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我々が知っていること
キックスターター発のブランドからマイクロブランドへと成長したラヴァンチュールが、最も魅力的なデザインと言えるかもしれない“マリーン タイプ3”を発表した。この新作はこれまで築き上げてきたデザイン言語を新たな方向へと進化させ、これまでで最も独創的なモデルとなっている。
新作のマリーン タイプ3は、1980年代の時計デザインとマリンクロノメーターから着想を得ており、ケースにはグレード23チタンが使われている。サイズは直径38mm、厚さ11.2mmだ(背の高いアクリル風防を含む)。“一体型風”のエンドリンクデザインで存在感はあるが、付属のストラップを装着してもラグ・トゥ・ラグは46.2mmと大きすぎず、適度なサイズ感に収まっている。
チタンケースには、一般的なサンドブラスト仕上げではなく、マットなストーンウォッシュといったユニークな手法による仕上げが施されており、独特のテクスチャーと柔らかいエッジが特徴だ。同じくチタン製のソリッドベゼルには60分目盛りが刻まれ、ブラックラッカーで塗り込められている。ベゼルはプレキシガラス風防を囲むデザインになっており、ダイヤルはホワイトまたはブラックの2種類がある。ホワイトダイヤルはスーパールミノバとセラミック系レジンを混ぜて成形され、全面が光る仕様となっている。一方のブラックダイヤルはガルバニック仕上げで、テキストやインデックスにはスーパールミノバがパッドプリントされているため、どちらも高い夜光性能を備えているが、ホワイトダイヤルのほうがより個性的な選択肢だろう。針もダイヤルカラーに合わせてデザインされており、ホワイトダイヤルにはマットブラックコーティングのチタン製針、ブラックダイヤルにはマットホワイトのスーパールミノバが施されたチタン製針が組み合わされている。
この時計のダイヤルの下には軟鉄製のプレートが入っており、ムーブメントリングやケースバックと一体になって、ファラデーケージ(編注;磁気を遮断する構造)を作り出している。これによって高い耐磁性を実現しており、ラヴァンチュールは、この時計がISO 764規格(4800A/mの磁場にさらされても精度を保つ)をクリアする耐磁性能を持つことをアピールしている。搭載ムーブメントはセリタ SW300-1をベースにしており、3Nゴールドメッキや装飾パーツ、ブランド独自の刻印などのカスタマイズが加えられている。“クロノメーター”という名前のとおり、マリーン タイプ3 クロノメーターはCOSC認定を取得しており、精度は日差−4秒から+6秒に収まることが保証されている。またマイクロブランドとしては珍しく、ラヴァンチュールは“100%スイスメイド”を掲げており、すべてのパーツがスイス国内で設計・製造されていることを意味している。
ラヴァンチュール マリーン タイプ3は、ホワイトダイヤルとブラックダイヤルの両方とも年間各100本限定で生産される。付属品として複数のカラーオプションから選べるラバーストラップとファブリックストラップが同梱され、価格はそれぞれ4200スイスフラン(日本円で約75万円)だ。
我々の考え
このブランドを何年も追ってきたが、ラヴァンチュールの時計で“私も着けたい”と本気で思えたのはこれが初めてだ。以前は、デザイン言語(有名な一体型ブレスレットデザインからいくつかの要素を取り入れている)が自分の好みとは異なっていた。しかし、このマリーン タイプ3 クロノメーターは、シルエットこそ似ているものの、印象がまったく異なる。確かにストーンウォッシュ仕上げのチタンケースといった特徴だけでも十分ユニークだが、ケースやベゼル幅、ダイヤルサイズの比率がこれまで以上に計算されているように感じられる。小振りなダイヤルも気に入っており、フォントサイズも多層構造のなかでバランスよく配置されている。また60の目盛りがベゼルとダイヤルの両方にあるのは、人によっては余計に思えるかもしれないが、私としてはとても魅力的で実用的だと思っている。ベゼルの目盛りは秒針とぴったり合い、ダイヤル上の目盛りは分表示に最適だからだ。
マリーン タイプ3はまるで“強化版のフィールドウォッチ”のような印象で、その外観がとても気に入っている。ただ、ひとつだけ気になる点を挙げるとすればプレキシガラス製の風防だ。確かにこの素材には独特の魅力とヴィンテージらしい雰囲気があるが、ツールウォッチはどうしても傷がつくことが前提であり、日常使いを考えると実用的とは言えず、頻繁にポリッシュしなければならないのが難点である。
最大のポイントは、顧客が“100%スイスメイド”であることに4200スイスフラン(日本円で約75万円)という比較的高めの価格に納得できるかどうかだろう。この価格には、年間各色100本しか作られないため大量生産によるコストダウンができないことも影響している。同じようなデザインの時計なら、ほかのマイクロブランドからもっとずっと安い価格で発売されているし、この価格帯になると大手ブランドの選択肢もたくさんある。それでもクラシックとは一線を画す本当にユニークなツールウォッチを求める人にとって、このモデルはぴったりかもしれない。
基本情報
ブランド: ラヴァンチュール(Laventure)
モデル名: マリーン タイプ3(Marine Type 3)
直径: 38mm
厚さ: 11.2mm(風防を除いたケース厚は8.9mm)
ケース素材: グレード23 チタン
文字盤色: ホワイトまたはブラック
インデックス: プリント
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: ラバーストラップ、追加でファブリックストラップも付属
ムーブメント情報
キャリバー: Cal.4 (セリタ SW300-1b)
機能: 時・分・センターセコンド表示
パワーリザーブ: 56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
クロノメーター認定: あり、COSC認定
価格&発売時期
価格: 4200スイスフラン(日本円で約75万円)
発売: ラヴァンチュールのウェブストア
限定: あり。2025年の生産数はホワイトダイヤルとブラックダイヤルそれぞれ100本限定
詳しくはこちらをご覧ください。
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