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2019年は多くのモナコを見ることができた年だった。でも、今回のモナコはこれまでのものとは全く別物である。モナコ Ref.1133Bが生まれて50周年になることから、タグ・ホイヤーのヴィンテージ・アフターセールス事業部がモナコ生誕50周年記念モデルを作る特別プロジェクトを立ち上げた。今回紹介するのは、そのプロジェクトで生まれた特別なモナコである。
シースルーバックから自社製の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.11が鑑賞できるのだが、特別な手仕上げが施された様は圧巻である。このファンキーなモナコが、2019年12月10日のフィリップス“Game Changers”オークションでお披露目された(編集者追記: 既に終了)。落札金はニューヨーク市の慈善団体ユナイテッド・ウェイに寄付されることになっている。
モナコ ピース ダートと名付けられその特別なモナコは、ムーブメントに再度手を入れて特別な仕様に変更し、多くの特徴が一緒になったものとなっている。下写真のように、ムーブメントを完全に分解し、組み立て直し、特別な刻印を施している。通常の分解洗浄とは全く異なった処理で、Cal.11を時計師が技巧を駆使して、まさに完璧にオーバーホールしたものだ。
タグ・ホイヤーの時計師が3ヵ月を費やし、新たに軸受けの石を3石(二つのブリッジの間)追加し、手作業での面取り、鏡面仕上げ、そしてファンキーな60年代を思い起こさせるフォントでクロノグラフ・ブリッジと12時間積算計ブリッジ(これらのブリッジは刻印のため厚みのある金属に交換されている)に刻印を施した。ダイヤルの日付表示ディスクは、赤い数字に変更されており、この時計が通常の1133Bではないことをかすかに匂わせている。
このモナコ ピース ダートは、特別な赤いラッカーで彩られたケースに入れられ、その中には時計と一緒に裏側から取り除かれた円形のケースバックにルーペがはめ込まれたものが封入される。そしてさらに、天才的なイラストレーターのジュリー・クラウリス(Julie Kraulis)によるユニークなケースバックのスケッチ画(18インチ角)も記念品として一緒に納められているのだ。また、このモナコをフィリップスで落札した人には、タグ・ホイヤーの書籍“Paradoxical Superstar”がジャック・ホイヤーの直筆サイン入りでプレゼントされる。僕のグランマなら、きっとこれは“何でもかんでも入りセット”だと呼ぶに違いない。
1年間のモナコ生誕祭りの最後にこれを持ってきたのは、本当に素晴らしいと思う。単にモナコを愛して止まない人達に対する贈り物に留まらず、その落札金がチャリティに寄付されるからだ。コレクター垂涎の美術館に収蔵されるレベルの改修を施すという大胆な発想が込められたが、モナコはこれまでも大胆なことをやってのけてきており、やっと50周年を迎えたばかりである。去る12月のフィリップス“Game Changers”のロット50を、ぜひチェックして欲しい。
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