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Hands-On ノダス×レイブンのリーズナブルなGMTウォッチ、トレイルトレッカーを実機レビュー

これは志を同じくする2つのアメリカンブティックブランドがコラボレートした、お得感満載のフライヤーGMTだ。

ご存じだろうか? カリフォルニア発のノダス(Nodus)ウォッチとカンザス発のレイブン(Raven)ウォッチというふたつのスポーツウォッチ専門ブランドとのコラボレーションにより、手頃なトラベルウォッチカテゴリーにまた新たな時計が加わったことを。そこで僕、ジェームズ・“GMT”・ステイシーが、その優れたエントリーモデルについて紹介しよう。結果、ノダスのコントレイルコレクションと、レイブンのトレッカーコレクションから大きなインスピレーションを得て、各ブランドのコアラインナップの要素を組み合わせた時計が誕生した。このふたつのフォーマットは、カリフォルニアを目指して西に向かったアメリカの探検家たちに敬意を表した、超絶マットなトラベルウォッチに仕上げられている。その名もノダス トレイルトレッカーだ。

nodus trailtrekker

 トレイルトレッカーの大まかな特徴から述べると、直径39.5mm、厚さ11.8mm、ラグからラグまで46.6mmのスティール製ウォッチである。200mの防水性、ドリルラグ、サファイア風防、そして堅牢なSS製ソリッドバックを備えたこの製品は、ツータイムゾーンを管理できるアドベンチャーウォッチというロレックスの考えからインスピレーションを得ていることは明白だ。

nodus trailtrekker

 定評ある既存のプロポーション、そしてベゼルのデザインからの逸脱は、本モデルにマットなグレートーンのDLC仕上げを全面的に採用しているところにある。この加工により、ケースと付属のSSブレスレットの両方が保護・彩色されるのだ。さらに24時間表示の固定ベゼルには、セラコートセラミックコーティングが施されている。カラーリングは非常にフラットな深みのあるグレーで、ノダスが“クレイ”と呼ぶ、砂のようなブラウンのカラーリングがほんの少しだけ含まれている。同処理は時計を手首につけた際、チタンを誇張したような(この時計には基本的に光沢がまったくない)独特の体験をもたらすほか、視認性の高い文字盤デザインのための土台を形成している。

 僕は過去に、ダイバーズウォッチであるトレッカーコレクションをはじめ、レイブンのスポーツウォッチと長く過ごしていたことがある。彼らは過去10年間にわたって、“マイクロブランド”の概念を確立するのに貢献した時計を提供し続けており、僕は今でもこのブランドのファンであり続けている。数年前、マイクロブランド(もしかしたら“ブティック”ブランドという表現がぴったりかもしれない)の世界の変化を考察するために、このブランドを取り上げたことさえある。

 一方ノダスについてだが、僕は過去数年間にわたってこのブランドを追跡してきた。以前のミートアップやWindUpでかなりの数を見かけたが、このブランドの時計を扱った経験はほとんどない。とはいえノダスは、“The Smoking Tire”“Random Rob”、また“Watch Clicker”といった、熱狂的なファンとコラボレーションをして、適正な価格かつ楽しい時計を製造し、ファンを獲得してきた。

 レイブンと同じように、ブティックブランドの時計を好む方に向けて、ノダスは500ドルから1000ドル(日本円で約7万4000~14万8000円)のカテゴリーにしっかりと位置しながら、デザインとカラーバリエーションを豊富に展開しているとお伝えしておこう。両ブランドとも、おもしろくなりそうなコラボレーションに積極的であり、価値ある製品に注力し続けているため、今後も視野に入れておくメリットはあると言える。

nodus trailtrekker

 トレイルトレッカーの話に戻るが、この時計の内部には人気上昇中のミヨタ 9075を搭載している。これは振動数2万8800振動/時の自動巻きムーブメントで、ローカル(メイン)時針を単独セットすると時計の精度や計時を妨げることなく、新しいタイムゾーンにアップデートができる。このムーブメントはシチズングループ傘下のミヨタで作られたもので、シチズン シリーズエイト GMT(税込で22万円)を筆頭に、ブローバ オーシャノグラファー GMT(1295ドル~、日本円で約19万1000円)、ロリエ ヒュドラ SIII(599ドル、日本円で約8万9000円)、そしてヴェアー、リップ、ボルダー、トラスカといったブランドの選択肢(ほんの一部)など、最近エントリーGMT市場に参入したいくつかのブランドで採用されている。

