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さて、ネタバレにご注意を。僕はこの時計が大好きです。前にバーゼルワールドのオメガのブースの奥の方ですごく明るく照らされた会議テーブルに着いたとき、この時計に出会うとは思ってもみませんでした。ところが、ひと目見た途端、他のことに集中するのに苦労したのです。この冬季五輪限定のシーマスターは、適度なサイズ感で、見た目はクラシカルでありながら、技術は非常にモダンという最高の組み合わせです。
本機に深入りする前に、これは、オメガが2018年2月に韓国の平昌で開催された冬季五輪前に既に発表していた素晴らしいコレクションに、いわば花を添えるようなものだったことを知っておくことが重要です。最初に、五輪の色を思い起こさせるスポーティな5種類のモデルが登場しました。これらはすべてSS製で、アラビア数字と夜光が塗布された針を備えたブラックとホワイトのダイヤルが特徴でした。ラインナップに加えて、オメガはイエロー、ホワイト、ローズゴールドのよりドレッシーな3バージョンを投入しましたが、これは五輪で授与される金・銀・銅メダルを意識したものです。これらは、プレシャスメタルのケースにあわせて、白いエナメルダイヤルと小さめのリーフ針を備えています。
私たちが今目にしている時計は、基本的にはシーマスター オリンピックのよりドレッシーなバージョンの1つ。ちょっとドーピングした感がありますが(ただし、オリンピック委員会のように、私たちもパフォーマンス向上薬の使用は容認しません)。
僕は常にプラチナのファンですが、実はブラックのエナメルには本当に眼がありません。この時計のブラックエナメルダイヤルは、間違いなく最近見た時計の中でも最高のものの1つであると断言できます。本当に最高です。ブラックは豊かで光沢感があり、光が当たると濡れているかのように見え、シルバーホワイトのロゴとミニッツマーカーは、見る角度によって、背景にフェードインしているように見えたり、飛び出してくるかのように見えたりします。時間表示には、18KWGで作られた伝統的な矢印型のインデックスが使用され、それはまたダイヤルのドーム型の形状を目立たせています。当然ですが、ホワイトゴールドの針は、ダイヤルの曲率に合わせて丸みを帯びています。
余談:12時位置のオメガロゴの上にあるヴィンテージスタイルの「Ω」も、実はプラチナで作られておりダイヤルに転写印刷されています。これは全く必要のない贅沢なディテールで、またこの時計全体を表わすのに最高の提喩でもあります。
これまでのところ、この時計は全体的にかなり古臭く感じられましたが(モダンなサイズは別として)、ムーブメントは最先端、自社製のオメガCal.8807です。このムーブメントは自動巻きで、コーアクシャル脱進機を搭載し、METAS認定のマスタークロノメーター。また、35石で3.5 Hz(2万5200振動/時)で動作し、最大1万5000ガウスの耐磁性があります。そしてさらに技術的な素晴らしさ示すなら、テンプもフリースプラングだということです。その仕上げは、まさにオメガのムーブメントに期待するとおりのものです。隅々まで行き届いているムーブメントですが、決してやりすぎということはありません。地板とブリッジには大きな波があり、黒ネジ、バレル、バランスホイールがあり、バランスブリッジとローターはいずれも18Kセドナゴールド製です。
僕は普段は、「ムーブメントをケースに合わせる」という陣営に強く味方する人間なのですが、ここでは例外を設けたいと思います。サファイアのケースバックが時計の背面を占め、ムーブメントとケースの縁の間のスペースには、「オフィシャル タイムキーパー」とオメガがこの役割を務めたすべての五輪開催都市の名前が刻まれているのに気づくでしょう。もちろん、それもプラチナで作られており、このような時計には当然と言えるでしょう。忘れないで欲しいのですが、つまるところ五輪の時計なのです。
この時計を自分の手首に着けたことは、間違いなくバーゼルワールド2018のハイライトでした。とても素晴らしくフィットし、39.5mm x 11.98mmの寸法が示唆するよりも小さくさえ感じます。確かに、これはヴィンテージ・ウォッチの寸法ではありませんが、着けやすく、多くの人が本当に楽しめる適度なサイズだと思います。これは、数フィート先からでも本当に素晴らしく見える時計で、様々なスタイルの服にもうまくペアリングできますが、近くで見ると本当に最高なのが分かるはずです。時計をよく見れば見るほど、また時計をいじればいじるほど、すべてが凝縮されて一体となっているのを楽しむことができることでしょう。確かに、それぞれのディテールはそれ自体いいものですが、いつもこの時計を着けていたいと思わせるのは、それが一体となったその有り様なのです。
僕にとって、この時計はオメガの過去と現在の最高のものを表しています(その従兄弟とも言えるシーマスター1948のそれとあまり違わないやり方で)。スタイリングの手がかりとしてこのブランドの豊かな歴史を紐解くこともアリですが、それは過去10年間に存在したものとは別物でもあるのです。内部のムーブメントは、このように高価なオメガであっても、顧客にかなりのお買い得感を提供するでしょう。全体がスマートであり、終始一貫して本当に愛好家に訴えるようなものを作リ出しています。プラチナとエナメルのこの時計は、贅沢で最高、とにかく素晴らしいのひと言です。
ブラックエナメルダイヤルを備えたシーマスター オリンピック リミテッド エディション プラチナの価格は406万円(税抜)で、100本の限定生産です。詳細についてはオメガ公式サイトへ。
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