Introducing リシャール・ミルが絵文字（？）をあしらった新作RM 88を発表

　1963年、ハーベイ・ボールという人物が、この有名な黄色いにっこり笑った顔をデザイン。1972年にフランクリン・ルフラーニが設立したスマイリーは、この小さなキャラクターのライセンスを取得し、現在では100ヵ国以上でその権利を所有しています。スマイリーは、ディオール、フェンディ、リーボック、チャンピオン、そして今回のリシャール・ミルを含む数え切れないほどの企業とライセンス契約やコラボレーションを行ってきており、ライセンス契約の「50周年記念」というのは、ちょっと無理がある気はするけれど、とりあえずは話を進めます。

　ゴールドのスマイリーは、この時計で最もスポットライトを浴びていますが、本機ではあまりにも多くのクレイジーなディテールがあるので、どこから手をつけていいのかよくわかりません。3年の歳月をかけて開発された新しい自社製自動巻きキャリバーCRMT7は、そのほとんどが視界から遮られ、むしろ小さなふわふわとしま雲のうしろに隠されています。多くのスケルトンウォッチとは異なり、ムーブメントが視覚的に中心的な特徴ではないため、RMは新しいスケルトンムーブメントを設計し、エングレーバーのオリヴィエ・クーン氏が制作した、本当に小さな金の彫刻のために十分なブランクを残したのです。私はそれがボロワー(『Borrowers』)によって作られたと確信しています。

　そこにあるのは、太陽。サボテンに、アンブレラ、パイナップル、そして虹......実は、2つの虹があります。この時計は、スマホの絵文字をランダムにミックスして、時計のケースのなかで混ぜ合わせたらこうなる、という作品なのです。

　このRMは、限りなく立体的で、高価なポリーポケットを大きくしたようなものです。小さな彫刻はひとつひとつ手作業で仕上げられています。マイクロブラスト加工されたパイナップルには、PVDコーティングされた小さな緑の葉があしらわれ、サボテンのトゲは、PVDコーティングを除去するためにひとつずつ手作業で研磨されています。フラミンゴの目は、世界最小のビーズツールで作られています。

　そうして作られた彫刻たちはベースプレート上に配置され、各種アタッチメントで固定されます。その際、できるだけ多くの面積を見ることができるように、また、それぞれのパーツが立体的に見えるように、斜めに配置。スマイリーは虹色のニスを塗ったブリッジの上で固定されており、まるでムーブメント上に浮いているような、時計職人の仕事を微笑みかける慈愛に満ちた天体のような印象を与えます。

片方に太陽、もう片方には稲妻をあしらったスモールセコンドは、1分間に雲の周りを1周します。また、3時位置にはファンクションインジケーターがあり、リューズを引き出すと巻上げ（W）、針合わせ（H）位置を表示。パワーリザーブは約50時間です。そして、価格は1億7710万円(税込)となっています。

　ケースバックからは、グレード5チタン製の稲妻型ブリッジと、3Nイエローゴールド製の太陽の形をしたローターを見ることができます。これらをすべて、ATZ（アルミナ強化ジルコニア）製ホワイトセラミックとレッドゴールドを組み合わせたケースに格納。ベルクロ留めのストラップは、オリジナルのスマイリーフェイス・イエローのファブリック製です。

　RM 88 オートマティック トゥールビヨン スマイリーが数週間前に発表されたとき、「ごめん、心臓が止まりそうだわ」というのが私の口から出た実際の言葉。ドラマチックな話ですが、これは私の夢のような時計なのです。白いセラミックケースにカラフルな小さなチャームとゴールドのハッピーフェイス、そしてイエローのストラップ、さらに雲の裏側にトゥールビヨンが隠れている。私は夢を見ているの？　どんなアシッドマッドな高級時計界のヒッピーがこれを思いついたのでしょう。

　私はスマイリーが大好き。オリジナルの「Have A Nice Day」というフレーズが入ったピンから、LSDやハシエンダのレイヴカルチャーまで、過去50年にわたり大衆文化において大きな役割を担ってきたのですから。また、数え切れないほどのバリエーションがカルト的な地位を獲得しているのも面白い。ニルヴァーナのスクイグリーマウスとクロスアイドスマイリー、ジャスティン・ビーバーの現在のDrew Houseロゴ、KapitalやMarketなどのブランドのアパレル、そして私たちがとても愛するiPhoneの絵文字など、数え切れないほどのバリエーションがカルト的な人気を得ています。

　この象徴的なシンボルは、常に時代の流れのなかにあります。決してクールでないことはなく、リシャール・ミルは、それをさらに特別なものにしました。

　この時計がマイアミの家より安ければいいのか？　もちろんです。リシャール・ミルの時計はとても若々しく遊び心があるので、極端に大人っぽい価格はしばしば悪ふざけに見えてしまいます。RMのロレックスに対するチュードルのような、ディフュージョンラインで低価格のスピンオフブランドがあればいいと思う人もいるはず。それこそが、この考えうる限りの大人のファンタジーランドを実現する鍵なのかもしれません。

　しかし、多くの時計がそうであるように、価格はほとんど理論的なものです。ある賢者が言ったように、超高額な時計は所有するものというより、鑑賞するためのオブジェとして捉えるのが妥当でしょう。

　そして、そのような観点で、この作品にハンズオンをできることは、とても😁です。私に📞を置いておかせるくらいには、素晴らしい体験でした。

ブランド: リシャール・ミル（Richard Mille）
モデル名: RM 88 オートマティック
型番: RM88

直径: 48.15 mm x 39.74 mm
厚み: 13.30 mm
ケース素材: ATZセラミックとレッドゴールド
文字盤色: スケルトン
夜光: あり
防水性: 50m
ストラップ/ブレスレット: イエローのテキスタイル

キャリバー: CRMT7
機能: 時、分、秒、ファンクションインジケーター
直径: 32.10 mm x 29.00 mm
厚み: 5.70 mm
パワーリザーブ: 約50時間(± 10%)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4 Hz)
石数: 23

価格: 1億7710万円(税込)
発売: 世界のリシャール・ミルブティック
限定: 50本