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Introducing グランドセイコー エボリューション9 コレクション AJHH 限定 SLGA017(編集部撮り下ろし)

4作目となるグランドセイコーとAJHHのコラボモデルで表現したのは、雄大な信州の雪原そのものだった。

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クイック解説

新年早々、国内外に無数に存在するであろうGS(グランドセイコー)ファンの気持ちを昂らせる快作が登場した。ピリリと肌も引き締まる冬の寒さをその顔に落とし込んだような、清々しいスカイブルーが目を引くAJHHコラボモデル、SLGA017である。AJHHの正式名称は、「日本正規高級時計協会」。日本の時計文化、歴史を後世に正しく伝えることを使命とする団体であり、現在では国内19社が参加している。そんなAJHHとグランドセイコーのコラボレーションも2023年で4作目となる。

 今作最大の見どころは、上記でも触れた清廉な空気を纏うスカイブルーの文字盤である。これまでもスプリングドライブの製造拠点である信州の地、その大自然にちなんだ“白樺”や“玉響(たまゆら)”などの加工を文字盤に施してきたGS。今作も例に漏れず、スノーフレーク状の凹凸を設けることで雄大でありながらも繊細な表情の雪原を表現している。ちなみにGSファンのなかには、過去の雪白ダイヤルモデルと何か異なる気がする……、とお気づきの方もいるのではないだろうか。その理由は、薄くとられた見返し、風防と接する縁部分に施された青いリングの蒸着処理にある。風防のガラスを通してメタリックにきらめくわずか0.5mm以下のこだわりが、デザインの完成度をより高い次元へと押し上げている。

 なお、言うまでもないだろうが、SLGA017は2020年にスタートしたグランドセイコーの新しいデザインコードである“エボリューション9”スタイルを踏襲している。そもそもセイコーは、1967年の44GSによって完成を見た“セイコースタイル”なる普遍のデザイン文法を守り続けてきた。過去に記事でも触れたように、セイコースタイルはいくつかの明確なルールに基づいて定義されており、歪みのない鏡面とエッジが効いた切削面が立体的に絡み合うことで、光と影のコントラストを生み出している。そこには光の裏の陰を認める、日本ならではの陰翳礼讃(いんえいらいさん)の精神が息づいているように思う。同スタイルの発明が正義であったことは、半世紀以上にわたりグランドセイコーに大きなデザイン変更が加えられていないことからも明らかだ。

 端的にいうと“エボリューション9”スタイルとは、そんな完成されたデザイン文法をさらに進化させた新たな境地である。光を柔らかく受け止めるヘアラインの効果的な採用により、鮮やかな陰影を強みとしていたセイコースタイルに対し、静けさのある美を表現している。また、さらに低く取られた重心、ケース径の半分以上の幅で設定されたメタルブレスは快適な装着感を実現しているだけでなく、今作においては文字盤上に表現された雄大な雪原をどっしりと受け止める土台としての役割も果たす。これにより、ケース径は40mmとベーシックながら、手首の上において実寸以上の存在感と重厚感をもたらしている。

 最高峰の腕時計を目指す意味を込め、1960年から裏蓋に鎮座する獅子は本モデルでも健在だ。その獅子は“Limited Edition by AJHH”、“Association Japan de la Haute Horological”の文字とともに深みのあるブルーでくっきりと表現されており、今作がスペシャルな1本であることを強調している。その奥に見えているのは、約5日間ものパワーリザーブを誇るスプリングドライブムーブメント、Cal.9RA2。2020年に発表されて話題を呼んだCal.9RA5からの変更点として、裏蓋側に変更されたパワーリザーブインジケーターの青針が、ローターの奥に確認できるはずだ。

 そんなCal.9RA2に施された仕上げの名称は“信州霧氷仕上げ”。スプリングドライブが生み出される地、信州の冬に着想を得たものだが、SLGA017においては文字盤のコンセプトと抜群のマッチングを見せているように思える。なお、バックル部の“GS”ロゴ部分をイエローゴールドであしらっているのは、一部の数量限定モデルでも見られたポイントだ。密かに満足度向上に貢献する意匠である。

