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A Week On The Wrist オーデマ ピゲ  ロイヤル オーク オフショア ダイバーを実機レビュー

多くの人はこのダイバーズを高級スポーツウォッチと見なしているし、実際そうなのだが、我々はこの時計が設計された本来の用途に沿ってテストしてみたいと思ったのだ。


※本記事は2011年6月に執筆された本国版の翻訳です。

 オーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショア ダイバーは、2010年のSIHHで最も注目を集めたモデルの1つだ。オーデマ ピゲが初めてISO認証を取得したこの時計は、多くの顧客が何ヵ月も待ち望んだものだった。また、このカテゴリーの時計を代表するオリジナルのロイヤル オークの再来とも考えられていた。多くの人はこのダイバーズを高級スポーツウォッチと見なしているし、実際そうなのだが、我々はこの時計が設計された本来の用途に沿ってテストしてみたいと思ったのだ。 そこで、この1万7100ドルの高級時計(※本記事で取り上げているのは、旧モデル。Ref.15703ST.OO.A002CA.01。当時の価格は205万2000円)を専属のダイバーズウォッチエキスパートに渡して、ボネールの海で自由に使ってもらった。彼はこの時計を着けて100フィート(約30m)の深海に潜り、難破した麻薬密輸船を探り、1週間後に戻ってきた。ここに彼の調査結果がある。あぁ、もちろん全部ビデオに収めている。これは、実際のダイバーが書いたロイヤルオーク オフショア ダイバーの初めてのレビューかもしれない。

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 水中100フィートというのは、高級機械式時計のリューズが正しくねじ込まれているかどうか考えるには適さない場所だ。ボネールのヒルマ・フッカー沈没船へのダイビングの準備をしている間に、陸に戻って防水性とバネ棒を二重三重にチェックしていたが、念のためにもう一度確かめてみた。私は転覆した船に向かって傾斜した岩礁を潜水して行った。船には2万5000ポンド(約11t)のマリファナが隠され、当局がそれを押収した後、程なく100フィートの水中に沈んだ。私と共にあったのは並みのダイバーズウォッチではなかった - この時計はロイヤル オーク オフショア ダイバーであり、ル・ブラッシュのオーデマ ピゲが2010年に発表したモデルで、内部には素敵な自動巻き Cal.3120を搭載している。これを水浸しにすることは、時計史に残る犯罪だ。

ロイヤル オーク バージョン 2.0

 ロイヤル オーク オフショア ダイバーは、39年前のロイヤル オークと同じように、オーデマ ピゲにとってマイルストーンとなる時計だ。1972年にジェラルド・ジェンタの協力を得て発表されたロイヤル オークは、同時代のロレックス サブマリーナーの数倍の価格をもつスティール製の時計で、真のラグジュアリースポーツウォッチの元祖となった。それは同社にとって運命を左右した瞬間であり、後にそのジャンルを確立することともなった。40年後、ロイヤル オーク オフショア ダイバーが再びその基準を引き上げた。それは新しい世代のためのロイヤル オークであり、12時位置のダブルマーカーが、オリジナルのリファレンス以来初めてのものであることは偶然ではない。30気圧防水のケースの中には、現在製造されている最高の自動巻きムーブメントの1つが搭載されている。22Kゴールドのローターと60時間のパワーリザーブを備えた、自社内で手作業により装飾された40石の傑作だ。それゆえ、私が防水性について心配していたのも理解できると思う。

 このダイバーズは、39年前の初代ロイヤル オーク以来、12時位置にダブルマーカーを搭載した初めてのモデルだ。厚さ14mmのケースの中にムーブメントが隠されているのがもどかしいが、ダイバーにとっては空気消費量や無減圧限界など、より重要な情報から気をそらさずに済むようにトランスパレントバックではない。ケースは見た目も美しい。ロイヤル オークの伝統に忠実に、ネジ頭が見える舷窓型のベゼル、控えめなマーカー、素晴らしい“タペストリー”パターンのダイヤル、そして一体型のストラップデザインなど、このモデルの特徴は全て揃っている。ムーブメントと同じレベルの仕上げがケースにも施されている。スティール製のケースサイドと特徴的なベゼルには魅惑的なサテン仕上げが施され、ラグとベゼルの面取りされたエッジにはポリッシュ仕上げが施されている。ケースバックのデザインは最小限だが、テクスチャーを施したメダリオンの表面は依然として、視覚的に魅力的だ。

