ADVERTISEMENT
2018年のSIHHは多くの新しいトレンドが垣間見えたが、わたしが最も注目したのは、面白いレディスウォッチが多く打ち出されていたこと(あまり期待していなかったからというのもあるかも)。とにかく、特にひとつだけ気づいたことがあった。それは特別なダイヤルや仕上げが施されたケースの存在。A.ランゲ&ゾーネ サクソニア・フラッハ ブルーコッパーはその好例だ。この時計は完全に不意打ちだったが、ひと目でかなりの衝撃を与えた。
サクソニア・フラッハ ブルー コッパーは、わたしたち皆が知り愛するのと同じサクソニアの薄型ウォッチだが、二つの点で異なる。それはケースのサイズとダイヤルの素材だ。サクソニア・フラッハが2016年に初めて市場に登場したときは40mm径だった。後に37mmバージョンがコレクションに追加され、スティーブン(・プルビレント)がそのモデルをレビューした。後者は、新しいエントリークラスのランゲとして業界に衝撃を与えた。"たった"177万円(税抜)の小売価格は、以前の40mmバージョンの2万4500ドル(約270万円)と比較して、歓迎すべき価格設定だった(以前として100万円以上ではあるが、 これは結局ランゲなのだから)。この時計に搭載された自社製キャリバーL093.1は、同じく手仕上げで、これがランゲがランゲたる所以である。同様にケースサイズは新たに直径39mm、厚さ6.2mmとなった。これは、他の2つの製品の中間点にある(そして将来さらに多くの同様の製品が出てくるかもしれない)。
ではブルー コッパーのダイヤルの何がそんなに特別なのだろうか。これは、より一般的にはゴールドストーンとして知られているが、アベンチュリン(これもまたSIHHのわたしのお気に入りのヴァン クリーフ&アーペル、レディ アーペル プラネタリウムに使用されている素材)によく似たものだ。アベンチュリンは一種のクォーツで、イエロー、グリーン、オレンジ、ブラウン、グレーなどの様々な色があるが、中でも注目すべきはブルーである。
ブルー コッパー / ゴールドストーンの歴史は17世紀に遡り、それを製造する技術はベネチアのミオッティ家によって発明されたと言われているが、それよりも以前に発見された可能性がある。わたしは科学者ではないが、製造のプロセスは次のようなものだ。まずシリカと酸化銅の混合物を加熱して一緒に溶かす。その後、ゆっくりと冷却して良い塩梅で結晶させる(ガラスが硬化する前に銅を結晶化させるのだ)。これを速くしすぎると上手くできない。さらに、酸素は銅によく反応するため、低酸素にする必要がある。このプロセスは非常に骨の折れる作業で工具にも大きな負担をかけるため、手早くこなさなければ高コストになってしまう。しかし、本機における結果は自ずから明らかである。
手首に着けると、この時計はご想像通り快適そのもの。39mmホワイトゴールドのケースは着けやすく、ほとんどの手首サイズに対応する。 この時計は女性だけを対象としているわけではないが、この購買層に最も刺さると思う。だからこそ、ランゲがこのようなダイヤルで39mmバージョンのサクソニア・フラッハを登場させたのは興味深いのだ。この仕様は、37mmバージョンか、むしろ35mmバージョンにより適していると思わずにはいられない。とにかく、この時計を身に着けることは、オリジナルの高級バージョンのように感じられ、ほんのちょっとキラキラしたものが好きな女子にとっては、間違いなくウケると思う。
腕時計の世界では特別なダイヤルとケースの仕上げ(フロステッドゴールドなど)は目新しいものではない。1970年代と1980年代には、ロレックス、ピアジェなどから樹皮のようなバーク仕上げ、オパールダイヤルや編組ベゼルが増加した。この傾向はもちろん定着しなかった(流行っては去っての繰り返し)が、今は明らかにそのときだ。こうした特別な仕上げは、万人のためのものなのはもちろん承知だが、個人的にわたし好みでもある。いつもありふれたシルバーのダイヤルではつまらない、そんなときにこうした時計は、ちょっとした違いを見せてくれる。
サクソニア・フラッハ ブルー コッパーの小売価格は241万円(税抜)で、標準の37mmのサクソニア・フラッハよりかなり値が張るが、40mmバージョンは下回る。詳細についてはA.ランゲ&ゾーネ公式サイトへ。
話題の記事
Happenings 時計マニアの皆さん、来週末はニューヨークに行こう!
Hands-On チューダー ブラックベイ クロノ “ブルー” ブティック限定モデルを実機レビュー
Four + One ハロー・パテック、ハローキティ! 彼女はおもちゃのような品から気品ある時計まで幅広く揃えている