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我々が知っていること
ルイ-ユリス・ショパールコレクション、通称L.U.Cコレクションは、垂直統合に注力した最高水準の“自社製”ウォッチメイキングを追求することで、ショパールをパテック フィリップやA.ランゲ&ゾーネと並び称されるブランドへと押し上げた。これ自体はHODINKEE読者には既知の事実であろうが、COSC認定およびジュネーブ・シール取得の新作コレクションを紹介するにあたり、改めて強調しておきたいポイントである。
ショパールの頂点を示すコレクションであるL.U.Cシリーズは目新しいものではない。1996年に発表された時刻表示のみのCal.1.96を搭載したモデルは、伝統的なウォッチメイキングが“復活”を遂げるなかで、ブランドを本格的な時計メーカーとして確立するための明確な試みであった。そして驚くべきことに、その試みは成功を収めたのである。時を進めて、Watches & Wonders 2023で発表されたエントリーレベルのヒット作であるL.U.C 1860のような最近のモデルを経て、ショパールはこのコレクションを再構築し、顧客やコレクターにとって目指すべき存在感を持たせたようだ。本日発表された3つの新作もその例外ではない。多くの人々にとっては複雑で憧れの的でありつつも、競合やその細部へのこだわりを考慮すれば、手の届く存在として仕上げられている。
今回発表された新作3モデルには、L.U.Cコレクションのデザインが少し新しい方向に進んだことがよく表れている。ケースはこれまでより薄く、19世紀の懐中時計にヒントを得た柔らかな“バシーヌ”シェイプになっている。リューズには溝が刻まれ、サファイアクリスタルは少しだけ丸みを帯びたデザインだ。これら変更点と、今後のモデルでも同じ方向性が続く予定であることは、ショパールがプレス向けリリースのなかで明らかにしている。こうしたポイントに注目すると今回のケースやリューズ、サファイアクリスタルが従来のL.U.Cコレクションのモデルとはっきり違って見えることがわかる。
ショパール L.U.C フライング T ツイン パーペチュアル
まずは今回の主役ともいえるL.U.C フライング T ツイン パーペチュアルから紹介しよう。このモデルは、ショパール史上初めてフライングトゥールビヨンとパーペチュアルカレンダーというふたつの複雑機構を組み合わせている。このふたつの機能自体はL.U.Cコレクションではおなじみだ。パーペチュアルカレンダーは2005年に初めて登場し、フライングトゥールビヨンは2019年にラインナップに加わっている。しかし、このふたつを1本の時計にまとめたのは今回が初めてだ。
L.U.C フライング T ツイン パーペチュアルのケースサイズは、直径40.5mm、厚さ11.63mmとバランスの取れたプロポーションだ。素材には、ショパールがエシカルな18Kイエローゴールドと呼ぶ“フェアマインド認証”を受けたYGを使用している。価格は18万4000ドル(日本での価格は要問い合わせ)だ。
文字盤も同じくエシカルゴールドを使用しており、手作業で施されたギヨシェ模様が特徴だ。カラーはPVD加工で仕上げた深みのあるフォレストグリーンで、6時位置のフライングトゥールビヨンを中心に放射状のサンバースト模様が広がっており、これが通常のL.U.C パーペチュアル ツインとの大きな違いだ。
さらに、9時位置のデイナイト表示にも細かい工夫がある。昼間は放射状の模様、夜は水平の模様というデザインが取り入れられていて、細部まで手が込んでいる。同心円状のスネイルトラックが文字盤を囲み、ミニッツトラックの下にはチャプターリングが配されている。針はドフィーヌ フュゼ型で、インデックスとともにYGで仕上げられている。
搭載されたCal.L.U.C 96.36-Lは、同モデル専用に完全自社製として設計されたL.U.Cコレクション初ムーブメント、Cal.1.96を基に構築されている。319個の部品で構成されながら、厚さわずか6mmという驚異的な薄さを誇るこのムーブメントはCOSC認定を受けているほか、品質の証であるジュネーブ・シールの取得も果たしている。またショパール独自のツインテクノロジーにより、ふたつの香箱を上下に重ねた設計とし、約65時間というパワーリザーブを実現した。
ショパール L.U.C ルナ ワン
次に、本日発表されたショパールのもうふたつの新作に移ろう。ひとつ目は、2005年に初登場したL.U.C ルナ ワンのアップデート版だ。このモデルは20年以上にわたって生産が続けられており、今回で2度目の刷新となる。最初のリニューアルは2012年に行われた。L.U.C ルナ ワンは、パーペチュアルカレンダーと軌道型(オービタル)ムーンフェイズを備えており、ムーンフェイズの精度はなんと122年で1日の誤差に収まるという高精度を誇る。実に見事な性能だ。
