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How I'd Spend $100K まず、(予想どおり)ヴィンテージロレックスとスピードマスターを購入。そしてドレッシーなクォーツ金無垢時計に行こう

必要な時計を抑えたら、カルティエやブレゲ、ランゲなどのお買い得なドレスウォッチにお金をかける。

How I'd Spend $100Kは、その名のとおり、「もし10万ドルで時計コレクションを作るなら?」をテーマにHODINKEEメンバーが妄想コレクションを考える企画です。

私は日ごろから、いくらで手持ちのコレクションを揃えるかということを考えている。オフィスでぼーっとしているときも、実際の仕事でクライアントとメールやチャットを送信するときも、時計の価値やその時計をどう扱うのが最適なのか、自分の頭のなかで頻繁に議論を繰り広げている。結局のところ、本当の答えは、「君は誰なんだ?」という質問に集約されるのだ。

 みんな大好き、元新人のサラ・ミラーは、このお題の生みの親である。ただし彼女が選んだコレクションは、私が選ぶものとはまったく異なる結果となった。それは、いくら使っても、誰もお金の使い方を教えてくれないからだ。サラが10万ドルという架空の金額を元手に時計コレクションをつくったあと、トニーが選んだのはこの時計だった。私は彼のアドバイザーとして役割を果たしたつもりだったが、彼は私の意見を半分しか聞かなかったため、今度は私が自身の架空のコレクションを作るべく、ここにやって来たのだ。

 まずは私の基本的な偏見を整理しておきたい。私はブラックダイヤルのステンレススティール製スポーツウォッチが大好きだ。そしてイエローゴールドのドレスウォッチを一度も手に入れたことがないのに、YGのドレスウォッチを普段から身につけたつもりでうぬぼれている。

1963年製 ロレックス エクスプローラー Ref.1016
ロレックス エクスプローラー Ref.1016の文字盤

専門的だが、これはタイプ3のギルトダイヤルを持つエクスプローラー Ref.1016だ(写真はReferencePointsから。感謝)

 まず想像力を働かせるには、自分の知っていることから始めるのがいちばんだ。この空想の時計コレクションは楽しいし、投資目的でもないが、ここで一緒に考えてみて欲しい。ネット上で有名になった、ウォーレン・バフェットの名言に、“理解できないビジネスには投資しない”というのがある。だから、せめて自分が知っていてかつ理解もしている時計から始めなければならない。いま私が普段使いしている時計は、どんな空想的なコレクションであっても必要なものであり、そのことについて謝るつもりもない。もし10万ドルの資金があってイチからやり直すとしても、まずはすでに持っている時計の1本を買い直すというのが、究極の選択ではないだろうか?

 このモデルはロレックス エクスプローラー Ref.1016のギルトダイヤルタイプで、チャプターリングと、6時位置にエクスクラメーションポイントを備えている。これまでつくられてきたスポーツウォッチたちは、最高のデザインであるこのモデルを踏襲しつづけているのだ。シンプルなデザインでありながらあらゆる面が魅力的で、すべてにおいて愛おしい。1962年、もしくは1963年製で、光沢を放つ文字盤を見つけたら、迷わず購入することをおすすめする。

ロレックス エクスプローラー Ref.1016のリストショット

晴れたニューヨークの冬の午後と、筆者の手首。

 この時計は決して新しくはないため、毎日身につけるものではないという意見の人もいるかもしれない。しかし私はこれをつけてニューヨークに住み、地下鉄で20分かけて通勤して、1日中時計のことをあれこれと話し、そして薄暗いレストランで食事やお酒を楽しんでいる。私のヴィンテージ 1016は、私が意図的になにかをしても問題なく動作するようだ。費用:3万ドル / 残金:7万ドル

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 42MM ヘサライト風防&ブレスレット Cal.3861
オメガ 現行スピードマスターのイメージ写真

オメガの最新ムーンウォッチは、レギュラーコレクションのなかでも最高傑作だ。

 完璧なヴィンテージの例を除けば、これはお金を出せば買える最高のスピードマスターだ。それは、これが宿命ともいえる時計であり、半世紀以上の時間をかけて徐々によくなってきたデザインの究極の姿がカタチとなって表れたものである。すべての時計コレクションにスピードマスターを含めるべきだという、HODINKEEの古いセオリーに賛同しない人であっても、少なくともクロノグラフは持つべきだ。時計ボックスのなかにモダンな時計が必須で、かつ頻繁に着用するという理由で黒文字盤を好む私にとって、新型Cal.3861のスピードマスターはまさにうってつけのモデルなのだ。そしてもちろん、ヴィンテージマニアの私の心をときめかせてくれる、ヘサライト風防も。

