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Buying, Selling, & Collecting ランゲのマスターウォッチメーカーふたりに、ノモスの隠れた名品を紹介してもらう

ふたりの優秀な時計職人に、お気に入りのノモスを教えてもらった。


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時計収集というと、どうしても高級品に目が行きがちになるが、世界的なパテック フィリップの1518や2499は価値が上がり続けている(3448はかなり安定しているが)。そしてロレックス “赤サブ”には(少なくとも私には)果てしない値段がついているように見えるが、特定の項目をチェックするには十分な方法である。A.ランゲ&ゾーネ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど、これらのブランドでコレクションを拡充させる興味深い方法はたくさんある。ただし価格に関しては、どのブランドも参入するハードルがかなり高い。では、私たちに残された道は? 退職後の蓄えとしてではなく、特別なコレクションを作りたいと思ったら?

 コレクターは、楽しみの半分(ときには半分以上)は追求することだと言う。しかし、探し求めていた時計が実際に買えないとなると、少し残念な気分になるかもしれない。その点ノモス グラスヒュッテは、実際に時計を収集するプロセスを学ぶための手頃なブランドとして、多くの可能性を秘めていると思う。ノモスはベルリンの壁崩壊直後の1990年に設立され、1992年には最初の時計を発売している。これはランゲ&ゾーネが再開されるより2年も前のことである。30年そこそこということは、ノモスというブランドの歴史のなかで、多くの製品が発表・発展してきたということであり、コレクションの入り口がいくつもあるということだ。“若い”ブランドを収集するもうひとつの利点は、これらの作品(加えてそのストーリーとスペック)が失われたり、神話のように見えたりして消えてしまうわけではないということだ。ノモスは、4分の3プレートやグラスヒュッテサンバーストなど、さまざまなグラスヒュッテブランドを象徴する“グラスヒュッテ様式”に準じながら、独自のスタイルを貫いている。さらにデザインも豊富で、誰もが少しずつ楽しめるようになっている。

Glashütte

グラスヒュッテという小さな町。左下にある灰色と白の大きな建物がグラスヒュッテ・オリジナルで、その右側にA.ランゲ&ゾーネがあり、通りを挟んでカメラに最も近いところにノモスがある。

 昨年初めてグラスヒュッテを訪れたとき、私はノモスの人たちと一緒に時間を過ごし、彼らのアーカイブに少し潜入した。そしてノモスからリリースされる時計が、ほかのものよりもコレクターに好まれる理由を探ることができた。ただあまりに多くの時計を前にして、少し助けが必要だと感じた。そこでブランドの親切なスタッフが、Instagramの“Nomos Collectibles Archive”(以下NCAと呼ぶ)ページを見るようすすめてくれた。

Nomos Club Trio

どういうわけか、このノモスのクラブは私の目に入らなかった。この時計は、グラスヒュッテ時計製造175周年を記念して2021年に発表された3本の時計のうちの1本である。もしかしたら未来の傑作になるかも?

 ノモスコレクターのコミュニティやフォーラム、ソーシャルメディアのページはいくつかあり、そのなかには有名なNomos Watch Clubも含まれているが、私はNCAを運営するふたりのストーリーに、心奪われずにはいられなかった。モリッツ・エルドマン(Moritz Erdmann、別名NomosChino)氏とパトリック・リッチェル(Patrick Ritschel)氏は、ともにグラスヒュッテで活躍するマスターウォッチメーカー(上級時計職人)であり、ノモスではなくA.ランゲ&ゾーネの超複雑時計モデルの製作に携わっている。実際、リッチェル氏はその歴史あるブランドのコンプリケーション部門の責任者だ。彼らのノモスへの愛こそ、ランゲがあらゆる時計づくりを純粋に愛する人々の雰囲気を醸成してきたことを示しており、だからこそ私もランゲに愛着を感じている。それはなぜか。ノモスとランゲはスタイルや価格帯で競合するものではなく、グラスヒュッテの時計製造という大きな物語のなかで補完しあう役割を果たしているのだ。

