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Staff Picks 1本の時計に2万ドルを費やすなら?

2万ドルが手元にあるわけではないが、もしも持っていたならこんな風に使ってみたいね。

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時にささやかな夢を見るのは、楽しいものだ。特に、将来的に購入したいと思っている腕時計について考える場合はなおさらだろう。そこで、HODINKEEのスタッフに2万ドルという架空の予算を渡し、もしそのような大金を手にすることになったらぜひ所有したいと思う憧れの時計を1本選んでもらった。

 その結果、ドレッシーでオールドスクールなものからモダンなデザインのもの、独立系ブランドの1本など、幅広いジャンルの時計がピックアップされた。もしあなたが同じ予算を手にしたら何を選ぶのか、以下の記事を読んだうえでコメントして教えて欲しい。

A.ランゲ&ゾーネ サクソニア(A. Lange & Söhne Saxonia)

 A.ランゲ&ゾーネのサクソニアについて書くのは、今回が初めてではない。以前、この時計をブランドのエントリーシリーズとして紹介したとき(2022年5月当時)は、A.ランゲ&ゾーネで販売されているなかで最も安価なタイムピースだった。ピンクゴールドまたはホワイトゴールド製で直径は35mm(私の好みはPGだ)。シルバーの文字盤にエレガントな時刻表示とスモールセコンドを配置したこのサクソニアは、まさに伝統的で洗練された腕時計だ。前に執筆した時点で、この時計は1万9700ドル(日本円では税込251万9000円・当時)で販売されていた。最近、ランゲはこの時計の価格を公表していないため、2023年のこの企画の条件である2万ドルをわずかに上回っているかもしれないが、気にしないことにした。この価格帯にぴったりはまる時計を探し出すのは、想像以上に大変なことだ。

Lange Saxonia

 しかし、この2万ドルの質問に答えることになったとき、私の頭にはこのランゲがすぐに思い浮かんだ。現時点では、2から始まる5桁の価格がつけられた新しい時計を買う気にはなれない。だが、このサクソニアは当分のあいだ、古い頭のなかで多大なスペースを占めることになるだろうと予感している。35mm径のケースに25mm径の手巻きムーブメントを内蔵し、ランゲの規格に沿った装飾を施したこの時計には、それだけの魅力があるのだ。いつか私が身につけているのを見ても、どうか驚かないで欲しい。

–ダニー・ミルトン(Danny Milton)、シニアエディター

ブルガリ オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT スケッチ(Bulgari Octo Finissimo Chronograph GMT Sketch)

 まず話を始める前に、今回は浮気をしたことを認めよう。 この時計は2022年にオクト フィニッシモの10周年記念に200本だけ発売され、とっくに完売したモデルだ。しかし、発売時の値段は約1万9300ドル(日本円では税込228万8000円・当時)であり、2万ドル以下でネット出品している人もいることから(そのほかはもっと高い値段のものばかりだ)、今回購入を検討している。

a bulgari octo GMT

 オクト フィニッシモ クロノグラフ GMTに対しては、その素晴らしいデザインや装着感に加えて技術的な功績(史上最薄のクロノグラフであり、しかも自動巻きでGMTも搭載している)もあり、私は以前からその魅力に惚れ込んでいる。だが、特にこの“スケッチ”には何かしっくりとくるものがあるのだ。

 芸術作品や芸術家に囲まれて育ったにもかかわらず、私にデザインを考えたりスケッチしたりする能力はない。だがこの文字盤を眺めていると、身近な芸術家たちが自らのアイデアとわずかな画材だけで素晴らしいものを作り上げるのを見ているような気がしてくる。この文字盤が、ブルガリのデザイン部門の責任者であるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ(Fabrizio Buonamassa Stigliani)氏の最初のデザインから生まれたという事実が、ただでさえ素晴らしい時計に完璧なストーリーを添えている。そのうち“スケッチ”でないクロノグラフGMTモデルを所有することになるかもしれないが、この時計こそがずっと欲しかったものだと理解している分、なかなか腑に落ちないものがあるかもしれない。

–マーク・カズラリッチ(Mark Kauzlarich)、エディター

イエローゴールド製ブルガリ トゥボガス(Bulgari Tubogas In Yellow Gold)

 最近、セルペンティ、そしてヴィンテージのトゥボガスに心を奪われている。昼は延々とセルペンティを探し求め、夜は熱に浮かされながらその夢を見る……という毎日だ。私は、2万ドルをより“見栄えのする”ものに使おうと躍起になっていたが、途中で踏みとどまり、自分の本心を受け入れることにした。

a bulgari turbogas

ブルガリのトゥボガス。Photo: courtesy liveauctioneers.com

 これは、ジュエリーと時計を融合させた究極の作品だ。もしお題が2万ドル以上であればジャガー・ルクルトのムーブメントを搭載したトゥボガスを探し始めるところだが、ルールには従わなければならない。なので、2000年代初頭に作られたイエローゴールド製でラウンドケース、黒文字盤のトゥボガスにした。夏のあいだはずっと彼女を身につけながら、見た目の美しさのために見苦しい日焼け跡に悩まされることになるだろう。