このモデルの真の特徴は、天文学的な精度を持つ軌道型ムーンフェイズにある。これは月の満ち欠けを、北半球と南半球の両方から観測できるように表示する仕組みだ。ムーンフェイズのディスクはスモールセコンドダイヤルの周囲を回転し、夜空を再現するために北斗七星と南十字星の星座模様があしらわれている。
(左から)2005年の“マークI”、2012年の“マークII”、そして2025年の“マークIII”。
今回のL.U.C ルナ ワンの第3世代モデル、通称マークIIIは、2012年の前作(ケース径43mm、厚さ11.4mm)と比べ、ケース径40.5mm、厚さ11.63mmとコンパクトになっている。本日発表されたのは、エシカルホワイトゴールドケースにサーモンピンクの文字盤を備えたモデル(161951-1002)と、エシカルローズゴールドケースに深みのあるブルー文字盤を備えたモデル(161951-5001)の2種類である。価格は1269万4000円(税込)からだ。
L.U.C ルナ ワンの文字盤デザインは、L.U.C フライング T ツイン パーペチュアルと多くの共通点がある。どちらのモデルもエシカルゴールドを使用し、手作業でギヨシェ仕上げをあしらっている。文字盤のギヨシェは6時位置のムーンフェイズ表示を中心に放射状に広がるデザインで、これがこのモデルの特徴的な要素だ。L.U.C フライング T ツイン パーペチュアルでフライングトゥールビヨンが注目されるのと同様に、このムーンフェイズがルナ ワンのアイコン的存在となっている。
新しいL.U.C ルナ ワンには、前作と同様ショパール製のCal.L.U.C 96.13-Lを搭載している。壊れていないなら直す必要はないということだ。同キャリバーは355個の部品で構成されており、すべてのショパール96系ムーブメントに共通するソリッドゴールド製マイクロローターによって、薄型設計を実現している。またこちらの新作も、ショパールのツインテクノロジーによりふたつの香箱を上下に重ねた設計にしており、約65時間のパワーリザーブを実現している。
我々の考え
2023年に発表されたL.U.C 1860はコレクターたちから大絶賛され、地元のブティックでは手に入りにくい“入手困難なモデル”として話題になったが、L.U.Cコレクション全体の性質は、そのようなハイプとは無縁であるといえる。今回の新作、そして最近の1860以降に発表されたL.U.Cモデル全般を見ると、ショパールがこのコレクションを実際に購入できるものとして提供しようという明確な意図を感じる。複雑機構やハイエンドなモデルに重点を置くことで、全員がこぞって買いに走るような時計ではないということも、むしろブランドの狙いに合っているのだろう。L.U.Cコレクションは真に時計を愛するマニアのためのラインナップだ。そしてそのマニアの一員として、これは愛を込めて伝えている。
ショパールが今回の3モデルで見られるデザインの変化を強調し、これを今後の戦略と位置づけている点は非常に興味深い。これまでに数多くのプレスリリースを目にしてきたため、華やかな言葉の裏を読むことにも慣れてきたが、今回のケースデザインの変更は注目に値するし実際に進化を感じさせるものだ。特に側面から見ると、ラグのデザインが以前のL.U.Cコレクションで一般的だったケース一体型のものから大きく変わっているのがわかる。本作のラグはケース本体に溶接されており、過去のモデルのような一体成型とは異なる。この新しいデザインは個人的にとても好みであり、今後のラインナップにもこの美学が受け継がれていくのが楽しみだ。
ショパールの新しい曲線的な“バシーヌ”シェイプケースにも興味をそそられる。このデザインでは、裏蓋に近いベース部分がドーム型で磨き上げられたベゼル部分よりも細くなっている。この形状は実物を手に取ってみないと完全には理解しきれないかもしれないが、個人的には現代的な時計でこういった形状を好むことが多い。総じてこれらの時計は、ショパールの最上級コレクションに属する高価なモデルではあるが、適切なコレクターにとってはその価格に見合う価値が十分にあると感じる。どちらのモデルも緻密に考え抜かれた改良が施されている点が素晴らしい。
価格 & 発売時期
価格: L.U.C フライング T ツイン パーペチュアルが18万4000ドル(日本での価格は要問い合わせ)/L.U.C ルナ ワンが1269万4000円から(税込)
詳しくはこちらをご覧ください。
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