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Introducing ゼニスのデファイ リバイバル A3642は、待ち望んでいたファンキーな60年代のリバイバルだ

見過ごされていたヴィンテージの逸品が再び脚光を浴びる。

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我々が知っていること

2017年から始まった現代版ゼニス「デファイ」コレクションは、まるで2020年代のトレンドに合わせた腕時計のような印象だ。ブレスレットとストラップの接続部分には一体感のある美しさがあり、ベゼルの輪郭やケースのデザインはエッジの効いた角度と平面を強調し文字盤はスケルトン仕様、という最大公約数的な特徴を持ちあわせている。5年前の正式な復活以来、デファイがアップデートされるたびに、デイリーユースのスポーツウォッチに対する需要の高まりが反映されてきたコレクションだ。

 しかし、デファイにはゼニスの豊かな歴史もあり、現代の時計愛好家たちが何度も見過ごしてきた過去があるのだ。ゼニスがデファイを拡大し、ブランドの将来の成長ビジョンの中心とするために多大な投資を行った結果、同社は1969年のオリジナルのデファイのひとつに特別なリバイバルを施すことを決定したのだ。エル・プリメロを搭載したクロノマスターシリーズのリバイバルモデルの成功を受けて、ゼニスからヘリテージにさらなる焦点を当てた時計の進化を予感させる(記事「ゼニスがデファイ エクストリームで未来を切り開く」参照)。ゼニス デファイ リバイバル A3642は、250本の限定生産で、価格は80万3000円(税込)、センターセコンドの自社製Cal. エリート670が搭載されている。

 デファイの歴史は、20世紀初頭にまで遡る。ゼニスの創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコが、フランス語の「défi(デフィ、挑戦)」を文字盤に記した懐中時計の新シリーズを商標登録し、生産を開始したのがその始まりである。

 この時点で、ゼニスは垂直統合を優先し、スイス時計産業の歴史において、時計製造のほぼすべての工程を一元化した最初のブランドのひとつであった。ゼニスの地元ル・ロックルでは、旧勢力からの抵抗もあったという。しかし、デフィの懐中時計の品質の高さとスイス全土での名声により、ファーブル=ジャコの新しい仕事のやり方はすぐに認められた。

 この初期のデフィは、ゼニスが頑丈で正確な時計を製造するメーカーであるという評判を確固たるものにした。1960年代後半までポケットウォッチの生産を続け、その後デフィの名称はデファイへと改められ、現在の同コレクションのような角ばったケースの新しい腕時計コレクションへと移行していった。

A soldier shot of a vintage Zenith Defy wristwatch.

オリジナルのゼニス デファイ A3642。

 ゼニスのエル・プリメロが発売された1969年、この時期にデファイの第一弾としてA3642が発表された。この時計は、当時のスイス時計界で一般的であった耐久性を上回る水準を達成することを唯一の目標としていた。300m防水、プレキシガラスよりも傷のつきにくい強靭なミネラルクリスタルの採用など、大幅な技術改良が施された。ゼニスは、こうしたアップグレードをいち早く行ったスイスの時計メーカーのひとつであった。

A vintage advertisement for Zenith Defy.

ゼニス デファイのヴィンテージ広告。

 ゼニスのヘリテージマネージャーであるローレンス・ボーデンマン氏は、「デファイは現代人の定義とリンクしています」と語ります「現代人は常に移動していますよね。このような人たちは、正確で時間を計測するためにエル・プリメロ クロノグラフを必要とし、さらに風雨をものともしない、より防水性の高い時計を必要とするはずです。それがデファイなのです」。

 一部のデファイでは、先駆的に磁気に対する耐性を高めたものもあり、文字盤にデファイ ガウス(Defy Gauss)と印字されているものもある。しかし、これら初期のデファイに標準装備されていたのは、独自のサスペンションシステムであり、時計内部のムーブメントを弾性のある衝撃吸収バンドで接地することで、ほとんど前例のない衝撃保護を実現していたのだ。

a vintage Zenith Defy wristwatch on a man's wrist.

