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In-Depth ロレックス2020年新作から僕が学んだ5つのこと

大きなニュースには、大きな教訓があるもの。

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ここ数ヵ月にわたって、時計界隈で多くの憶測が飛び交った後、ロレックスは先週、2020年の新作コレクションを発表し、波紋を呼びました。ケース径を大きくした新型サブマリーナーコレクション。オイスター パーペチュアルにも大きなアップデートがあり、新しい41mmのサイズカラフルな文字盤も数多く追加されました。さらにちょっと大きめのサイズが好みの方には、新しい文字盤とオイスターフレックスを組み合わせたスカイドゥエラーも登場。季節が夏から秋に移り変わりはじめる中、ジャーナリスト、時計愛好家、コレクターたちから熱い視線が注がれました。

 ロレックスの新作がどんなものなのか、そして時計コレクターたちがどう反応するのかについて、僕がとてもワクワクしていたのは言うまでもありません。ロレックスの新作というのはいつでも楽しいもの。ですが、今年の大きな教訓は、時計だけではなかったように思います。新製品の詳細については、HODINKEEでの詳細なレビューも含めて、今後も沢山の情報をお伝えしていきたいと思いますが、今は全体像を捉えていきたいと思います。

 先週の発表から僕が得た、主な収穫をいくつかご紹介します。ただ、僕はこれをディスカッションの場にしたいと考えています。この考えに同意するかしないかはもちろん自由ですし、もし重要な教訓が他にもあると思った場合は、ぜひコメント欄で教えて下さい。
 それではいってみましょう。


#1 – 数字を気にするのはやめよう

ケース径よりもケース形状の方が重要。(左が旧型サブ、右が新型サブ)

 最初に新型サブマリーナーのスペックシートをPDFで開いたとき、41mmという数字を見て、正直僕は、少し震えました。「まさかサブマリーナーを大きくするんだろうか?」と自分自身に問いかけました。でもなぜ? どうなるの? ロレックスのスポーツウォッチは、僕のような細腕には着けられないものになってしまうのだろうか? 僕は紹介記事を書く際に実機を見て触ったわけですが、ロレックスの提案がいい考えだということが分かりました。

 時計を評価したりする仕事において本能に頼ったり、仕事をより効率化するために信頼できる情報に依存することは簡単です。それは他の仕事でも同じこと。でも結局のところ、ケース径などの数値については、以前よりも注意を払うべきではないことが分かりました。ジェームズ(・ステイシー)は、時計の着用感を判断するために、ラグからラグ、つまり全長を測るべきだと提唱してきました。新型のサブマリーナーは、「ラグの外幅」や「ラグからブレスレットのテーパー具合」といったものも時計の紹介をするのに良いのではないかと思っています。

 40mmのサブマリーナーと新型の41mmのサブマリーナーを着け比べてみると、前者より後者の方が大きいとは思えませんでした。外形情報と全体的なプロファイルは、直径自体よりもはるかに大きな違いを生みます。その結果、僕が予想していたよりも快適で、身に着けやすい時計となっていました。細かいことを言うつもりはありませんが、数字だけに頼るのではなく時計を試着することができるのであれば、大抵の場合はそれがいいアイデアだと思うのです。


#2 – ロレックスは、我々が考えるよりも注意を払っている

新型OPの隣りには、ヴィンテージのステラダイヤルをもつデイデイト(写真提供: Eric Ku

  ロレックスがオイスター パーペチュアルに明るい新色の文字盤を導入したのを見て、ほとんどの領域・分野において悲惨な年となった今年に気持ちを明るくさせるものを出したのだろうと考えるのは簡単です。しかし、それは2つの重要なことを見逃してしまうことになります。

  1. 時計は、数ヵ月ではなく何年もかけて開発されるものであり、ロレックスは間違いなくマスクや手の消毒が当たり前になる以前に、長い間取り組んでいたということ
  2. これらの色は急にポッと出てきたものではなく、ロレックスにとって全く新しいものというわけではないこと

 ロレックスは、チューダーやタグ・ホイヤー、オメガのようなブランドのように積極的にヘリテージを活用していないため、ヴィンテージ愛好家に十分な注意を払っておらず、熱心な収集家コミュニティから嘲笑を受けることがよくあります。ロレックスは、あからさまで分かりやすい方法でヴィンテージコミュニティにサービスを提供していないのです。それは彼らの仕事ではなく、少なくとも先週まではそうではありませんでした。

 このことについては、今後もっと深く掘り下げていきますが、このカラフルなダイヤルは、1970年代にデイデイトのために作られたエナメル製のステラダイヤルにしっかりと根ざしたものです。色は似ているというか、ほとんど同じ色をしています。顧客の多くがこれについて何か知っているでしょうか? それはないでしょう。ですが、知っている人にとっては、納得感のあるものであり、ロレックスによる君たちのことも見ているよ、という明確なサインでもあるのです。

