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昨夜は音楽業界の大物たちが一堂に会して、2022年に生まれた最高傑作を祝った。そして本日、司会者のトレバー・ノア(Trevor Noah)から、マイケル・フリードマン(Michael Friedman)の親友ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)まで、全員の手首に巻かれている時計について話し合うべく、時計業界の中堅どころが集められた。この話し合いはすべてスラック上で行われたが、今回はあえて編集するのではなく、秘密裏に行われた舞台裏のようなスタイルで、フィルターを通さずに感想を共有することにする。トニー(Tony)、ダニー(Danny)、マライカ(Malaika) の意見を読んで、ぜひあなたもコメントしてみて欲しい。
ダニー: オーケー、さっそく本題に入ろう。時計の観点から見た全体的なグラミー賞について。どう感じた?
トニー: ゆっくりと始まって、だんだん盛り上がった。そしてジェイ・Z(Jay-Z)がすべてを終わらせたんだ。
マライカ: みんなそれをわかっていたよね。
トニー: トレバー・ノアから始まったが、彼は誰もが知る大の時計好きだ。彼は普通のノーチラスよりワンランク高い、5723をつけて登場したが、ウォーミングアップに過ぎないといった感じだった。
マライカ: ケンドリックのスタイルはよかったと思う。全体の衣装も完璧だった。あのOP(オイスターパーペチュアル)が完璧に仕上げていた。
トニー: よし、まずはマライカからだ。
ケンドリックは時計好きだけどそれを見せびらかすようなことはしない人だと、以前聞いたことがある。この服装のために合わせたOPが理想的な時計だと、私も共感する。
ダニー: 時計は基本的に衣装の延長線上に過ぎないが、この時計はまさにこのシナリオに不可欠なのだろう。
トニー: ライトブルーの文字盤は2021年に発売されたものだが、ここではうまくいったね。
ダニー: 2021年はもう古くさいかな?
マライカ: どちらかといえば、そこがポイントだったように思う。“俺はケンドリック・ラマーだ、このティファニー・ブルーで好きなことができる”、みたいなね。ファレル(Pharrell)はティファニーのメガネとRM(リシャール・ミル) スマイリーのコンボだったのに、それをも圧倒してしまった。私はRM88 スマイリーに病的なほど夢中なのに。
ダニー: そう思うよ。
トニー: 君の紹介記事でほとんどが売れてしまった。
マライカ: 聞いてほしい、私はRMを愛しているし、誰がどう思おうと気にしない。
ジェイ・Zについて話さないとね。
トニー: やっとだ。
ダニー: グランドマスター・チャイム自体が、ラップ名そのままだ。ちょっと言ってみただけ。
マライカ: グランドマスター・フラッシュ(Grandmaster Flash)なら何か意見がありそうな気がするけど。
トニー: それでグラミー賞をちょっと見ていたら、ビヨンセがグラミー賞の最優秀R&Bソング賞を獲得したのに、彼女はそれを受け取らなかったので、“ビヨンセとジェイ・Zは遅れているが、彼らはここにいるよ”とマイクで司会者が言ったんだ。もう会場中が大騒ぎだ。
そしてジェイ・Zが、この夜でいちばんの大物時計をつけて登場した。我々は、彼が3年以上前にもそれをつけているのを知っている。この時点で、彼がグランドマスター・チャイムを気に入って鳴らし続けているのがわかった。
ダニー: 私がこれに関して最も好感を持ったのは、彼がひと晩中(袖口に隠れることなく)服の上からそれをつけてくれたことだ。もし身につけるのなら見てみたいし、彼はそうしてくれたんだ。
トニー: ジェイ・Z、我々の仕事を楽にしてくれてありがとう!
ダニー: 袖口の下に隠された時計ほどタチの悪いものはない(エヘン、トレバー・ノア)。
トニー: 次はトレバーの話をしようかな? 彼は私にとってもうひとつのハイライトだった。
ダニー: 彼は時計を3本もしていたね。
これはある意味、革新的な動きではないのか?
私の思い違いでなければ、どのショーでもそんなことをした司会者はいままでいないはず。
トニー: 司会者ではないが、昨年のグラミー賞の時だったか、シーラン(Sheeran)がやっていたのを覚えている。レッドカーペットで2499を、その後ステージで5711のグリーンダイヤルをつけていた。
マライカ: だがよくわかる。
トニー: 100%ね。そのスタンスが好きなんだ、エド。
マライカ: トレバーが実際に選んだものについて話そうよ。
ダニー: そうしよう。
トニー: ローズゴールドに、ベゼルにダイヤモンドをあしらったノーチラス 5723を身につけて、彼がレッドカーペットに登場したことから始まった。
ダニー: 控えめに動きながらね。
タキシードにダイヤベゼルの組み合わせは、彼の超お気に入りなのだろう。
トニー: しかしショーの後半、彼は司会を務めるようになり、その際手首からは違うものがのぞいていた。ブラックセラミックのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーだ。服装を変えたから、時計も変えたのかな?
