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Introducing シチズン シリーズエイト、モダン・スポーティを追求した新作890 メカニカル(編集部撮り下ろし)

2023年の880 メカニカルに続き、シリーズエイトというブランドの幅を拡げる渾身のスポーツウォッチだ。

Photo by Yusuke Mutagami


クイック解説

シチズンのなかでも機械式時計に特化したブランドである、シチズン シリーズエイト。昨年には2021年のブランド始動時から数えて2年ぶりの完全新作として、時針単独修正機能搭載のGMTウォッチ、880 メカニカルを発表して話題を呼んだ。メタルの切削を生かした高い質感と、20万円前後でトゥルーGMT機能を備えているというパフォーマンス性の高さに惹かれ、僕もHads-Onでそのよさを語らせてもらった。トラベルウォッチの王道とも言えるカラーリングも手に取りやすく、まだチェックしていないという人はぜひ見てみて欲しい。

 そして2024年3月、シリーズエイトが早くも次の新作を発表するというニュースが届いた。来る3月21日(木)に発売される890 メカニカルは、シリーズエイトらしいモダン・スポーティな雰囲気を纏うスポーツウォッチだ。

 890 メカニカルはレギュラーモデル2型、限定モデル1型の合計3型でリリースされる。3型はそれぞれブルーグレー、グレージュ、カッパーピンクというニュアンスカラーを使用しており、メリハリの効いた色合いが特徴的だった既存のラインナップとは少々異なる印象を受けた。ダイヤルパターンは、レギュラーモデルの2型では880 メカニカルでも見られたブランドオリジナルのパターン(都市のビル群をイメージしたランダムな市松模様)を、限定モデルでは桜の花びらが雲のように咲き連なる様子を表した“桜雲(おううん)を採用。3時位置のデイト窓の縁取りも、それぞれのカラーに合わせて変更している。

 今作は2時位置のリューズで操作する両方向回転式のインナーベゼルと、夜光を塗布したドットインデックス、そして20気圧防水に第2種耐磁性能を備えている。水辺でも安心して使用可能な、ウォーターアクティビティにも対応するモデルだ。3時位置のリューズガード、9時位置のパーツは別体となっており、サイドからビスで留められている。このパーツとオクタゴンベゼルは面ごとに仕上げを変えることで、エッジが効いた非常に高級感ある外観を作り出している。

 両サイドの別体パーツがあることで、42.6mm径とシリーズエイトの他モデルと比べてやや大きくなっている。しかしその一方で、シースルーバックと立体的なベゼルを備えながら厚みは11.7mmと少し控えめだ。横から見ると、ケースバック側に斜めにカットが入っていることがわかる。これにより、設計値よりも幾分スリムな印象を受けた。ブレスレットはメタルの質感を生かした3連ブレス。25mm/20mmと幅が広く、テーパーが効いているもののスポーティな印象が強い。これは830 メカニカル、831 メカニカルで使用されていたのと同じもののように見える。各コマの可動域は広く、武骨な見た目に反して腕に沿うようなフィット感があった。

 ムーブメントはシチズン プロマスターの機械式モデルにも採用されているCal.9051。もともとダイバーズウォッチに搭載されることを想定して開発されたこともあり、上記のとおり第2種耐磁を有している。870 メカニカルに搭載されているCal.0950とは異なり、ローターはシルバーカラーだ(Cal.0950は、かつてシチズンが精度などを追い込んだ特別調整品のみに使用していたゴールドカラーのローターを乗せている)。

 890 メカニカルはSSケースの2型(NB6060-58L、NB6066-51W)が19万8000円(税込)、ゴールドメッキの1型(NB6069-53H)が20万9000円(税込)となっている。発売はいずれも3月21日(木)を予定しており、NB6066-51Wのみ世界限定1700本で展開される。


ファースト・インプレッション

2023年に発表された880 メカニカルは、ブランド再始動時にラインナップされた870 メカニカル、830 メカニカル、831 メカニカルでブランド認知を十分に広めたうえで、満を持して登場した挑戦的なモデルだった。そのタイミングで初めてシリーズエイトはデイト以外のコンプリケーションを搭載し、世界観の拡張を図ったのだ。ちょうどパンデミックが明けて僕たちの目が海外に向き始めたころであり、GMTウォッチの投入は“機能と実用性を兼ね備えたモダンデザインの機械式時計ブランド”としてタイミングもバッチリだった。そして、今回登場する890 メカニカルもまた、マリンウォッチ的なテイストを持つモダン・スポーティなモデルとしてブランドの幅を広げる役割を担っているように思う。

