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細長いケースとダイヤル、カボションを備えたリューズを持つカルティエ タンク サントレは、ヴィンテージタンクの中でも最も羨望の的となっているモデルの1つだ。同モデルは、1917年にカルティエが最初のタンク ウォッチをアメリカのジョン・パーシング将軍のために設計してから4年後の、1921年に初めてリリースされた。パーシングに納入されたオリジナルのタンクは、タンク ノーマルとして知られるようになるが、その後1919年に継続生産されたのはわずか9ピースであった。サントレは、市場に登場した2番目のカルティエ タンクであり、タンク ノーマルが進化したものである。下の写真で分かるように、オリジナルのサントレは、その名前が示すように、タンク ノーマルを湾曲させてスリム化したものであり、タンクが将来カルティエのデザイン イノベーションに格好の材料を与えるといち早く感じさせるものだった。
ヴィンテージのタンク サントレは非常に限られた数しか作られていないため、オリジナルの状態を保った時計は極まれにしか売りに出されることがなく、見つけるのはまず不可能だと言える。そして、売りに出されたとしても、それは途方もない価格が付けられることになる。プラチナ製で、同じPTブレスレットが付いた時計は、まさにそれに当たる。
しかし、オリジナルの最高の時計を手に入れようと争う愛好家やコレクターには、2018年のSIHHで興味深い代替案が提示された。カルティエは、タンクコレクションが100周年を祝った1年後、タンクシリーズの他の少数のモデルと共に、新しいタンク サントレを発表した。復活したタンク サントレには、3つの伝統を受け継いだモデル、すなわち、ローズゴールド、イエローゴールド、プラチナが含まれており、これについては我々がSIHH 2018の際に紹介している。最近、2つのゴールドバージョンをハンズオンしてみた。これらは私の最近の記憶の中でも最もエレガントな時計の一つだ。そして、この点に関しては私の意見に異論を唱えるウォッチ ジャーナリストは誰もいないはずだ。
ケース
カルティエ タンク サントレよりもエレガントなプロポーションを持ったドレスウォッチはなかなか思いつかない。ジュネーブのSIHHブースで初めてこの時計を手にしたとき、これが本当に見た目も感覚もあらゆる面でヴィンテージ・ウォッチそのものと思える時計の代表格だと感じた。ケースサイズは46.3mm x 23mmで、幅のほぼ2倍の長さをもつケースの長辺には緩やかなアーチが掛っており、ボディの薄さを際立たせている。
上のリューズ側の写真で分かるように、ケースには側面に沿って直線的なブラッシュ仕上げが施されており、時計の縦方向に沿って走る4本のネジ用の穴がある。よく見ると、ケースバック自体は実際には湾曲しておらず、平らでなのである。ラグはケースバックの平らなプレートからやや下に向かって付いており、手首に優しくフィットする。またケースも厚くなく(厚さはわずか7.2mm)、タンク サントレは、それより100年近く前のドレスウォッチのように着けることができる。各側面の下端に沿ってケースにベベルカットが施されているが、このベベルはポリッシュで仕上げられており、全体的に静かで控えめな印象のある時計にコントラストをもたらしている。
この仕上げに加え、背面にはカルティエ銘が刻まれ、また時計が機械式、ゴールドまたはプラチナ製、そしてスイス製であることを示すマークも刻まれている。間近で見ると、リューズは華やかでありながら上品である。上の写真では、RGバージョンのリューズがブルーのカボションキャップで覆われている。
ダイヤル
これら3つの新しいサントレすべてに共通する最も印象的な要素の一つは、そのダイヤルである。初期のアールデコの美学を謳歌する、シンプルで細長いアラビア数字のデザインが独自の縦長の空間に収まっている。各ダイヤルには、12と6の2つの数字しかなく、残りのインデックスにはプリントスティックマーカーが用いられている。おそらく最も控えめなダイヤルはプラチナの限定版のものだが、残念ながら今回写真を撮る機会は得られなかった。ライトグレーのダイヤルとそこで採用されているWGマーカーの間の微妙な違いが特徴だ。微妙という点では、おそらくイエローゴールドのタンク サントレがこれに続く。これは、数字とマーキングがわずかに色あせたカラーで印刷されている。そして最後に登場するのが、よりアグレッシブなRGバージョンであろう。この時計には、真っ黒なダイヤルに、明るく鮮明なホワイトの数字が印刷されている。
YGバージョンでは時針と分針はブルーで、下写真のRGバージョンは、ケースは真に深みのあるカッパーで、針はこれとマッチしたピンクゴールドである。もし貴金属製のドレスウォッチのマーケットにいたとしたら、カルティエ タンク サントレは私に難しい選択を迫るだろう。私は提供されている3つのバージョンのどれでも喜んで着けるが、もし1つを選ばなければならないとしたら、おそらくPTにするだろう。2つ選ぶとするなら、PTとYGだ。
ムーブメント
ムーブメントはCal. 8971 MCで、2018年リリースされたタンク ルイ カルティエの一部でも使われていた。8971 MCは楕円形で、サントレの細長いレクタンギュラーケースに収めた手巻きムーブメントである。このムーブメントは、実はジャガー・ルクルトのCal. 846であり、主にこのグランドメゾンが長方形のレベルソに使用している。これは、約38時間のパワーリザーブを備え、18石、2万1600振動/時で動作する折り紙付きのムーブメントである。
ストラップとバックル
これら3つの時計はいずれも、ケースの素材にマッチしたバックルが付いたアリゲーターストラップが付いている。ストラップ自体、各時計に本当に完璧にマッチしている。YGにはライトブラウン、RGにはダークブラウン、PTの限定モデルにはグレーといった具合である。
カルティエ タンク サントレの価格は、YGとRGはいずれも208万8000円である。PTバージョンは100個しか製造されておらず、価格は241万2000円となっている(いずれも税抜価格)。詳細についてはカルティエ公式サイトへ。
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