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Hands-On ムーンフェイズを搭載したロンジン フラッグシップ ヘリテージを実機レビュー

これは完璧な時計ではないが、ただロンジンはフラッグシップ コレクションに価値のあるコンプリケーションを加えた。

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Photos by Anthony Traina

時計をレビューするとき、正確には、“レビュアーの私はこの時計が好きだろうか?”が正しい質問ではない。これは実に退屈かつ単純で、本質的には主観的な質問である。より興味深く、関連度の高い質問は次のようなものである。“この時計は所期の目的を達成できているだろうか?”。例えば、このダイバーズウォッチはダイビングに使用できるのかとか、それともこのパイロットウォッチはパイロットが使用できるかどうかなどだ。

 ただドレスウォッチに対する問題は少し異なり、機能を念頭に置いてはいるが、より美的な面に突き動かされる。“この時計は袖口の下を通れるのか?”。こんなありきたりな質問が頭をよぎるのだ。

ロンジン ヘリテージ フラッグシップ ムーンフェイズ

 ロンジンの新作、フラッグシップ ヘリテージは、見る者の目を引きつける。クリーンで魅力的な文字盤に、ムーンフェイズ機能、装着のしやすさを考慮した直径38.5mmのサイズを実現しながら、価格は44万3300円(税込)と手ごろだ。しかし、時計はその目的を果たしているのだろうか? またこのようなムーンフェイズは、現代において何を目指そうとしているのだろうか?

 フラッグシップ ヘリテージの厚さは12.4mmで、エレガントな展望を持つムーンフェイズウォッチとしては考えられないほど厚い。手首につけると相対的に背が高くなり、平らに納まる。これは裏蓋がラグよりも低い位置にあるおかげでもある。同モデルをテーブルの上に置くと裏蓋だけがその上に乗っかり、ラグは少し高く浮く。腕時計を手首に装着したときにも起こる現象であり、私がドレッシーな腕時計で好んでいる、曲線的でドレープな形状を描く横顔にはならない。

ロンジン ヘリテージ フラッグシップ ブルーダイヤル

 ロンジンは、マスターコレクションのような以前のムーンフェイズと比較して、フラッグシップ ヘリテージによりスポーティな(しかしよりコンパクトな)ケースシェイプを選択した。フラッグシップ ヘリテージのラグからラグまでのサイズは47mmで、ラグはポリッシュ仕上げのファセットからサテン仕上げのミドルケースへと移り変わっている。またロンジンを代表する、ゴールドとブルーのエナメルでできたエンブレムを施したねじ込み式の裏蓋により、フラッグシップ ヘリテージに求められる30mの防水性を確保した。

 リューズは、ベースキャリバーに追加されたムーンフェイズモジュールの恩恵により、ミドルケースのなかでも比較的低い位置に収められた。なおロンジンのCal.L899.5は、親会社であるスウォッチグループのETAキャリバーがベースとなっている。59個の歯とふたつの月がプリントされたディスクによって駆動し、それが1日に1枚ずつ歯が進む、シンプルなムーンフェイズコンプリケーションを採用している。朔望月の1カ月は約29.5日(正確には29日と12時間44分2秒)であり、40万円台のムーンフェイズにこの機能は期待できるだろう。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ 38.5mm

 フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズには、オパラインシルバーにゴールドトーンのアクセント、またはシルバーかブルーにホワイトメタルのアクセントを施した、3種類のダイヤルオプションがあり、いずれもスティールケースで提供される。今回私は、その最後のひとつ(ブルーオプション)を実際に手に取った。ブルーサンレイのダイヤルの上に鎮座するサブダイヤルはサーキュラーグレイン仕上げで、ポインターデイトの意匠がコントラストを生み出している。ドフィーヌ針はポリッシュ仕上げで、そこにはスーパールミノバを塗布。ただ文字盤にそれとマッチする夜光塗料がないのが少しだけ気になる。というのも従来であれば、夜光の針は、同じく夜光塗料が付いた文字盤と結びつくはずだからだ(ヴィンテージウォッチの場合は、文字盤と針が同時期のものかどうか見分けるひとつの手段になる)。ダイヤルもわずかにドーム状になっているのが特徴で、これはドーム型クリスタルによってさらに強調されているように見える。フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズは、各ダイヤルとおそろいのアリゲーターストラップが付いている。私ならこのドレッシーなストラップを、すぐに19mmのラグ幅に合うカジュアルなものに変えるだろう。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ケースバック

 ムーンフェイズ自体は少し地味な印象だ。ユニバーサル・ジュネーブのトリコンパックスのように、ムーンフェイズの月に顔を描いたデザインが、いつかまた復活して欲しいものだ。しかしそれはまた別の話である(ブレゲでさえ、最近リリースしたQPで“月の男”をクビにしてしまった)。ただこの価格帯で、同程度のムーンフェイズモデルはほとんど存在しないため、ムーンフェイズ自体に文句を言うのはお門違いだろう。

 それでも文字盤が目を引く美しいものであるのは間違いなく、これだけでも新しいフラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズを一見する価値はある。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージのケースサイド

フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズの厚さは12.4mmだ。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージを着用して、横から見たイメージ

 ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズについて、細かく指摘することはできても、解説するのは難しい。また冒頭で述べた疑問(この時計は所期の目的を達成できているか)の答えは、やはりイエスかもしれない。ただこのモデルは、あなたや私のような生粋の時計愛好家が望んだり期待したりすることと、違うことをしようとしているようだ。ムーンフェイズは特に実用的でも便利でもなく、その幻想的な雰囲気やアイデアに興味がある人のためのものだ。言ってしまえば時代錯誤なのだ。またムーンフェイズという古風なアイデアが好きなら、機械式時計という過去の遺物も好きなのかもしれない。ムーブメントを妥協した結果、ケースがスポーティになりすぎたり、厚くなったりしても気にならないのかもしれない。少なくとも今はまだ。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズのシルバーサンレイダイヤルバージョン

フラッグシップ ヘリテージのほかのバリエーションであるシルバーダイヤル。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズのシルバーオパラインダイヤルバージョン

それとオパラインにゴールドアクセントを加えたものもある。

 ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズは、まだ時計にあまり詳しくない人のための、オールドスクールな複雑さを持つドレッシーな時計を目指しているようだ。手首の装着感や“袖口の下を通る”テストには合格していないが、すっきりした印象でよくできている。でも今時、かっちりとした袖口のものを着ている人なんていないだろう?

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ブルーダイヤル

 これは私のための時計ではない。しかし、それは最も重要な問題とは程遠く、ロンジンはすでに、ロンジン マスターコレクション スモールセコンドロンジン ヘリテージ クラシック “セクターダイヤル”、あるいは39mmの新しいロンジン スピリット  Zulu Timeなど、私にとって大変素敵な時計をたくさん作ってくれている。この時計は何かほかのものを目指そうとしており、それを見事に実現しているのだ。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ。直径38.5mm(ラグからラグまでは47mm)、厚さ12.4mm、30m防水。ステンレススティール、シルバーオパラインにゴールドトーンのアクセント、シルバーサンレイまたはブルーサンレイにホワイトメタルのアクセントの計3種類のダイヤル。各配色にマッチしたアリゲーターストラップ。ムーブメントはCal.L899.5、自動巻き、2万5200振動/時(3.5Hz)、約72時間パワーリザーブ。価格は各44万3300円(税込)。

ロンジン フラッグシップ ヘリテージ ムーンフェイズ
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新作のロンジン フラッグシップ ヘリテージの詳細については、ロンジン公式ウェブサイトをご覧ください。