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A Week On The Wrist セイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT SBEJ009を1週間レビュー

旅行にも便利な機能性を備えた、どこでも使えるダイバーズウォッチの決定版が登場。

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コーラー式/フライヤー式GMTからデュアルタイムまで、ここ数年トラベルウォッチの人気がにわかに高まっている。チューダー ブラックベイGMTが2018年に発表されたのを機に、トラベルウォッチファンは中堅層で数多くの新作が投入されるのを目の当たりにしてきた。新型ムーブメントが新たな時計を生み出し、この分野での競争が激化したことで、サイズ、機能性、用途において信じられないほどの多様性を提供する買い手市場に変貌を遂げた。2023年初め、セイコーはプロスペックスから派生した高級機械式ダイバーズGMTの3モデルを発表したが、そのなかには緑色をしたSBEJ009(海外版はSPB381)も含まれている。

 正式名称をセイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMTとするSBEJ009は、ブラックダイヤルのSBEJ011(海外版はSPB383)、ライトブルーダイヤルの限定モデルSBEJ013(海外版はSPB385)とともに、セイコーダイバーズにおいて長きにわたり愛され続ける歴史からインスピレーションを得ている。マリーンマスターのルックス、角張ったラグ、潜水経過時間計測ベゼルなど、遠くから見れば、これは日本発のハンサムなダイバーズウォッチに過ぎないと思うかもしれない。しかしセイコーはSBEJ系モデルでこの方式をさらに進化させ、第2タイムゾーンを容易に把握できる24時間針を備えた新型ムーブメントを搭載したのだ。

 SBEJ009のサイズは、直径42mm、厚さ13.3mm、ラグからラグまでの全長が48.1mmで、スティール製ブレスレットが付属する。ケース、ブレスレットともにセイコーのダイヤシールド加工が施され、無反射サファイアクリスタル、SS製クローズドケースバック、貫通ラグ、200m防水、そしてセイコーのダイバーズウォッチとしては珍しいセラミック製ベゼルインサートを備えている。

the seiko SBEJ009

 グリーンベゼルとグリーンダイヤルという配色にゴールドのアクセントを効かせたSBEJ009のダイヤルは、サンバースト仕上げのメタリックグリーンを採用。対照的にセラミック製ベゼルインサートは、ブラウンイエローの混ざったようなグリーンが特徴だ。明るい場所では、この2種類のグリーンは簡単に見分けがつくが、暗い場所ではダークグリーン(あるいはブラック)に近くなる。

 白銀色のアプライドマーカーと同色の針、ゴールドのアクセントがこの時計のGMT機能を際立たせ、ダイヤルのGMT表記と24時間針はイエローゴールド仕上げとなっている。24時間針は、ダイヤルを囲む見返し(リハート:立体的なインナーリング)に固定された24時間目盛りを指す。最後に、4時30分位置に黒地に白文字のデイト表示を配した。この配置や色合わせされていない日付ディスクは個人的に好みではないが、かなり落ちついていて読みやすい。

 個人的にグリーンダイヤルの時計はあまり好きではないという偏見もありつつ、ダイヤル、ベゼル、日付ディスクのカラーリングをよりモノトーンに近づけるため、僕なら間違いなくブラックダイヤルのSBEJ011を選ぶだろう。つまらない奴という批判は甘んじて受けよう。セイコーのダイバーズウォッチはブラックダイヤルが大好きなのだ。そうだ、僕たちのHODINKEE Shopでは全色取り揃えているので、自由に選んで欲しい。

 SBEJ009の内部には、セイコーの新型ムーブメント 6R54が搭載される。このムーブメントは2万1600振動/時の自動巻きで、ハック(秒針停止)機能と手巻きの両方を備え、約72時間という驚異的なパワーリザーブを誇る。プロスペックスのダイバーズウォッチに搭載された初の機械式GMTムーブメントで、トラベル機能には独立設定可能な24時間針が採用されているため、SBEJ009(およびその兄弟機)はコーラーGMTの呼称となった。

seiko SBEJ009
seiko SBEJ009
seiko SBEJ009

 このため、SBEJ009は自宅から別のタイムゾーンを追跡するのには非常に便利だが、実際に旅行して新しい現地のタイムゾーンに時刻を合わせることを考えると、あまり便利ではない。コーラー対フライヤーの論争に興じるのもよいが、僕は両方の時計を所有して愛用しているし、コーラー式のGMT機能が理想的なオプションといえる好例もたくさんある。6R54の場合、24時間針はリューズを一段引き出した位置で調整する。一方向に回転させると日付ディスクが進み、もう一方に逆回転させるとGMT針が進む。

 SBEJ009は実際のGMTウォッチ(24時間ベゼルを備えた時計)のような時刻調整はできないが、簡単に第2タイムゾーンを追跡することができる。ダイバーズウォッチと第2タイムゾーン機能の組み合わせは、日常的なスポーツウォッチとして僕が間違いなく好きなレイアウトのひとつだ。僕はブレモン S302のダイバーズGMTフォーマットを気に入って購入したので、このようなハンサムでかなり手ごろなセイコーを愛するのは当然のことである。

the seiko SBEJ009
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 セイコーのムーブメントの精度を不安に思う読者のため、6R54は日差-15秒から+25秒だと注記しておこう。試しにセイコーから貸与されたこのムーブメントをWeishi1900(タイムグラファー)にセットし、6姿勢で計測したところ、平均日差は+3.5秒/日だった。これは特定の個体のデータに過ぎないが、僕は感動した。

