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Just Because オメガにとって初めてのゴールド製スピードマスター

アポロ計画の宇宙飛行士用に製造され、リチャード・ニクソン元大統領にも贈呈されるはずだったこの時計は、とにかくとても特別なスピーディである。

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知らない人がいるといけないのでお伝えしておくと(正直、知らない場合は情報から遮断された生活を送っているに違いない)、2019年はアポロ11号の月面着陸からちょうど50年目。みなさんの予想通り、オメガはそれを祝うために総力をあげています。スピードマスターはNASAによって宇宙飛行用に認定された、いまだに唯一の時計で、そんな名機を通じたNASAとオメガのゆかりは、時計学とポピュラーカルチャーの間の最も強力な繋がりのひとつなので、スイスのビールに拠点を置く本社もそのことを決して忘れてはいません。今年になってから発売された二大記念モデルは、「スピードマスター アポロ11号50周年記念限定版」と、名前は似ていても全く別物の「スピードマスター アポロ11号記念限定版」。前者はステンレススティール製で、有名なミッションに敬意を示した特別な刻印やイラストが入っている一方、後者は人類初の月面着陸を実現させた偉人たちへの記念品として製造された、初代のゴールド・スピードマスターを再現したものです。

スウォッチグループのイベント、「タイム・トゥー・ムーブ」に参加するためオメガのマニュファクチュールに行った時、僕はとても特別なものを見る機会に恵まれました。ゴールドのオメガ スピードマスターのシリアルナンバー1、つまり生産ラインから最初に出てきた時計です。この時計は当時のアメリカ合衆国大統領、リチャード・ニクソンに贈呈されることになっていたけれど、時計が高価だったために大統領は受け取ることができなかったそうです(アメリカの国家元首がこのような高額の贈り物を受け取ることは、国民からいい顔をされないばかりか、完全な違法行為に相当する)。そのためこの時計は、スピロ・アグニュー副大統領に贈られるはずだったシリアルナンバー2と共に、オメガ博物館に戻ることになり、それから50年間にわたって新品状態のまま保管されているのです。

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この時計を手にすることは、まさに歴史そのものを手にすることと同義です。この時計は、オリジナルのゴールドスピーディがどのようなものだったのかを理解するために最適の目安になります。オリジナルと並べると、オメガがどこを忠実に守り、どこに変化を加えたのかが明確です。最も目立つ変化はゴールドの色味の違いで、1969年・オリジナルの黄色みを帯びたゴールドと比べると、新しいムーンシャイン・ゴールドはかすかに淡い色合いになっています。また、熱狂的なコレクターくらいしか気が付かないような何とも小さな違いもあって、例えばオリジナルでは秒間の目盛りが5つに分けらているのに対して、新モデルでは3つに区分されています。また、新モデルでは文字盤の中央に「Au750」の刻印が追加されました。とはいえ、バーガンディ色のベゼルにある90の表記にあるドットの位置が、通常のスピードマスターより少し上にふってあることや、文字盤の垂直なブラッシュ仕上げなど、最も特徴的なディテールの多くは昔のまま残っています。

僕は、この博物館級タイムピースをスイスの爽やかな日差しのもとで実際に試してみたくなりました。クラスプを開きつつ、窓の方へ歩きつつオメガの担当者に「試着してもいいですか?」と尋ねると、びっくりしたことに彼の答えは「もちろん」。それは全く予期していない言葉でした。この時計を手首につけた時、歴史的な重みと物理的な重みの両方をいっぺんに感じずにはいられません。なんといっても、これは42mm径の金無垢時計であり、ブレス部分も同じく純金製ですからね。正真正銘の逸品で、そのことがひしひしと伝わってきます。けれども、最も印象に残ったことのひとつは、ブレスレット部分がとてもソフトで、着け心地が良かったこと。これは多くのヴィンテージに共通する特徴です。一般的に当時のブレスレットは今よりも薄く、そのため現代のものより着け心地が少々優れています、ストライプの入ったクラスプの端にはオメガのロゴが…最高としか言いようがないんです。そうでしょう? 

この時計の実物を見るだけでなく、手に取り、試着して、ちょっとの時間だけでも十分に楽しむ機会を得られたことは、すぐには忘れられそうにない特別な経験でした。時計というのは文化的な意義を持つもの、保存して大切にするよう取り組むべきべきだと日々考えるだけなら簡単なことです。けれど、ゴールドの時計を手首に装着し、内部のムーブメントの重みを感じると共に、なぜこの時計が世に生まれ、関わった人たちにとってどんな意味を持つのかを実感するとことは全く別次元の話といえます。

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スピードマスター アポロ11号記念限定版

ニクソン元大統領とアグニュー元副大統領のために作られた時計を見るためには、スイスのビールにあるオメガ博物館まで足を運ばなければなりませんが、最新のゴールド・スピードマスターを手にするのはほんの少しだけ簡単です。(ただし、世界で1014本だけという限定モデルですが)。これまで見る機会がなかったという方は、地元のオメガの販売店に連絡して、在庫の有無を確認するといいと思います。たとえ今買おうとは考えていない人でも、実物を見てその良さを心ゆくまで味わいたくなるような時計ですから。

スピードマスター アポロ11号記念限定版についてさらに詳しく知りたい方は、オメガ公式サイトへ。