NB6060-58L

NB6069-53H

NB6066-51W

 上でも述べたとおり、ケースの厚さはやや控えめだ。しかし、面ごとに磨きを変えた別体のベゼルやサイドパーツ、ダイヤルのパターンによって、設計値以上の立体感と奥行きを感じるデザインに仕上がっている。特にサイドビューは別体パーツを留めるビスや複数パターンのヘアラインの使い分けなど細かなディテールが効いていて、メタルの質感を存分に生かしたシリーズエイトらしい高級感を楽しむことができる。また、太めに幅を取られたインナーベゼルやメタルブレスはスポーティな印象を強めており、都市生活者のためのスタイリッシュなスポーツウォッチとして考え抜かれたパッケージに仕上がっている。

 薄めに設計されたケースと幅広のメタルブレスは、着用感にも貢献している。ケースの重心も低く、ケース径に対して短めのラグも手伝って、手首にしっくりと馴染む安定感がある。日本人男性の平均的な手首周り(約17cm)を持つ僕が着用して、下の写真のとおりだ。ラグは手首から飛び出すことなく、メタルブレスは腕にしなやかに沿っている。また、9時にも別体パーツを設けたことで、シンメトリーで均整の取れた美しさも生まれている。

 なお、今回シチズンはこの別体パーツに遊びを設けた。ゴールドメッキのNB6069-53Hでは、3時、9時位置にあえてケースとは別カラーのパーツをセットしている。これはダイヤルカラーを拾ったもので、全体をゴールドにしてしまうよりもギラついた雰囲気が抑えられており、このモデルのウォーミーなテイストを強めている。金属の質感や仕上げはケースと変わらないため、統一感も損なわれていない。以前、870 メカニカルでも、2体構造のベゼルをツートンにすることで“引き算の美学”から生まれたシンプルなフォルムのなかにモダンなエッセンスを落とし込んでいた。こうした別体構造ならではのデザインの自由さ、可能性には、今後も注目していきたいと思う。

Photo: Citizen

 唯一気になったのは、ムーブメントの選択だ。現在、シリーズエイトの3針自動巻きムーブメントには、Cal.0950、Cal.9051の2種が存在する(Cal.0950はシリーズエイトエクスクルーシブ)。ともに第2種耐磁を備えた4.1mm厚のムーブメントだが、前者の精度は−5~+10秒/日でパワーリザーブは約50時間、後者は−10~+20秒/日でパワーリザーブは約42時間となっている。今回使用されたのは、Cal.9051だ。もちろん、日常使いにおいてこのスペック差は大きな問題にはならない。だが、せっかくのシースルーバックであることもあり、ゴールド色のローターを見たかったという気持ちもある。だが、Cal.0950の搭載によって従来のプライスレンジから逸脱してしまうのであれば、この選択に対して反対するつもりはない。

 ちなみに、個人的には桜をイメージしたという限定モデル、NB6066-51Wが特に好みだ。サーモン……、というよりも赤みが強いものの落ち着いたトーンで、光を受けてキラキラと輝く幾何学的なパターンは見ていて飽きない。なお、3型すべてに言えることだが、今回中間色に絞ったラインナップとしたのはおもしろいと思った。エッジが立った金属質なケースに対し、ダイヤルから受ける印象はソフトだ。この色味が春らしくもあると同時に、新たな独自性を模索するシチズンの試みであるようにも見えた。

 以前のインタビューで、シリーズエイトは“新しい機械式時計のライフスタイル提案”を行う、“ステータスよりスタイル”を表現するブランドであると聞いた。890 メカニカルは都市生活者に向けたスタイリッシュなマリンウォッチの提案として、現代的なスペックも含めて適したものであるように思う。もちろん水に潜ることだってできるだろうが、普段使いできるモダンダイバーズスタイルの時計を探しているのであれば、890 メカニカルを選択肢に入れておいて損はないだろう。


基本情報

ブランド: シチズン シリーズエイト(Citizen Series 8)
モデル名: 890 メカニカル
型番: NB6060-58L、NB6069-53H、NB6066-51W

直径: 42.6mm
厚さ: 11.7mm
ケース素材: ステンレススティール(NB6060-58L、NB6066-51W)、ウォームゴールドメッキステンレススティール(NB6069-53H)
文字盤色: ブルー(NB6060-58L)、グレー(NB6069-53H)、カッパーピンク(NB6066-51W)
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 20気圧防水
ストラップ/ブレスレット: 一体型SSブレスレット


ムーブメント情報

キャリバー: 9051
機能: 時・分・センターセコンド、デイト表示、インナーベゼル
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
追加情報: 第2種耐磁


価格 & 発売時期

価格: 19万8000円(NB6060-58L、NB6066-51W)、20万9000円(NB6069-53H)
発売時期: 2024年3月21日(木)
限定: NB6066-51Wのみ世界限定1700本

詳しくは、シリーズエイトの公式サイトをご覧ください。