trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Introducing ミン 20.11 'モザイク' 身につけるミニチュアの都市

レーザーエッチングされたサファイアの文字盤は、これまでに見たことのない光のショーを演出する。

我々が知っていること
ADVERTISEMENT

私が言いたいのは、ミンの時計はミンの時計だということ。つまり、腕時計の世界でよくみられる過去の有名なアイコンからインスピレーションを得るやり方ではない。ミンの時計はひと目で同社のものであるとわかるだけでなく、他にはないような時計を手に入れることでもあるのだ。

 ミン・ティエン氏が2017年に17.01を引っ提げて、自身の名を冠した会社を立ち上げて以来、基本的なデザインシグネチャーを維持しながらも様々なモデルをリリースしてきた。内部に搭載するムーブメントも同様だ。セリタなどのサプライヤーが提供する手頃な価格帯のキャリバーだけでなく、シュワルツ・エティエンヌなどより非常に高度なモディファイが施され洗練されたムーブメントを含め、取り扱うムーブメントの種類も拡大している。

 先日、ミンは最新の時計を発表した。20.11 モザイクだ。本機は、明らかにミンの時計であるにもかかわらず、ケース径という点で、同社の初期のデザインとは少し異なっている。オリジナルの17.01は38mm × 9.3mmで、シュワルツ・エティエンヌのマイクロローターキャリバーを搭載した時計でも、原則として39mm以下のサイズだった。今回の20.11 モザイクは、「もう少し大きな時計が欲しい」という顧客のニーズに応えたもので、グレード5のチタンケースを採用しサイズは41.5mm × 14mmとなっている。針はサファイアにセラミック製のスーパールミノバ(ハイセラム)をコーティングしたもので、表と裏の風防には二重の無反射コーティングが施されたサファイアクリスタルを使用している。ムーブメントは、19.05に搭載されていたミン社製のCal.ASE 200.2だ。ブリッジはスケルトン仕様で、マイクロローターで巻き上げられる。この新バージョンのムーブメントは、ブラックDLCで仕上げられ、ダイヤモンドカットの面取りが施されている。また、通常のミンウォッチと同様に、5姿勢で調整されている。

 しかし、この時計で最も目を引くのは、モザイク状のエングレービングが施されたサファイア文字盤だ。エングレービングは、フェムト秒(1フェムト秒は1000兆分の1秒)のレーザー照射をすることで、クリスタルに微細な正方形を刻む。これらは、クリスタルとエッチングの光学特性によって、見る角度によって完全に透明になったり、表れたりするパターンを形成する。モザイクパターンには全体で2650個の正方形があり、サイズや透明度には多くのバリエーションがある。レーザー照射を正確にコントロールすることで、クリスタルの非常に正確な位置に正方形をエッチングすることを可能としており、全部で3層構造になっている。

 このモデルは、既存の顧客向けに提供されるほか、50本は一般向けの限定モデルとして販売される。価格は1万4500スイスフラン(約174万円)だ。

我々が思うこと

 ミンの物撮り画像は業界をリードしているが(それもそのはず、ミン・ティエン氏が写真ブログを開設していた時期は、1800以上の記事が掲載され、インターネット上で最も広く読まれている写真家ライターの一人でもあった)、この時計を実際に見ることができないのは残念だ。精巧にエッチングされたサファイアクリスタルの文字盤が生み出す効果は、まばゆいばかりである。夜になると、針と文字盤に搭載されたスーパールミノバがクリスタルのエッチングに拡散した光を生み出し、まるで夜に明るい雲の上面を通過する飛行機から見下ろした街の光のようになるため、さらにその効果が高まるはずだ。

 文字盤は技術的に素晴らしい作品であり、この時計を見るときには常にそのことが頭の片隅にあるだろう。エッチングを行う際のレーザー照射は非常に短時間だが、それでも非常に小さな領域に集中して大きなエネルギーが費やされる。サファイアは光学グレードながら、それでも目に見えない欠陥や内包物がある場合があり、レーザー照射がその1つに当たると、クリスタル全体が粉々に砕けてしまう。これは、非常によく統合されたデザインに見られる唯一の潜在的な欠点をもたらしている。もしこの時計をドアにぶつけて文字盤が割れてしまったら、悲しいことになるだろう。これは「ロイヤル オークのベゼルに初めて傷をつけてしまった」レベルの悲しさではない。もっと例えるなら、「ああ、ブランクーシの『バード・イン・フライト』に自撮りをしながら後ろに下がっていたらぶつかってしまって、美術品と美術史に取り返しのつかないダメージを与えてしまった」ような悲しみだ。

 もちろん、いつかこの時計を見る機会がある可能性はゼロではないが、それまではこれで決まりだろう。高いだろうか? そう、高いですね。私に言わせれば、他の似非ヴィンテージのノスタルジーではなく、純粋に創造的な時計製造の誠実な作品を腕にすることに価値があるのだ。ムーブメントも素晴らしい。もし私がこの時計をもっていたら、散らかったアパートにお守りのような効果をもたらすのではないかと思う。きっとこの時計に見合うような生活を送るために、すべてを完璧に片付けたいと思うだろう。

ミン 20.11 モザイク: 41.5mm × 14mm、グレード5のチタンケース、両面無反射コーティングされたサファイアクリスタルを表と裏に使用。サファイア文字盤に3Dレーザーモザイク、セラミック製スーパールミノバXL。鏡面仕上げのベゼル、中空加工が施された "フライングブレード "ラグ。50m防水、ラグ幅22mm。

ムーブメントはシュワルツ・エティエンヌ for ミン Cal.ASE200.2、ツートンカラーのブリッジとダイヤモンドカットの面取りで部分的にスケルトン化。両方向回転式自動巻き、タングステン製マイクロローター、86時間パワーリザーブ。

付属品:スタジオコウジサトウのトラベルポーチ、発光体を充電する700ルーメンのナイトコアトーチ、パリのジャン・ルソーのストラップ2本。スイス製、2年間の保証付き。価格:1万4500スイスフラン、www.ming.watch onlyのみでの販売となる。