 本当に土砂降りのときは、1016の代わりにこれを使えばいい。ねじ込み式リューズでないのは十分にわかっている。だが6年間ヴィンテージのスピードマスターを使っているが、防水性に問題があったことは一度もない(もちろん、つけたまま泳ぎもしない)。新品のスピーディーなら、私の1969年仕様のものより、さらに素晴らしいはずだ。費用:6500ドル / 残金:6万3500ドル

2000年代製 カルティエ タンク アメリカン Ref.1720、18KYGモデル
カルティエ タンク アメリカン Ref.1720、18KYGモデル

ヴィンテージのカルティエを、さらに身近なものに。Image: Courtesy of Christie's

 ここからは、意外な人物に踏み込んでいこう。私のことを知っている人であれば、ヴィンテージエキスパート兼バイヤーの私が、絵に描いた餅のようなコレクションにクォーツムーブメントを搭載しているものは避けていると勘違いしているかもしれない。だがそれは間違いだ。

 このRef.1720 カルティエ「タンク アメリカン」は、リーズナブルな価格で手に入れたいと、数カ月前から考えていた1本だ。そしてeBayに保存される検索順位でたちまち人気を集めてしまうかもしれないが、みんな知る必要がある。これは、たった6000ドルで、完璧な“ヴィンテージ”カルティエを味わうことができるのだ。1990年代後半から2000年代前半に登場した、無名の“レディース”サイズであり、一度にたくさん流通することはないが、コンディションのいいものを見つけたらぜひ手に入れてみて欲しい。

 こちらは1960年代の「サントレ」とほぼ同じサイズ(特に横幅)で、標準体型の男性の手首に乗せると、少し小さめに見える程度で納まる。カルティエのムーブメントは決して高級品に位置付けられるものではないが、このクォーツキャリバーは、メゾンが時計的なおもしろさを追求するよりも、腕時計のデザインに重きを置いているため、この時点でこのモデルは合格だと思うのだ。費用:6000ドル / 残金:5万7500ドル

1990年代製 ブレゲ クラシック パーペチュアルカレンダー Ref.3057
ブレゲ クラシック パーペチュアルカレンダー Ref.3057

いかがかな、役に立ちそうだろうか? Image: Courtesy of Watch Brothers London

 私は、1980年代と1990年代のブレゲを推したいがために、1年以上前からHODINKEEのオフィスで自分の立場を熱心に主張している。スポーツウォッチはひとつのジャンルとして明らかに王者だし、かなりの長い期間そうだったが、2021年はとくにスポーツウォッチのピークと呼べる瞬間があった。少なくとも、ブレスレット一体型のスポーツウォッチのピークは、カテゴリー全体まで広がっていた。今ではコレクターが新しいものを求めるようになり価値観が逆転しているなか、クラシカルなスタイル(ブレゲでいうところの“クラシック”コレクション)とプロポーションを持つこの時代のブレゲは、人の意識を転向させるのに最適なポジションにいる。

ブレゲほどギヨシェを得意とするところはないだろう。この仕上げは個人的に必ずしも好きになるタイプではないのだが、このレベルとなると文句なしだ。Image: Courtesy of Watch Brothers London

 Ref.3057はこの当時のブランドの永久カレンダーのなかだと、やや癖のあるRef.3310よりも伝統を重んじたモデルであり、永久カレンダーで今最も買い得なベストバイのうちの1本だろう。これは毎日のように売りに出されているわけではなく、瞬時に見つけるのは難しいが、直径36mmのケースに異常なまでの細かい仕上げを施したブレゲ 3057は、3万ドルはおろか、6万ドルを出しても敵わないだろう。費用:3万ドル / 残金:2万7500ドル

2000年代製 A.ランゲ&ゾーネ サクソニア Ref.105.027
A.ランゲ&ゾーネ サクソニア Ref.105.027

小さいけれどとてもパワフルな初期のランゲ サクソニア。

 このコレクションの時点で、私にとって“必要”なものはすべて揃っているというのが正直なところ。現実の私も4本の時計を所有しているため、空想のコレクションであっても、本当にきっちりと管理したいのだ。私はスポーツウォッチも持っているが、この2本のYG“ドレス”ウォッチを何回身につけるか、ほとんど経験を積まなかったため自分自身に問いかけてみた。結論からいうと、自分の時計ボックスに入った上の4本の選択肢のなかから、毎朝ひとつを選ぶのがとても楽しみだった。

 しかし、架空のお金を差し置いて何が楽しいのだろうか?

