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Bring a Loupe ロンジン 13ZN、ホワイトゴールド製デイトジャスト、ロレックス プレエクスプローラーなど

今秋のHODINKEE“What's Selling Where(どこで何が売られているか)”コラムでは、これらに加えてさらに多くの情報をお届けする。

Bring A Loupe へようこそ。HODINKEEではヴィンテージウォッチを中心としたコンテンツが盛りだくさんの1週間だったが、私はまだ気を抜いていない。このコラムを毎週読んでいる方は、ヴィンテージの逸品が満載なためオリジナル マイアミ ビーチ アンティーク ショーのPhoto Reportもぜひチェックして欲しい。ちょっとした宣伝なのは承知の上だ。それでもクリックしてもらえるとうれしい。今週のおすすめ品のひとつは、マイアミショーで実物を見て以来ずっと頭から離れないロレックス デイトジャストだが、残りは地道にインターネットを探して見つけた逸品だ!

 先週の結果を振り返っていこう! ツートンのロレックス バブルバック Ref.3372は、Loupe Thisにて最終価格1万9801ドル(日本円で約310万円)を記録。じわじわと熱を帯びているバブルバック市場にとって、またもや好調な結果だ。もうひとつのバブルバック、青いエナメルダイヤルをまとったRef.6332にはモメンタム・ドバイで販売済みのマークが付けられており、希望価格は3万8116ドル(日本円で約595万円)だった。同様に販売済みとなったのは、eBayで選んだ2本。ギュブランの販売店スタンプが入ったパテック Ref.3445Gと、1966年のサンボウル用につくられたモバードだ。希望価格はそれぞれ1万1997ドル(日本円で約190万円)と350ドル(日本円で約5万5000円)だった。

 さて、今週のおすすめを見ていこう!

ロンジン Ref.5415 フライバック クロノグラフ Cal.13ZN、1946年製

 20世紀前半のロンジンクロノグラフは、多くの人がこれ以上ないほど技術的に優れていると考えている。Cal.13ZNは、この時代を象徴するロンジンクロノムーブメントの頂点だ。13ZNは、正式には大量生産向けに設計・製造された初のフライバックメカニズムであり、1936年から1947年の11年間にわたり製造された。このムーブメントを搭載した時計は、ロンジン史上でも特に収集価値が高いモデルとして知られている。ここで紹介しているような防水ケース付きのスティールモデルには根強いファンが存在し、ヴィンテージ愛好家のほとんどが想像するよりも高い価格で定期的に取引されている。

A Longines 13zn chronograph

 これは、多くのヴィンテージコレクターに何が起きているのかいまいちピンとこない市場のひとつだ。しかし数十人のロンジンマニアにとっては、バージニア州フォールズチャーチにある小さなオークションハウスで正規品らしいモデルが登場すると、即座に視界に赤い警告灯がともるような状況になる。

A Longines 13zn chronograph movement

 このRef.5415は丸形のプッシュボタンと、高圧で密閉されるスナップ式裏蓋付き防水ケースが特徴だ。オークションハウスでは裏蓋の写真は公開されていないが、この裏蓋は非常にしっかり閉まることで知られており、取り外しの手間を軽減するための興味深い設計が施されている。裏蓋の片側には2本の突起が伸びており、これがこじ開ける際のグリップを助けている。ほかの優れたヴィンテージロンジンクロノグラフと同様に、このリファレンスには“ドッピオリンゲッタ(Doppio Linguetta)”または“ダブルタン”という愛称が付けられている。

 このような時計の場合、状態やオリジナル性によっては価格が数万ドルになる可能性がある。このリファレンスのほかの例を見ると、この文字盤はオリジナルではないにしても、少なくとも正しいものだと思われる。同じバッチナンバー23020の時計で、一見オリジナルと思われる別の個体にも、同じ文字盤が使われていることが確認できる。また、ふたつのムーブメントのシリアルナンバーがどれだけ近いかにも注目して欲しい。我々の時計は6929186で、以前に販売された時計は6929135だ。このふたつの違いは針のスタイルのみで我々の時計のほうが時針が太い。でも安心して欲しい。このバッチの別の例がこちらにも存在しており、ロンジンアーカイブからの情報付きで販売済みだ。この3番目の時計(ムーブメントシリアル6929157)には、例の太い時針が付いている。こうした綿密な調査こそが、79年前の時計のオリジナル性を評価するために欠かせない手順だ。

