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Introducing ノモス グラスヒュッテより、初代クラブのデザインをアップデートしたクラブ リデザインが登場

オリジナルのデザインにノモスが手を加えた、初めての試みだ。


クイック解説

ノモスからクラブが発表されたのは2007年のことだ。それまでのタンジェント、オリオンといったバウハウスデザインの粋を表現したミニマルかつドレッシーなコレクションと比べ、クラシックながらもどこかカジュアルで遊び心を感じさせるエントリーモデルとして当時話題を呼んだ。やわらかに丸みを帯びたベゼルや(ノモスのなかでは)太めのラグといった特徴的なディテールは、その後のクラブ キャンパス、クラブ スポーツ、クラブ アクアといった派生モデルへと引き継がれ、現在ではクラブはノモスのスポーツウォッチを代表するコレクションに成長している。

 そんなクラブの記念すべきオリジナルモデルが、2023年の末にアップデートを加えたうえで復刻されたという。その名も、クラブ リデザイン。今回ノモスが行ったのは、ベースとなるモデルを最大限リスペクトした繊細な変更だ。まるで間違い探しのようだが、順を追って確認していこう。

左がオリジナルのノモス クラブ。右は今回発表されたクラブ リデザイン。

 まずはケースから。オリジナルクラブにならい、クラブ リデザインも36mmのケース径を踏襲した。厚みは8.2mと、目立った差はない。アールを描く太めのベゼルやラグの形状にも変わりはなく、ほかのコレクションと比べて操作しやすい大ぶりのリューズも健在だ(そして10気圧防水も)。総じて、外装に特筆すべき変化はない。ムーブメントにもノモスの伝統的な手巻きムーブメントであるアルファが搭載されており、ストラップも赤いステッチが入ったシェルコードバンのブラウンストラップとなっている。

 一方、ダイヤル上にはいくつかの細かな調整が見られた。もっともわかりやすいのは6時位置のスモールセコンドだろう。より彫りが深いレコード引きにより視認性が高まっただけでなく、“20”、“40”、“60”の秒数表示がプリントされたことでグッとスポーティな雰囲気が生まれた。また、時刻表示のインデックスは太く大きく、黒くふちをとることでアウトラインが明確になり、ミニッツトラックがベゼルのきわまで移動したことでダイヤル全体が引き締まった印象になっている。それに合わせて時分針もほんの少しだけ太く、長くなった。分針はオリジナルと変わらず、ミニッツトラックにしっかり届いている。ここまででも視認性という面で十分な改善が行われたことがわかると思うが、ダメ押しとばかりにクラブ キャンパスやクラブ アクアで採用されていたスーパールミノバが時分針とインデックスに塗布されている。

 なお、ケースバックについてはクローズドバック(Ref.NM701.1)とシースルーバック(Ref.NM703.1)の2種類が用意された。クラブコレクションはケースバックへの無料刻印も目玉としているために、クローズドバックでの展開が中心となっている(クラブは、人生の節目における贈答品や自分への記念品としての打ち出しを強く行っている)。だが、ムーブメントに施されたグラスヒュッテ・ストライプ仕上げおよびノモス・ペルラージュ仕上げを視認できないというもどかしさもあった。今回のリデザインでは、その需要にも応えてくれたようだ(なお、サイトで確認したが文字数は減るもののサファイアガラスの外周に刻印はできる。安心して欲しい)。ノモス クラブ リデザインの価格は、Ref.NM701.1が税込22万円で、Ref.NM703.1が税込25万3000円。すでにノモスの店頭や公式Webサイトで販売が開始されているが、Ref.NM701.1は日本での店頭販売は行なっておらず、サイト購入の場合も本国からの直接発送となる。


ファースト・インプレッション

そうそう、オリジナルのクラブとクラブ リデザインの違いはもうひとつあった。それは2007年の発表時、ドイツのノモス社屋の斜向かいにあったクラブに生涯フリーで入場できるエントランスチケットがついていたことだ。当時の20〜30代をターゲットとして開発されたクラブには、太く頑丈なラグとベゼルに、暗闇でも視認性を確保してくれるオレンジの針と大ぶりなインデックス、多少の汗はものともしない10気圧防水(そして手が届く価格帯)と、アクティブに遊ぶ若者が求めるであろう要素がノモスらしいデザインのもとに盛り込まれていた。当時のノモスが考える、若々しさの象徴のような時計だったのだ。

 時が経ち現在は2024年。17年のあいだには39mmと42mmと比較的大径のケースにメタルブレスを備えるクラブ スポーツ、20気圧防水を確保しダイビングにも対応するクラブ アクアなどリアルなスポーツシーンを想定したハイスペックなモデルが生み出され、クラブはスポーツウォッチコレクションとしての洗練を続けてきた。しかしほかのクラブコレクションが進化し、増加を続けるなかで、これまでオリジナルクラブだけはWebサイト上から姿を消してしまっていた。今回の復刻においては、オリジナルクラブの復活を求めるファンの熱烈な要望がきっかけにもなったという。ノモスを代表するスポーツコレクションのオリジンとして、オリジナルクラブは数年間の開発期間を経て現代に堂々の復活を遂げたのだ。

 とはいえ、冒頭でも書いたとおりまるで間違い探しのようなリデザインである。トレンドの推移に敏感なブランドのなかには、よりスタイリッシュに、モダンにとダイヤル上に大胆な変更を行うところも少なくない。しかしノモスは、あくまで17年前のオリジナルクラブの面影を明確に残すことを目的としたように見える(公式サイトでも、「古典的な腕時計が戻ってきました!」とうたっている)。個人的にアーカイブに敬意を払ったアップデートは大歓迎だし、既存ファンも納得しつつ新たな若い層へのアプローチも狙える、いい塩梅のアレンジだと思う。

 だが、今作のリリースにも「オリジナルのデザインに変更を加えたブランド初の試み」という一文があるように、これまでノモスは(タンジェントにせよオリオンにせよ)そのベースとなるモデルには一切手を加えてこなかった。今回オリジナルモデルのリデザインに踏み切った理由や開発の経緯、今後ほかのモデルに波及する可能性については、ぜひ直接ノモスに話を聞いてみたい。


基本情報

ブランド: ノモス グラスヒュッテ(NOMOS GLASHÜTTE)
モデル名: クラブ リデザイン
型番: NM701.1(日本ではオンライン販売のみ)、NM703.1

直径: 36mm
厚さ: 8.2mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ホワイトシルバー
インデックス: アラビア数字とバーのプリント
夜光: 時分針、インデックス
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: 赤ステッチ入りのブラウンコードバン


ムーブメント情報

キャリバー: アルファ
機能: 時・分表示、6時位置にスモールセコンド
直径: 23.3mm
厚さ: 2.6mm
パワーリザーブ: 約43時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 17石
クロノメーター認定: なし


価格 & 発売時期

価格: NM701.1が税込22万円、NM703.1が税込25万3000円
発売時期: 発売中
限定: なし

ノモス グラスヒュッテ クラブ リデザインの詳細はノモス グラスヒュッテのWebサイトをご覧ください。