 オーデマ ピゲは、ダイバーズウォッチの国際規格であるISO 6425に準拠した真のダイバーズウォッチを作りたいと考えていた。そこで彼らは、バトン針がそれぞれ識別できるように、最大限の読みやすさを追求し、暗闇の中でもダイバーが自分の時計が動いていることが分かるようスイープする秒針に夜光を追加した。経過時間用の回転ベゼルをもち、もちろん、300m防水だ。他にもいくつかの強豪(ジラール・ペルゴやブレモンのものなど)をテストしてきた私は、 この時計が実際の海中でどう使えるかを試すチャンスに飛びついた。自分のダイビングギアや高解像度の水中ビデオカメラと一緒に時計をパッキングし、その実力を試すために南カリブ海のボネールに1週間連れて行ったのである。

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ラグジュアリーダイバー、ダイビングへ

 このダイバーズには、刻印のある美しいバックルが付いた幅広の一体型ラバーストラップが付属している。素材は質感があり、ちょうど良い厚みだが、厚さ2mmのウェットスーツの袖には短すぎてフィットしなかった。暖水域でのダイビングには問題ないが、厚手のスーツを必要とするような冷たい海では、オーデマ ピゲのXLサイズのラバーストラップを選ぶ必要があるだろう。ほとんどの人が長いダイバーズストラップを必要とすることはないだろうが、これは結局のところダイバーズウォッチであり、言及されるべきだと感じた。特徴的なロイヤル オークのブレスレットのモデルもあるが、ラグのないデザインのため、社外品のダイバーズストラップは付けられない。ケースサイズは42mmで、手首のはみ出しもなく、よほど細い腕以外のすべてにぴったりのサイズだ。また、14mmの厚さとテーパードベゼルのおかげで、近頃の巨大なダイバーズウォッチのようにホースや器材に引っかかることもない。

 2010年にピンバックルを搭載した最初のオフショアがこのダイバーだ。顧客に大変好評だったため、現在ではすべての新しいオフショア(44mm)にも同じようなバックルが付いている。私は、機能的な観点からダイブウォッチのインナーベゼルを好んだことはない。ほとんどの時計は水中では操作できず、降下する前にリューズをロックしなければならない。これは、水中で進んだ距離や減圧停止のタイミングを計るために使用できないということだ。また、手袋をしていたり指が濡れていたりすると、使い勝手が悪い傾向にある。ロイヤル オーク オフショア ダイバーのインナーベゼルは、クラシックなロイヤル オークのデザインを邪魔するものではないが、水中では事実上、ほとんど使用できない。リューズの位置が10時の位置にあるため、左手首に装着した場合、右手を曲げてリューズを緩め調整する必要がある。ベゼルの動きはクリックの間隔が狭いため、回すのにかなりの労力を要する。これらの欠点を考慮し、私はテストダイブでのベゼルの使用を、全て見送ることにした。

 ジェイソンはこのダイバーズについて、インナー回転ベゼルが使いにくいと感じたが、視認性は非常に優れていると思った。明るい場所でも暗い場所でも視認性は非常に良好だ。針はひと目で見分けがつきやすく、夜光も十分だ。暗い難破船の中を泳ぎながらでも時間を読むのは驚くほど簡単だった。極めて美しいダイヤルの仕上げは視認性を妨げることなく、ダイヤルの深いブラックが針やマーカーとのコントラストを高めている。

 ロイヤル オーク オフショアダイバーは驚くほど繊細な時計で、身につけると非常に好感が持てる。ビーチのティキバーやダイブショップに居る、高級時計にあまり興味のなさそうなダイバー達に気づかれずに済むのはいいことだ。しかし、知る人ぞ知るこの時計は、現代のアイコンなのだ。100フィート(約30m)の水深で、デジタルディスプレイを必要としない真のダイブツールなのか? もちろんそうだ。しかし、次のような高級スポーツウォッチを求める人にとって、これに匹敵するものはない。

水中の様子&ハイビジョン映像

ジェイソンと、オーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショア ダイバーがボネールの海を泳ぐ様子は、以下のビデオで見ることができる。

ライブ写真は全てGishani Ratnayake(ギシャニ・ラトナヤケ)が撮影し、スタジオの写真は全てオーデマ ピゲが提供。