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June 22, 2021
Hands-On H.モーザー エンデバー・トゥールビヨン タイガーアイを実機レビュー

Hands-On H.モーザー エンデバー・トゥールビヨン タイガーアイを実機レビュー

H.モーザーの新作エンデバー・トゥールビヨン タイガーアイは、あなたが時間を知る必要がないように時間を表示してくれる。

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時計にまつわる実存的な疑問がある。時間が分からない時計は、時計とはいえないのではないか?というものだ。H.モーザーのいたずら心が生み出した本モデルは、マーカーも数字も何もない。あるのは、ワイルドなタイガーアイ文字盤と回転するトゥールビヨンだ。これは機能的なアート作品であり、時間で管理された世の中において、時間を知る必要のない人が身に着けるものなのだ。

 この時計は、フラン・レボウィッツも気にいるだろう。1970年代にカナダのトークショーに出演した彼女は、タバコを吸いながら、デジタル時計とその正確さを軽蔑してこう言った「10時17分は本当の時間ではありません」「10時18分にどこかにいる必要はないのですから。15分後が本当の時間ですよ」と。この時計を着けているときに誰かに時間を聞かれたら、どんな数字を言っても最後に "くらい "を付けなければならないだろう。

 実用性はともかく、タイガーアイの良さは腕にしたときに分かる。マイクロクリスタルクォーツ文字盤のディテールや、トゥールビヨンの動きを見ていると、思わずうっとりしてしまう。

 H.モーザーは今年のWatches & Wondersで、タイガーアイを2つのバリエーションで発表。ホワイトゴールドの「ファルコンアイ」(ブルーの文字盤)と、レッドゴールドの「オックスアイ」(上の写真)だ。この時計は、エイプリルフールをテーマにしたseconde/seconde/とのピクセル化された消しゴムのコラボレーションの1週間後に発表された。モーザーはこの時計で2021年のミニマリスト・トレンドのスタートを切ったが、タイガーアイはそのアイデアで既にゴールを決めている。

 機能的なアートというアイデアを受け入れると、とてもクールで、普通の時計のようにも感じられるようになる。その理由のひとつは、優れた装着性だ。直径40mmのケースと比較的コンパクトなラグにより、腕にしっくりと馴染むのだ。さらに、ケースの厚さが11.2mmあるため、サイズ的にもちょうどいい。ストラップはブラウンレザーで、サンセットカラーの文字盤とレッドゴールドのケースの温かみを引き立てている。ストラップにはデプロイヤントクラスプが採用されているが、このクラスプを操作するのは少しコツがいる。時計を腕に着けるのは何気ないことだが、この時計はストラップをクラスプにどうやって着けるのか、かなり考える必要があった。文字通り針に糸を通すような感覚だったのだ。

 オックスアイでは、文字盤全面にレッドマイクロクリスタルクォーツを採用。最大の特徴は、シャープな水平方向のラインだ。これも実存的な問題だ(これは東から西に流れているのか、それとも西から東に流れているのか?)。 タイガーアイは、光の加減で見え方が変化する。正直なところ、ほとんどの条件では、編集されていないRAW画像のようにくすんで見える。しかし、一度日光にあてて、少し動かしてみると、その良さが分かるのだ。確かに、いつも太陽の下で輝いていたいとは思うが、思い通りにならないこともある。

 時間を正確に設定できないこと、時間を知ることができないことは、900万円台の時計の魅力ではないかもしれないが、この作品の最も魅力的な部分のひとつでもあった。いずれにしても、これには回避策がある。12時ぴったりにセットすれば、たとえその時間が正確に分からなくても、常に正しい時間であることが分かるというわけ。

 この時計の最大の魅力は、文字盤に加えて、なんといってもトゥールビヨンだ。文字やマーカーなどの表示が一切ないことで、トゥールビヨンの存在感が際立っている。時間を気にせず、トゥールビヨンが回転する様子を見るのは、これまでにしたことのない体験だった。メカニズムや永続的な動きに集中することができたのだ。また、トランスパレントバックを採用しているため、自分の手首がトゥールビヨン越しに見える。まさにリストショットが拝める。

 このケースバックからは、Cal.HMC804(ダブルフラットヒゲゼンマイを採用した自動巻きマニュファクチュールムーブメント)を見ることができる。このムーブメントは、摩擦を減らして精度を向上させている。これがこのモデルを購入する最大の理由ではないかもしれないが、高額な価格を正当化するのには役立つだろう。

 エンデバー・トゥールビヨン タイガーアイは、H.モーザーがH.モーザーらしく独自のスタイルをもち、それを見事に実行している時計であり、誰もそれを否定することはできないだろう。このブランドは、ミニマルなデザインの時計を作ることに重点をおいており―基本的に文字盤が全てであるこの時計は―まさにそれを体現している。この時計は一体何時を指しているのか? 正直なところ、それはさほど重要ではないのだ。

H.モーザー エンデバー・トゥールビヨン タイガーアイ: 18KRGケースは、直径40mm、厚さ11.2mm。30m防水で、ディスプレイケースバックを備える。オックスアイと呼ばれるマイクロクリスタルクォーツダイヤル(50本限定で、それぞれ文字盤の模様は異なる)。本機は、H.モーザーの自社製自動巻きムーブメントHMC804を搭載。ダブルフラットヒゲゼンマイ(ダブルヘアスプリング)を備え3日間パワーリザーブを誇る。50本限定(年産30本)、924万円(税込)。18KRG製のデプロイヤントクラスプ付きアリゲーターストラップ。詳細はH.モーザー公式サイトへ

Photos: Kasia Milton