A Longines 13zn chronograph

 状態としては、このロンジンはきわめて良好だ。程よくエイジングがかかったクリームカラーのダイヤルがとても気に入っている。ケースのラインは力強さを保っているように見えるが、オリジナルのブラッシュ仕上げはほとんど確認できない。したがって、“ポリッシュされていない”とは言い切れないが、何年もの使用で自然にすり減った可能性が高い。それでもこのケースは磨きすぎて滑らかになったものではなく、オリジナルの構造がしっかりと残っているのが魅力だ。最後にもうひとつアドバイスを。風防の端に汚れや錆があるのがわかるだろうか? こうした汚れを残したまま販売することは少ないので、逆にこれは信頼できる兆候だと言える。

 このロンジンは、2025年1月24日金曜日午前10時(東部標準時)にクインズ・オークション・ギャラリーが開催するJanuary Fine and Decorative Arts Auctionに出品されるロット122だ。記事掲載時点での最高入札額は900ドル(日本円で約14万円)。詳細はこちらから。

ロレックス デイトジャスト Ref.1601 ホワイトゴールド製ブラックギルトダイヤル、1967年製

 先週のマイアミ ビーチ アンティーク ショーで、イエローゴールドのデイデイトやストーンダイヤルのロレックスが並ぶケースのなかに紛れていた、控えめな魅力を放つホワイトゴールドのデイトジャストが私の目を引き、それ以来ずっと忘れられない。

A Rolex Datejust ref. 1601 in white gold

 “スポーツ”ウォッチよりも“高級”ウォッチが注目されているトレンドからか、先週出会った多くのコレクターはサブマリーナーやデイトナよりも、デイデイトやカルティエの話をしたがった。それは素晴らしいことだ。私はずっと、あまりスポーティではないヴィンテージウォッチのファンだった。私が最もよく身につけているのはミラーダイヤルのエクスプローラーで、おそらく最も“ドレッシー”な“スポーツ”ロレックスだ。見た目は小振りで繊細、そして控え目である。このデイトジャストも同様に、同じ時代で最もスポーティ寄りなドレスウォッチだ。金無垢で明らかにデイトジャストだが、エクスプローラーと同じ金めっき仕上げの文字盤を備え、ぱっと見ではSSと見間違えるほどだ。

A Rolex Datejust ref. 1601 in white gold

 ここでヒント。WG製のヴィンテージデイトジャストを見分けるコツとして、ラグ内側の角にある小さな埋め込み部分をチェックしてみよう。これはデイデイトのミドルケース構造を模倣したものだ。いずれにせよ、タリク(Tariq)氏が私の1016をこの1601と交換してくれるとは思えないので、まだ入手可能なうちに他の誰かがこの時計を手に入れるとよい。これを手にしたら、世界で最も上品で控えめなヴィンテージロレックスの所有者になれるだろう。

 販売者のモメンタム・ドバイはドバイにあり、このデイトジャストの希望価格は3万8116ドル(日本円で約595万円)。詳細はこちらから。

ロレックス オイスター プレシジョン Ref.6098 ビッグバブルバック プレエクスプローラー、1951年製

 “プレエクスプローラー”の愛称で知られるロレックス Ref.6098は、ブランドの転換期を象徴する36mmのオイスターケースを備えたモデルだ。1931年、ロレックスはパーペチュアルでフルローター式の自動巻きムーブメントを導入し、1930年代から1940年代にかけてバブルバック時代を築いた。1940年代末になるとケースの大型化が進み、ロレックスはカタログを刷新して6098やRef.5030 “プレデイトジャスト”といった時計を加えた。よくビッグバブルバック世代と呼ばれるこれらのモデルは、1956年にサブマリーナー、GMTマスター、エクスプローラー、デイトジャスト、デイデイトを正式に発表するに至る、現在のロレックスカタログの原型となる大きな一歩を踏み出した。

A Rolex 6098 Pre-Explorer

 ロレックスの生産において、モデル名が付けられる前のこの時期には、ひとつの型番でさまざまな時計を指していた。6098を例に説明しよう。このリファレンスには、“ギャラクシー”スターダイヤルを組み合わせたイエロー金無垢ケースモデルや、初期のエベレスト遠征でユルク・マーメット(Jürg Marmet)ノーマン・ギュンター・ディーレンファース(Norman Günther Dyhrenfurth)氏といった登山家たちが着用したSS製“プレエクスプローラー”の6098などが含まれる。ほら、全然違う時計だろう?