マライカ: なるほど、私はブラックセラミックのRO(ロイヤル オーク)にとても夢中になっていたよ。
ダニー: 私もずっとその時計が気になっていた。
けれど袖口に隠されていた、3本目の時計でもあった。
ロレックス...そう、ロレックスもそうだったね。
トニー: 時計がよく見えるいい写真は見つからなかったが、下の写真のようなホワイトゴールドにサファイアをあしらったサブマリーナーのように見える...サファイアスマーフ(青い肌の森の妖精が主人公のベルギー発のコミック)みたいな?
ダニー: そのとおりかも。100%とは言わないが、90%の確率でそれだね。
マライカ: 少し最初の時計の話題に戻そう。私はこの着こなしすべてに圧倒された。白いタキシードに、宝石をセットしたノーチラスは、まさに煌びやかなラスベガスのように人目を引いている。
ダニー: ラスベガスのようだが、悪目立ちしていない? そうでなければ、私はいろいろと考えを改めないといけないようだ。
マライカ: リル・ウージー(Lil Uzi)のように着こなせている人でないと、しっくりこないと思う。
ダニー: ここまでやっときたね。
トニー: これは気に入った。トレバーの3つのチョイスはいずれもウォッチマニアに認められるようなモデルだ。彼が時計に詳しい人だと見分けられる。
だけどもう大丈夫だ、次に行こう。
ダニー: 懐中時計について知りたいところだ。
マライカ: ウージーは印象の残し方をよく知っている。前代未聞の残し方をね。
正直にいってRMの懐中時計というのは彼なりに、“これはジョークだよ”といっているように感じる。
彼のような超有名人が、冗談抜きにまじめにコレクションをするのはいいことだと思うが、我々も遊び心をもって楽しんでもいいのではないだろうか?
トニー: ハハハ、君にとってパテック グランドマスター・チャイムはおもしろくないのか?
マライカ: そうだね。でもジェイ・Zはレベルが違う。彼には手出しできない。
ダニー: これはとてもすごいことだ。なぜなら本当のウォッチマニアは、こういう誰も手出しできない機会を狙って、時計をアピールしているのだから。
トニー: ウージーは間違いなく別次元だし、我々はそんなものがもっともっと欲しい。
ダニー: たしかメイヤー(Mayer)は2013年に、ユニークなパテック 5004のブレスレットタイプを身につけていたと思う...あれはヤバいよね。
そしてウージーのほうも、ひと癖もふた癖もあるし(しかしそれに負けないほどカッコいい)ヤバいと思う。
マライカ: それに懐中時計は人々のあいだで話題になるからおもしろい。彼らがそれを好むかどうかは別としてね。そして我々は時計を、立ち入りが許されないコレクターのためのものではなく、誰もが楽しめるものであることを忘れてはならないと思う。
トニー: ウージーみたいな人が懐中時計の時代を復活させてくれるなら、私は大歓迎だよ。
ダニー: それこそが懐中時計復活の、いちばんの起点となるのではないか。
トニー: けどダニーの言うとおり、私がケンドリックを好きな理由のひとつが、他者に対して謙虚さを強要する彼の“ハンブル(humble)”という作品で、“俺はお前らに見せびらかすこともできるが、そうしない”と完全に形容しているから。そして時にはすべてを自慢しているのではないだろうか?
マライカ: 100%そう。
ケンドリックとウージーのアプローチはそれぞれ、通常とは大きく異なるアプローチをしている。
トニー: もちろん、その両方が必要だ。
マライカ: 時計の個性が混ざり合って、誰が何をつけているのかを見るのが楽しい。だから我々は、常に気が抜けない!
ダニー: ほかに何もなければ、グラミー賞の時計談義を終わろうと思うがどうだろう?
マライカ: 待った。
ダニー: あらら。
マライカ: バッド・バニー(BAD BUNNY)だ。
トニー: オーマイガー、忘れられるわけないね!
これまでのすべてを撤回しよう、間違いなく彼がハイライトだった。
マライカ: 誰が彼の時計を選んでいるのだろう? そう思うほど、彼は完璧なセンスを持っている。
トニー: 見た感じだと、ヴィンテージのレディースAP(オーデマ ピゲ)だね。というか、ほかに誰がこんなの選ぶんだ?
しかも彼はパフォーマンスのあとにも時計も変えていたよ。
マライカ: 私たちはグラミー賞が大好きだ。クチュールのドレスで出るもよし、ニット帽とジーンズで出るもよし(クリス・マーティン/Chris Martin はもっと努力してね)、グランドマスター・チャイムで出るもよしだ。そこにルールはない。
トニー: そして腕時計の挑戦もひとしく、いい意味でとんでもなかった。
ダニー: グラミー賞はいつもサプライズと喜びを与えてくれるね。
グラミー賞のすべての画像は、ゲッティより提供。
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