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ジャガー・ルクルトのチャイム・マスターピース5本 NYで開催中のサウンドメーカー展に登場

耳を澄まして聴いて欲しい。

過去1年半、時計を実際に見ることが例年よりも困難な状況だった。しかし、チャイム機能付きの複雑機構を実際に触れることが難しいのは今も昔も変わらない‐その価格と希少性から、一般的にそのチャンスを掴むのは至難の業なのだ(時計愛好家の集まりでその類の時計を最後に見たのは、もう忘れてしまったが、最近ではほとんど見ることもない)。

 しかし10月5日までの期間中、ニューヨーク近郊にお住まいの方は、ジャガー・ルクルトが主催するサウンドメーカー展で、リピーターやメモボックスなど6種類のチャイム付き複雑時計を直に見ることができる(要予約)。我々は内覧会に参加を許され、展示会で最も重要5本の作品を動画収録した(時折、周囲の環境音が入るが、ご容赦いただきたい)。

 この展覧会は、ぜひお勧めしたい。ジャガー・ルクルト(JLC)は何十年にもわたってアラーム時計やチャイム時計を製造してきたが、時計製造の歴史のなかで最もエキゾチックで心を奪われるような美しい複雑時計の大規模な展示会に参加できることは、まさに文字通り一生に一度の機会となるだろう。この展覧会は、細部に至るまで非常によく企画されており、各ケースのQRコードは、オンラインの展覧会カタログの各項目にリンクしており、非常に有益な情報を提供していくれる。

マスター・コントロール・メモボックス・タイマー

マスター・コントロール・メモボックス・タイマーは、最近のメモボックスシリーズのなかでもとりわけ美しい外観を持ち(2020年発売)、音質的にも優れた時計の一つである。サイズは直径40mm×厚み12.39mm(このサイズ表記に正確さへのこだわりが感じられる)で、アラームとカウントダウンタイマーの両方を備えている。実際に見てみると、本当におかしいほどゴージャスに感じられる。ブルーダイヤルとアラーム用の内側の目盛りのせり上がった数字の組み合わせが、一般的なアラームウォッチよりもはるかに芸術的な雰囲気を醸し出している。アラームはゴングで鳴るので、JLCは“スクールベル”の愛称で呼んでいるが、これは今は無き“クリケット”のコオロギの鳴き声のような音ではなく、魅力的な音質が得られる。昨年184万8000円(税込)で限定販売され、現在はJLCのオンラインカタログには掲載されていないが、素敵な作品であることに違いはない。

ポラリス・マリナー・メモボックス

JLCが2020年に発表したポラリス・マリナー・メモボックス。その名のとおり、300m防水の本格的なダイバーズウォッチで3つのリューズを備えている。1つめはリューズの巻き上げと設定、2つめはアラームの巻き上げと設定、そして3つめは回転式インナーベゼルの設定を行える。巻き上げ・設定用のリューズ(3時位置)にはオレンジ色のフランジが付いており、リューズを引き出すと露出する。JLCの最新カタログでは211万2000円(税込)となっている。

マスター・グランド・トラディション ミニッツリピーター&永久カレンダー

この非常に衝撃的なハイコンプリケーションは、2019年に登場した。ホワイトゴールド製ケースは43mm×13.7mmで(複雑な時計を適度にスリム化することに長けたJLCらしいプロポーションだ)、西暦表示4桁を備えた永久カレンダーとミニッツリピーターを組み合わせる。ギヨシェ彫りが施されたダイヤルには、半透明のディープブルーエナメルが重ねられており、永久カレンダーの複雑機構にふさわしい、美しい天空の情景を演出する。搭載されているムーブメントはJLC製Cal.950で、静音の遠心式レギュレーターとJLCが特許を取得したトレビュシェットハンマーを備えている。価格は当時250,000ユーロ(約3243万円)と発表されるも、現在のカタログには「価格はお問い合わせください」と記載されている。

Cal.362搭載の超薄型ハイブリス・メカニカ

この時計が初めて登場したのは2014年のことで、それ以来、ユニコーンのような(希少な)存在になっている。処女でなければ捕まえられないというわけではないが(訳注:ユニコーンは処女に抱かれて大人しくなるという伝説がある)、発売以来目にしたことはなかった。このモデルは、フライングトゥールビヨンとミニッツリピーターを搭載した極薄時計である(ケースサイズは41mm×7.8mm、Cal.362の厚さはわずか4.7mmだ)。この時計に搭載されるミニッツリピーター機構は、いくつかの点で特異である。まず、スライドはなく、ケースに組み込まれたプッシャーを起動すると、8時位置にあるスイッチを押して解除されるまで、ケースの側面に沈んだままになる点だ。第2に、リピーターの設定により、クォーター(15分間隔)チャイムが鳴ってから1分間隔のチャイムが鳴るまで、無音の間隔がない。このミニッツリピーターは決して大きな音が出るわけではないが(音量はさておき)、薄型時計にしては音質が非常に優れ、しかもホワイトゴールド製ケースに収められている。また、シックという言葉を使わざるを得ないほどフラットでシックなこの時計は、とても洗練された佇まいを持っている。

ルクルト製Cal.19/20 RMSを搭載する、1894年製懐中時計 ミニッツリピーター ジャックマール

 この言葉を実際に使う人はあまりいまいが、多くの時計愛好家にとって“古きよき時代 ”に憧憬を持つのは自然なことだ。昔の時計は、(よほど大金をつぎこまなければ)あまり優れていなかった事実自体が、現代ではあまり考慮されない。しかし、時計、特にこの時計のようなアンティークを見ると、多くの人が“昔の方がよかった”としみじみ思うようだ。

 これは1894年に完成した懐中時計で、ある種の時計製造の頂点を象徴している。この時計はミニッツリピーターで、ジャックマールと呼ばれる機構を備える。イギリスの時計業界では通常、“ストライキングジャック”と表現される(奇遇にも私の名前と一致する)。時計に描かれたアニメーションが時を告げるように見えるのは、非常に古い伝統であり、それを見るのは非常に楽しいことだが、この時計を聴いて本当に驚くのは、チャイムの驚くべき音量と明瞭さだ。もちろん、もっと小型の時計でも素晴らしい音を出すことはできるが、私は常々、リピーターやグランドソヌリの本来のあるべき姿は懐中時計であり、それこそが時のシンフォニーが真の意味で鳴り響くコンサートホールに相応しいと常々感じている。歴史的なメモ - 耳を澄ますと、かすかにブーンという音が聞こえるだろう。それがレギュレーターだ。現代のリピーターは、一般的に静音の遠心式レギュレーターを使用しているが、この時計はその発明以前のものだ。その代わりに、アンカー脱進機に似たデザインのアンカーレギュレーターが採用されており、これがブザー音を奏でる要となっている。

撮影・動画:ティファニー・ウェイド&デビッド・オジェロ