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Watching Movies ハリソン・フォード、映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でインディのファーストウォッチとしてヴィンテージ風のハミルトンを着用

時計にまつわる今週の映画紹介では、時計とハリソン・フォードのディエイジング(若返り)について取り上げよう。


スティーブン・スピルバーグは、第2次世界大戦の大作『1941(邦題:1941)』の公開からまもない1970年代末にジェームズ・ボンド映画の監督を目指していた。しかし彼の友人であるジョージ・ルーカスは別のアイデアを持っていた。オリジナルのストーリーを練っていると豪語していたルーカスは、スピルバーグにボンドよりも優れた企画があると告げる。当初はインディアナ・スミスという名前の登場人物が主人公で、考古学者でありながら冒険家でもあり、貴重な遺物を追い求めて遠く離れた地に赴くというストーリーだった。それは、『黄金(原題:The Treasure of the Sierra Madre)』(1948年公開)のハンフリー・ボガードのように青春時代に見た冒険活劇のヒーローのようであり、その一方で『007は殺しの番号(原題:Dr.No)』(1962年公開)のショーン・コネリーのような華やかさも備えていた。名脚本家であるローレンス・カスダンと共同で製作を開始し、その結果インディ・ジョーンズに名前を変えた主人公の活躍を描いた『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題:Raiders of the Lost Ark)』(1981年公開)が誕生したのだ。ジョン・ウィリアムズが担当したこの映画の音楽は、スクリーン上で流された彼のどの楽曲よりも象徴的なものとなり、その後の歴史に残ることとなった。

 インディ・ジョーンズが腕時計をつけなかったのは有名な話だ。それから40年後の現在、第5作目にして最終作となる『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(原題:Indiana Jones and the Dial of Destiny)』が世界中で上映され、ハリソン・フォードはヘンリー・“インディアナ”・ジョーンズ・ジュニア役を演じるにあたってヴィンテージ風のクォーツ ハミルトンを着用した。

Indiana Jones

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の宣伝用ポスター。Image courtesy of Lucasfilm/Disney


注目する理由

 封を切ったばかりの超大作だからこそ、我々はこの映画に注目している。まだほとんど誰もこの映画を見ていないのだから、ネタバレは一切なしだ。最初にこのタイトルを目にしたとき、自分のなかに潜む時計マニアはすぐに、このタイトルは時計の文字盤のことを指しているに違いないと思った。しかし結局のところ、それは大きな勘違いだった。だが、小道具部門と(『フォードvsフェラーリ(原題:Ford v Ferrari)』で有名な)インディ・ジョーンズの新監督ジェームズ・マンゴールドは、せめてこのキャラクターに腕時計をつけさせることにした。これはいいスタートだ。

 この映画自体が文字どおり“時間”の概念を中心に展開されており、前述の“運命のダイヤル”が物語を進展させるマクガフィン(映画や小説などのフィクションにおいて、人物の動機づけや話の進行のために用いられる小道具や概念のこと)の役割を担っている。誤解を恐れずに言えば、これはタイムトラベルの能力を発動するためのアイテムだ(このコンセプトについて判断を下す前に、とにかく映画を見てほしい)。このダイヤルによってジョーンズは(フィービー・ウォーラー=ブリッジ扮する)彼の愛娘であるヘレナと対面することになる。彼女は金銭的な目的からダイヤルを狙っているが、これはジョーンズの核となる価値観に反するものだ。

Indiana Jones

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』では、若かりしころのインディ・ジョーンズを見ることができる。Image courtesy of Lucasfilm/Disney

 運命のダイヤルの謎を追う旅のなかで、彼らはマッツ・ミケルセン演じる元ナチスのフォラー博士と対峙することになる。皮肉なことにミケルセンは2005年公開の『007/カジノ・ロワイヤル(原題:Casino Royale)』でも重犯罪者を演じている。このことがボンドとジョーンズの神話にさらなる深みを加えている。

 今回の新作でもフォードを若返らせるべくディエイジング技術が駆使されている。しかしその結果、まさに不気味の谷のようなことが起こっているのだ。それについてどう思ったかについては、映画を見たあとで私に教えて欲しい。しかしこのディエイジングとタイムトラベルの話は、我々が好んで時計と呼ぶ小物へとつながってくる。フォード演じるジョーンズはこの映画内で、ハミルトンのアメリカン クラシック コレクションに属するボルトンを着用している。

Hamilton Boulton

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に登場するハミルトン ボルトン。Photo courtesy of Brandon Menancio

