trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

The Value Proposition シチズン エコ・ドライブ プロマスター タフ

究極の信頼性と正確性を兼ね備えた腕時計。

ADVERTISEMENT

ずっと夢見ていた時計がある。触らずとも私のどんなニーズにも応えてくれ、いつでも正確で、永久に動き続ける腕時計だ。そんなの空想だよ、と思われるかもしれない。だが、現実的にそのような時計があるのであれば、せめて私が生きている間だけでも私の腕でその夢を叶えて欲しい。時計が機械である事を考えると、不自然で真逆の発想かもしれない。それに、良い腕時計を保有する楽しみの一つは日々のケアやメンテナンスだ。腕時計作りの歴史の中で、永遠に動き続けるモノなど少しも可能と思われていなかった。定期的なゼンマイの交換やオーバーホールをするのは当然のことである。しかし、ここ数十年間の技術の発展のおかげで、私の「止まることのない腕時計が欲しい」というファンタジーが叶うかもしれないところまできた。シチズン エコ・ドライブ プロマスター タフがその腕時計と断言はできないが、いま世にあるどんなタイムピースよりもそれに近い。さらに素晴らしいのが、宣伝されている通り、とてつもなくタフな腕時計なのだ。

エコ・ドライブ プロマスター タフには新たな面もいくつかある。とてつもない重さであったスーパータフもよく覚えているが、基本的な原理は一緒だ。ソーラーパワーで動く頑丈なアナログ時計。デザインと構成は、保有者が生き延びることが難しいであろう過酷な状況でも耐えられるように作られている。そういう意味では、G-SHOCKに似ているかもしれない。だが、エコ・ドライブ プロマスター タフと大きく違うのは、G-SHOCKは液晶表示のマルチファンクションウォッチということであり、耐衝撃性では圧倒的に有利と言える。ただし作動ボタンと設定ボタン以外は可動部品のないゴツいG-SHOCKは、信頼性の観点から見るとアナログクォーツ時計に明らかに劣ってしまう。

一万年時計

永遠の時計にこだわるなら、一万年時計はいかがだろうか。デザイナー達は、この砂漠に設置された時計が人類よりも長く動き続けることを期待している。

タイムマシンで恐竜時代に連れ戻されたと想像してみよう。となると、欲しい時計に一番必要な要素は何だろう。その候補がもしも機械式のタイムピースで、直すことのできない破損があったらどうだろう? そんなことを考えると、他に良い選択肢があるならわざわざ機械式を選ぶ必要はない。機械式時計を永久に使うにはメンテナンスが必要であり、その定期的なオーバーホールを欠かすようであれば、しばらくは平気かもしれないが、そのうち何が起きるか分かったものでない。どんなに素晴らしい時計であろうと、20年も放っておけばボロボロになり故障は避けられない。

(例外はある。ジョージ・ダニエルズ<George Daniels>の自伝によると、彼は自分の時計を10年以上もメンテナンスしなかったが、元の状態と至って変わらなかったという。まあ、20世紀最も偉大な時計職人の彼のケースはさておき、ヴェロキラプトルの攻撃から身を守るのに、ダニエルズ本人がチョッキのポケットから自身の名作懐中時計「スペース・トラベラー」を出すような、H.G.ウェルズ<H.G.Wells>の小説さながらの魅力と格好良さを彷彿させる)

どんな時計も同じ一つの目的を持つが、エコ・ドライブ プロマスター タフとG-SHOCKも腕時計の同様に魅力を放つ。いや、それ以上の存在感が両方にある。エコ・ドライブ プロマスター タフにはG-SHOCKのような多機能液晶時計の汎用性に劣るが、G-SHOCKにはない航空時計のクラシックでシンプルなデザインや、20世紀のフィールド時計の歴史を感じるタイムピースである。フィールド時計という観点から捉えるのであれば、シンプリシティという魅力はとてつもない長所だ。私も多機能液晶時計を数個持っているが、こちらにも魅力はある。中には説明書を見ないと操作が困難なほど複雑な機種もあるが、基本的には難しそうな操作もしばらくすれば感覚的に扱うことが可能だ。

