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VIDEO 世界で最も複雑な時計、ヴァシュロン・コンスタンタン ザ・バークレイ・グランドコンプリケーションの開発秘話

世界で最も複雑な時計を製作することは、大きな偉業であると同時に時計製造と同じくらい古くから伝わる物語であるが、それは技術的な到達点というよりは、感動的な瞬間である。

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Video Editor: Joe Wyatt

Watches&Wondersの1カ月ほど前、ヴァシュロン・コンスタンタンのチームメンバーが、見本市の直前にメゾンから何か大きな発表があると教えてくれた。彼らはまた、私がこのニュースの取材に適任だと考えているとも言っていた。どうやらヴァシュロン・コンスタンタンから懐中時計が発表されるらしい。友人や同僚から揶揄(からか)われるかもしれないが、私の時計への情熱は懐中時計がきっかけであった。それだけに、現代のブランドが、そのような古い時計製造のスタイルを利用して、何かおもしろいことをするのであれば、私はいつまでも好奇心を持ち続けるだろう。しかし、ヴァシュロンが何を用意しているのかを知ったとき、それは単に興味深いだけでなく、歴史的意義を感じた。最終的に、その時計はバークレイ・グランド・コンプリケーションと呼ばれる、世界で最も複雑な時計だと判明し、私は自分の目で確かめなければならないと思った。

Grand Berkley Complication

 いまや懐中時計を製造している時計メーカーは、パテック フィリップを除いてほとんどない。本来、時代錯誤で扱いにくいものであり、通常であれば身につけることはほぼ不可能である。ましてや63の複雑機構、245石、2877個の部品を搭載し、重さは960g以上、直径約9cm、厚み5cmともなるサイズである。私は(かなり長文の)Introducing記事のなかで、この時計の複雑機構の多く、特に初の中国伝統の永久カレンダーについて取り上げた。世界で最も複雑なたった1本のビスポークウォッチを作るという途方もない仕事に挑戦するブランドは、いまのところ地球上にほかにないだろう。

 1783年にマリー・アントワネットのために懐中時計を注文したとされるスウェーデンの伯爵アクセル・フォン・フェルセン(Axel von Fersen the Younger)の話や、より有名なところでは1933年にパテック フィリップが製作したヘンリー・グレーブス スーパーコンプリケーションの話など、このコンセプトは何世紀も前に遡る。これらの時計には依頼主の名が冠されており、ヴァシュロンの新作もその例に漏れず、ウィリアム・R・バークレイの名を冠している。彼はこの新作だけでなく、この時計が製作されるまで最も複雑な時計であったヴァシュロンのRef.57260を発注した人物でもある。

Mark taking a picture of the Grand Berkley Complication

 この時計を実際に(ガラスの向こうからではなく、間近で)眺めることは、一生に1度の経験になることは間違いなく、Watches&Wondersの前日、私はジュネーブ郊外にあるヴァシュロン・コンスタンタン本社に行き、特別なプレゼンテーションを受けた。ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル&ヘリテージ・ディレクター、クリスチャン・セルモニ氏との対談も叶った。私の懐中時計への憧れを満足させ、この信じられないような(そして巨大な)時計学の偉業を解き明かすために、そしてただ単に見たことがあると言えるようにするために、このミーティングに臨んだ。それに、ほかにも疑問があった。

Tourbillon on the back of the pocket watch

 例えば、ヴァシュロンがこのプロジェクトを通じて学んだことの意味や、それを今後の量産モデルにどのように応用できるかといった実用的な質問もあった。しかし、このような時計について何年も考え、本を読み、夢さえ見てきた私にとって、この時計はどのような気持ちにさせてくれるのだろうか? 何世紀にもわたって解明されることのない時計製造の偉業を、誰かが理解し始めることができるだろうか? バークレイ・グランドコンプリケーションに隠されたこれらの疑問、そしてその他の疑問を解き明かそうとする私と一緒にご覧いただきたい。