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ご存じない方のために書いておくと、クイーン・オブ・ネイプルズはブレゲの傑作でありレディスウォッチの金字塔と呼ぶべき逸品だ。1812年にナポリ王妃カロリーヌ・ミュラのために製作され、世界初の腕時計の1つとして知られている(第一次世界大戦時のトレンチウォッチではない)。ブレゲはこのコレクションを拡大し続けており、新作としてオーバル型のレディスウォッチ、8918と8967が登場した。
クイーン・オブ・ネイプルズ 8918
2019年の初めにリリースされた8918は、おなじみのクイーン・オブ・ネイプルズにいくつか美的な変更を加えたものだ。そのまま残されたエレガントなオーバル型のケースデザインは、1812年にアブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham Louis Breguet)によって作られたオリジナルの時計に由来しており、その外観は今日に引き継がれている。アップデートされた8918はツーサイドベゼルを採用し、ホワイトゴールドのケース径は36.5mm x 28.45mm。ベゼルの表面には細かなクル・ド・パリ模様が施され、外側にはブリリアントカットのホワイトダイヤモンド117個があしらわれている。ダイヤモンドの配置という点では、これらのダイヤモンドはサイドからしか見えないため、輝きをプラスする目的では最も控えめな方法をとっている。リューズには、この時計のテーマカラーであるバーガンディのカボションルビーがセットされている。
シルバーの文字盤にはバーガンディカラーの細長いアラビア数字が並ぶ。こういった細長い数字を好んだことは特にないが、この文字盤で最も素晴らしいのは6時位置に配された卵型のダイヤモンドだ。最初はこの小さな宝石に気が付かなかったが、気づいたときには不思議なほど幸せな気持ちになった。こういったダイヤモンドがレディスウォッチに採用されているのは見たことがなく、クリエイティブな方法でより多くのダイヤモンドが採用されていることを称賛したい。特徴的なブルースティール針はサブダイヤルの中に収まるミニサイズ。時刻を知るのは少し難しいかもしれないけれど、この時計を身に着けるに相応しい人物は時刻を知る必要がないのかもしれない。わたしがそんなことを言える立場にはないが。
ムーブメントは、ブレゲの全てのレディスウォッチに使用されている19mmの自動巻き自社製キャリバー537/3。各部品は手作業で仕上げられ、ホワイトゴールドのローターにはブレゲでおなじみのギヨシェが施されている。45時間のパワーリザーブが備わっていながら、自社製の自動巻きムーブメントがレディスウォッチに採用されているのは素晴らしいことだ。最高水準のムーブメントづくりに積極的に取り組んだブレゲ氏に拍手喝采を! 実際、ブレゲは業界最高クラスの逸品をいくつか生み出しているものの、その功績は十分に認められておらず、レディスラインも同様といえる。
手首にしっくりとなじむクイーン・オブ・ネイプルズ8919は間違いなくステートメントピースといえるだろう。 普通の丸形のレディスウォッチとは異なりその形状はかなりユニークだが、その長い歴史と史上初の腕時計の1つであることを考えると、女性用腕時計の歴史の中でクラシックな定番になっている。ホワイトゴールドとダイヤモンド26個がセットされた留め金付きバーガンディカラーのアリゲーターストラップが付属する。
クイーン・オブ・ネイプルズ 8967
お次は、より色鮮やかなクイーン・オブ・ネイプルズ 8967を紹介しよう。サイズは8919よりやや大きくホワイトゴールドのオーバル型ケース径は43mm x 34.95mm。コインの縁を思わせるブレゲらしい溝付きケースバンドの滑らかなベゼルと4時位置に配されたホワイトゴールドのファセットが特徴だ。さらにこの時計の最大の魅力が、ラッカー仕上げの文字盤である。
8967が全く新しくユニークであるポイントはケース径ではなく、渦模様にラッカー仕上げを施した文字盤である。ダークブルーとターコイズが美しく混じり合い、わたしは特にカラフルなアイテムが好きという訳ではないが(認めよう、最近のわたしはカラフル好き)、この文字盤の外観は非常に魅力的に感じた。幼いころに好きだったおもちゃの指輪をどこか思い出させるが、こういった奇抜さはブレゲでお目にかかることはあまりないという点でも気に入っている(言うまでもなく絞り染めは今でも好きだ)。数字はこちらも長く伸びたアラビア数字で、8918とは異なり12と6の2ヵ所のみ。程よくバランスがとれており文字盤の色をひときわ輝かせるため、全体的な魅力をアップさせている。
では裏側を見てみよう。自動巻きCal.591Cに手仕上げのローター、169個の部品がある。ムーブメントのパワーリザーブは、537/3と比べてわずかに短い38時間。サファイアクリスタルの裏蓋から中を見ることができ、こういった高品質なムーブメントとレディスウォッチラインに、ブレゲはより主要なプロップを採用している。
腕にはめると8967は8918よりやや大きく感じるが、ケース径の大きさを考えると当然だろう。唯一わたしが不満な点はデニムのストラップだ。文字盤のブルーとバランスをとるための、クールで「控えめ」なアイデアのように思えるかもしれない。しかし少々安っぽく感じられ、ラッカー仕上げの美しさを損なっている。ネイビーのスウェードストラップやもう少しシンプルなものにしたらどうだろうか? デニムは、2001年頃のブリトニー・スピアーズやジャスティン・ティンバーレイクを連想させる。2000年代初めのファッションが復活しているらしいけど、これはどうだろう。
8918と8967の小売価格はそれぞれ391万円と228万円で(いずれも税抜価格)、詳細はブレゲ公式サイトへ。
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