 この1年間、私たちはお気に入りの作品について語り合ったが、今回は過去31年間のうち、あなたが知っているかもしれないし、知らないかもしれない、お気に入りのノモスを8本集めてみた。セレクションに行く前に私はモリッツ氏とパトリック氏に、彼らの琴線に触れるノモスの魅力とは何なのか聞いてみた。

Glashutte

現在はノモス本社となっている旧駅舎。

 「ノモスはデザイン重視の時計メーカーであり、長期的なビジョンを持っています。ロレックスと同じように、彼らの哲学は革命よりも進化にあります」とエルドマン氏は語った。「私の収集観点は、その進化から少し離れ、普通の道から外れ、特におもしろくなりそうな作品を探すことです。だからそれが風変わりであったり、非常にカラフルであったり、ファンキーであったりすると、いつでも私の目を引くのです」

 ノモスには、グラスヒュッテ時計製造の中核をなす技術のすべてが、最初から遵守されていたわけではない。F.A.ランゲによって広められた4分の3プレートスタイル、グラスヒュッテ・ストライプ、青焼きネジなど、グラスヒュッテの特徴的な技術をノモスが初めて自社製自動巻きムーブメントに取り入れるのには2005年まで時間を要している。そのため、初期の頃のノモスコレクターズアイテムのなかには、少し見慣れないものもあるかもしれない。しかし、それらは2度と戻らない時代の瞬間を表してもいるのだ。

Nomos Autobahn

ノモス アウトバーンウォッチは見過ごされがちだが、それにはそれなりの理由がある。多くのコレクターは、これがノモスのほかのモデルとあまり一致していないと感じているようだ。

 「ノモスの創業者であるローランド・シュヴェルトナー(Roland Schwertner)は、先見の明があると同時に、伝統を重んじる人でした」とエルドマン氏は続ける。「彼はグラスヒュッテというザクセンの美しい町に、大きな可能性を見出した最初の起業家のひとりでした。かつては、独自の仕上げ技術とデザイン特性を持つ傑作時計として世界的に有名でしたが、第2次世界大戦とそれに続く鉄のカーテン(第2次世界大戦が終結したあと、当時の東西両陣営の分裂した緊張状態を表した言葉)のあと、すべての企業が共産主義のコングロマリットと合併し、安価な時計が大量生産されるようになりました。多かれ少なかれ、過去の栄光は忘却の彼方へと追いやられたのです。しかし、シュヴェルトナーはかつてのグラスヒュッテの精神をよく知っていました。ノモスで最も有名なタンジェントのデザインインスピレーションは、20世紀初頭につくられたランゲの古い腕時計から来ており、彼はそれをプロダクトデザイナーのスザンヌ・ギュンター(Suzanne Gunther)とともに現代風に変えました。ノモスは成長を続け、最終的に独自路線に乗り、現在では時計製造の絶対的な頂点のひとつであるヒゲゼンマイを自社生産しています」

 ノモスのスタッフは、ブランドの収集についてもうひとつ教えてくれた。同社は生産するすべてのロットの時計を少なくとも1本、ときには複数本、そして常に1~10ナンバーの時計を保管している。ブランドがひとつの番号だけ保持することがあったとしたら、彼らはほぼ間違いなく、創業者ローランド・シュヴェルトナーのお気に入りの番号である7を保管する。しかし、ごく希に7ナンバーが流通市場に出回ることがある。もし見かけたら、ぜひ手に入れることをおすすめする。その時計は会社から出るべきではなかったし、もし手元にあればあなたはとても特別なものを手にしていることになる。