 そんななか、ノダスはその9075を進化させ、ムーブメントを社内で調整し、日差±8秒を実現させた。自宅にタイミングマシンがあるので、受け取ったサンプルで数値を試してみようと思ったのだが、時計を完全に巻いた状態で6つの姿勢位置で計測したところ、平均で日差+7秒だった。悪くない結果だ。

nodus trailtrekker

 固定式ベゼルを持つトレイルトレッカーは、ロレックス エクスプローラーII(特に16570だろう)からインスピレーションを得ていることが明らかで、9075に派生した機能性が反映されている。つまりツータイムゾーンを追跡するのに最適なレイアウトと、特定のタイムゾーンから別のタイムゾーンに変更するための特別な機能を備えているのだ。回転ベゼルが、GMTの使い道をどう向上させてくれるのか、詳しく知りたい方はGMTベゼルの使用方法に関するこのガイドを参照して欲しい。トレイルトレッカーのベゼルは回転しないので、機能はこれ以上ないほどわかりやすく、旅行に焦点を当てたこのモデルは、6時位置の日付表示によってその機能を補完している(9075のおかげで、ローカル時針に連動して両方向に調整可能だ)。

 ケースデザインは滑らかで、柔らかなファセットのラグ、突出したリューズガード、ローレット加工をしたブラックリューズを備えている。短いドリルラグは、工具不要なクイックレバーのバネ棒を備えた、隙間のないしっかりとしたエンドリンクを介してブレスレットとつながっている。ブレスレットリンクは細く、快適に着用できるよう連結部分が柔軟で、さらに片側ネジ式(ブレスレットのサイズ調整が非常に簡単にできる)となっている。ラグ幅20mm、クラスプ16mmとテーパーがかったソリッドSSにセットされたクラスプには、プッシュボタン式のクロージャー(留め具)と、NodeXと呼ばれる、完全統合された工具不要のマイクロアジャストシステムを搭載している。

nodus trailtrekker

ノダスが開発したNodeXというマイクロアジャストシステムのボタン。その左側に延長できるパーツ部分が見える。

 このシステムはノダス独自のものだが、ほかのブランドへもライセンス提供が可能である。シンプルなボタン操作ながら、クラスプに完全に組み込まれており、10mmの調整が可能なスライド式のエクステンションを解除できる。チューダーのT-Fitシステムよりも使いにくいということはないし、ブレスレットにこの機能を追加してくれるブランドに感謝し続けるのは僕だけではないはずだ。

 僕は何年もブレスレットを避けてきたが、フィット感を細かく調整できるこのコンセプトにより、ブレスレットを身につけるという行為を快適なものにしてくれた。

nodus trailtrekker

 少し余談になるが、ブティックブランドは、大規模なブランドでは一般的に不可能な価格とスピード感で真のマニア向け製品を提供して市場を拡大してきたが、これらのブランドが提供する製品が多様化することで、同カテゴリー内でも進化を続けてきた。核となる価値のひとつは、大規模ブランドではしばしば無視される、多くの小さな配慮にある。これはラグに穴をあけたり、ブレスレットに片側ネジを使ったりといった単純なものから、クイックリリースブレスレット、工具を使わないマイクロアジャストシステム、セラコートのような特殊コーティングにまで発展している。

nodus trailtrekker
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nodus trailtrekker

 これらのデザイン要素は、多くのブランドで見られるものではあるが、トレイルトレッカーはその要素を備えるだけでなく、多くの高級SS製スポーツウォッチのブレスレットを買うよりも低価格で提供されている。確かに、これらの要素は平均的な時計購入者にとっては重要ではなく、琴線にも触れないかもしれない。しかしあなたや僕、そして僕たちの(主にオンライン上の)友人といった特定の愛好家にとっては、これらの小さな要素が、ひとつの時計と別の時計を比較検討する際に大きな影響を与える可能性がある。ディテールが重要であり、マイクロ/ブティックブランドの市場が、時計をより使いやすくするための機能を惜しみなく搭載し、価値を提供し続けている姿勢が僕は大好きなのだ。それはさておき、本題に戻ろう。

