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November 24, 2020
November 24, 2020
Interview ジャガー・ルクルトCEO カトリーヌ・レニエ氏にインタビュー

Interview ジャガー・ルクルトCEO カトリーヌ・レニエ氏にインタビュー

ジャガー・ルクルトのCEOが、グランドコンプリケーション、マスターコントロール、そして時計業界におけるコミュニケーション方法のデジタル化について語る。

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同業者であるピアジェCEOのシャビ・ヌーリ氏(Chabi Nouri)と同じく、カトリーヌ・レニエ氏( Catherine Rénier )は、スイス時計業界にとって、そして実に全世界にとって、甚だしく緊迫した時代になろうとしていたタイミングでCEOに就任した。それまでヴァン クリーフ&アーペルに勤めていたレニエ氏は、2018年にジャガー・ルクルトに入社したが、言うまでもなく現代の時計製造業界の状況はそこから原型を留めないほど変化している。そしてそれは、おそらく恒久的な変化だ。 

 ZOOMを通して行われた最近のインタビューで(これはここ何ヵ月か当然のことになっており、それ自体がコミュニケーション慣例における劇的な変化を物語っている)レニエ氏は、名のある他社と同じくジャガー・ルクルトはスイスの時計づくりの歴史に深く根を張っているものの、着想元を過去に求めるだけでは十分ではないことを認識していると述べた。そしてそれを示す例として、新たなマスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダーに言及した。 

ジャガー・ルクルトのカトリーヌ・レニエ氏 

 彼女は言う。「クロノカレンダーは、当社の現在のコレクションで初めてのものです。ケースのデザインを一新し、新たなブレスレットも付きました。これは完全な刷新といえます。つまり、テクノロジー、性能、デザイン、外観、着け心地の観点から言えば完全な改変であり、そして言うまでもなく、新たな複雑機構です」 

 意外にも、ケースデザインの変更は最初、Watches&Wondersに出展した別のモデルでお目見えした。マスター・グランド・トラディション・グランドコンプリケーションの新バージョンだ。 

Cal. 945を備えたマスター・グランド・トラディション・グランドコンプリケーションの2020年新バージョン。 

 「ケースのデザイン変更ですが、これは実は(マスター・グランド・トラディションの)グランドコンプリケーションのデザインなのです。こちらのこのCal. 945には、非常に美的なデザインの新しいケースで……どの品もこれまでよりやや複雑になっています。そして私たちは発表したばかりのグランドコンプリケーションに着想を得て、マスター・コントロールも改良することにしました。つまり、この腕時計(マスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダー)は新たなスタートを切ったわけですが、その歴史的な個性は完全に尊重されていると思います。まだ早いかもしれませんが、私たちは結果に非常に満足しています。この製品にはとりわけ誇りをもっていて、『マスター・コントロール』シリーズにとっての美しい顔だと感じています」

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 ジャガー・ルクルトのような企業を管理する最大の難題のひとつは、製品が実に多様である点だろうと常々思う。同社はシンプルなものから複雑なものまで膨大な種類の時計を製造しており、レベルソという一連の独自性あるユニークなデザインもあれば、ジェム・セッティング、ミニチュア・エナメルペイントなどのあらゆるクラシック時計装飾アートを保存し、育むブランドでもある。レニエ氏の目標のひとつは、ジャガー・ルクルトのアイコンとしてのレベルソの地位をさらに固めることであり、それと同時に、時計のポートフォリオ全般をも進化させ続けていきたいと述べる。 

新たな2020年版マスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダー。 

 ひとつのコレクションがブランドにおいて優位を占めているように感じるかとの質問に、レニエ氏は次のように答えた。「いいえ、それらは共生しているのです。レベルソは間違いなく私たちのウォッチメゾンとしてのアイコンであり、この先もずっと残るでしょう。そこに疑念はありません。これは当社のシグネチャー製品であり、ウォッチメゾンのデザイン精神と、時計づくりの熟達とを示す素晴らしいシンボルです。
 レベルソは確かに、その知名度が世界の中で偏ってはいます。しかし私たちの使命は、レベルソをアイコンとして世界中で認知してもらうことであり、そのための時間はたっぷりあります。レベルソはそれ自体で自立できる強い個性をもっており、当社の他のコレクションとは一線を画しています。そしてその上で私たちには、マスター・ウルトラスリム、マスター・コントロールなどのクラシックや、ジオグラフィック、カレンダー、そして言うまでもなく今ではマスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダーも加わった多くの複雑機構があります」 

 「そしてポラリス、これはよりスポーツ志向のコレクションです……そして女性用としては、ラウンド型腕時計にランデヴーがあります。そして当社のシグネチャー製品もあります。デュオメトルは、非常に高度な作りを駆使しています。ハイブリス・メカニカ、またメモボックスもある程度、そしてアトモス、これらは当社の技術的手腕と創造性の表現であると言えます。そんなこんなで、それらは(も)それぞれしっかり自分の足で立っているのです」 