–マライカ・クロフォード(Malaika Crawford)、スタイルエディター

ロレックス ホワイトゴールド製デイデイト Ref.18239(Rolex Day-Date In White Gold Ref. 18239)

 2万ドルは大金だ。そんな大金を使うからには、何か本質的なものやタイムレスなもの、そしてゴールドのものが欲しい。しかも、毎日身につけられるものがいい。そこで選んだのが、ホワイトゴールド製のロレックス デイデイト Ref.18239だ。このデイデイトはロレックスが1988年に発表し、2000年代前半まで生産していた。私のなかに潜む純粋なヴィンテージ主義者は、当然ながらより古いRef.1803を選びたがっていた。しかし、いくつかの理由から今回はより新しいリファレンスを選ぶことにしたのだ。

 まずは、ロレックスがダブルクイックセット機能を備えたキャリバーを導入した時期のモデルであること。これはリューズを素早く回すだけで、日付と曜日の両方を変更できることを意味している。ふたつめに、あまり昔のモデルだとケースが磨り減っていたり、ブレスレットが伸びてしまっていたりすることだ。地球上でもっともラグジュアリーな時計といわれるデイデイトを身につけるなら、やっぱり贅沢な気分を味わいたい。ブレスレットのリンクがしっかりとしていて、サファイアクリスタルの風防で、瞬時に日付を変更できる時計が欲しいのだ。

rolex day date white dial

 この1週間で、ブレスレットの状態がいい個体が2万ドル前後で売られているのをいくつか見かけた(ここと、ここだ)。ホワイトゴールドを選んだのは、第一にイエローゴールドより若干高額であるため、予算内で1ドルでも多く使えると考えたからだ。それと、2万ドルなら毎日身につけられるものがいい。イエローゴールドのデイデイトを常に身につけるというのはちょっと気が引けるが、ホワイトゴールドならこっそりと使えるかもしれない。

 そして、デイデイト 36の最新版が金額的にこれの約2倍もすることを考えると、Ref.18239はある種の価値ある提案(value proposition)とさえいえるだろう。

トニー・トライナ(Tony Traina)、エディター

パテック フィリップ カラトラバ Ref.5000G(Patek Philippe Calatrava Ref. 5000G)

 そう、特に私の実生活においてはトニーがいうとおりだと思う。2万ドルは、大金だ。しかし、"コンテンツ"として時計を選ぶ環境にあって私が最初に思ったのは「まあ、2万ドルでも足りないな」ということだ。幸いなことに、"もし宝くじが当たったら”などの不測の事態に備えて管理しているさまざまなウォッチリストを参照した結果、自分にとって価値あるものを見つけることができた。私は1990年代のパテックが大好きだ。この年代ならではというか、ちょっとクラシカルでちょっと不格好というか、奇妙な感じがするのだ。

a patek philippe calatrava 5000G

パテック フィリップのRef.5000G。Photo: courtesy of Christie's

 Ref.5000はなかでもクラシックな傾向が強いのに対し、Ref.5085 ネプチューン(Neptune)はその対極に位置している。ドレッシーでありながらスポーティであり、かつ日常的に身につけられるような、そんな時計に仕上がっているのだ。Ref.5000を裏返すと、Cal.240PSを誇示するようにスケルトンのケースバックが配されている。パテックによる優れた仕上げが見られるだけでなく、この小さなケースにムーブメントがフィットしている様子はまるでこのサイズに合わせて作られたかのようにも感じられ、より大きな兄弟モデルRef.6006に合わせられているのと比べてとても素晴らしく感じられる。

 私はこの33.5mm径のホワイトゴールド製カラトラバを選んだが、幸いにも2万ドル台で手に入れることができた。この価格帯の時計に私が求めているのは、着用感やちょっとした驚きに満ちたデザインで、しかも自分の好みにぴったり合うものだ。サイズから文字盤のデザインにいたるまで、この“年代物”のパテックはそのすべてを備えている。

–リッチ・フォードン(Rich Fordon)、HODINKEE Shopクライアントアドバイザー

トリローブ ユヌ・フォル・ジュルネ(Trilobe Une Folle Journée)

 もし、あなたが僕に自分の想像上の(苦労して稼いだ)お金から2万ドルを出せと迫っても、僕がそのすべてをクラシックなものや普通なものに費やすのは難しいでしょう。クラシックなデザインの時計も素敵ですが、僕の脳みそからは「もっと人生を楽しもうよ。金持ちになったんだから!」と叱咤されると思います。歴史的なものやケース素材にこだわる人もいますし、複雑機構に魅力を感じる人もいるでしょう。でも、僕はやっぱり楽しいデザインに惹かれるんです。だから、トリローブ ユヌ・フォル・ジュルネのサンドカラーモデルを選びました。

a trilobe watch

 一部の人からは変わったチョイスに思われるかもしれませんが、僕は最近インディペンデントな時計にハマっています。トリローブのオーブのような時計は、ユニークなリングシステムで時を刻む、今まで見たこともないようなデザインです。あの巨大なドーム型サファイアガラスを何かにぶつけるのは確かに怖いですが、せっかくなら最高の人生を送りたいですからね。たとえクリスタルは球根状であっても、ケース自体は直径40.5mm、厚さ10mmしかないため、着用感は驚くほど優れています。僕はこの時計をとても気に入っていますし、自分の腕にロサンゼルスの街角で他人がつけていないようなユニークなものが巻かれているという事実を楽しんでいます。

