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Just Because A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1 25周年記念全モデルを一挙レビュー

こんな光景は誰も見たことがないでしょう。

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ドイツのブランド、A.ランゲ&ゾーネにとって昨年は、冷戦後に復活を遂げてから25周年を迎えた、大きな一年となりました。 ランゲが過去25年間にわたって成し遂げてきたことを振り返ると、それは驚くべきことの数々でした。(このブランドの業績を少し挙げるとすると)彼らは、大幅な技術革新を行い、専用のコレクターコミュニティを立ち上げ、時計デザインを洗練させてきました。

 その25周年を祝うために、ランゲは興味深い方法を取りました。10種類からなる限定記念モデルをリリースしたのですが、1月のSIHHでその全てを発表するのではなく、毎月1本ずつ行ったのです。それが意味することは、あるモデルは他のモデルよりも早くに目にすることができ、一方で並べて見ることはほぼ不可能であるということです。これらのモデルは全て、青みがかった針とブルーのマーカーにインデックス、そしてムーブメントにある特別な彫刻という、共通した美を備えていました。これらが集まれば、素晴らしい眺めになるとは思いませんか?

 ほんの数週間前、何と僕らは、この10種類のモデル全てを一つの部屋に、しかも同時に、集結させるという幸運に恵まれました。それは簡単な仕事ではありませんでしたが、僕は喜んで報告します。想像した通り、この時計たちは一堂に会するとさらに印象的であり、僕はその10本全てを手にできたらと思ったことを。

 昨年僕たちは、あらゆる方法でこれら全作品を取り上げてきましたが、ここでは、各モデルの細部に至るルックスと、重要な考察、さらに詳しく知りたい人のための情報をご紹介します。


ランゲ1

 これこそ、SIHH 2019で発表され、このシリーズの火蓋を切った時計です。この時計は昔ながらのランゲの時計で、始まりを飾るのにこれほど相応しい時計はないでしょう。ランゲ1は、1994年のブランド復興の際に発売された4モデルのうちの1つだったことを思い出してみてください。そう、近代のランゲにおいて、この時計は限りなく本物だといえるでしょう。

 重要なことに、この時計はまた、10本の25周年記念版を特別なものにする「青」写真(少し後に分かるダジャレですみません)を定義しています。これらの時計は、ホワイトゴールドのケース、ブルーの針とマーカーをもったシルバー文字盤、ブルーの数字を使用したアウトサイズデイト、25周年記念の特別な彫刻を施したムーブメントを共通して備えています。これらの時計は、厳密には既存モデルにも当てはまりますが、その装いは異なっており特別なものです。個人的には、この外観はランゲの時計として相応しいものであり、どのような場面にも似合うと感じます。

 さて、この1本目の時計は、いくつかの点でその仲間たちとは異なります。まず、ハンタースタイルの裏蓋には、オリジナルのランゲ製造元の彫刻とブランドを復興させた2人の男性、ウォルター・ランゲとギュンター・ブルームラインの名前が刻まれています。この時計はまた、250本の限定モデルですが、その他の時計の製作数はさらに絞られています。

 この時計に対する反響はその直後から凄まじく、1年余り過ぎてもなお、その感動は残っているようです。個人的にいえば、この時計は僕にとってSIHH 2019のハイライトのひとつであり、ツートンカラーのシルバー文字盤は、これまでのランゲ1の中でも特に気に入りました。このシリーズを始めるにあたり、これほど素晴らしい一手は考えられません。

ランゲ1 “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


グランド・ランゲ1・ムーンフェイズ

 ランゲがこのコレクションの第2弾を発売したのは、SIHHのわずか1ヵ月後のことでした。そして正直に述べると、当初それは僕が目にすると予想していたモデルではありませんでした。グランド・ランゲ1・ムーンフェイズは素晴らしい時計ではありますが、その他のランゲの名機ほど注目を集められるようなものではありません。本機は41mmとやや大きめで、メインダイヤル内に入れ込まれているムーンフェイズディスプレイが、調和の中に斬新さを与えています。