 準備が整ったところで、エルドマン氏とリッチェル氏が選んだお気に入りのノモスを見てみよう。これらの時計のなかには、見かけたことがある時計もあるかもしれない。(元HODINKEEの)カーラ・バレットは以前の取材で、いくつか珍しい時計を紹介している。しかし、NCAが紹介した新しい時計とその見識にはブランドの歴史やコラボレーションに関する楽しい情報がたくさん詰まっている。

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パトリックのおすすめ
ノモス タンジェント アルペングロー

時計には“ひと目惚れ”するものもあれば、その時計が本当に好きかどうか、見分けるのに時間がかかることもあります。ノモス タンジェント アルペングローについては、かなり時間がかかりました。clubnomos.deで初めてこのエディションを見たとき、実機でどう見えるか確信が持てませんでした。過去20年間に登場したノモス限定モデルは、そもそも見つけること自体超レアで、入手困難なものが多く、実機の写真があることも珍しいです。そのため、ノモスの素晴らしいファンから、それ以来よき友人となった人から思いがけず購入する機会を得たときは、本当に驚きでした。

 文字盤の色は、写真で見るよりずっとよく見えます。光の加減によっては、ゴールドからサーモンにかけてのコッパーと表現できるでしょう。さらに、個人的にとても好きなサンバースト仕上げの文字盤であり、さまざまな色合いを見事に際立たせています。この美しさを実際に見たあと、この時計は所有しなければならないと思いました! しかし、その美しさは文字盤だけではありません。ムーブメントにも特別な加工が施されているのです。私の知る限り、これはノモスのムーブメントとしてはユニークなものであり、ローズゴールドメッキのアルファキャリバーによって駆動していて、文字盤に完璧にフィットしています。

 アルペングローは35mmのタンジェントファミリーに属しており、合計150本の限定モデルであります(偶然に選ばれた数ではありません)。これは2006年に、ドイツ・ミュンヘンの宝石商であるアンドレアス・フーバー(Andreas Huber)の誕生150年を記念して発表されました。“NOMOS Glashütte”ではなく“HUBER München”と記されたアルペングローを見たことがあれば、それは偽物ではないので安心してください。フーバーはこの特別版を社員にプレゼントしています。

 この時計の小売価格は860ユーロ(当時の相場で約12万5000円)で、2006年当時の“ノーマル”タンジェントと同じ価格でした。今では超レアで手に入りにくく、多くの人がこの時計に注目しています。現実的にはフルセットそろっていれば小売価格の2倍以上の価値があるはずです。

ノモス タンジェント クラウス・シュミット

ノモスの時計のなかには、限定品だからこそ希少なものもあります。また日本など、特定の国でのみ販売されたものや、25本または30本だけ生産された特別なものも存在します。そのなかでもさらに珍しい限定モデルもあります。非常に希少なだけに、実際に市場に流通することはないため、それらを所有するとは夢にも思わないモデルたちです。そのうちのひとつが、ドイツ人アーティストのクラウス・シュミット(Klaus Schmitt)と、ドイツのオーベルストドルフにある宝石商、ミュラーとのコラボレーションによるノモス タンジェント クラウス・シュミットです。文字盤はシュミットが特別にデザインしたもので、彼の絵画によく似ています。私がこの時計を所有してから、いろいろな意見を聞きました。しかし最終的にこれは“芸術作品”と呼ぶほかないでしょう。

Nomos Tangente Klaus Schmitt

 この時計をさらに特別なものにしているユニークな機能が2つあります。まず第1に、35mm径のタンジェントで秒針がないのは、私が知っている限りではこれだけです。さらにわかりにくいのですが、文字盤にはノモスのロゴが印刷されていません。こちらはサファイアクリスタルの内側にプリントされているので、一種の立体感を与えています。理由は単純で、ノモスは文字盤をアート作品として残し、余分なプリントや針でそれを壊さないようにしようとしたのです。とてもよくできていると思います!