 手首に装着すると、ノダス トレイルトレッカーはそのプロポーションを最大限に発揮してくれる。比較的軽量でありながら、ノダスの文字やレイブンのロゴが入った視認性の高いマットな仕上がりのダイヤル。そして文字盤の端まで届く、宇宙からでも見えるほど特大なオレンジイエローのGMT針は独特のシェイプを持ち、タクティカルな雰囲気や要素を提供している。

nodus trailtrekker

 大型のアプライドインデックスと、それにマッチするサテン仕上げの針を合わせたトレイルトレッカーの夜光には、暗所で青みがかった強い光を放つ、スーパールミノバBGW9を使用。6時位置に配された枠付きの日付表示は、インデックスの代わりとなるよう、ホワイトのデイトホイールにブラックの数字を用い、視認性を高めている。

 僕の7インチ(約17.7cm)の手首に合うサイズのトレイルトレッカーは140gで、特にNodeXのマイクロアジャストシステムのおかげでかなり快適につけられる。フラットリンクと短いラグも、着用時にバランスを保ってくれていた。さらに12時間針と24時間(GMT)針のコントラストにより、タイムゾーンを読み取る際のシンプルさをより高めているのもよかった。

nodus trailtrekker

 時計には2つ目のストラップオプションとして、バリスティックファブリックを使用したオリーブグリーンのNATOスタイルストラップが付属している。僕は市場で提供されている、ほとんどのNATO風オプションを試しているが、このストラップと似たようなものに出合ったことがない。柔らかくしなやかでありながら、しっかりとした作りで、カジュアル感がありとてもつけ心地がいいのだ。ノダスとレイブンの完璧なパッケージに加えられた、素晴らしいオプションである。

 結局のところ、前述したロリエと同様に、トレイルトレッカーに関してほとんど不満はない。確かに、個人的にはロレックスを意識していないベゼルデザインを選んで欲しかったが、文字盤のデザインとフルグレーのカラーリングでそのようなつながりを排除しており、もうひとつ似たような別の時計、チューダー ブラックベイ プロ(これもエクスプローラーIIにインスパイアされた時計だ)との距離も置いていると感じる。

nodus trailtrekker

 とはいえ定価875ドル(日本円で約12万9000円)のトレイルトレッカーが、ベゼル関連でロレックスに似ているとしても、本当に世も末になるのだろうか? あるいは同じ(少なくとも似ている)ロレックスを連想させるチューダー? いつものように財布事情をベースに投票するのは自分次第だ。しかし僕は16570のエクスプローラーIIを持っていて、似たようなベゼルと見比べたが、それほど気にはならなかった。

 またノダスはロレックスの2倍の防水性能を持ち、チューダーと性能が同等でありながら、それより約3mm薄くなっていることも忘れてはならない(しかも価格は875ドル)。しかもトレイルトレッカーは限定版ではないため、この値段も短期間のみの予約価格ではない。時計は3月15日午前9時(太平表標準時)にノダスを通じて発売される。最近のブティックウォッチにはよくあることだが、生産は数回に分けて計画しているとのこと。これは購入希望者としっかりコミュニケーションが取れていれば、おおむね許容される方法である。

nodus trailtrekker

 斬新なムーブメントの利用可能性によって加速するブティックウォッチシーンの現代的な解釈として、トレイルトレッカーはノダスとレイブン、両チームの才能と展望を効果的に表現したプラットフォームだ。

 トレイルトレッカーは文字どおり熱狂的なファン向け製品(つまり超特定の層へと訴えかけるような時計)として、優れたスペック、意味のあるディテール、旅行にも適した機能性、そして希望価格に見合った確かな価値を持つ価格帯のスポーツウォッチが好きな層にアピールする。万人向けの時計か? それは違う。ただそれがマニアの選択の楽しみでもある。この場合、僕は確かに超特定の層のなかにいるし、皆さんの多くも僕と同じだと思う。

詳しくはノダス公式ウェブサイトをご覧ください。