A Rolex 6098

 ここで紹介するモデルは、初期のエベレストウォッチをほうふつとさせ、しっかりとしたオリジナルの状態を保っているようだ。これは英国の小規模なオークションハウスで販売されており、比較的手ごろな価格でロレックスの歴史の真髄を手に入れる最良の方法のひとつだと私は考えている。

 このロレックスは、テーラー&フレッチャーが開催するFine Art, Vintage & Interiorsセールに出品されているロット193で、本日2025年1月16日金曜日から開始。この記事の公開時点での最高入札額は1100ポンド(日本円で約20万円)。詳細はこちらから。

ホイヤー カレラ Ref.7753 NT、1970年製

 今週のピックアップをまとめるにあたり少し不安を感じていたが、世界中の小規模なオークションハウスを探してみると、予想以上にいい収穫が得られた週となった。このRef.7753 NTは、1960年代から1970年代初頭にかけて生産された、手巻きでクラシックなケースシェイプを特徴とするカレラ世代の最後期につくられたモデルだ。これまで何度も説明してきたが、このモデルのようにパンダまたは逆パンダダイヤルを備えたカレラは非常に収集価値が高く、人気がある。これまでで最も美しくデザインされ、読みやすいクロノグラフのひとつであり、黒と白のコントラストがこれらの時計を特別な存在へと引き上げている。

A Heuer Carrera ref. 7753 NT

 この時計は全体的にきれいで、目立つ汚れや変色はほとんど見られない。夜光インデックスはほぼ無傷だが多少の変色があり、必ずしも理想的なクリーム色の風合いとは言えないかもしれない。それでも市場に出たばかりで、いじられておらずオリジナルの状態に見える時計であれば、夜光インデックスの経年劣化には目をつむることができる。ちなみに、このカレラは明らかにメンテナンスやクリーニングが必要だ。しかし内部に搭載されているバルジュー7730はシンプルな構造なので、地元の時計職人であれば簡単に対応できるだろう。

A Heuer Carrera ref. 7753 NT movement

 このホイヤーのロット1719は、レンデルズ・オークショニア&エステート・エージェントが開催するAntiques and collectables, inc. silver and jewelleryセールに出品されており、2025年1月23日木曜日から販売が開始される。エスティメートは4000~5000ポンド(日本円で約76万~95万円)で、記事公開時点ではまだ入札はなかった。詳細はこちらから。

ミドー マルチフォート フランソワ・ボーゲル製防水ケース、1940年代製

 いつものように、最後に恒例の“お手ごろ”なeBayの掘り出し物を紹介しよう。これはオークションに出品されており、おそらく数百ドル程度で収まるだろうが、私のような本物のヴィンテージ好きであればきっと気に入るはずだ。ミドーは1940年代に素晴らしいブランドとして知られ、私のお気に入りのケースメーカーであるフランソワ・ボーゲル(François Borgel)とも取引をしていた。ボーゲルのほかの顧客には、パテック フィリップ(Ref.1463、565、2508など)、モバード、ヴァシュロン・コンスタンタンがいる。2025年のヴィンテージミドーの魅力は、SS製で防水性のあるボーゲルのケースを、上記のブランドと比べて驚くほど手ごろな価格で手に入れられることだ。たとえば昨年、私はこれと同じレクタンギュラーケースのデザインを持つミドー製のアバクロンビー&フィッチのシップメイトを200ドル(日本円で約3万円)以下で購入した。その値段なら迷う理由はないだろう。

A Mido

 ボーゲルのレクタンギュラーケースは、見つけるのが非常に難しい。1939年にスイス特許番号CH 207378で登録されており、裏蓋とベゼルがケースの主要なふたつの部分を構成している。さらに3つのロックストリップがケースの側面にスライドして取り付けられ、すべてをしっかりと固定する仕組みだ。このケースは許容範囲がきわめて狭く、厚いガスケットを組み合わせることで、防水性能を確実にしている。この同じケースデザインは、私が特に好むニッチなヴィンテージパテックのひとつであるパテック Ref.1485にも採用されている。

A Mido

 eBayのリストには記載されていないが、このミドーのケースについては私がよく知っている。2025年基準ではやや小振りながらも、幅23mm、高さ32mmと十分に立派なサイズだ。参考までに、1940年代におけるカルティエの最大サイズのタンクノルマルも、まったく同じ寸法である。

 コネチカット州ウェストハートフォードに拠点を置くeBayの販売者が、このミドーをオークションに出品しており、オークションの終了は今週の日曜日、1月19日午後9時6分(東部標準時)となっている。この記事の公開時点での現在の入札価格は24.50ドル(日本円で約3800円)だ。詳細や写真はこちらから。