ジャガー・ルクルト ポラリス デイト 2019年新作。

 レニエ氏は、ジャガー・ルクルト製の全時計の中で、レベルソが最も象徴的な意味で重要だと見ているが、それは、ジャガー・ルクルトの時計づくりにおける多様性という、より大きな文脈の中にあるのだと強調する。それはその表現の幅が他のいかなる時計メーカーとも競合できる多様性、とりわけ、1833年にアントワーヌ・ルクルト氏(Antoine LeCoultre)が初めて小さな工房を設立して以来、同社が製造してきた無数の様々なムーブメントに表現される多様性である。 

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・ジャイロトゥールビヨン。 

 彼女は言う。
「私の目的は……レベルソをジャガー・ルクルトの象徴かつアイコンとして世界中に知ってもらうことです。そしてその次に他の全てが……ある意味、補足として来るのです。レベルソは、ジャイロトゥールビヨン 4(レベルソ・トリビュート・ジャイロトゥールビヨン、Ref.3946420)や、レベルソのケースの高度な複雑機構から、誰かの成人のお祝いに文字を彫り入れることのできるシンプルなレベルソまで、全てが当ウォッチメゾンにとっての素晴らしいキャンバスなのです。私たちがどのようなウォッチメゾンであるのかを表すものだと思うのです。それと同時に、当社にはこれまでに1200以上のキャリバーを作ってきましたが、私は単純に、あるタイプのケースにはあるキャリバーを使い続けるようにと誰にも言うつもりはありません。当社の作り手たちは、表現、デザイン、創造性を懸命に追求しています。そしてそれこそが私たちを打たれ強くしてきたのです。特に今のような時期には、私たちが革新的であり続けるのは良いことだと思います。創造的であり続けられることはこの上ない強みです」

トリビュート・ジャイロトゥールビヨンの球状ヒゲゼンマイ。

 時計づくりにおける革新と共に、コミュニケーションにおける革新も重要だとレニエ氏は考える。物理的な形の展示会が果たす役割はまだあるとするものの、他のコミュニケーション手段について時計業界が取り入れるべきものはたくさんあると彼女は言う。 

 「将来について我がチームに言いたいのは、考え込んでいるよりも、“まずは実店舗でやって、それをオンラインで展開していけばいい”ということです。全てを同時にやらなければならないのだと私は思います。そして、Watches&Wondersデジタルというプラットフォームが実会場版の第二の車輪になることは望んでいません。どちらかが先というものではないのです。そうでしょう? あのプラットフォームは素晴らしいツールだと思いましたが、私たちにとってこれはまだ始まりに過ぎません。活力をもってまだまだ動かし続けていきたいと考えています」 

ル・サンティエにあるマニファクチュール・ジャガー・ルクルトの正面玄関。 

アトモスの最終組み立て。

 ル・サンティエにあるジャガー・ルクルトの工場を実際に訪れる体験は、時計愛好家なら誰でも非常に胸が躍ることだろう。私は数回訪れたことがある。一番最近ではHODINKEEで行ったが、ジャガー・ルクルトの幅広い手腕の全てを一つの建物の中で見られるのは実に素晴らしい。ミニッツリピーターの音を直に聴き、ミニチュア・エナメルペイントが施されるのを間近に見て、何十というアトモスの時計が静かに振動している大きな部屋へと入っていく。これらの濃厚な体験を味わえば、他の工場見学ツアーのほとんどが、パワーポイントによるプレゼンテーションのように単調に思えてくる。レニエ氏は、時計愛好家たちにオンラインでル・サンティエにある工場を訪れてもらう方法を模索したいと言う。

20世紀中頃の中が見えるトゥールビヨン。ジャガー・ルクルトの、製品ラインが長く続くトゥールビヨンのひとつだ。

 「言うまでもなく、マニファクチュールは今はもう訪問者を迎え入れていません。しかし私たちはまたこれを提供できるようにしたいと考えています。断言はできませんが、おそらく9月にでも。そしてそのうちにこれら全て、物理的ツアーと物理的体験の全てを、オンラインで一般提供する方法を研究しようと思っています……今は人々をこの世界へ集めるのがより難しくなっています。であれば、私たちの創造性をクライアントの方たちにシェアし続ける方法を見つけようではありませんか。もし私たちがこのプロジェクトを今日初めていれば、今すぐこの体験をオンラインで味わっていたことでしょう。今度マニファクチュールを訪れてくださったときには、チャイミング・ウォッチの特定の没入型ツアーを体験したり、同社の最も優秀な専門家と時間をとって全てがどのように機能するかを学んだりしていただけます。そしてそれは専門クラスではなく、体験クラスのようなものになるでしょう。そしてもし、ここへ来られないのであれば、コンテンツをオンラインで提供できたらと思っています」 

 「それが明日の世界なのです」 

さらなる詳細についてはジャガー・ルクルト公式サイトへ。