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Introducing タグ・ホイヤー モナコ02 初めて自社製ムーブメントを採用したモナコ

伝統あるトラックウォッチが、ついに完全自社製エンジンを身に着けた。

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クイック解説

 ほぼこれまでの50年間、モナコは、ホイヤー時代もタグ・ホイヤーになってからも、ムーブメントはサプライヤーから供給されるものを採用してきたが、これ自体は、時計についてまだよく知らない人たちが、がっかりするようなような話では決してない。
 伝統的な時計産業のやり方では、ムーブメントはサプライヤーから供給してもらうのが一般的なため、競合他社と同じムーブメントを使用しているということは当たり前のことなのだ(これはあくまでも一般論。現在多くのメーカーは自社製造に移行している)。そんな訳で、これまでムーブメント自体が宣伝されることもなかった。
 しかしながら、オリジナルのモナコはCal.11と呼ばれる自社製ムーブメント、あるいは自社製ムーブメントと呼んでも良いようなムーブを搭載した時計であった。ホイヤーもメンバーになっていた、時計メーカー数社によるコンソーシアムが共同生産したものを採用したのだ。ただしその後、モナコは基本的にサプライヤーから供給されたムーブメントを使用することが基本である。もちろん、2009年に発売されたベルトで駆動させる機械式ムーブメントを搭載したモナコ V4のような特別なモデルもあったが、これまで供給を受けてきたムーブメントはモナコの信頼性と価格のお手頃感を確立するのに役立ったといえる。

 上記のようなことは古き良き時代には一般的だったが、今では高級時計メーカーであっても少しでも自社製ムーブメントを増やしていかないと生き残ることはできなくなっている。タグ・ホイヤーも近年、自動巻きクロノグラフムーブメントの完全自社製化に取り組んでいる。(モナコ V4は、あくまでも異例であり、通常の製造に適したやり方ではなかった)

 自動巻きクロノグラフムーブメントの登場は、まだつい最近のこと(2019年に、この第一世代を製造したメーカーが1969年であったと多くの広告を打ったのは記憶に新しい)といえる程である。現代的な設計でありつつ、自社での量産を可能にするためには基本設計の要素をできるだけ共通化できるような構造を開発しなければならないので、自社製自動巻きクロノグラフムーブメント製造というのは大変なチャレンジなのだ。

 2017年、試行錯誤の末、タグ・ホイヤーはついにコラムホイールと垂直クラッチを備えた汎用クロノグラフムーブメントの自社製化に成功。これはCal.02と呼ばれ、初めてホイヤー ヘリテージ オータヴィアで採用され、ジョン・ブースも“A Week On the Wrist”で取り上げている。後に分かることだが、タグ・ホイヤーがこのムーブメントをオータヴィア以外の製品に採用するのにそれほど時間はかからず、今ではすべてのモナコにこのムーブメントが採用される予定となっている。(Cal.12を採用するモナコも1000個がファイナル・エディションとして発売される予定)

 新しいモナコ 02モデルは、モナコの基本デザインのすべてを踏襲した時計で、12時間積算計も備えたクロノグラフである。これは、多くの愛好家がモナコに追加して欲しいと願っていた。
 元々、この表示はモナコの人気を不動のものにした映画『栄光のル・マン』が24時間耐久レースであったことに由来しており、ル・マンに関連する時計は当然24時間を計測できる必要があったのである。

 どんなキャッチコピーが妥当か否かについてはいくつかの議論があった。オリジナルの広告ではホイヤーはモナコを、あらゆるビジネスウェアに合わせやすく、先進的デザインのモデルと位置付けていた。“スポーツイベントなどを含む、あらゆる家庭でのシーンにも使用できる”と、1969年の広告で訴求していた。オータヴィアについては、もっと具体的でモータースポーツに最適な時計と謳っていた。
 オリジナルに何の問題もないのだから、その機能を変更する必要はないと思う人がいることは当然理解できる。

 この新作は、技術的には3つ目のクロノグラフを持つ時計だが、見た目にはオリジナルのモナコとほぼ同じであるし(私個人としては、1133B/Gのオリジナルのようにインデックスマーカーが水平に配置されたものを好むが、これは製品展開上難しいようで、今回についてはモナコ キャリバー02のスタートとして納得することにする)、秒針のサブダイヤルのデザインも位置も大変すばらしいと思う。

ファースト・インプレッション

 私の意見としては、モナコ キャリバー02については全く文句をつけるところがない。リューズの位置は、オリジナル同様に左側が良かったという人もいるかもしれないが、それはオリジナルのCal.11の構造上、他に選択肢がなかっただけで、当時ホイヤーは、リューズは自動巻きになったおかげでそれ程頻繁に触ることがないため左側でも良いとの見解だった。ただ、サウスポーでない限り、左側にあるリューズで時間を合わせるのは大変だと思う。

 2019年もそうだったが、時計を愛する我々のような記者もそれを読んでくれる方々も、大物の新作発表が年末に集中していることに不満を持つ人が多いかもしれない。それは事実だが、だからといって、私たちにこんな素晴らしい機会を用意してくれるブランド各社に文句をつけたい人もまたいないだろう。彼らに対して、新作の発表以外に何を期待すべきだろうか? 
 時計業界という村では、誰でも本能的に年に一度の新作発表祭りを楽しみにしていると思う。私としては、皆さんがバースデーカードやプレゼントを廃止するような思想の持ち主でない限り、時計ブランド各社に対しても優しい目を向けてあげても良いのでは、と考えている。

 最後に、完全に自社製した自動巻きクロノグラフムーブメントを紹介したい。開発するのに大変な費用(すべての工具をイチから製作したわけなので)が必要だったため、販売価格が大幅に上がってしまうことを想定していた。特にモナコの場合は、(デザインの良さもありながらも)素晴らしい時計との人生を手ごろな価格で手に入れられるというコンセプトがなくなりかねない状況だった。
 しかし、実際そうはならず、新しいモナコ02の価格は64万円(税抜)で、既存のモナコ キャリバー11より1万円程高いだけである。というわけで、価格的には非常にお手頃であると考える。私としては、この時計のガルフ・エディションがなるべく早く登場することを切に願っている。また、HODINKEEのヴィンテージ特集において、ベン・クライマーが執筆したル・マン モナコの記事も掲載されている。この2013年に執筆されたA Week On The Wristも参照あれ。

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基本情報

ブランド:タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
 モデル名:モナコ ホイヤー02(Monaco Heuer02)
 型番:CBL2111.FC6453

直径:39mm
 ケース素材:ステンレススティール
 文字盤色:ぺトロール・ブルー(Sunray “petroleum blue”)
 インデックス:アプライド
 夜光:あり、針とインデックス
 防水性能:100m
 ストラップ/ブレスレット:ブルーアリゲーターストラップ、ステンレススティールクラスプ


ムーブメント情報

キャリバー:タグ・ホイヤー自社製キャリバー02
 機構:時、分、秒、日付表示、12時間クロノグラフ
 直径:31mm
 パワーリザーブ:80時間
 巻き上げ方式:自動巻き
 振動数:4Hz(2万8800振動/時)
 石数:33
 追加情報:コラムホイール、垂直クラッチ


価格・発売時期

価格:64万円(税抜)
 販売時期:発売中
 限定:通常生産品

詳細についてはタグ・ホイヤー公式サイトへ。