 2006年に製造されたクラウス・シュミットは、ナンバー付きが12本、それに加えてナンバーなしのアーティスト版が3本だけあります。いずれも堅牢な裏蓋とノモス製アルファキャリバーを搭載しています。通常のタンジェントよりも高価で、6桁の値札が付けられたこのスーパーレアエディションは、1100ユーロ(当時の相場で約16万円)で販売されました。一般市場には同リファレンスがなく、多くの人がこの時計の存在すら知らないため、現在の価値を推定するのは難しいです。また私にとって、この時計は決して売ることができないものですし、それほど頻繁に着用するものでもありません(これが私の“非日常的な時計”の定義です)。しかし、その希少性、芸術性、そして非常に特別でユニークな要素は手放すことができないほどの情熱を持っていることを意味します。

ノモス タンジェント 漆

私は日本の大ファンです! 残念ながら行ったことはありませんが、私が将来行きたい旅先の第1候補のひとつです。それは優しい人々や素晴らしい時計製造への情熱だけではなく、ほかにも美しい景観、文化、超絶的な職人技などがあります。これらの職人技のひとつに、“漆”と呼ばれる6000年の伝統を持つ工芸品があります。2006年にノモスは、伊勢丹新宿店の120周年を記念して、漆の技法でつくられた特別な文字盤、タンジェント 漆を発表しました。50本限定かつ日本でのみ販売され、小売価格は23万6250円(税込)でした。通常のタンジェントとは大きな違いがあり、超高価なハンドメイドダイヤルを備えています。

Nomos Tangente Urushi

 よく見ると、純金の粒子が見えます。この文字盤はひとつひとつ手作りされているため、それぞれ模様が異なります。そのため、50本ある時計はどれも個性的です。それだけでなく、漆の技法は文字盤に“普通”の黒文字盤とは比べ物にならないほどの美しい深みと輝きを与えます。時計の裏側はそれほど特別ではなく、この日本版はアルファキャリバーで駆動している様子を、サファイアクリスタル製シースルーバックから鑑賞できます。

 流通市場での入手の可能性は、悲しい話、ほとんど売りに出されることはありません。確かに、この17年で漆の価値は明らかに上がっているはずです。ノモスコレクターがこれをコレクションに加えるには、豊富な資金と忍耐力、さらに日本との良好なコネクションが必要でしょう。漆ウォッチのほとんどは、まだ日出ずる国にあるのでしょうね。


モリッツのおすすめ
ノモス ミニマティック “1stエディション”

この愛らしいデザインの時計は、さまざまなモデルファミリーにまたがった3001本限定の初回生産モデルのうちの1本でした。2015年のバーゼルワールドで発表された新ムーブメントであるDUW 3001と、そのなかには自社製脱進機であるノモス“スウィングシステム”を搭載しています。私はこの節目を、“ミニマティック”という新しいウォッチラインで祝った事実が好きです。

Nomos Minimatik "1st Edition"

 3001本の時計がなくなったあと、2016年にDUW 3001の通常生産が開始されました。そのうちの何本がミニマティックだったかはわかりませんが、3桁の数字には違いありません。ほかはすべてタンジェント、メトロ、ラドウィッグ、オリオンでした。同モデルに加え、シャンパンカラーを持つ、ふたつの異なるダイヤルバリエーションがありました。本作はミニマティックへの興味を公にしていた有名なオーナーにちなんで、コレクターのあいだで“ゲイリー・シュタインガート”と呼ばれています。これらのことを考慮すると、このRef.1201の製造数は3桁と非常に少なかったと思われます。

 これらのポジティブな要素や人々を引きつける要素があるにもかかわらず、タンジェントやオリオンといった古典的なノモスファミリーがDUW 3001を搭載したことで、ミニマティックとその超薄型ケースへの愛は急速に失われたようです。それは流通市場にも反映されており、ミニマティックは2000ドル(日本円で約29万4000円)以下で販売されていることがあります(当初は3000ドル、当時の相場で約32万円以上で販売されていたにもかかわらず)。まさにこれは掘り出し物です。コレクターは賢くあれば、この非常にコレクタブルで手頃かつ素晴らしいモデルをお値打ち価格で手に入れることができると思います。

