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Introducing ティソ PRX パワーマティック 80は、過ぎ去りし70年代の魅力を証明する

70年代は、ディスコやカジュアルスーツだけの時代ではなかった。

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1970年代は、ファッションでも音楽でも、不朽の名作を生み出すのに適した10年ではなかったかもしれないが、サイケデリックな薬品にとっては良い時代だった(スイスの偉大な企業、サンドに感謝)。しかし、時計愛好家にとって、腕時計のデザインにこれほど大きな影響を与えた時代はない。1970年代にはクォーツ危機が起こり、電子時計だけでなく機械式時計にも一連の革命が起った。また、腕時計のなかでも最も普遍的なカテゴリーのひとつであるステンレススティール製のブレスレット一体型スポーツウォッチが誕生したのもこの時期だった。

 ロイヤル オークとノーチラスを筆頭に、70年代が終わるころまでにはそれらにインスパイアされた多くの新しいデザインが生まれた。その中には、ジラール・ペルゴのロレアートのようなクォーツウォッチも多く含まれている。もう一つは、1978年に発売されたティソのクォーツウォッチで、シースターという名前でデビューし、後にPRXと呼ばれるようになったものだ。PはPrecision(精密さ)、RはRelief(信頼性)、Xはローマ数字の10で10m防水を意味する。

 今年、ティソは1978年に誕生したデザインのアップデート版を発表した。賢明なことに、ブランドはオリジナルからほとんど変えなかった。70年代に流行した、安くて陽気なデザインを再構築するなら、安くて陽気なデザインをキープし、70年代の雰囲気は欠点ではなく魅力であることを理解した上で取り組むべきだ、と彼らは考えたのだろう(私もそう思う)。

 新しいPRX クォーツは登場するやいなや、たちまち大ヒットした。タイメックスのQと同じようにノスタルジーを感じさせるのだ。PRX クォーツもQも、誰にでも手が届く価格帯でクォーツムーブメントを採用しているという、まさに原点回帰ともいえるモデルだった。しかし、PRXが400ドル以下のクォーツウォッチとして魅力がある一方で、すぐに機械式を求める声が上がり、今回、PRX パワーマチック 80が誕生することとなった。

 クォーツ式と機械式のモデルは、ほとんど見分けがつかない。どちらのモデルもブレスレットとケースは非常によくできており、サテン仕上げとポリッシュ仕上げの表面がくっきりと分かれている(実際、2〜3桁高いほかのSS製ウォッチに関する美辞麗句を疑いたくなるようなクォリティだ)。直径はどちらも40mmで、厚さはパワーマティック80の方が10.9mmと、クォーツの10.4mmよりもわずかに厚い。私を含めた時計愛好家は、童話のえんどう豆のお姫様のようにコンマ1mmの違いにも敏感であると自負しているが、実際に両方をつけてみたところ感触だけでは違いがわからなかった。

 もっと大きな違いは、価格だ。クォーツタイプは375ドル(日本での価格は5万5000円。税込)。80時間稼働のパワーマティック 80ムーブメントを搭載すると、650ドルになる。275ドルの追加料金で、エントリーレベルで工業生産ではあるが非常に信頼性の高いムーブメント(ETA 2824をベースにしたETA CO7.111)を手に入れることができる。パワーマティックムーブメントは、精巧な時計用キャリバーではなく、むしろその逆で、人の介入を最小限に抑えて製造・設定できるように設計されており、歴史的に最も安価な大量生産の機械式キャリバーにすら見られた精巧な調整システムは存在しない。それに代わって、テンプの組み立ては工場でレーザー制御されている。それでも機械式ムーブメントを好み、期待が価格に見合った現実的なもので、電池交換を気にしないで済むことを望むのであれば、PRX パワーマティック 80はおすすめだ。

 1970年代のオリジナルモデルを彷彿とさせ、275ドルあれば多くの電池代をカバーできるという点で、クォーツモデルには魅力がある。しかし、哲学的にクォーツに抵抗がある人にはパワーマティックがおすすめだ。このムーブメントは芸術的というよりも技術的に優れているが、この価格帯では、ろうそくの光で動く妖精のようなモデルは存在しないし、PRX パワーマティック 80のスタイルポイントは、古き良きスイスの時計製造の不在を補って余りあるものだ。

ティソ   PRX パワーマティック 80:ケースと一体化したブレスレット、サテン仕上げとポリッシュ仕上げのステンレススティール、40mm×10.9mm、100m防水。ムーブメントはティソ パワーマティック 80、自動巻き、ボールベアリング搭載の回転ローター、2万1600振動/時。価格は675ドル(約7万4000円)。詳細はティソの公式サイトを。