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Bring a Loupe ロレックス ポール・ニューマン デイトナ、ユニバーサル ジュネーブ ポールルーター、及びロンジン Ref.7413

オンライン上で見つかった、最新のホットなヴィンテージモデルを紹介する。

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オンライン上で出品されている最高の時計について、最新情報をお伝えする本企画。今回は、Ref.806のナビタイマーより古いAOPAブランドのエルジン、それにユニバーサル ジュネーブ ポールルーター デラックス、それに輝かしい飛行歴を持つポール・ニューマン デイトナなど、航空系のものが主役である。また、2レジスタークロノグラフがお好みの読者には朗報。ホイヤー カレラと、見たことがないほど状態の良いRef. 7413も取り上げる。


ホイヤー カレラ Ref. 3647N

 時計を見つけ出して買うことは、ある種泥臭くて骨の折れる作業だ。個人的には、ヴィンテージウォッチハンティングの楽しさの半分はそこにあるように思う。きちんと下調べして掘り下げれば、第三者からの承認がなくとも、思いもよらぬところで大きな収穫ができるのだ。それこそ、単なる購入と真の発掘との違いであり、その苦労はきちんとご褒美になって返ってくることを私は保証したい。ちょうどこれに当てはまるような時計が、先日売りに出された。

 ホイヤーのRef.3647N カレラは1960年代末に作られたもので、実質的には、極めて視認性が良いドライバーズクロノグラフでさらなる高みを目指したいというジャック・ホイヤー(JACK HEUER)の希望が形となったものである。経過時間の計測機能はないものの、その分文字盤のスペースが広く(空いた不動産をタダでもらえるわけではない)、ハンドルを握りながらでも時間をひと目で確認しやすくなっている。それに、コンマ何秒の世界で勝敗が決まるスポーツでは、経過時間はさほど重要ではないといえるかもしれない。

 変に思われるかもしれないが、私はひどい写真の出品ページがどういうわけか大好きだ。お目当の時計がひどい写真で紹介されていても、経験値からこれなら良いのではないかと信じて購入を決め、それがご褒美になって返ってくると、それには独特の快感がある。このセラーの写真は理想的とは言い難いものであるが、ケースには摩耗の跡がなく、文字盤の夜光塗料の部分もすべてオリジナルで新品同様であり、完璧な状態であることが見て取れる。クリスタルの部分を磨いてふさわしいストラップを装着すれば、レースの準備は万端だ。

 ワシントン州ブレマートンのeBayセラーがこの時計をオークションに出品している。本稿公開時点では、最高入札額は4650ドル(約50万8000円)だ。


エルジン 24時間 AOPA

 AOPA加盟のパイロット用の時計について考えているとすれば、真っ先に思いつくのは1つ、ただ1つの時計だ。そう、もちろんRef.806のナビタイマーのことだ。この時計がコレクションの起点となり、ブライトリングはパイロットウォッチの第一人者的メーカーとして知られるようになった。そう前置きしたうえで、見過ごされがちな時計がもう1つあり、そちらも一考の価値があるものだ。ナビタイマーほどのインパクトはないかもしれないが、歴史的には同じくらい重要なものであり、AOPAの時計としてはこちらの方がよりロジカルな選択肢だといえるかもしれない。

 ご紹介するのはAOPA向けに作られたエルジンで、製造年は1951年である。この年号は重要だ。なぜなら、ナビタイマーが発売された1952年より前だからである。つまりこの時計は、AOPAのために特別に作られたものであり、エルジン ウォッチ カンパニーは実際アメリカ企業であることから、アメリカのパイロット協会向けに時計を作るにはまさに適任といったところだ。すると、「どうしてAOPAはブライトリングに乗り換えたのか」という疑問が湧いてしまう。私見では、究極的には、ブライトリングの方がコスパがよくて説得力のある時計を作っていたのだろう。

 オリジナルの広告に示されている通り、24時間の文字盤を備えたこのエルジンは、AOPAの会員には税込49.50ドル(約5393円)で提供されていた。ナビタイマーは当初それよりわずかに高価だったが、大きさやコスパを考えればナビタイマーの方に傾いても仕方なかっただろう。このように結局のところはナビタイマーに敗北してしまったとはいえ、この時計の歴史的重要性に変わりはなく、アメリカ製のパイロットウォッチを狙っている読者には魅力的な提案となっている。

 ニックネーム「プリマバレロン(PRIMABALERON)」というオメガフォーラムのメンバーがこの時計を700ユーロ(約8万5000円)の価格で出品している。

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ロレックス 「ポール・ニューマン」 デイトナ Ref. 6239

 ロレックスは多くの時計をそれぞれ特定の職種向けに意図して設計していたが、そうした特定の目的で作られた時計を着用していたのはほとんど、作りの良い時計を求めた一般人だったといってもいいだろう。そのため、実際に職業人によって使われた時計が掘り出されれば、それはかなり興奮するのである。
 最近、そのような時計が売りに出された。ポール・ニューマン  デイトナだ。当初の所有者の話や、この時計が目撃した空の武勇伝に心を奪われた私は、どうしてもこの時計を本稿に取り上げずにはいられない。