ノモス タンジェント ヴェンペ 100 “フェルンヴェー”

私がこの時計を選んだ理由は明白かもしれませんが、それでも多くの人にとって、この時計の存在には驚くでしょう。遠くから見ると普通のタンジェントに見えますが、近くで見ると東アラビア数字が使われていることにすぐに気づきます。

Nomos Tangente Fernweh

 クラシックなルックスのタンジェントに、少し癖のある組み合わせが気に入っています。“フェルンヴェー”はいわゆる“ヴェンペ 100”と呼ばれるシリーズの一部。ドイツにある伝統的な小売店ヴェンペの100周年を記念して、100本限定で企画された100種類にも及ぶシリーズです。100種類すべてが100本限定、合計1万本もの壮大なプロジェクトです。ただおもしろいことに、100種類のバリエーションは作られませんでした。というのもヴェンペとノモスの関係は2018年に約1年間途絶えており、残念ながらこのプロジェクトが再び取り上げられることはありませんでした。

 この35mmのタンジェント “フェルンヴェー”(リファレンスナンバーは不明)は、幸運にもその時代よりずっと前の2005年に発売されています。シースルーバックと手巻きのアルファムーブメントを搭載し、小売価格860ユーロ(当時の相場で約11万7000円)で提供していました。最近、ヴェンペ 100は非常に人気があり、“トキ”のような人気の高いモデルは3000ドル(日本円で約45万円)以上で取引されています。より現実的な価格帯は、1800ドルから2200ドル(日本円で約26万4000~32万3000円)のあいだではないでしょうか。

ノモス クラブ36 “ブリギッテ”

ティファニーカラーのノーチラスとロレックス OP(オイスター パーペチュアル)のハイプが過熱するよりも前に、これをウィッシュリストに入れていたことを誓います。シルバー文字盤とライトブルーの夜光の組み合わせやディティールは、ダグラスやティファニーのパッケージを思い起こさせ、“優雅”で素敵な雰囲気を醸し出しています。2008年に発売されたRef.701.S2の小売価格は780ユーロ(当時の相場で約11万8000円)で、ドイツのブリギッテ(Brigitte)誌のために限定生産(1年未満)されました。

Nomos Brigitte

 2022年11月、クラブ ブリギッテがChrono24に登場し、私はすぐにそれを購入しました。配送状況に変化が見られないまま3週間待ったあと、荷物の進捗がようやく前進しました。しかし郵便局で荷物を受け取ったとき、最悪の事態が起こっていました。荷物は空だったのです。誰かが箱から時計を盗み出し、箱を開けるまで小さな開けた跡が見えないよう細工をしていたのです。それから警察に届けを出しに行き、ノモスに行って話をしました。ブランドにいた親切な女性は、コレクションのなかから提供できる可能性はあるが、それを売ってもいいかどうかは経営者に尋ねなければわからないと言いました。最終的にそのサービスのあと、幸運にも時計を手に入れられると言われ、これ以上の喜びはありませんでした。

 数量限定の時計ではよくあることですが、どれだけの数が製造されたかはわかりません。私が聞いたところによると、ブリギッテの読者は機械式時計にそれほど興味がなかったためにかなり早い段階で生産が中止され、在庫品はノモスが“ヘルブラウ”という名前で再販したそうです。現在では中古市場に出回ることはほとんどなく、クラブ全体の人気も非常に高いため、再販価格はオリジナルの2倍になる可能性があります。


