい。カルティエのアイコンである角型デザインにクロノグラフをうまく合わせており、私が2019年のSIHHで見て以来ずっと気になっていた時計を今日は細かく見てみたいと思う。
腕に着けてみたときの第一印象は、手首に感じるずっしりとした重量感だ。この時計は、ケース径43.3mmで、他のスクエアケースの時計同様に、その形状自体が時計の特徴の一つになっている。とはいえ、このサントスの厚みは、たったの12.5mmしかない。そのためかさ張る感じはなく、逆に着けてみるとより薄く思え、安定感があるのに、存在感もしっかりあるのである。43.3mmのケースサイズは、サントスの中ではXLと表示されていて、手首の細い人はちょっと持て余すかもしれない。
サントス クロノグラフは今のところ3種類が存在していて、サイズはすべてXLで価格にはかなりの幅がある。このように選択肢が広いということは、様々な購買層をカバーしているともいえるだろう。ステンレスケース、ADLCコーティングされたベゼルのスポーティなモデルが91万2000円で、よりドレッシーなイエローゴールドベゼルのツートンバージョンが136万8000円、無垢のローズゴールドの豪華なバージョンが最上位モデルで264万円である(いずれも税抜価格)。
私がこのサントス クロノグラフで気に入った点のひとつは、アイコニックな時計デザインを全く壊さずにクロノグラフの機能をうまく詰め込んだところだ。ダイヤルやケースのボタンについても同様である。ではまずケースから見てみよう。刷新されたサントス ドゥ カルティエ コレクションの他のモデルと同様、サントス クロノグラフもネジ留めの四角いベゼルが特徴だ。以前のモデルはシンプルな四角いベゼルをダイヤルの枠のようにネジ留めしていただけだが、新しいサントス クロノグラフは6時と12時のところが“フード”のような形状になったベゼルでブレスレットとの一体感を増したデザインになっている。また、サントス クロノグラフのプッシュボタンは、これまでのクロノグラフとは全く異なる位置に付けられているが、使い方も簡単なうえに全体のデザインともエレガントに融合している。ケースの9時の位置に控えめに配されたプッシュボタンでクロノグラフのスタートとストップを制御可能だ。
クロノグラフのリセット機能も3時位置のリューズに内蔵されている。また、100mの防水性能を備えているので、この時計のほとんどのオーナーが日常的にするようなアクティビティには充分すぎる性能であり、どんなクロノグラフと比較しても充分なスペックだと思う。
それぞれのバージョンのダイヤルは、シルバーサテン仕上げが施され大きなローマンインデックスが外周を囲んでいる。30分計が3時位置、12時間計が9時位置に配されている。6時位置の小さなサブダイヤルが秒針で、そのすぐ下に日付表示がある。クロノグラフのサブダイヤルをできるだけ大きくし、スーパールミノバを針とアワーマーカーに塗布することで視認性も担保している。
サントス クロノグラフコレクションの全モデルは、カルティエの「クィックスイッチ」交換可能システムを搭載しており、ベルトとブレスレット交換が工具なしで可能になっている。またブレスレットは「スマートリンク」を採用している。従来のブレスレットについての最大の難点は、いくつかのブランドを除き、ほとんどがブレスレットサイズを変更するのが簡単ではないところだ。
しかし、サントスの最新ラインナップにあるスマートリンクのブレスレットは、駒を簡単に抜き差しできるようになっている。このシステムは新しいすべてのサントス コレクションに採用されており、この時計の最大の売りでもある。見た目が良いだけでなく使い心地も素晴らしく、簡単に交換できるようになったのだ。誰しもがベルトの交換を自分でするのにわざわざ自前のバネ棒外しを用意したいと思ってはいないだろう。カルティエの場合はそんな心配は無用で、付属以外のブレスレットへ簡単に交換できる。
この二つのシステムの採用は、人々がますます時計をオンラインで購入するようになってきた時代に大きな意味を持つだろう。箱からサントスを取り出せる人であれば、同じようにブレスレットのサイズ変更も交換も簡単にできるのである。宝飾店や時計メーカーに駆け込む必要がもうなくなった。スティールとADLCバージョンにはラバーストラップとスティールの折り畳みバックル付きブラックアリゲーターストラップが付属している。ピンクゴールドバージョンにはダークグレイ セミマットのアリゲーターストラップと18KPGバックル付きのラバーストラップが付属している。
サントス クロノグラフに搭載されているのは、2012年に自社製ムーブメントのファミリーに加わったキャリバー 1904 CH MCという素晴らしいコラムホイール搭載の自動巻きクロノグラフだ。これは、このサイトの読者には改めて説明する必要もない、コンプリケーションのスペシャリストであるキャロル・フォレスティアの作り出した傑作である。このごく最近開発された48時間パワーリザーブの高級なCal.1904 CH MCを、汎用グレード品にも採用し出しているのである。まあ、自動巻きでデイリーユースにピッタリで使い勝手が良いというアピールになると考えれば、ステンレス/ADLCバージョンやツートンモデルにこれが採用されるのは当然の流れであると私は思う。
サントス クロノグラフは腕に着けてみなければその素晴らしさを実感できない時計の一つであると思う。角型43.3mmのXLサイズと聞いて、試しもせずにすぐにこの時計を購入リストから外してしまう人もいるだろう。しかし、それは大きな間違いだ。私は、この時計はアイコニックなカルティエの角型ケースに、クロノグラフを巧みに詰め込んだ素晴らしい時計であると改めて申し上げたい。
詳細についてはカルティエ公式サイトへ。
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