 操作感に関して、リューズは素晴らしく操作は堅牢に感じられ、しっかりとしたねじ込みが特徴だ。ベゼルは軽く、ほぼ無音でスムーズな120回クリックの動作は緩みがないが、もっと重い(またはもっと手応えのある)クリック感のほうが恩恵はあるかもしれない。

the seiko SBEJ009
the seiko SBEJ009

 ブレスレットは全面サテン仕上げのスティール製で、しっかりとしたエンドリンクとフォールディング式のセーフティクラスプを備えている。クラスプは4段階の微調整機能を備え、折りたたみ式のウェットスーツ用エクステンション機構も備えている。結局のところ、セイコーのブレスレットは全体的によくできており、装着感に優れるが、リンクはプッシュピン式で留められているため、片ネジを採用した場合よりもサイズ調整がやや複雑になる点には注意したい。


着用感

 数日間着用した結果、ケースとブレスレットの組み合わせは絶妙であり、セイコーはプロスペックスのプレミアムな視点を取り入れ、実に堅実なダイバーズGMTを作り上げたと思う。重さは165g(僕の手首のサイズに調整後)で、ポリッシュ仕上げのミドルケース、アプライドマーカー、光沢のあるセラミックベゼルなど、よりラグジュアリーな外観とマッチして、重厚な存在感を放っている。

the seiko SBEJ009

 夜光のおかげで視認性に優れている。SBEJ009はカーブしたラグ形状が手首にケースを固定し、ベゼルが時計の最も広いエッジ(3時から9時まで)を形成しているため、僕の手首には大きすぎたり厚すぎたりすることはなかった。SBEJ009は、SKX007の軌跡をよりソリッドに表現しているといえるだろう。つまり小さい時計ではないが、オーバーサイズでもないということだ。

 最初にSBEJ009をボックスから取り出したとき、僕はこの時計がGMTを搭載した高級版SKX(多くの人が求めていたものが、昨年のSSK GMTマスターの登場によって、そのほとんどが叶えられた)のようなものなのか、あるいはセイコーのフラッグシップダイバーズをお手ごろなプロスペックスで再現したものなのか確信が持てなかった。数週間試した結果、高級感があり、より高価なセイコー(あるいはグランドセイコー)のダイバーズから多くの要素を借りた、後者の立ち位置にしっかりと着地したと考えている。

the seiko SBEJ009

 もし僕と同じく、グランドセイコーのダイバーズウォッチは大きすぎると嘆いているなら、SBEJ009(とその兄弟モデル)は美学とプロポーションの組み合わせだけでも一見の価値がある。いや、SBEJ009はGSを装っているわけではないが、SKXのようなもの、あるいはSBDC101のような工業的な仕上げのものから大きくステップアップしている。


競合モデル

 これまでSKXをずっと愛用していて、セイコーの雰囲気はそのままに、あらゆるカテゴリーでより優れたものを求めるのであれば、SBEJ系GMTの3本の新しい選択肢はアリだ。

the seiko SBEJ009
the seiko SBEJ009
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 しかし、もうひとつ触れていない要素がある。冒頭で中堅メーカー間のGMT競争は過熱している(そしてますます勢いづいている)と述べた。それは多くの買い手が、価格の敏感性やニッチな要求に対して余裕を持っていることを意味している。セイコーはSBEJ009とSBEJ011(それぞれグリーンとブラック)を20万9000円(税込)で提供しているが、僕は、特にコーラー式のGMT機能を考えると、高価すぎると主張するフィードバックを見たことがある(そして個人的にそういった連絡を受けている)。

 過去5年間で、フライヤー、コーラー、その他を問わず、トラベル機能付き機械式時計に関して僕たちが身銭を切って何が得られるかについて、進歩的な再考が見られたので、これは競合他社をより詳細に検査する必要があると僕は信じている。

 では、このセイコーのダイバーズGMTが20万9000円(税込)ということで、14万から28万円(1000ドルから2000ドル)の価格帯の同種の競合モデルとの比較を見てみよう。200m防水で、できればダイバーズGMTレイアウトのフライヤーまたはコーラーGMTを考えてみることにする。

 順不同だが、200m防水の人気GMT(わかりやすくするためにGMTダイバーズ)をいくつか挙げてみた。そうでなければ、非常に短いリストになってしまう。また、リストの作成を手伝ってくれた最高のSlackクルーにこの場を借りて特別なエールを送りたい。

 大小さまざまなブランドにスポットを当てた12以上のモデル群を並べたこのリストについて、2点明確になっていると思う。第1にGMTダイバーズよりもダイバーズGMTのほうが一般的ではないということ、第2にセイコーのSBEJ009はこのセグメントとしては価格も手ごろで、スペック的にも不足はないということだ。

 もっとお金をかけたいのであれば、チューダー、ロンジン、モンタ、ボール、ノルケイン、オリス、ブライトリング、ブレモン(ほんの一例を挙げるだけでも)など、次の価格帯にも旅行向けの素晴らしい競合モデルが数多く控えている。

SBEJ009 seiko

 セイコーのダイバーズウォッチはGMT機能を搭載し、スペックもよくハンサムである。このモデルの外観、サイズ、コーラー式GMT機能が気に入ったのであれば、SBEJ009は同価格帯の他社製コーラー式GMTと、それ以上の競争力を持つ優れた選択肢となるだろう。

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