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In-Depth グラスヒュッテ・オリジナルの新しいシックスティーズ・スモールセコンドと、グラスヒュッテの時計製造史についてそれが教えてくれること

“オリジナル”とはどういう意味なのか? グラスヒュッテにはいくつかの考えがある。

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先月初め、ついにドイツの時計製造発祥の地であるグラスヒュッテを訪れる機会を得た私は、この小さな街の素晴らしい時計製造という名の魔法を目にすることができた。大変魅力的なその歴史について何年にもわたって読んできたつもりだが、その歴史が今日までどれくらい小さく、そしてどれほど息づいていたかまったく理解していなかった。つい先週、グラスヒュッテ・オリジナルは新しい42mmのローズゴールド製ドレスウォッチ、シックスティーズ・スモールセコンドを発表した。この時計、そしてブランド自体がどれだけ街の歴史を思い起こさせるのか、知らない人は少なくないだろう。

Glashütte from above

グラスヒュッテへようこそ。この写真のなかで、いくつのブランドを見つけることができる?

 まずは歴史を感じさせるスイスのジュウ渓谷から。ジュウ渓谷の小さな街を車で走り抜けると、何百年ものあいだ時計製造と結びついてきた名前を目にすることができる。その感覚を凝縮し、あるひとつの通りに立つと、少なくとも4つの主要な時計ブランドの本社が見える。それがグラスヒュッテという街だ。

 グラスヒュッテ・オリジナルの厳かな製造施設を訪れているあいだ、 “オリジナルであること”を暗示するキャッチフレーズを絶えず耳にした。これは主に、ユーザーが同ブランドの腕時計を身につけたときに感じる独立心と独自性をアピールするものだが、この名前にはもっと文字どおりの意味も込められている。

Glashütte Original

グレーとホワイトでできた、左下にある大きな建物がグラスヒュッテ・オリジナルで、右手にA.ランゲ&ゾーネ、通りを挟んでノモスがある。

 グラスヒュッテ・オリジナルはベルリンの壁が崩壊した、ドイツ再統一後の副産物として、1994年に誕生した比較的新しいブランドだ。グラスヒュッテを拠点とするほとんどのブランドが設立(正確には再設立)された日付に注目すると、その多くはこの時期に当たる。というのも、ドイツ民主共和国時代には、チュチマ、A.ランゲ&ゾーネなどの有名なドイツの時計ブランドが、グラスヒュッテ・ウーレンベトリーベ(Glashütter Uhrenbetriebe、通称GUB)と呼ばれるひとつの傘下に統合されていたからだ。

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 第2次世界大戦末期、連合軍の爆撃によりグラスヒュッテはほぼ壊滅状態に陥る。街に残存した時計製造設備は、後に戦争の賠償金として請求され、ほとんど残らなかった。そして生き残った時計職人の機関がその設備の再構築を可能にした一方で、GDR(ドイツ民主共和国)は国営の時計製造会社であるGUB社にしかその操業を許可しなかった。

GDR GUB Caseback

裏蓋に“Made in GDR”という刻印が入ったGUBウォッチ。

 GUBブランドは長年にわたり機械式時計に注力し続け、鉄のカーテン(第2次世界大戦が終結したあと、当時の東西両陣営の分裂した緊張状態を表した言葉)の陰に隠れていたが、ある意味ではクォーツショックから守られていた。パテックのようなブランドがこの時代に生み出していた品質には及ばないものの、熱狂的なファンを獲得していたのだ。価格も手頃で、数百ドル程度のものもあった。

 グラスヒュッテ・オリジナルがこれらのアンダークオリティな時計と距離を置きたい理由は明らかだ。最近のGO(以下グラスヒュッテ・オリジナル)は、GUBに属するブランドよりも素晴らしい仕上げを施した時計を高い価格で提供するなど、驚くほど高クオリティな時計を生産している。しかし、この歴史はブランドと密接に結びついている。GUBより前の時代、“グラスヒュッテ・オリジナル”は同じスタイルの粗悪なコピー品と区別するために使われていた。ただ最終的にGUBが解散すると、GOは旧GUB社の従業員72名と、当時あった機械の大部分を引き継いで設立。現在では、 “オリジナル”が何を意味するのかをより忠実に表現し、GOはグラスヒュッテの時計製造の連綿と続く系譜に最も近い存在となっている。そして、新しいシックスティーズ・スモールセコンドは、そのつながりを証明するものである。