 グレッグ・セルシュ氏とのTalking Watchesでは、彼が所有するヴィンテージのデファイを「無人島時計」と表現しているが、ゼニスの社員が最初のデファイのプロトタイプをル・ロックル本社の2階の窓から下のコンクリートに投げ捨て、耐衝撃性をテストしたという話をコール・ペニントンに語っている(このプロセスは、15年ほどあとにG-SHOCKの開発で繰り返される有名なものだ)。ゼニスの社員は、サスペンションシステムが、2階からコンクリートの上に落ちたときに発生する衝撃からムーブメントを保護できるかどうかを確認したかったのだそうだ。

 「ゼニスはこの時代、精度の高さで有名で、さまざまなクロノメトリーの大会で優勝していました」とボーデンマン氏は言う。「そのクロノメーターは、常にクラシックなケース、ゴールドケースに収められていました。時計の耐久性については、まったく語られることはありませんでした。しかし、デファイは日常的に時計と暮らしたい人、つまり男性でも女性でもデファイは存在したのです」。

A vintage advertisement for Zenith Defy.

 1969年のデファイの登場は、ラグジュアリースポーツウォッチというジャンルが確立される数年前でもある。初期のデファイと、オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラスに代表される1970年代のスポーツウォッチのデザインには、美的な類似点がいくつかあるが、デファイはより実用的な理想を保ち続けた。デファイは、外出の多い人のために作られた頑丈な時計だったのである。

 そのピュアな姿勢は共感を呼んだ。イタリアのコレクターはゼニスの初期モデルを「時の金庫」(Il casaforte del temp)と名付け、フランスの人々は上のヴィンテージ広告に見られるように、英語で「金庫」(coffre-fort)と愛情を込めて呼ぶようになった。

 さて、今回発表された新しいデファイ リバイバルは、Ref.A3642からインスピレーションを得ている。それは初期のデファイのなかでも、八角形のスティールケースに14面ベゼルとゲイフレアー社製のラダーブレスレットを組み合わせた、ユニークで幾何学的なデザインを特徴だ。しかし、コレクションの規模は決して小さなものではなく、デファイはすぐに大きな広がりを見せ、ダイバーズウォッチ(一部のモデルは600mまでテスト済み!)やそのほかのケースやブレスレットのさまざまなオプションが含まれるようになったのだ。

 「60年代はまだ懐中時計をやっていた時代なのでこの分野では完全に正統派でしたが、我々はデファイをもちろん腕時計にしたかったんです」とボーデンマン氏は話す「私たちは、商品名のないスポーツウォッチもラインナップしていました。デファイによって、強力なネーミングのもとにすべてを集めることができたのです」。

A lifestyle image of a vintage Zenith Defy wristwatch

 A3642のデザイン言語は非常にレトロな魅力に溢れており、ゼニスのチームが他のオールドスクールなデファイに加えて復活させるためにこのモデルを選んだ理由のひとつでもある。1960年代のオリジナルの生産計画書を用いることで、ゼニスはこの時計を際立たせていたすべての外観要素を復活させることができたのだ。

 トープ色の文字盤は、中央のグレーから周辺部のライトブラウンへと変化する、オリジナルモデルに見られるようなグラデーションがかったフュメ仕上げが施されている。このデザインは、スイスの有名なチョコレートバー「トブラローネ」に似ていることから、スイスのゼニスによって「トブラローネ」と名付けられた。針もオリジナルと同じ剣型だ(ただし、トリチウムではなくスーパールミノバを塗布)。ホワイトの日付窓も、1969年のモデルと同じ4時半の位置にある。ケースバック以外は、鏡面仕上げのステンレススティール製で、直径37mm x 厚さ13mmの3ピース構造も基本的に同じものだ。

 サファイアクリスタル風防、ソリッドバックではなくブランドの4ポイントスターロゴが入ったディスプレイケースバックの採用、オリジナルのCal. 2552PC/2562PCではなく、最新のエリート670キャリバーを内部に搭載していることなどが、違いとして挙げられる。また、オリジナルの衝撃吸収バンドもなくなり、大幅に改善された現代の衝撃テストをパスした耐衝撃構造が採用されている。残念ながら、ゼニスが時計を窓から落とすことはもうないとをお知らせしなければならないが。