 今私は価値を求めている。私が欲しくて、しかも見落としていると思う時計に、空想のお金を使う機会を与えるとしたら、それはビッグデイトにスプリットサインを備えた、ランゲ サクソニアの初期モデルを選ぶだろう。私はホワイトゴールドケースとフラットブルーダイヤルを組み合わせたRef.105.027を特に気に入っているが、このくらいの値段であれば、ほとんどのケースとダイヤルの組み合わせが選択肢に入ると思う。

 ランゲによるサクソニアの初めての挑戦は、わずか34mmだったが、初期のランゲ1のおもしろさはこの小さなモデルにもたっぷりと詰まっている。このモデルに対して長いあいだ少し割安だと思っていたし、いまでも(市場の値段が)あまり動いていないため、ある程度お得感があるといっていいだろう! 費用:2万5000ドル / 残金:2500ドル

 私は残りの2500ドルを握りしめてドラフトキングス スポーツブック(オンライン上で行われるスポーツギャンブルのひとつ)に臨み、マックス・ホーマのマスターズ優勝を+2500として予想する。もしこれが当たったらまたここに戻ってきて、皆さんの前であと6500ドルを使うことにしよう。

サオリ・オオムラが私の10万ドルの使い道について、専門的なひとことを述べてくれた

 そもそもリッチとは時計のデザインや美意識の好みが似ているため、私の仕事をとても楽にしてくれた!

 私はロレックスの選択に100%賛成だ。リッチはディテールにこだわっていて、彼が気に入ったものが彼自身好きなのだ。時計にしろワードローブにしろ、この考え方は正しいと思う。この1963年製の1016は、控えめなデザインを好む彼の好みを完璧に表現しており、彼がこの時計を再び選ぶのも不思議ではない。リッチはコンディションだけでなく、チャプターリングやカスタード色にエイジングした夜光、さらに鮮明に見える6時位置のエクスクラメーションポイントなど、人気の高いディテールにもきちんと着目している。1962、1963年の文字盤で、さらに光り輝く光沢を放つものは、彼が決して見逃さないディテールであることも付け加えておこう。この時計は最強のセレクトであり、いかなるヴィンテージコレクションにこの時計が入っていても、何の疑いもない。

 実は彼が現代のスピーディを選んだことにとても驚いているのだが、その理由がよくわかった。いついかなるとき、どんな場所でも、余計な心配をせずに身につけられる、プレムーンモデルの現代版だからなのか。ねじれた竪琴に似たラグをもつケース、オメガのアプライドロゴ、DONベゼル、ヘサライト風防など、時計そのものはヴィンテージのアイデンティティを忠実に再現している。さらにオメガはこのスピードマスターのブレスレットを刷新して、サテンとポリッシュ仕上げを組み合わせることでモダンに仕上げている。これにより、スポーティにもドレッシーにも対応してくれるだろう。そのためビギナーのコレクターから長きにわたり応援しているコレクターを問わず、長く使える汎用性の高さを考えると、この時計にイエスと言いたい。

オメガの自社製Cal.3861

オメガの自社製Cal.3861。

 彼が「タンク アメリカン」を選んだのは、美しいヴィンテージクラシックの名作、「サントレ」モデルにちなんだからと見て間違いない。彼が臆することなくレディースであり、クォーツの時計を選んでいるところも気に入った。投機用のモデルではないかもしれないが、「サントレ」の代わりになりつつ、手頃な価格で手に入るのが魅力的だ。リッチがセレクトしたなかでも、この時計は意外にまだ静かな眠りについているのかもしれない。

 リッチはネオ・ヴィンテージというカテゴリーを強く推しているため、このブレゲ クラシックQPは理に適っていると思う。36mmというサイズ感の18KYG製コインエッジケースをはじめ、古典的なギヨシェ仕上げの文字盤の上でうまくバランスを取った永久カレンダーの配置、非常に精巧な仕上げが施されたムーブメントなど、ブレゲが誇る職人技がすべて備わっているように感じる。この時計を含め、ほかの多くのブレゲウォッチが素晴らしいのは、この時計(No.4269)のように文字盤に固有の時計ナンバーが記されていること。それだけで、この時計に特別感を与えてくれるのだ。さらに、歴史的に重要なスイスの時計メーカーの永久カレンダーが、3万ドル前後で購入できるというのは、当時この時計を販売していた小売店ではかなり高額だったこともあり、確かな価値証明ともいえるだろう。

 サクソニアは、ランゲの話題のモデルではないかもしれない。しかし、シンプルでとてもよくできた時計だからこそ、何度もリピートしたくなるのだと感じている。ブルーの文字盤はシャープで、ほかのオーソドックスなダイヤルカラーとは一線を画していて、全体として少しコンテンポラリーな印象も与える。私がここで唯一懸念したのは、34mmというサイズ感だったが、実際に手首につけてみると大きく見えるし、18KWGのケースの重厚感もあって、そこには確かに存在感があった。定番のランゲは、どのコレクションも間違いはなかったのだ!

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