 このポンプ型プッシャーを備えたRef.6239は1969年に作られたもので、その後バーバラ(BARBARA)という名の女性への結婚記念日祝いに購入されたものだ。バーバラは文字通り、まさに正真正銘のロックな女性で、パイロットになるという夢を追って、実際に凄腕パイロットとして活躍した人物だ。バーバラはエアレースに参加しただけではなく、捜索救助活動において空からの支援も行った。さらにバーバラ(おそらく出品に際してはファーストネームのみを公開しているのだと思う)は、航空機の整備士でもあり、ポラリスA-2ミサイルの戦術的推力方向制御システムの整備を行った経歴もある。戦術的推力方向制御システムとは何か分かっているのかって? 私は分からない。感想は? もちろん大変感銘を受けている。

 ポール・ニューマン デイトナには高値がつくことが多く、そのためコレクターが状態について神経質になるのも理解できる。そう前置きした上で、どの原則にも例外はつきものであり、この時計も例外に入ると考えている。この時計の場合、ケースには摩耗の跡が見られ、3時の目盛りの夜光塗料は一部なくなっている。しかし、添付されている写真や書類で辿れる出どころが、この時計をまさに唯一無二のものにしているのだ。それこそ、素晴らしい時計の購入意欲をさらに高めてくれる秘伝のタレなのである。この時計にはそれがかかっており、オリジナルの文字盤が付いたどこにでもある単なるクロノグラフとは一線を画している。

 サンフランシスコのH.Q. ミルトンがこの信じられないほどクールな時計を提示価格183350ドル(約2000万円)で出品している。詳しくは同社サイトへ。


ユニバーサル ジュネーブ ポールルーター デラックス Ref. 10357-1

 またホットなパイロットウォッチの紹介である。他とは違い、この時計にはとても機能的な24時間文字盤や便利なクロノグラフ機能は付いていないが、その代わりアンチマグネティック機能が備わっており、コックピットで重宝された。北極上空を飛行する際磁気による干渉に悩まされていたスカンジナビア航空のパイロットには便利だっただろう。

 今日紹介するのは、リファレンス番号が10357-1のものである。ケースバックの番号はかすれて消えてしまっているが、このリファレンスであることに間違いはない。この時計を特別なものにしているのは、18Kケースである。金のポールルーターの大多数とは異なり、この時計ではローズゴールドが用いられている。それによって他より少し際立つものになっているだけではなく、カジュアルな場でも着用しやすいものになっている。リファレンス番号がかすれて消えてしまっていること以外、状態は極めて良好で、ケースは分厚く文字盤も文句の付けどころがない。これは考えられる中で最高の出物といえる。

 2019年現在、ポールルーターシリーズはかなりコスパがいいものになっている。出品者が公開している情報の通り、この時計は純金のユニバーサル ジュネーブであり、最高級のマイクロローターキャリバーで時を刻んでいる。設計したのは他ならぬジェラルド・ジェンタ(GERALD GENTA)自身である。 ヴィンテージの世界では、5000ドル(約54万4830円)未満でこれより良いものを入手するのはかなり難しく、さらに重要性の面で並び立つ時計はほとんどない。ケースは直径34.5mmと控えめなサイズなので、フルゴールドではあるがこれを着けこなすのは思うより簡単だろう。もしも着けこなせると思えば、ぜひ思い切って入手を試みてほしい。

 この時計は、所有者から提示価格3500ドル(約38万円)でオメガフォーラムに出品されている。

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ロンジン Ref. 7413

 最後に、もう1つ、2レジスターのクロノグラフを紹介しよう。先ほどのホイヤーと同じようにケースはステンレスで、作られたもの大体同じ時期だが、共通点といえばそのくらいである。これは全く違う時計であり、はるかに洗練されつつ、それでいてスポーティな着け方もできるものだ。ひと言で言えば、このロンジンはかなりイケている。でも、そんな感想で許してくれる読者などいないことは承知しているので、詳細を見ていこう。

 直径38mmとかなり大きめなこのロンジンでは、テレメーターとタキメーターの目盛りが青と赤でコントラストをなしている。そのほかの点では保守的な銀の文字盤において、これらの目盛りはとても目立つもので、簡単に使ってみることができる。そう前置きした上で、一番魅力的なものはケースバックの奥に隠れている。私の考えでは、ロンジンは歴史上真に最高のクロノグラフ用キャリバーを作るブランドの一つであり、その中でもキャリバー30CHは最高の部類だ。黄金のスタンダードである13ZNには確かに劣るが、この伝説的な作り込みとバターのようなスムーズな操作性は、間違いなく一級品の証拠となっている。

 このリファレンスのゴールドケースバージョンと比較すると、SS製のものは摩耗がやや激しい傾向にある。しかし今回出品されたものはそれに反し、50年近く経った今でも美しい保存状態だ。ケースに摩耗の跡はなく、文字盤も完璧で、ケースバックにも道具を使用した跡が一切見られない。もし少しスポーティな一面もある趣味のいいクロノグラフをお探しなら、これ以外は検討しなくていいだろう。

 マイアミのメンタウォッチズがこのロンジンを8750ドル(約95万7000円)で販売している。さらなる写真と連絡先に関しては同社のサイトへ。