Introducing HODINKEEの卒業生、カーラ・バレットが手がける子供向けの新しい時計ブランド

　私が今やっているのは、幼少の頃から構想していた会社を立ち上げることだ。そして今日、このHODINKEEでその詳細を発表できることを嬉しく思う。HODINKEEは私に、時計についての十分な知識と、自分のブランドを立ち上げる自信を与えてくれた。
　ブランド名は「Parchie」。子供のためのブランドだ。そして、今日はそのスタートの日なのだ。

　HODINKEEでの6年間、私は時計が人々を結びつけ、強いコミュニティを形成するのを見てきた。しかし、子供向けの市場にはギャップがあることに気づいていた。フリックフラックもタイメックスも作っているが、昔からある時計のままだ。子供たちが時計を好きになるような商品を、なぜ誰も作らないのだろうかと考えた。そして、私自身ができるのではないかと思ったのだ。

　もし私が時計ブランドを立ち上げるなら、いくつかのポイントを押さえたいと思った。それは、楽しさ、手頃な価格、そして使いやすさだ。私はHODINKEEの限定モデルを手がけていたので、アイデアから製品化までの基本的な流れは知っていた。あとは、その手順を踏むだけだった。

　ステップ1は、名前を決めることだ。私は「Parchie」を選んだ。それは、私が3歳のときのイマジナリーフレンド（空想の友達）の名前だ。ヨーロッパで育った私は自分のことを変わったアメリカ人の子のようにいつも感じていたし、アメリカに引っ越したときは変わったイギリスの子のように感じたものだ。実際にはそうではなかったのだが、心のなかではそう思っていた。だから私は、自分に自信のない小さな子供たちのちょっとした友達になれるような時計を作るというアイデアを愛している。

　ステップ2は、すべてのデザインを行うこと。この部分に一番時間がかかった。ダイバーズウォッチは最も美しく実用的な時計だと私個人は思う。しかし、子供用の腕時計でベゼル付きのものはほとんどなかった。回転ベゼルは外れて酸素不足の原因になる恐れがあるというのはよくわかるのだが、固定されたベゼルはどうだろう？　これなら大丈夫そうに思える。私はずっと自問していた； 大人がつけているものの小さいバージョンを、なぜ子供が持てないのか。顧客が若いからといって、よいデザインを省略する必要はない。

　また、ダイバーズウォッチはツールなのだ。丈夫で耐久性に優れている。子供にとっては最高のアイテムだ。もちろん、子供がこの時計でスキューバダイビングをするわけではないが、多くの大人も自分たちの時計でダイビングをするわけではない。30m防水にしたのは、お風呂や水泳で使えるようにするためだ。それだけでも十分だと思う。素材には軽量なアルミニウムを採用し、小さな指でも操作できるようにリューズを大きくした（その辺のビッグクラウンファンのためにも）。ストラップは、子供の手首に合わせたナイロン製のNATOストラップを採用した（大人も可。つけたいでしょう？）。これは本当に、32mmに縮小されたクォーツ（セイコーPC21J）のダイバーズウォッチなのだ。

　ダイバーズウォッチのもうひとつの魅力は、アナログであることだ。子供にはデジタルの方がわかりやすいと思うが、私は彼らに時間の見方を教えてあげたいと思っていた。アナログ時計の文字盤はパイのようだし、針は直感的にスライスのように見えるので、よりわかりやすいと思う。数字は怖いかもしれないが、視覚的な学習は楽しいものだ。Parchieはすべてが楽しくなるようにしたいと思った。
 
　色も明るくて元気なものになるようにした。グリーン、ピンク、ブルーの3色でスタートし、秋にはもっと多くの色が登場する予定だ。価格は1本50ドル（約5500円）。そうそう、全部ユニセックスです（笑）。

　ステップ3は、実際に時計を製作することだが、これがParchieをフルタイムの仕事にした理由だ。全力を尽くさなければ自分が望んでいるものにはならないと思った。3月にHODINKEEを退社したのはそのためだが、チームとは今でも毎日のように連絡を取り合っている。

　以来、私は全完成に向けたあらゆることを行ってきた。マーケティングとソーシャル戦略の策定。ウェブサイトの構築。ビジネスライセンスの申請。銀行口座の開設。実際の会社が必要とする、楽しいこともそうでないこともすべてやった。やることは多い。そして、怖い。でも、この仕事を始めて数ヵ月が経った今、自分がやるべきことだとわかったのだ。

　私はParchieに大きな夢を持っている。将来的には本やクロックなどを作る予定だ。今のところ3種類のモデルがあり、これらは私の友人の子供時代のイマジナリーフレンドにちなんで名づけられた - 「Martin」「Squeaky」「Enga」だ。Parchieの仲間たちとでも言うべきだろうか。現在、parchiepal.comで購入することができる。もうすぐHODINKEEショップでも販売される予定だ。

　この新しい試みをサポートしてくれた会社の皆さんに、本当に感謝している。そして、この道を歩んだ私についてきてくれたコミュニティの皆さんにも。私が2015年に社員番号4番としてここに入社したとき、会社は大きなアイデアを持つ小さなスタートアップに過ぎなかった。今、私はその同じ立場に戻っている。この道を一緒に歩んでいただけることを嬉しく思う。私はHODINKEEのオーディエンス・エンゲージメントマネージャーのデイジー・アリオトと一緒に、8月19日（木）午前10時（東部時間）にClubhouseでParchieに関するQ&Aを行う。バーチャルイベントへのRSVPはこちらから。

 カーラ・バレットは、2015年から2021年までHODINKEEでさまざまな仕事を経験した。彼女の最後の記事であり、傑作エッセイである 「全ての腕時計がユニセックスであるべき理由」はこちらから。ParchieはInstagram @parchiepalでフォローできる。

Photos by Emiliano Granado.