Introducing 誕生75周年を祝うオメガ　シーマスター ダイバー 300Mの最新モデル、“サマーブルー”グラデーションが登場

　2018年、オメガはこの時計の最新デザインを発表した。41mmから42mmへとサイズアップし、METAS認証を取得したコーアクシャル マスター クロノメーターCal.8800を採用。ムーブメントを鑑賞できるようシースルーバックへと仕様を変更して、当時物議を醸した（しかし現在はユーザーに受け入れられている）。それはシーマスターの誕生70周年を記念して当時発表されたモデルであり、そして我々が半世紀以上にわたってともに過ごしてきたシーマスター ダイバー 300Mでもある。75歳になっても大きな変化は見られないが、ただお祝いムードが漂っていることは間違いないようだ。では、それは正確には何を意味するのだろうか？

　それは過去を懐かしむだけでなく、時計デザインの現代的な背景にも通じる考え抜かれた変化を意味する。ヘリテージの観点から見ると、この新しいシーマスターはひねりを効かせたソリッドな裏蓋を復活させている。一般的に知られているタツノオトシゴのエングレービングの代わりに、本作では三叉槍を持つポセイドンを大きく刻んだより華美なデザインとなっている。

　現代的な視点から見ると、SMP300Mの新仕様で最初に目に飛び込んでくるのは文字盤だ。オメガはこのグラデーションを“サマーブルー”と呼んでいる。あえて言うならば、これはスモークまたはフュメダイアルの処理をブランドが取り入れたものであり、縁の暗い部分から中央の明るいブルーへとグラデーションがかっているデザインだ。この例では、海の深さで変化する色を表現している。

　マットダイヤルの表面にシボ感を与えており、既存のブルー、ブラック、ホワイト、グリーンのセラミックダイヤルが放つ光沢とは印象が異なる。またレーザーエッチングされたウェーブパターンは、既存モデルでもおなじみである。

　このリリースに先立ち、オメガがこの時計を以前の41mmサイズに戻したという噂が流れたが、その代わりに2018年のリリースから誕生した既存モデルと同じ42mmサイズで展開し、ブレスレットも同様のノンテーパースティールブレスレットとラバーストラップの2種類が用意されている。ベゼルインサートはブルーエナメル（グラン・フー）のダイビングスケールを備えたダークブルーのセラミック製となる。

　この新しい75周年記念のSS製シーマスターは、ラバーストラップが84万7000円、ブレスレットが90万2000円（どちらも税込）で、もうまもなく発売される。

　そしてそれこそが、まさにオメガがこの時計で行ったことなのだ。革新よりも過去を選択し、すでにある勝利の方程式に実にクールなアプローチを施したのである。この記事を執筆しているとき、HODINKEEチームの何人かと話をしていて、このような時計とは何なのかについて考えていた。華美なダイヤルを選択してしまうと、すでにシーマスター ダイバー 300Mを持っている人のための（サブ的な）ものという感じが強い。これは日常的な時計ではなく、コレクションに加えるべき特別なものであり、それに何も問題はない。

　オメガはスペシャルとか限定モデルで知られているが、この時計は近年、ブランドがさまざまなオリンピックの時期に発表してきたものとよく一致している。もしこれを唯一無二のシーマスターとして選ぶのであれば、それはそれで素晴らしいことに変わりはない。そのような背景でも問題なく使える。

　さて、今回のデザインの選択はどれも気にしていないのだが、でも少し物足りなさを感じないだろうか？　絶対にそうだ。

　実際、オメガはこの75周年記念をホームランで飾るにふさわしく（私は）完璧なスタート地点に思えたであろう、ある特別エディションを最近発表した。そう、私が言っているのは、有名なMI6諜報員の生誕60年を記念して昨年末に発表された、シーマスター ダイバー 300M ジェームズ・ボンド60周年記念モデルのことである。

　もしオメガがあの時計を、これとまったく同じエングレービング入りの裏蓋にしていたら、時計の世界は今頃大騒ぎになっていただろう。結局のところ、多少時代性に少し欠けるもののこれはいい周年モデルだと思う。そして最後に、多くの人たちはブレスレットがテーパータイプへとアップデートしないかと期待していたと思う。ここではそれがなかったので、80周年記念で実現することを願っている。

　全体をとおして、私はこのスモークダイヤルデザインのファンになった。モダンであり、特別感がある。マットな質感を保つことは間違いなく正しい選択であり、ブルーのセラミックベゼルとのコントラストもよく効いている。これは近いうちにHands-Onレビューの対象になると確信しているため、実際に体験するまでは批判的な判断は控えておこう。それまでは、今日のシーマスターのリリースで楽しみ続けようと思う。

オメガ　シーマスター ダイバー 300M サマーブルー 75周年記念モデル。直径42mm、厚さ13.6mm、ステンレススティールケース、300m防水。ブルーダイヤルにスーパールミノバを塗布したアプライドインデックス。オメガ コーアクシャル マスター クロノメーター Cal.8800、約55時間パワーリザーブ、コーアクシャル エスケープメント、METAS認定のマスター クロノメーター、1万5000ガウス以上の耐磁性能。ブルーラバーストラップ（ピンバックル）またはステンレススティールブレスレット（ダイバーエクステンションを備えたフォールディングクラスプ）。価格はラバーストラップが84万7000円、ブレスレットが90万2000円（ともに税込）。