マークのおすすめ
ノモス タンジェント “ランゲ・ダイヤル”、Ref.102とRef.112

記事の前半でエルドマン氏は、ノモスの最初の時計(写真左)に影響を与えたのはランゲの時計だと述べている。これは“ランゲダイヤル”と呼ばれる1本で、プゾー製ムーブメントをベースにしたノモスCal.1を搭載している。これらのランゲウォッチのオリジナル文字盤は、プフォルツハイムのウェーバー&バラル(Weber & Baral)社によって生産された。この興味深い歴史について詳しく知りたい方は、NomosWatchClubの記事をご覧いただきたい。1992年に製造された本モデルの、その印象的なデザインによりすぐに目を奪われた。なおこのデザインは、昨年ローズゴールドのRef.160.S1で復活したばかりだ。

Nomos Lange Dial
Nomos Lange Dial

 これは印象的なデザインであり、ノモスの歴史のなかでもコレクション性が高いものだが、ここでの真の主役は、イエローゴールド製Ref.112である。私はこの時計の写真を撮り、NCAのふたりに送るまで何とも思わずに過ごしていた。彼らの反応をひと言でいうと、“なんてこった、そんなもの実在していたのか!”だった。どうやらこの時計は1997年から1999年にかけてカタログに掲載され、オンライン上でも共有されたりしていたようだが、ふたりのコミュニティ間では誰も実物を見たことがなかったそうだ。実際、彼らはノモスに製造したことがあるかどうか尋ねようと考えたが、そこまでは至らなかった。この写真は、この種のYG製時計が実際に生産されたことを残す、数少ない記録のひとつである。どうやら、手頃な価格の金無垢モデルの需要はそれほど高くなかったようだ。ノモスは正確な数を知らないようだったが、おそらく10本以下、もしかしたら5本以下かもしれないと言う。もし見かけたらぜひ手に入れて欲しい。

ノモス スーパー30

さて、これは一種のインチキだ。パトリック氏とモリッツ氏はそれぞれ3本ずつ時計を選んだが、私は30本の時計を選んだ。ただこれにはちゃんとした理由がある。これは2004年に発売された、30本でワンセットの“スーパー30”である。ノモスの旧バージョンのアルファムーブメントを搭載し、4分の3プレートはなく、すべてのムーブメントには金メッキが施されている。

Nomos Super 30
Nomos Super 30
Nomos Super 30

 30本の時計はそれぞれ、100セットで生産された。このセットは色の組み合わせやデザインが奇抜で、どうやらすべてにドイツ語の“とてもユニーク”な名前がついている(ステレオタイプのドイツ人がとても真面目だと思っている人は信じられないかもしれないが、彼らはそうだと言っている)。実際これらのなかには、最近リリースされたスタジオ・アンダードッグを思い出させるものもある。スイカの雰囲気だと言わなくてもわかるだろう。

Nomos Super 30
Nomos Super 30
Nomos Super 30

 これらの時計は週に1回、6本まとめて小出しにされ、5週間にわたり発表されたため、“すべてを手に入れる”ためにはかなりの努力が必要だ。理論上、上記のスーパー30のセット(すべて0/100ナンバー)が唯一のコンプリートセットの可能性がある。しかし、正確にはそうではない。どうやら、少なくともひとりの素晴らしく先進的なコレクターが毎週ヴェンペを訪れ、8・9ナンバーのフルセットを2パックずつ購入したようだ。そのうちのひとつ、8ナンバーのセットは、私がグラスヒュッテにいたときにeBayで売られていた。それ以来、Chrono24にこの時計が時折出回っているようで、希望価格は5万9000ユーロから8万ユーロ(日本円で約940万~1270万円)だと聞いた。それが妥当な数字なのかどうかはわからないが(このセットの元の価格は1万7700ユーロ、当時の相場で約240万円であった)、時計業界でたびたび言われるように、“ほかの物を見つける”べきだ。

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HODINKEE Shopはノモス グラスヒュッテの正規販売店です。ノモス グラスヒュッテの時計はこちらからご覧いただけます。

ノモス グラスヒュッテの詳細については、ブランド公式ウェブサイトをご覧ください。