 さて、このムーンフェイズ表示について、ランゲはこの限定モデルのために特別な趣向を凝らしました。このムーンフェイズディスクは、本物のホワイトゴールドで作られており、空部分はマット仕上げで、手彫りされた星々と共にこの時計に新たな魅力を付け加えています。月部分は半球体が磨き上げられた後、ディスクに固定されており、非常に豪華な見た目となっています。この限定モデルは25本のみとなり、25周年記念コレクションの基準を定める時計となりました。

グランド・ランゲ1・ムーンフェイズ “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


リトル・ランゲ1

 おそらく当然のことかもしれませんが、僕はリトル・ランゲ1が大好きです。まず、この時計にリトル・ランゲ1と名前をつけた勇気だけでも心にくるものがありますが、合理的にまとめるというアイデアがシンプルに気に入っています(ケースには日付調整ボタンはなく、プッシュピン式となっています)。リトル・ランゲ1 “25th アニバーサリー” は、クラシカルなスタイルのランゲ1 ムーブメントを使用していますが、期待できる限り最高のレベルで仕上げられており、もちろんテンプ受けには追加で「25」の彫刻が施されています。

 この時計が「小さい」からといって、いかなる意味でも「劣っている」ということではありません。サイズは通常のランゲ1の38.5 mmから36.8 mmに縮小されていますが、それ以外はあらゆる点で立派なランゲ1だといえるでしょう。編集部の一部の人は、ボタン型の日付コレクターが無いことを嘆いており、それは僕も理解できますが、ランゲがこの時計でそれを省いたことは正しい決断だったと思います。そうしなければ、悪目立ちして、洗練されたケースを台無しにしていたことでしょう。さて、留意すべきことの1つに、この時計の文字盤が上記のランゲ1で見られるような、ツートンカラーの文字盤では無い点が挙げられます。この文字盤は単色のシルバーで、ツートンカラーのものほど特別感はないかもしれませんが、それでもなお魅力的で、控えめが好みの方にぴったりです。

リトル・ランゲ1 “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。

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ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー

 おや、あなたはこの時計でランゲが遊び心を発揮していると思いました? 本当にそうでしょうか? この時計は、このコレクションの中で最初の(しかしこれが最後ではない)本格的なメガウォッチです。ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー “25th アニバーサリー” は、ランゲで最も複雑な時計と、ランゲ1のラインナップにおける最も高価な時計から派生しました。僕にとって、この時計の最も印象的な点は、そのサイズにあります。ランゲは、メーカー独自のQP(パーペチュアルカレンダー)表示とトゥールビヨンを41.9 mm x 12.2 mmの入れ物に収めることに成功したのです。これは、多くの人が日常的に身に着けることができる時計であることを意味します。約3600万円(当時)の時計で常日頃もビシッとキメたいことが前提ですが。

 これは遠目からでも素晴らしい時計ですが、もっと手元で見たいと望むだけの価値がある時計です。ムーンフェイズディスプレイは、前述のグランド・ランゲ1・ムーンフェイズで見られるものと同じスタイルの手彫りによるホワイトゴールドディスクでできており、華やかに弧を描く2枚のトゥールビヨンの受け板はそれ自体が驚嘆に値し、トゥールビヨンは実際にストップセコンドメカニズムを備えており(トゥールビヨンの中では希少)、さらには下にあるムーブメントがよく見えるようローターまでもが穴の開いた曲線構造となっています。

ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。 


ランゲ1・タイムゾーン

 今から旅行はいかがですか? ほぼ1年前、2019年5月にこの時計が発売されたときは、世界を股にかけたロマンチックな旅と息を呑むような時計製造技術のブレンドが、11ヵ月後にはとても恋しく、熱望されるものになることを誰が予想していたでしょうか? 現在の状況はさておき、この時計は、ランゲの最も魅力的なパッケージの中に最も古典的なランゲ1の複雑機構が詰まった時計だといえます。どういった理由でか、このモデルはシルバーにブルーの配色の恩恵を受けており、都市ディスク上にあるGMT時間を示すほんの少しの赤がアクセントを添えています。もしかしたらそれは、文字盤にある文字の羅列のせいかもしれませんが、偶然にも絶妙な塩梅になっています。

 タイムゾーンについて十分に話題に上っていない点のひとつに、ムーブメントがあります。4分の3プレートとその中心に「島」が配された、昔ながらのランゲ1の外観を保ちつつも、その上にはトラベルタイム機能用の追加のブリッジと歯車があります。ランゲは、これらを4分の3プレートの下に隠すのではなく、その上に(もしくは見方によっては一番下に)積み重ねることを選びました。この場合、さらに感嘆するのは、ランゲがブルーの漆で満たされた手彫りを生かせる場所をさらに発見したことです。個人的には、この点が気に入っています。

ランゲ1・タイムゾーン “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


ランゲ1・ムーンフェイズ

 これは、以下のような状況に対処する、非常にランゲ的な時計です。彼らはランゲ1・ムーンフェイズとグランド・ランゲ1・ムーンフェイズをそれぞれ製作しています。これら2本の時計は、単にサイズが違うだけの同じ時計ではありません。それではあまりにも簡単で露骨過ぎます。グランド・ランゲ1・ムーンフェイズでは、大きなムーンディスプレイを時/分のメイン文字盤に入れ込んでいますが、こちらのランゲ1・ムーンフェイズでは、ムーンディスプレイをスモールセコンドダイヤルに配置しています。それは、このような小型の時計の場合、ムーンディスプレイが多くを占めるのではなく、他の機構に類してその役割を果たしていることを意味します。良い戦略です。

 このバージョンのランゲ1・ムーンフェイズでは、青みを帯びた玉虫色のムーンフェイズディスクの上にホワイトゴールドの月が浮かんでいます。これは厳密には、この時計のその他の部分と同じ配色を成していますが、実物を見るとそうは思えません。この青は、非常に生き生きと輝いています。そのことが、時計の他の機能から注意を削ぐことなく、うまい具合に色のアクセントを加えています。僕は、この時計がコレクションの中で最も遊び心のある時計だと思います。

ランゲ1・ムーンフェイズ “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


グランド・ランゲ1

 グランド・ランゲ1・ムーンフェイズとランゲ1・ムーンフェイズという2種類のモデルが全くの別物で、それぞれ独自の表示を使用している、とほんの数段落前に僕が述べたことを覚えているでしょうか? ただし、それはランゲ1とグランド・ランゲ1には当てはまりません。この2種類のモデルは、ケースサイズが38.5 mmから41 mmに変わったことを除いて、基本的に全く同じ見た目をしています。この時計もまた、ひとつのダイヤルで時と分を表示し、アウトサイズデイト、スモールセコンドダイヤル、レトログラード パワーリザーブインジケーターを有しています。このモデルは、リトル・ランゲ1とは異なり、ランゲ1 “25th アニバーサリー” と同様のツートンカラーの文字盤を備えています。この点は、たとえこの時計がランゲ1では僕が最も敬遠するサイズである点を踏まえても、僕の中で重要なポイントとなります。

 さて、ランゲ1とほぼ同一という性質は、時計の外観のみの話です。これまたランゲ的な戦略として、時計職人はこの時計専用のムーブメントを製作しました。それは、裏蓋にぴったりと収まり、文字盤側にある全ての機能が中央に詰め込まれることなく(この問題はケース/文字盤に対してムーブメントが小さすぎる場合に起こります)、互いに正しい比率で配置されるようにしたものです。繰り返しますが、この時計で不満に思うことなど何もないでしょう?