 唯一の問題は、ユヌ・フォル・ジュルネが2万1700ドル(約302万7000円)と少し予算オーバーなので、もう少しHODINKEEから資金を出してもらわないといけないということです。まあ、それはいいか。人生一度きりだからね。

ブランドン・メナンシオ(Brandon Menancio)、エディター

ブレゲ トラディション(Breguet Tradition)

 時計業界で働くことで、業界との“近さ”という特権が得られる。これにより、普通なら同じ部屋で過ごすことさえできないような多くの時計を見たり扱ったりするだけでなく、自分だけのローラーコースタータイクーン(原題『RollerCoaster Tycoon』、遊園地経営シミュレーションゲーム)の世界を満喫し、実際にそれらを手に入れることだって可能なわけだ。しかし、この仕事を始めてしばらく経つが、(私にとって)“特別”なものを見つけるのが次第に困難になってきた。昼夜を問わず、夢のなか(それこそ悪夢もだ)でさえもずっと時計を見続けているのであれば、それらの時計にはきっと何か特別な意味があるはずだ。そうだろう?

breguet tradition

 とはいえ、私の想像上の2万ドルを全額同じ時計に投資するとなれば、賢く使う必要がある。

 そこで、ブレゲ トラディションとの出会いだ。当時、時計の世界で働き始めたばかりの私に、高級時計の魅力を教えてくれた初めての時計だ。それまで私が経験してきたものは、どれもありふれたものばかりだった。 ロレックスにオメガ、ブライトリング……、どれも素晴らしかったが、想像の域を出ない小型のクロックのようなものだった。トラディションもまた小型のクロックのようではある。だが、小型でありながらすべての機構部が前面から見えるようになっている。しかもただ見えるだけでなく、左右対称なのだ! とてもクールだった(今もそうだが)! 自分が立っていた場所やカーペットの模様、隣にあった窓、そして外が気持ちよく晴れた日だったことまで覚えている。その時計は私に強烈なインパクトを与えた。まさに、驚きの瞬間だった。

 今、もし質問されたら、ブレゲのトラディションを初めて見てから数年のあいだに、私は多くのことを学んだと答えるだろう。私の好みは驚くほど変化し(かわいそうなことに、彼は何も知らなかったのだ。昔の自分に祝福を)、異なる視点を尊重するようになった。私自身と時計との関係で何よりも深く理解したのは、私にとって時計は、時と場所を示すものであるということだ。父の時計が、それを教えてくれた。

 実際、私のコレクションに含まれる時計は、特定の役割に当てはまるものでなくてはならない(その役割は次の4つだ:デイリーに使えるか、ドレッシーか、ヴィンテージか、ベースボールに関連しているか)。ふたつ以上の役割を満たす時計は歓迎だが、ヴィンテージの役割を持つ時計がふたつあるなど、重複しているのはいただけない。さもなければ、ずっと未使用のまま放置されることになる。ブレゲのトラディションは伝統と時計製造の技術に裏打ちされた時計として私の心を打つものであり、そして何よりも、時計が本当の意味で素晴らしいものであることを思い出させてくれるものなのだ。

–ジョナサン・マクウォーター(Jonathan McWhorter)、ビデオプロデューサー

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オーデマ ピゲ パーペチュアルカレンダー Ref.25548(Audemars Piguet Perpetual Calendar Ref. 25548)

 2万ドルも使うなら、自分のいつものゾーンから明らかに外れた時計がいい。だからダイバーズウォッチはもちろん、もっと広い意味でのスポーツウォッチもNGだ。また、2万ドルの時計はゴールドであるべきで、できればコンプリケーションであって欲しいという思いもある。

an AP 25548 perpetual calendar

 というわけで、僕ならまずオーデマ ピゲのパーペチュアルカレンダー Ref.25548を探すだろうと思う。1978年にRef.5548として発表されたこのラウンドケースのパーペチュアルカレンダー(QP)は、初期のロイヤル オーク QP(僕のお気に入りだけど、今回の予算では無理だ)と同じムーブメントを使用していて、フットプリントを施した36mmの美しいホワイトダイヤルを備えている。

 ロイヤル オークがAPの代表作であるのと同様に、僕はその名前を聞くと、複雑機構、特にかなり初期のパーペチュアルカレンダーや栄光あるRef.5516を思い浮かべることが多い。そういうわけでRef.25548を、APにおける“非”ロイヤル オーク的な側面を強調する素晴らしいモデルだと考えている。イエローゴールドなら、2万ドル弱で購入可能だ。基本的にツールウォッチが好きな僕にとって、APのQPはまさに至高の一品だ。なんて素敵なデカダンスなんだろう!

ジェームズ・ステイシー(James Stacy)、リードエディター

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