ADVERTISEMENT

エコ・ドライブ プロマスター タフのデザインは至ってシンプルだ。直径42mm、厚さ10.75mmのモノコック構造のスティールケース(ムーブメントは文字盤側からセットする)の外側はシチズン独自のデュラクテクト・チタン合金で覆われており、標準のSSよりも5倍の耐傷性がある。クリスタルは合成サファイアだが、全体的に堅固さが伺える。ねじ込み式リューズはリューズガードで保護され、防水性能は200m、耐磁性は4800a/m(アンベア/メートル)である。メンテナンス無しに永久的に動く時計を探しているのであれば、時計内の充電式セルが唯一の懸念材料だが、エコ・ドライブ プロマスター タフの説明書には強気に「時計が壊れない限りパワーセルは動き続ける」と記されている。シンプルかつ堅牢な構造を考えると、とてつもなく長い時間が想像される。

エコ・ドライブ プロマスター タフはバリスティックコーデュラストラップかブレスレットの設定があるが、この時計はストラップ仕様の方がいい。採用されたムーブメント同様「時計が壊れない限り」使えるからだ。ケースと同じぐらい頑丈な作りで快適である。ケースとストラップに派手なデザインは何ひとつないが(ケースバックの最小限のエングレーブをそう受け止めるかはユーザー次第だが)耐久性の面では、文句のつけようがないほど丈夫に作られ、フィールド時計ファンには申し分ない設計である。エンジニアリング魂とその先に目指しているゴールが見えてくる時計であり、派手さを排除した純粋な美学を肌で感じることができる。

針とダイヤルマーカーのスーパールミノバのおかげで夜間における視認性も素晴らしい。スーパールミノバは、1993年にトリチウム発光塗料の代替品として日本企業の根本特殊化学が製造し、スイスのTritec Agがライセンスを得て製造している。

この時計は本当に「永遠に動く」のか? 決してそうではない。ただ最近のほとんどの時計に比べたら遥かにそう思える。多機能液晶ウォッチではないから回路は至ってシンプル。針を駆動するステップモーターの機械的な力はとてつもなく弱いため、普段使いで使用する分には時計の負担にならない。シチズンは「時計が壊れない限りパワーセルは動き続ける」と言う。これは「所有者の心臓は本人が死ぬまで働き続ける」と言っているようなものだが、言いたい事は理解できる。私の保有するシチズン エコ・ドライブはすでに20歳だが、衰えを全く感じない(ちなみに、エコ・ドライブ スカイホークというモデルだ)。

もしも破損という恐れを2箇所あげるとすれば、バネ棒に加え、針やダイヤルに使用されているルミノバであろう。SLNは30年近く使用されており、一般的に耐久性があり化学的にも安定しているように見える。ただ、太陽光の紫外線にさらされると塗料の中塗りの化学的老化が時間の経過と共に生じる。繰り返し強い日光に当てたときの塗料の老化は当然起こり得るように感じてしまうが、その度合いは私にも分からない。

バネ棒は一般的に問題なさそうだが、100%という事はこの世にない。毎日何百万(何十億?)の手首に同じ数だけの時計がされているが、それでも完全に信用できない自分がいる。数年前にも書いたが、この時計は修理や掃除ができない(時計を水で綺麗にすることが掃除かどうかは判断をお任せする)。それでも止まらず動き続ける。同時に、メンテナンスができない置き去りにされたかのような機械がどこまで動き続けるのか懸念されるのは仕方がない。

これら2つの要素を踏まえても、この時計がどれだけ素晴らしいかが伝わることを願う。絶対的なシンプルさに、徹底的に不必要なものを排除した潔さ。エコ・ドライブ プロマスター タフは誰にも媚びていない存在感を示すのだ。この時計を見ていると、腕時計の基本技術がどれだけ進歩したかが見受けられる。このタフモデルは前のシリーズ同様、カルト的な作品に十分なり得るだろう。アインシュタイン・ローゼンのワームホールへ片道で行くのであれば、持っていく時計は価格を問わず決めるのが難しいが、間違いなくこの時計はそのリストに加わる。特にストラップが付いて340ドル(約3万7000円)で手に入ることを考えれば、とんでもなく価値があるタイムピースと言わざる得ない。

 さらなる情報はシチズン公式サイトへ。