グランド・ランゲ1 “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。

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ランゲ1・デイマティック

 ランゲで過小評価されている時計を挙げるとしたら、ランゲ1・デイマティックほど相応しいものはないでしょう。この時計は、手巻きムーブメント至上主義者が軽蔑する自動巻きで、より大胆な自動巻きを有する一部のランゲ1のように、死ぬほど複雑ではありません。しかし、僕はずっとこの時計のファンでした。

 どうして僕がデイマティックに入れ揚げているか? それは本当に単純な、次の2点です。
1) 自動巻きの場合、僕はパワーリザーブインジケーターは要りません。さらに、レトログラードの曜日ディスプレイはエレガントかつ最高に便利です。
2) このランゲ1の配置は、リューズ側に時と分が来るので、袖口の下からチラッと覗く時計から時間を読むことができます。
 この最後の点の重要性を、過小評価してはいけません。本当です。この時計は、僕にとって隠された逸品と言えます。

ランゲ1・デイマティック “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ

 3種類のムーンフェイズウォッチと3種類の同系統の芸術品。リトル・ランゲ1・ムーンフェイズは実際、上記で紹介した2種類のムーンフェイズウォッチの間をいく時計です。この時計では、ムーンディスクはサブダイヤルの中に入れ込まれていますが、グランド・ランゲ1の大きなムーンフェイズと同じく、手彫りのホワイトゴールドディスクを使用しています。僕は個人的に、これが一番琴線に触れる点です。慎ましやかな、しかし非常に美しい、ムーンフェイズディスプレイを手に入れられるのです。正直なところ、この小さく丸いゴールドの魅力は、写真では伝えきれません。この時計に施された彫刻の質感と「侘び寂び」の心を理解するには、本物を直に見る必要があります。

 このモデルもまた、ツートンカラーの文字盤を備えていますが、若干異なったものであることにお気付きでしょう。背景のシルバーが、メインダイヤルとサブダイヤル部分のみ明るめのシルバーのリングで区切られています。光がちょうどいい具合に当たったときだけ、そのことに気づくことができます。製造を少しでも容易にするために、多くの時計職人が見落としたり飛ばしたであろうこの点のケアは見事としか言えません。これは、ランゲが本当の意味でライバル達よりも優れている点なのです。髪一本分だけ良いものを作るために、彼らはしばしばより困難な方法を選びます。彼らが全力投球であるからこそ、そのコレクターたちもそうなるのです。

リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。


ランゲ1・トゥールビヨン

 僕のそれほど謙虚ではない見解によると、ランゲは最後まで取っておきのものを出し惜しんでいました。2019年10月に発売された、ランゲ1・トゥールビヨン “25th アニバーサリー” は、機構は最も複雑ではないにもかかわらず(その名誉は上記のランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーが冠します)、これらの10種類の時計の中で最も贅沢で行き過ぎた時計かもしれません。この時計は、ランゲ1のデザインが持つ基本理念を保ちつつも、ランゲの時計職人が制約がない場合に何ができるかを見せつける、という究極のバランスで成り立っており、僕にとっては、より機能が充実した兄弟時計を凌ぎます。

 通常のランゲ1と同じ基本的な文字盤レイアウトを有し、身に着けるのにちょうど良い38.5 mmケースを備えた時計です。しかし4時の辺りを見ると、現在製作されている中で最も美しいトゥールビヨンを目にすることができます。僕は、ランゲが押し付けがましいトゥールビヨンではなく、光を反射したときだけ(そう、反射するのです)、弧を描く黒色の磨き抜かれた受け板が目に留まる、という慎ましやかな仕掛けを施したことを好ましく感じています。僕はトゥールビヨンが特別好きなわけではありませんが(何度も公言していますが)、この時計を見るたびに目頭が熱くなります。

ランゲ1・トゥールビヨン “25th アニバーサリー” の詳細はこちらをご覧ください。

さらに詳しい情報は、A.ランゲ&ゾーネ公式サイトをご覧ください。