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#3 – 39mmのロレックスは(ほとんど)死んでいる

ロレックス エクスプローラー Ref. 214270は、ロレックスのスポーツウォッチの中で現在唯一の39mmモデルとなりました。

 ロレックスの新作発表はいつも嬉しいものですが、先週はちょっと悲しいニュースもありました。それは、オイスター パーペチュアル39の生産が終了したということです。5年にわたって展開されてきたオイスター パーペチュアル39がコレクションから姿を消し、41mmのオイスター パーペチュアルがそれに代わるものとして登場したのです。分かります。28mm、31mm、34mm、36mm、39mm、41mmのOPを展開することに大きな意味があることは理解しています。でも、なんてことをしてくれたんだよ、ロレックス。OP39は、現代ロレックスのコレクションの中でも個人的に一番好きな時計だったし、同じように感じていたコレクターをたくさん知っています。王冠は与え、そして同時に王冠は奪うのです。

 他とは違う、このニュースが意味していることです。これ以上言うことはありません。OPの最大サイズが拡大され、今や36mmと41mmには5mmのサイズ差が生まれました。はい、いいでしょう。先に進みます。

 しかし、ここで最も興味深いのは、ロレックスがコレクション全体にたった1つだけ39mmのスポーツウォッチを残していること。そう、エクスプローラーです。エアキングはエクスプローラーと似たようなケースをもっていますが、40mm。そしてOPケースも41mmとそれほど違いはありません。エクスプローラーは、今後も長期的に39mmのままなのか、それとも他のコレクションと同様に最終的に大きくなっていくのか? それはやがて分かることですが、とりあえず僕は、今ここで2020年唯一の39mmロレックスを支持することを公表したいと思います。


#4 – ムーブメントは重要、たとえユーザーが気づかなかったとしても

 先週、密かに発表された最大のニュースは、コレクションのほぼ全てのモデルにクロナジーエスケープメントを採用した最新世代のムーブメントが搭載されたこと。サブマリーナーにそれが遅れて登場したのは不思議な感じがしますが、これでサブ、GMT、デイデイトからオイスター パーペチュアルまでの全モデルに、より長いパワーリザーブとロレックス独自の脱進機を採用した高効率ムーブメントが搭載されています。

 ロレックスが毎年作っている約100万個の時計の一つを購入するほとんどの人にとって、あなたが目にした一節は、文字通り何の意味もありません。意味不明でしょう。ですが、それは問題ではないのです。ロレックスは、しっかりと機能するだけでなく、大抵の場合、価格が(少なくとも)2倍や3倍する時計よりも優れている、非常に高品質な時計を作ることでその名を冠しています。現代ロレックスの時計を、超有名人やロジャー・スミスのような人たちが着けているのには、理由があるのです。

 ジャック(・フォースター)はよく言っていましたが、オメガでコーアクシャル・エスケープメントが時計の販売に役立っているかどうかを尋ねたところ、その技術がなぜ重要なのかを理解できるほどオロロジーに精通している人は、この星に6人くらいしかいないと言われたそうです。それはロレックスの独自技術においても同じではないでしょうか。
「さて、お客様、この時計には当社独自のクロナジーエスケープメントが搭載されており、常磁性のヒゲゼンマイを搭載しています」という言葉が、時計を売る際の最後のひと押しになるとは想像できません。しかし、僕はロレックスがとにかくこの方向に突き進んでいることがとても嬉しいです。理由を理解しているかどうかは別にして、ベターはベター。そう、より良いのです。そして、"より良い "はロレックスにとって欠かせないものです。


#5 – 誰もがまだ、ネット上でロレックスについて議論するのが大好き

 これは、今日の時計について唯一100%正確な真実かもしれません。1つの新しいロレックスと5人の人々が会話をしている場合、テーブルの上には少なくとも12もの異なる意見が投げ出されます。これはある種の数学的な異常値かもしれませんが、常にそうなのです。ロレックスの新モデルが発表された夜に5つの記事を書きましたが、これを発表した時点で、その5つの記事には1100件を超えるコメントが寄せられています。驚いたかって? 全然、全く驚きません。

 一部の人々はこれを愚かなものとして見るかもしれませんが(コメントのうちの99%が、まだいずれの時計も実機で見ていないと賭けられるでしょうし、その多くがどんな実機写真であれ時計が登場する前から存在していた意見でした)僕はそれを爽快だと思っています。
 僕たちは世界的なパンデミックの真っ只中にいます。社会的、政治的秩序について疑問もあるでしょう。それでもこの小さな機械式時計を介して、互いに関わる方法を体感しています。

 これは、ロレックスの密かな、そして最大の強みの1つです。同社が個人的に感じさせないよう全力を尽くしているのにも関わらず、時計愛好家はこの会社が行うあらゆることをパーソナルなこととして受け止めています。スカイドゥエラーの新しいストラップはメシアの再臨か、ランダムに1人の時計コレクターを侮辱することを意味するかのどちらかです。
 41mmのサブマリーナーは、世界で最も象徴的な時計の最終的な進化系であるか、はたまたその不明瞭さにジュネーブのマニュファクチュールからみんなが離れてしまうものになるのか。ロレックスが何をしようとも、コレクターは注目するだけでなく、しっかりケアしています。2020年、それはそれでいいんじゃないかな?。