A selection of GUB Watches

1960年代のふたつのモデルを中心としたGUBの時計セレクション。

SeaQ and Spezimatic

新型のSeaQ(左と右)と、真ん中がスペツィマティック(Spezimatic)。

Spezimatic

ヴィンテージ版を見るまでは、分針の大きな矢印が特に好きではなかった。ただ(見た瞬間)すべてが腑に落ちた。

Q Certification

ダイヤルに施されたQ認証。

 グラスヒュッテに滞在していたとき、グラスヒュッテ・オリジナルの従業員が所有していたGUB時代の腕時計をいくつか見た。そのなかには、GOが“ヴィンテージ”や“SeaQ”ラインとして現在製造しているものと、GDR時代の苦難の時代とのあいだに明らかに関連性を見出せるものがあった。そのうちのひとつはスペツィマティックで、現在のSeaQラインとよく似ている。実際、ダイヤルにある“Q認証”(SeaQの名前の由来)は、GDRにおける品質を認証しているものであり、時計からトースターといったあらゆるものにこのマークは見られ、そしていまのGOの使用まで続いている。また1970年代につくられた別の時計は、現代のコレクションであるセブンティーズウォッチと非常によく似ている。しかし上のコレクションを構成するふたつのモデルは、新しいシックスティーズ・スモールセコンドが過去への言及としてパワーアップ(そしてよく仕上げている)したものだと示している。

Glashütte Original Sixties Center Seconds

Courtesy Glashütte Original

 この新作がグラスヒュッテ・オリジナルのまったく新しい試みでないことはわかった。このブランドは以前からシックスティーズの時計を手掛けている。ただ彼らの新しい解釈により、さらにそれが魅力的だと思った場合、その歴史は再考する価値があるということなのだ。

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 センターセコンドを採用したシックスティーズのほうが、オリジナルのヴィンテージウォッチにより忠実であるかもしれないが、新しいスモールセコンドの時計は、私好みのより洗練されたクラシックスタイルとなっている。先月この時計を実際に見たとき(残念ながら写真を撮ることはできなかったが)、42mmという従来のドレスウォッチより少し大きいサイズにもかかわらず、薄いベゼルとカーブした短いラグにより手首によくフィットした。RG製ケースは、一部のブランドの(ゴールド)ミックスよりもイエローが強かった。私の好みであるイエローゴールドのケースをほとんどやめているブランドもいくつかあるので、これはうれしいことだ。

Glashutte Original Small Seconds

Courtesy Glashütte Original

 とはいえ42mmは一般の人にとっては大きく、そして12.4mmとやや厚い。これはドーム型サファイアクリスタルでできた裏蓋が部分的に影響しているようだ。ただ私は、GOにおけるサイズの問題の要因となっているムーブメントを小さくすることに時間を要してほしいと、切に願っている。しかしGOのムーブメント仕上げについては、あまり頻繁に語られていない。今回ブランドはムーブメントの写真を公開しなかったが、自動巻きCal.39-60(Cal.39の新バージョン)の仕上げは素晴らしいものだ、という私の言葉を信頼して欲しいと思う。面取りされたエッジと磨き上げられたポリッシュ仕上げのネジ、スケルトナイズされた“GO”ローター、ゴールドのアクセント、そして新しいムーブメントによる約40時間のパワーリザーブは必見だ。

 いつものように細部も異なる。3、9、12のフォントは、現在使用されているフォントのなかで私が最も好きな(そして最も古風な)フォントのひとつだ。リューズも少しアグレッシブで過剰なつくりに見えるかもしれないが、当時のGUBウォッチを見返すと、深いローレット加工や四角く切り落とされたエッジなどがとても似ていることに気づくだろう。アンティークウォッチのなかには、ステーキが切れそうなほど鋭利なリューズもあった。今回のグラスヒュッテ・オリジナルは、ドレスウォッチとして使えるようほんの少しトーンを戻したようだ。

GUB Watches
GUB Watch crown
Glashütte Sixties Small Second

Courtesy Glashütte Original

Vintage GUB watch

1960年代製のヴィンテージGUBウォッチ。

GUB Watch

 新作の価格は225万5000円(税込)と、過小評価されているブランドとしては厳しい価格かもしれない。しかしその理由の一部は、ブランドの歴史を広く理解していないことにある。しばらくのあいだ、このブランドの主力ラインとして定番であり続けると私の直感がいっているので、実際に見てみることをおすすめする。


基本情報

ブランド: グラスヒュッテ・オリジナル(Glashütte Original)
モデル名: シックスティーズ・スモールセコンド(Sixties Small Seconds)
型番: 1-39-60-01-01-04

直径: 42mm
厚さ: 12.4mm
ケース素材: 18Kローズゴールド
文字盤: ガルバニック仕上げ シルバー
インデックス: 削りだし、スケールプリント加工
夜光: インデックス先端にあるドット
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: グリーンのルイジアナ産ヌバック仕上げアリゲーターストラップ


ムーブメント情報

キャリバー: 39-60
機能: 時・分・スモールセコンド
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
追加情報: グラスヒュッテ4分の3プレートリブ仕上げ、スワンネック緩急微調整装置、ダブルGシンボルのゴールド製スケルトンローター


価格 & 発売時期

価格: 225万5000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし

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