ファースト・インプレッション

これまで、赤系の色味をポイントで取り入れたデザインが続いていたAJHHモデル。前作では日本らしく日の丸をイメージした、という話もあり、コンセプトとしても非常にわかりやすいものだった。となれば今年もおそらく……、という予測をSLGA017はよい意味で裏切ってくれた。雪白ブルーダイヤル採用の理由として、企画担当者はAJHHの協会ロゴをモチーフにした結果と語る。しかし、このデザイン上のベクトル変更については、”エボリューション9”スタイルをベースとしたことによる必然もあったのではないかと考えている。

 ベゼルに設けられた平面のほか、“エボリューション9”へのアップデートにより各所に意図的に設けられたヘアライン加工。ともに太く、存在感を増した時分針とインデックス。幅広になったステンレススティールブレス……。現行のラインナップからも思うところだが、同スタイルが備えるいくつかの要素はモノトーンにシルバー、そしてブルーと静的なカラーリングとの相性がよい(もちろんSLGA008のようなエレガントなゴールドも、同様に素晴らしい)。実寸よりやや広く見える文字盤も、白樺ダイヤルや今回の雪白ダイヤルのような、ギラつきを抑えた加工を生かすキャンバスとして有用だ(前作と並べた以下の写真も参照して欲しい)。

左が前作SBGA421(ケースサイズ41mm)、右が1月21日に発売となるSLGA017(ケースサイズ40mm)。

 総じて、コラボモデルという特別感を重視しがちな土壌において、本作は実に合理的で実用性の高い1本に仕上がっている。誰しも1着はワードローブに用意しているであろう、ネイビージャケットとの相性も間違いない。セオリーどおり鮮やかなブルーダイヤルを合わせる選択肢も捨て難いが、着こなしの統一感を損なわずに意外性を演出できるSLGA017がもたらすメリットは、かなり大きい。このバランス感は、ブランドを尊重しつつ、顧客の喜ぶものを提供しようとするAJHHならではのものであるように思う。

 実際、僕も撮影のために腕に乗せてみたとき、この時計を一気に好きになった。手持ちのGS(36mm径)と比較するとやや大ぶりのはずなのだが、低く設定された重心の恩恵か、それを支える幅広のストラップの功績か、不思議と重たさも気にならない。11.8mmに抑えられた厚さもジャケットの袖口で邪魔にならず、デイリーユースの1本としても適しているように感じた。完全に個人の好みだが、今作が36mm、いや38mm径になったら……、と考えもした。しかし、こと雪白ブルーダイヤルにおいてはこれ以上小さくなってしまうと急に印象が弱まってしまうかもしれない。結論、このままでいいのだ。

 大きな印象の変化こそあったものの、SLGA017だけがこれまでのAJHHコラボモデルとまったく異なる文脈にあるとは考えていない。見返し部分のリングは前作SBGA421でも見られた意匠であるし(余談だが、今作にリングが継続されたのは2022年に実施したHODINKEE Japanのインスタライブもひと役買っているのだとか)、ブルー同様にAJHHのイメージカラーであるゴールドは前述通りバックルに落とし込まれている。AJHHとグランドセイコーの取り組みは、ユーザーの声をGSという枠組みのなかで実現したい、という思いから始まったものだ。であれば今回のSLGA017は“エボリューション9”スタイルに対してAJHHが今考える最適解であり、その出来栄えにこれからの取り組みにも自然と期待が高まるのである。

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基本情報

ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: エボリューション9 コレクション AJHH 特別限定モデル(Grand Seiko Evolution 9 AJHH Limited Edition)
型番:SLGA017

直径: 40mm
厚み: 11.8mm
ケース素材:ステンレススティール
文字盤色: 雪白ブルー
インデックス: アプライド
夜光: なし
防水性能: 日常生活強化防水(10気圧)
ストラップ/ブレスレット: ブレスレット(ワンプッシュ三つ折れ方式)


ムーブメント情報

キャリバー: 9RA2
機構: 時、分、秒、パワーリザーブインジケーター(裏面)
直径: 34mm
厚さ: 5mm
パワーリザーブ: 約120時間
巻き上げ方式: 自動巻きスプリングドライブ
石数: 38
クロノメーター認定: なし
追加情報: 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)


価格 & 発売時期

価格: 108万9000円(税込)
発売時期: 2023年1月21日(土)発売予定
限定: 数量限定255本(AJHH加盟店のみの取り扱い)

詳細は、こちらをクリック。