 1969年を舞台にした映画でクォーツ式のハミルトン? と思うかもしれない。そう、これは時代劇に登場する現代的な時計であり、今に始まったことではないが(『パール・ハーバー(原題:Pearl Harbor)』や『アルゴ(原題:ARGO)』を見てもそうだ)、この手の物語が本物らしく感じられない原因となっている。また、この時計はスクリーンにあまり登場せず、クローズアップすらされない。その代わり、ジョーンズの手首を遠くから眺めたときや、単にケースのシルエットが目に入ったときでも、ある種のアール・デコ調のヴィンテージな雰囲気を漂わせている。

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 そして、それは意図的なものだ。映画では(これはある種のネタバレになると思うが)この時計がかつて彼の父、ヘンリー・ジョーンズのものであったことが明かされる。これは『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(原題:ndiana Jones and the Last Crusade)』(1989年公開)でこの役を演じた故ショーン・コネリーへのオマージュにほかならない。つまり、最初のクォーツウォッチが1969年まで市販されていなかったことから時代考証が正確とはいいにくい小道具であるにもかかわらず、我々が愛するセンチメンタリズムに根ざしているのだ。そしてこの映画が持つタイムトラベル的な側面をうまく利用して、この時計が未来からジョーンズ家に送られたのだと思い込めばいい。

Indiana Jones

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でインディ・ジョーンズ役を演じるハリソン・フォード。Image courtesy of Lucasfilm/Disney

 丸みを帯びたカルティエ タンクのような縦長のクッションケースが特徴で、ケースサイズは27×31.6mm。ゴールドカラーのクローズドケースバックを備えており、クリーミーな文字盤にはスモールセコンドと華麗なアラビア数字が植字されている。全体的なスタイリングは1920~30年代を彷彿とさせるが、サイズやムーブメントには現代風なアップデートが見られる。最終的にこの特別なモデルは、ハミルトンのマーフウォッチのようにインディ・ジョーンズの時計として永遠に記憶されることだろう。

Hamilton Boulton

ハミルトンのボルトン。Photo courtesy of Brandon Menancio

 最後に、今夜映画館でポップコーンと炭酸飲料を楽しむ準備をしている人たちへ、もうひとつ注目してほしい出来事がある。目立ったブランド名こそないものの、ストーリーのなかで非常に重要な役割を果たすものだ。どうか注目して欲しい。

 我らがブランドン・メナンシオは6月の初め、ロサンゼルスで開催された『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のプレミアに出席した。彼はレッドカーペットを歩き、スターで埋め尽くされた劇場で、この映画を世界に先駆けて鑑賞したのだ。「最高でした!」と彼は語る。「ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグが僕のすぐそばを通りすぎていったのには正直驚きました。衝撃でしたよ」

El Capitan Theater Indiana Jones

Photo courtesy of Brandon Menancio

 幕が開く直前、最後にもうひとつサプライズが用意されていた。あの巨匠、ジョン・ウィリアムズが自らステージ上でオーケストラを指揮し、インディ・ジョーンズのテーマを披露したのだ。「ジョン・ウィリアムズのパフォーマンスは間違いなく僕を驚かせるものでした」とメナンシオは語った。インディ・ジョーンズに別れを告げる最高の夜となったようだ。


見るべきシーン

 時計に関連する最初の場面では、実際にそれを目にすることはない。だが我々は重要なことを耳にすることになる。ジョーンズとヘレナが猛スピードで追跡するシーンで、ジョーンズは彼の時計がなくなっていることに気がつく。ヘレナはすぐに彼女の同胞であるティーンエイジャーのテディが時計を盗んだのだと察する。彼女はテディに時計を返すよう促すが、そのタイミングでジョーンズは時計のいわれを明かす。

Image courtesy of Lucasfilm/Disney

 また、映画の後半にジョーンズがベッドで朝に目を覚ますシーンがある。カメラは彼のベッドサイドテーブルにしばらく留まり、そこで時間を刻むクォーツ ハミルトンが斜めに置かれているのが見える。文字盤はカメラに正対しておらず、わずかにピントが合っていないが、少なくともケースの全体的な形とスタイルは確認できる。全体を通して、これが『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のなかで時計が最も鮮明に映るシーンとなっている。

Indiana Jones Hamilton

これは上記のシーンとは違うが、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に登場するハミルトン ボルトンのイメージが伝わるショットである。Image courtesy of Lucasfilm/Disney

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(主演:ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ)監督はジェームズ・マンゴールド、ベン・ウィルキンソンが小道具を担当。現在、世界各地の劇場で上映中。

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