我々が思うこと

 オリジナルのデファイ A3642は、独自のアイデンティティを持つ非常に興味深い時計だ。14面ベゼルと八角形のフルポリッシュ仕上げのケースは、指でなぞって感じることができるほど傷だらけで、ボロボロの状態だったのを覚えている。明らかに使い古されたもので、それなりの人生を歩んできたように見えた。

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 この変り種のスポーツウォッチに興味を持った私は、ほかのヴィンテージのデファイにも目を向けた。昔も今も、その選択肢の多さには驚かされる。文字盤のカラーバリエーションは数え切れないほどあり、ケースデザインも多種多様。だから、この時計がまだコレクターのあいだで流行っていなかったことに、私はとても驚いた。ヴィンテージモデルが持つ真のコスパの高さはもちろんのこと、追跡可能なすべてのバリエーションと歴史によって、オリジナル(およびリバイバル)デファイ A3642のような時計には多くの魅力があるのだ。

 しかし、A386、A384、A3818などのヴィンテージモデルの需要とオークションでの好調な実績をベースにしたエル・プリメロ復活シリーズとは異なり、ヴィンテージのデファイの需要・関心はそれほど高まっていない。数年前にHODINKEE Shopで販売されたこのA3642を思い出して欲しい。当時私たちはこの時計に900ドルの値をつけたが、この時計が入手できたときから評価はあまり変わっていない。

 もちろん、エル・プリメロと比較すれば、ヴィンテージのデファイが手つかずの状態で存在することが少ないのも納得がいく。これらは日常生活のために作られた時計なのだから。そして、タフでファンキーなツールウォッチのストーリーは、シャルル・ベルモとエル・プリメロとの屋根裏での冒険に比べると、明らかにセクシーさに欠けるのである。しかし、私には、デファイのヴィンテージモデルは、人気が爆発するのをただ待っているように感じられる。この時計があまりにも優れているため、やがて多くの人々の興味を引くことになるだろう。

A Zenith Defy Extreme watch resting on its side.

デファイには、昨年のデファイ エクストリームのように現代的なデザインの限界に挑戦するモデルや、デファイ リバイバルのようにヘリテージマインドを持った時計が登場している。

 デファイ リバイバル A3642は、最も認知度の高いヴィンテージ デファイのひとつを見事に再現し、絵に描いたようなカムバックを果たした。このモデルは、デファイ・コレクションのバックカタログと、現代のデファイのラインナップを構成する印象的でハイテクな時計(私が最近ハンズオンしたデファイ エクストリームなど)の双方への関心を高めるきっかけとなる可能性を秘めている。デファイが今後どうなっていくのか、興味深く見守っていきたいと思っている。

「タイムセーフ」は、初代ゼニス デファイの愛称のひとつ。

 なぜならA3642がうまくいけば、デファイのリバイバル作品がもっとたくさん出てくる可能性があるからだ。ダイバーズウォッチであるデファイ プロンジュールの新バリエーションを想像してみて。それは、久しぶりにアウター回転ベゼルを備えたゼニスが登場する可能性を示している。

 今、デファイコレクションの可能性は無限大に見える。次は何が来るのか、今はただ楽しみに待つしかないだろう。


基本情報

ブランド: ゼニス(Zenith)
モデル名: デファイ リバイバル A3642(Defy Revival A3642)
型番: 03.A3642.670/75.M3642

直径: 37mm
厚さ: 13mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: トープフュメ / グラデーションブラウン
インデックス: 横方向に溝のあるアプライドのアワーマーカー
夜光: あり、針にスーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: ステンレススティール製のラダーブレスレット


ムーブメント情報

キャリバー: エリート 670
機構: 時、分、秒、日付
直径: 25.60mm
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
追加情報: サテン仕上げの新しい星型デザインのローター搭載。ガンギ車、アンクルにシリコンを採用。


価格 & 発売時期

価格: 80万3000円(税込)
限定: あり、250本

その他、詳細情報はゼニス公式サイトへ。

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